■2022年12月例ネット句会■
■入賞発表/2022年12月11日
【金賞】
27.布団干す晴れ渡る日の午餐どき/高橋秀之
「午餐どき」に家族の暮らしの姿が見えて、全てを温和に包こんでくれるような句。よく晴れた日曜日だろうか、午餐どきになってのんびり布団を干す。家族がそれぞれに、過ごして、ゆるく繋がっている家族像が見える。(髙橋正子)
【銀賞/2句】
17.傘深くさして枯葉の吹く道を/吉田 晃
吹き降りがひどいのであろう。枯葉を吹く風が、雨を斜めに降らせる。濡れないように傘に深く身を入れて道を歩く。今は吹き降りの暗さのただ中にあるが、その先に必ずや明るさがあることが信じさせてくれる句。(髙橋正子)
31.小雪の朝日へつぎつぎ子ら登校/柳原美知子
ちらほら雪が舞ってもよさそうな日。そんな日も朝日は元気よく昇り、つぎつぎに登校してくる子供たちを輝かせている。昔から変わらぬ冬の朝の登校風景でありながら、「小雪」の日は、特別な光景に見える。(髙橋正子)
【銅賞/3句】
01.みどり子の生誕待たる十二月/桑本栄太郎
十二月のみどり子の生誕は、イエス・キリストの生誕。今イエスがこの世に生誕するのを人々と共に心待ちにする気持ちがリアルである。(髙橋正子)
15.裸婦坐像銀杏落葉に囲まれて/多田有花
裸婦座像の周りに銀杏落葉が降り敷いている。銀杏落葉によって裸婦座像に想いが生まれてくるようだ。芸術的な風景に人はなにがしか、心が動く。(髙橋正子)
39.からからと笑うヘルパー小春風/川名ますみ
介護を受ける身となれば、ペルパーさんが明るい方であるといい。前向きに明るい方へ事が運ぶ感じがする。小春風のようなヘルパーのからから笑う声がいい。(髙橋正子)
12.冬の草触りて息吹感じたり/廣田洋一
冬なお青く、枯残った草が目に染みる。青々とした草が力つよさを感じさせてくれる。(小口泰與)
春に向けて、生命力の躍動を秘めている冬草。観ているだけではなく、触れることで感じ取れる何かを大切にしている。(弓削和人)
23.大学の銀杏黄葉の坂なせり/髙橋正子
大学の銀杏大樹の黄葉が降り輝く坂道。様々な青春時代に思いを馳せつつ、落葉を踏みしめて歩く温かいひとときです。(柳原美知子)
17.傘深くさして枯葉の吹く道を/吉田 晃
27.布団干す晴れ渡る日の午餐どき/高橋秀之
31.小雪の朝日へつぎつぎ子ら登校/柳原美知子
39.からからと笑うヘルパー小春風/川名ますみ
【髙橋正子特選/7句】
07.朝明けや空までつづく道に冬/弓削和人
朝一番に仰ぐ空。今日は冬の雲におおわれている。その空まで続いているような登り坂の道も白く冷気が漂っているようだ。本格的な冬の到来に身を引き締める詠者が想像されます。(柳原美知子)
15.裸婦坐像銀杏落葉に囲まれて/多田有花
美術館の広い中庭だろうか。銀杏の葉が像の周りを黄色く埋めている。その真ん中に膝を崩した裸婦の座像がうつむき加減にある。行く秋に溶け込んで物思いに耽っている静かな姿を想像します。 (吉田晃)
21.升で豆量り売りする冬テント/祝 恵子
師走となり、お節料理のための豆類が売られ、活気づく出店。寒さの中にも生き生きと温かい生活のひとこまです。句のリズムもよく明るさを感じます。 (柳原美知子)
34.クリスマス街の光が夜空へと/高橋句美子
クリスマスの電飾で華やぐ街。その光が夜空にも投影され、幻想的な闇が浮かびあがります。日常とは異なったこの時期の都市の空間を楽しみながらの帰宅です。(柳原美知子)
11.探し出し子らに見せたる竜の玉/廣田洋一
27.布団干す晴れ渡る日の午餐どき/高橋秀之
31.小雪の朝日へつぎつぎ子ら登校/柳原美知子
02.着水の長き飛沫や鴨来たる/桑本栄太郎
鴨がスムーズに着水する一瞬の出来事を的確に捉えていると感じました。(西村友宏)
04.霜の朝連山我に迫り来る/小口泰與
山に囲まれた土地の冷え込んだ早朝の厳しくも清々しい空気が感じられます。 (多田有花)
朝の山の厳かな雰囲気に偉大さを思います。 (髙橋句美子)
06.昭和の血湧かせ唄うや年忘/小口泰與
忘年会で、歌をうたうとなると、独唱であれ、合唱であれ、歌いなれた昭和の歌を唄うことになる。血湧かせ唄うと、熱唱ぶりを表したのが上手い。 (廣田洋一)
14.薄日差す師走の城を仰ぎおり/多田有花
