■2月月例ネット句会入賞発表■

■2月月例ネット句会入賞発表■
2026年2月8日
【金賞】
17.石鎚へ続く青空冬芽伸ぶ/柳原美知子
冬芽の伸びゆく力と、石鎚山へ抜ける青空の大きさが響き合い、清冽な上昇感を生んでいる。景と心が重なり合い、同じ方向へ伸びているのがよい。(髙橋正子)
※美知子さんは、ベテランでいらっしゃいますが、ベテランはベテランの癖がありますので、ひと言申し上げます。
※句材が多く、動詞が二つあることも句の焦点をぼやかしています。作者の「説明したい気持ちが前に出る」がそのまま出ています。少し気をつけると句の純度がもっと高まります。
●方向性(句の核はどちらか。)
1. 石鎚へ続く青空(大きな景)→石鎚へ青空つづき冬芽あり
2. 冬芽伸ぶ(小さな生命の動き)→ 冬芽伸ぶ石鎚の空あおく

【銀賞/2句】
26.紅梅の雪より咲ける庭深く/土橋みよ
雪の中に咲く紅梅の美しさ、生命力が、「雪より咲ける」の措辞で見事に表現されている。「庭深く」は庭の奥行きを感じさせ、ただ美しいだけはない、深みを生んでいる。(髙橋正子)
※みよさんは、句歴がまだ浅いのでひと言申し上げます。
この句は、「紅梅の雪より咲けり庭深く」(正子添削)が自然です。(髙橋正子)

29.水浅き疎水の岸に桜の芽/藤田洋子
浅い水の透明感と、岸の桜の芽の気配が春の初動を繊細に伝えている。疎水という場所の静けさが効果的。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
01.紅梅を透かしカーテン真新し/川名ますみ
紅梅の色と光がカーテンを通して室内に入り、生活の新しさと季節の華やぎが重なる。清潔で明るい一句。(髙橋正子)

15.冬日差す棚につかまり立ちの吾子/西村友宏
冬日のやわらかさが幼子の成長の瞬間を包んでいる。「棚」が生活の温度を伝え、親のまなざしが自然に滲んでいる。(髙橋正子)

31.春雪や靴跡に続く軽き音/上島祥子
「春雪の靴跡」のイメージが鮮明。春雪の上を歩くときの、軽やかな音が鮮明。聴覚の一句でありながら、季節の移ろいがしっかり立ち上がっている。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/9句】
01.紅梅を透かしカーテン真新し/川名ますみ
カーテンは白いレースが浮かびました。日差しが明るさを増す中カーテンを新調されました。そのカーテン越しに見えた紅梅の色の赤さ、新鮮ですね。(多田有花)

07.直会や窓の近くに梅の花/高橋秀之
神事を終えての会食の窓、ふと目に映る梅の花に、ことのほか清らかな美しさを感じます。日常と違う特別な日の直会に、明るく嬉しい春の兆しです。(藤田洋子)

15.冬日差す棚につかまり立ちの吾子/西村友宏
子がつかまり立ちをするのなら 室内に入る冬日はことさら優しく感じられ 見守る男親の愛情が真っ直ぐに伝わります。(上島祥子)

17.石鎚へ続く青空冬芽伸ぶ/柳原美知子
厳しく雄大な自然を遠景として、身近に観察される冬芽の伸びが詠われていて、全体が澄み切って美しく感じられました。また、春を間近に感じさせてくれる冬芽の伸びに元気を頂戴いたしました。(土橋みよ)
霊峰石鎚へ拡がる風景の清々しさに、心も晴々と澄み渡るようです。寒さの中にも、冬芽の伸びやかな明るさに、春兆す期待や喜びがあふれます。
(藤田洋子)

19.ラケットを背負い少年の早春/多田有花
日の明るさと風の冷たさの入り交じる早春の季節感が、ラケットを背負う少年の姿と響き合うようです。希望に満ちた季節の始まりに、少年へ向けられる温かな眼差しも感じられます。(藤田洋子)

