■5月月例ネット句会入賞発表■
2026年5月11日
【金賞】
25.禅院に夏鶯の声清し/上島祥子
夏鴬の声を耳に入るままに句に置いた、その率直さがすがすがしい。禅院という場所、夏鶯ののびやかな声の二つの素材が交じり合わず、それぞれの在る姿が十分に汲み取られているのがよい。(髙橋正子)
【銀賞/2句】
20.鯉のぼり石鎚山へ初泳ぎ/柳原美知子
鯉のぼりが石鎚山が見える空に高々と泳いでいる。鯉のぼりは揚げられたばかりで、初めて空を泳ぎ出したのだ。男児の成長を祈る鯉のぼりの姿が家族みんなの祈りとなっているのがよく伝わる。(髙橋正子)
27.白薔薇の蕾に淡く紅兆す/上島祥子
白薔薇の蕾であるが、蕾の先には淡く紅色の気配がある。真っ白であるはずのものが、紅を含んでいる。これこそ命あるものの複雑さ、多様さ、生命力と言えるものであろう。(髙橋正子)
【銅賞/3句】
12.快晴の夏野の広さを楽しみぬ/多田有花
夏の野は、快晴の日はどこまでも広々とくっきりと続く。見える限りの、ある限りの夏の野は存分に楽しむのに値する。素直に楽しめるのだ。(髙橋正子)
19.窓若葉水を流して厨事/柳原美知子
窓からは若葉が見える。やわらかな緑の若葉を見ながら、厨仕事をするのも、この季節ならではの愉しさ。水の冷たさも心地良い。(髙橋正子)
29.若葉風ベビーカーの吾子弾む/西村友宏
ベビーカーの子どもが、若葉を吹く風を受け、体を弾ませて喜んでいる。全身で喜びを表す子どもの無邪気さと健やかさがよく詠まれている。(髙橋正子)
【髙橋正子特選/7句】
25.禅院に夏鶯の声清し/上島祥子
ホーホケキョ。静かな禅院に響く鳴き声。初夏の自然のよき雰囲気を感じます。(高橋秀之)
09.友だちと発つバスの窓初夏の星/高橋秀之
12.快晴の夏野の広さを楽しみぬ/多田有花
19.窓若葉水を流して厨事/柳原美知子
20.鯉のぼり石鎚山へ初泳ぎ/柳原美知子
27.白薔薇の蕾に淡く紅兆す/上島祥子
29.若葉風ベビーカーの吾子弾む/西村友宏
【入選/9句】
01.放たれて光の帯になる稚鮎/吉田 晃
「光の帯」が素敵です。稚鮎が跳ねながら放流されていく様が見えてきます。きらきらと躍動する命の輝きですね。(多田有花)
02.海原を青くして来る初夏の風/吉田 晃
春の霞がかった海から、明るい夏の海への変化。それが迎えたばかりの、初夏の風によってなされたのだ、という実感に、海と親しくある暮らしの心地よさを覚えました。(上島祥子)
07.鯉のぼり未来を繋ぎ大空へ/高橋秀之
大空へ繋がり、自在に風に泳ぐ鯉のぼりに未来への希望をひろげ、祈る気持ちが湧き上がります。解放感あふれる明るい5月の景色の真ん中にある鯉のぼりです。(柳原美知子)
15.いっときの空の蒼さや燕舞う/小口泰與
九州はもう梅雨入りしている。そう言う雨の季節にもいっときからっと晴れて青空が見える。そう言う青空に燕がすいすいと舞っている景色が良く見える。(廣田洋一)
21.寺の猫麦秋の門に暮れ残る/柳原美知子
麦秋の夕暮れ時、寺の静寂の中にいる猫の姿に、懐かしさと瞼に残るような情景の味わい深さを感じました。(土橋みよ)
04.芍薬の咲き誇りたる寺の庭/廣田洋一
13.夕暮れや窓に映りし飛ぶ燕/小口泰與
16.庭師去り忍冬の香立ちにけり/土橋みよ
28.鯉のぼり背にして遊ぶ吾子ひとり/西村友宏
■選者詠/髙橋正子
23.すいかずら睫ほどにも蕊を張り
ゆるく反り返るすいかずらの蕊が、女性の睫毛のようである。軽く張った蕊が若い女性を感じさせる。あるいは、赤ん坊の睫毛のように、初々しさを感じさせる。瑞々しいすいかずらの花の蕊に視線と心を集中させており、読み手はその観察眼の鋭さに驚かされる。(吉田 晃)
22.すくと立つ茎連休のアマリリス
24.房となる薔薇やその家を覆いけり
互選高点句(5点)
27.白薔薇の蕾に淡く紅兆す/上島祥子
集計:髙橋正子
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