なにかとあわただしい師走。気がせく日常も仰ぎ見る城は変わらぬ風情を保っている。そんなお城が薄日が差しこむとより悠然と感じ、落ち着きを呼び戻してくれる気がします。(高橋秀之)
20.詰め放題からつき牡蠣を袋詰め/祝 恵子
物価高の歳末です。詰め放題、しかも牡蠣となるとうれしいですね。この日の夕食の献立は牡蠣に決まりです。(多田有花)
25.百万の電飾冬の御堂筋/高橋秀之
御堂筋は大阪梅田より難波まで続く幅44メートルの大阪の基幹道路である。その沿道には大きなビルが立ち並び、ビジネスや商業の中心をなして居る。冬の今頃の時季ともなれば、百万とも云うべき電飾で飾られ、寒さの中にも冬の風物詩として著名である。その景色をすべて名詞で詠われて居り、如何にも冬の街並みの風情が表された。 (桑本栄太郎)
30.新しきペンが滑らか冬の朝/西村友宏
新しい万年筆、少し張り込んで買われたものか、それとも贈り物でいただかれたものか。いずれにしても、ペンの滑らかさは弾む心を表しています。(多田有花)
35.ポインセチア軽き葉色を師へ選ぶ/高橋句美子
クリスマスの季節に欠かせぬポインセチア。赤々しいポインセチアではなく軽き葉色を選ぶ心が優しさを感じます。(高橋秀之)
38.日向ぼこ猫がそうしていた部屋で/川名ますみ
猫が日向ぼこしていた部屋。暖かく日が当たる部屋、今は一人で猫といるような気持になりうとうとしてきました。 (祝恵子)
猫は暖かい場所をよく知っています。猫のいた部屋はきっと暖かい。なので、日向ぼこには最適の部屋なのです。 (高橋秀之)
さっきまで猫がそこで気持ちよさそうに昼寝をしていました。そこで同じようにゆったりと過ごされます。猫がお好きな作者の思いがあふれています。(多田有花)
05.ダム湖へと沈みし村や返り花/小口泰與
08.浮かび咲く八手の花や夕の空/弓削和人
13.城まで歩く銀杏落葉の散る道を/多田有花
18.秋がゆく灯影に白き蛾の戯れ/吉田 晃
19.露草の紫色を溜めて冬/祝 恵
26.絶え間なく続く白波冬の海/高橋秀之
32.子が引いて作りし今朝の蕪のスープ/柳原美知子
37.眉墨をやや長くひく今朝の冬/川名ますみ
■選者詠/髙橋信之
のちほど。
22.青空にきよらかなりて枯木立
23.大学の銀杏黄葉の坂なせり
24.包まれてずっしり白菜のかたち
■互選高点句
●最高点(同点3句/4点)
02.着水の長き飛沫や鴨来たる/桑本栄太郎
25.百万の電飾冬の御堂筋/高橋秀之
38.日向ぼこ猫がそうしていた部屋で/川名ますみ
集計:髙橋正子
コメント
コメント
20.詰め放題からつき牡蠣を袋詰め/祝 恵子
物価高の歳末です。詰め放題、しかも牡蠣となるとうれしいですね。
この日の夕食の献立は牡蠣に決まりです。
30.新しきペンが滑らか冬の朝/西村友宏
新しい万年筆、少し張り込んで買われたものか、それとも贈り物でいただかれたものか。
いずれにしても、ペンの滑らかさは弾む心を表しています。
38.日向ぼこ猫がそうしていた部屋で/川名ますみ
さっきまで猫がそこで気持ちよさそうに昼寝をしていました。
そこで同じようにゆったりと過ごされます。猫がお好きな作者の思いがあふれています。
コメント
23.大学の銀杏黄葉の坂なせり/髙橋正子
大学の銀杏大樹の黄葉が降り輝く坂道。様々な青春時代に思いを馳せつつ、落葉を踏みしめて歩く温かいひとときです。
07.朝明けや空までつづく道に冬/弓削和人
朝一番に仰ぐ空。今日は冬の雲におおわれている。その空まで続いているような登り坂の道も白く冷気
が漂っているようだ。本格的な冬の到来に身を引き締める詠者が想像されます。
34.クリスマス街の光が夜空へと/高橋句美子
クリスマスの電飾で華やぐ街。その光が夜空にも投影され、幻想的な闇が浮かびあがります。日常とは異なったこの時期の都市の空間を楽しみながらの帰宅です。
コメント
14.薄日差す師走の城を仰ぎおり/多田有花
なにかとあわただしい師走。気がせく日常も仰ぎ見る城は変わらぬ風情を保っている。
そんなお城が薄日が差しこむとより悠然と感じ、落ち着きを呼び戻してくれる気がします。。
35.ポインセチア軽き葉色を師へ選ぶ/高橋句美子
クリスマスの季節に欠かせぬポインセチア。
赤々しいポインセチアではなく軽き葉色を選ぶ心が優しさを感じます。
