NEW■8月月例ネット句会入賞発表■

■8月月例ネット句会入賞発表■
2026年8月10日
【金賞】
12.風青々とんぼ吹かれて田に浮けば/吉田 晃
「とんぼ吹かれて」に風の心地良さを感じる。とんぼは、田の上を飛んでいるのではなく、浮いている。浮いているより、浮かされている自然体が軽やかだ。その結果風が青々としてくるのだ。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
16.田の上に熱帯夜の月熟れるごと/柳原美知子
田の上の月は、涼しさを誘うものだが、熱帯夜では、違ってくる。月が赤みを帯びて「熟れるごと」なのだ。無生物の月が生き物のように熟れる。この感覚が熱帯夜のやりきれない暑さを表現している。(髙橋正子)

27.水馬の清水に逆らう波の紋/上島祥子
清水にいる水馬を見ると、目にもすずしい。その水馬が流れる清水に逆らうと、波の紋が生まれる。水馬の小さな動きに生まれた波紋が絵画のように目に止まる。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
02.石狩川に瀬音高まる秋の風/土橋みよ
石狩川に瀬音が高まっている。秋の風が吹いてくるからなのだ。夏から秋へ急に進んだ季節に、すこし心寂しさを感じる。(髙橋正子)

13.陽が出ればすでに残暑の兆しおり/多田 有花
捉えにくい、目に見えない瞬間を的確に捉えている。残暑というのは、陽が出ればすぐにも暑くなるのだ。「兆しおり」は陽が出た瞬間を捉えて過不足ない。(髙橋正子)

21.炎天や空見上ぐれば目細む/西村友宏
炎天の眩しさが思わず、目を細めさせる。ただ、それだけのことであるが、炎天の厳しさと人間の関係が瞬間に捉えられている。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】
02.石狩川に瀬音高まる秋の風/土橋みよ
立秋を過ぎ北海道では一足先に秋が進んでいることでしょう。大河石狩川を渡る秋風の雄大な風景が思い浮かびます。(多田 有花)

12.風青々とんぼ吹かれて田に浮けば/吉田 晃
とんぼがふわふわと青田の上に浮き、青田の風にともに吹かれる心地よさ。猛暑を耐えてようやく爽やかな秋の訪れが実感されるうれしいひとときです。(柳原美知子)

16.田の上に熱帯夜の月熟れるごと/柳原美知子
夏の月は、低い軌道で、地上の風景に馴染んでいます。大きく見えるのは目の錯覚だそうですが、金色に輝く月を「熟れるごと」と表現されたのが、確かにその通りと納得しました。(上島祥子)

27.水馬の清水に逆らう波の紋/上島祥子
あめんぼうの後ろ足から周囲に波紋が立つ様子から、水の清らかな流れが見えるようです。(土橋みよ)

13.陽が出ればすでに残暑の兆しおり/多田 有花
17.白鷺群れ明けの天地をほしいまま/柳原美知子
21.炎天や空見上ぐれば目細む/西村友宏

【入選/7句】
03.早稲の風川の蛇行を横切れり/土橋みよ
早稲の風のやわらかな感覚と、川の蛇行が眼前に広がる光景が、横切れりで繋ぎ合わさる。大きな句だと感じます。(高橋秀之)

04.木洩れ日の明るき園や蝉時雨/廣田洋一
植物園でしょうか。背の高い木が気持ちのいい木陰を作っています。その中では降るような蝉の鳴き声も涼しさを感じさせるものになっています。(多田有花)

08.とんぼ舞う丘をまっすぐ人が行く/高橋秀之
とても広々とした風景の広がりを感じます。見えるのは丘とその人影と飛び交うとんぼのみ。どこまでも歩いていける丘の景色です。(多田有花)

18.熱風に田の靡きたる原爆忌/柳原美知子
原爆忌前の八月初めの暑さは尋常ではありませんでした。風ももはや「熱風」といえるほどの暑さ。そこにあの日の激しい原爆の熱風が重なります。(多田有花)

10.晩夏光錆びたドックの錆びた船/吉田 晃
19.酷暑かなミルク飲み干す小さき口/西村友宏
26.清流に木漏れ日招く西日かな/上島祥子

■選者詠/髙橋正子
23.夕日の坂下りて真菰を買いにゆく
 「夕日の坂下りて」に作者の想いが強く感じられた。盆のお供え物を買いに出たのであるが、日が沈みかけた方へ坂を下っていくのである。その姿に故人への想いが見えている。「夕日の坂」「下りて」「真菰」「買いにゆく」が無駄なくつながっていて、光景がはっきり目に浮かんで来る。一つの無駄もなく、深い味わいのある句だと思う。また一つ勉強をさせていただいた。(吉田 晃)

22.長崎忌海あおあおと開けたり
24.青紫蘇を一枚二枚と重ね採る

互選高点句(5点)
12.風青々とんぼ吹かれて田に浮けば/吉田 晃

集計:髙橋正子
※コメントのない句に、コメントをよろしくお願いいたします。


コメント

  1. 多田 有花
    2026年8月10日 16:43

    04.木洩れ日の明るき園や蝉時雨/廣田洋一
    植物園でしょうか。背の高い木が気持ちのいい木陰を作っています。
    その中では降るような蝉の鳴き声も涼しさを感じさせるものになっています。

    08.とんぼ舞う丘をまっすぐ人が行く/高橋秀之
    とても広々とした風景の広がりを感じます。
    見えるのは丘とその人影と飛び交うとんぼのみ。
    どこまでも歩いていける丘の景色です。

    18.熱風に田の靡きたる原爆忌/柳原美知子
    原爆忌前の八月初めの暑さは尋常ではありませんでした。
    風ももはや「熱風」といえるほどの暑さ。
    そこにあの日の激しい原爆の熱風が重なります。