お礼
「15.裸婦坐像銀杏落葉に囲まれて」を銅賞3句、正子先生特選7句にお選びいただきありがとうございます。
吉田晃さま、選とコメントをいただきありがとうございました。
姫路駅からお城へと続く大手前通りには両側に彫刻が18体設置されています。
並木の銀杏からの落葉に囲まれて坐す裸婦像です。
「13.城まで歩く銀杏落葉の散る道を」を入選17句にお選びいただきありがとうございます。
廣田洋一さま、祝恵子さま、選ををただきありがとうございました。
「14.薄日差す師走の城を仰ぎおり」を入選17句にお選びいただきありがとうございます。
高橋秀之さま選とコメントをありがとうございます。あっという間に今年も一年でした。
小口泰與さま、選をいただきありがとうございました。
御礼
高橋信之先生、正子先生
12月月例ネット句会を開催頂き、大変有難うございます!!。
「みどり子の生誕待たる十二月」の句を銅賞にお選び頂き、嬉しいご句評も添えて頂き大変有難うございました!!。
又同句に祝恵子様、小口泰興様より選を賜り大変有難うございます!!。
「着水の長き飛沫や鴨来たる」の句に西村様より選とコメントを、多田様、吉田様、弓削様には選を頂き、大変有難うございます!!。
高橋両先生を始め花冠会員の皆々様、益々寒くなる折柄どうぞお身体には気をつけられ、少し早いですが良いお年を!!。
お礼
信之先生、正子先生、12月月例ネット句会を開催いただき、ありがとうございました。
「小雪」の句に銀賞および両先生の特選、正子先生のご句評をいただき、大変嬉しく感謝申しあげます。「蕪」の句も入選句にお加えいただき、ありがとうございました。
多田有花様には「小雪」に、吉田晃様には「蕪」に選をいただき、ありがとうございました。
いよいよ寒波が押し寄せ、本格的な冬となってきました。新型コロナウイルスも感染拡大している折、
両先生、句友の皆様、くれぐれもご自愛のほどを。
今年も1年間お世話になりました。
お礼
高橋信之先生、正子先生、12月月例ネット句会の開催をありがとうございました。
「冬テント」を正子先生の特選に、「冬」「牡蠣」を入選にお取りいただきましてありがとうございました。
「冬」に選を頂きました小口泰與様、「牡蠣」に 選頂きました廣田洋一様、桑本栄太郎様。「冬テント」に 選と嬉しいコメントを頂きました 柳原美知子様大変ありがとうございました。 多田有花様、牡蠣にコメントを添えていただきありがとうございました。
野菜、お茶、餅の袋詰めはよく見ますが、牡蠣の袋詰めは初めてで新鮮でした。
皆さま、よい年をお迎えください。
お礼
信之先生、正子先生、12月月例句会に参加させていただきまして、ありがとうございました。
この度は「からからと笑うヘルパー小春風」の句に銅賞と信之先生特選を賜りまして、感謝申し上げます。居宅介護を頼るようになり五年、信頼できるヘルパーさんと楽しい時を過ごせるようになりました。それをとても喜んでおりますので、句にできまして幸いです。
また、「日向ぼこ」の句に佳作を頂戴しまして、お礼申し上げます。貴重なコメントと選をくださいました美知子さま、有花さま、恵子さま、秀之さま、ありがとうございました。愛猫を詠み、ご覧いただけましたこと、嬉しく存じます。
「眉墨を」の句には、佳作と泰與さまの選を頂戴し、感謝いたします。眉の引き方にも季節があらわれると、俳句のおかげで知ることができました。
本年も皆さまには大変お世話になりまして、ありがとうございました。どうぞよいお年をお迎えくださいませ。
お礼
高橋信之先生
高橋正子先生
12月月例ネット句会の開催をありがとうございました。
また、「布団干す晴れ渡る日の午餐どき」の句に金賞をありがとうございます。
この句は、投稿の数十分前に布団を干した、まさにその時の句でしたので、嬉しく思います。
同句に選をいただきました、廣田洋一様、
「百万の電飾冬の御堂筋」の句に選とコロンとをいただきました桑本栄太郎様
同句に選をいただきました祝恵子様、西村友宏様、
「絶え間なく続く白波冬の海」の句に選をいただきました廣田洋一様、西村友宏様、それぞれありがとうございました。
本年もいろいろとありがとうござしました。引き続き来年もよろしくお願いします。
みなさま、よいお年をお迎えください。