24.珈琲の香を挽く春の喫茶店/吉田 晃
古くからある馴染みの喫茶店でしょうか。ドアを開けて入るとコーヒーの香りが満ちています。奥の席に座りモーニングサービスを頼む、いいですね。(多田有花)

29.水浅き疎水の岸に桜の芽/藤田洋子
疎水の岸辺の桜並木なのでしょうか。開花予報も出始めて春はすぐそこに。句会当日は大雪の日本列島ですが、それでも季節は確実に春に近づいてます。(高橋秀之)

26.紅梅の雪より咲ける庭深く/土橋みよ
庭に降り積もった春雪の白さ、濡れた紅梅の瑞々しさと生命力が感じられる美しい情景ですね。作者の感動が伝わってきます。(柳原美知子)

15.冬日差す棚につかまり立ちの吾子/西村友宏
31.春雪や靴跡に続く軽き音/上島祥子

【入選/10句】
02.たっぷりと生成りモヘアの冬帽子/川名ますみ
明るく自然な風合いと質感に、思わず触れてみたくなるような冬帽子。ふんわりと温かさあふれる冬帽子の存在感です。(藤田洋子)

03.節分や影絵のごとき宵の富士/川名ますみ
節分という行事と影絵のように美しく神秘的な宵の富士とがよく溶け合っている感じがとても素敵に思えました。(土橋みよ)

05.左義長や煙と共に紙の飛び
左義長という伝統の火祭りにおいて、煙とともに紙が飛ぶ様子が目に見えるようです。地方によって神事の意味も少しづつ違うようですが。北海道ではその年の病を避けると言い伝えられ、顔を熱くしながら火に当たっていたのを思い出しました。(土橋みよ)

13.白息の連なる朝の遊歩道/西村友宏
通勤・通学の人たちが大勢行き交っているのでしょう。寒いなかにも人々の活気が感じられます。(多田有花)

14.哺乳瓶洗う手冷える夜更けかな/西村友宏
子育ての大変さが表現されていて、共感できることが多い。眠いだろうが、初めて授かった子どもへの慈しみの眼差しを感じられる羨ましい一句。(吉田 晃)

18.里山の日に赤ひろぐ酸葉の芽/柳原美知子
赤い酸葉の芽の広がりが、早春の里山に色をもたらして、春の訪れの確かさが感じらます。野山の香りが漂うような気がします。(上島祥子)

22.暖かや桜枯れ木に蓑虫揺れて/吉田 晃
今は枯れてしまった桜の老大樹にすがるようにぶらさがり、揺れている小さな蓑虫が可愛らしくユーモラスです。日向ぼっこをしながら、出番の時を感じているのでしょうか。春もすぐそこ。悠久の時間の流れ、季節の移ろいと共に命の輝きが感じられます。(柳原美知子)

25.目覚めれば音なく一面の雪/土橋みよ
夜の内に静かに降り積もった雪。カーテンを開けた時に目の前にひろがる一面の純白の雪景色は非日常の別世界を見せてくれ感動します。静かに明るい一日がはじまります。(柳原美知子)

28.寒明けて桜の幹の照り返す/藤田洋子
寒明けの光が桜の幹に当たり、それを幹が照り返す姿は力強く、季節が春へと向かうことを想像させてくれました。(土橋みよ)

30.芽柳の風に揺れ初むほどの丈/藤田洋子
まず新しい枝が伸び、そこに新芽が立つ、早春の柳。その揺れる景色は、殊のほか美しいですね。ちょうど「風に揺れ初むほどの丈」になった芽柳を見つけられた、作者の歓びをご一緒させていただき、明るい心持ちになりました。(川名ますみ)

■選者詠/髙橋正子
10.揺れて立つ児の目のむこう春茜
ちょうどつかまり立ちを始めたお孫さんの様子ですね。「揺れて立つ」にその不安定さ、うれしさが感じられます。春茜は成長のさまを象徴しており、季節が進めばさらに独り立ち、ひとり歩き…へと成長が続いていきます。(多田有花)

11.水仙の群れて花芯のにじみたり
12.さつさつと降る雪夫に灯をともす

互選高点句(5点/同点2句)
17.石鎚へ続く青空冬芽伸ぶ/柳原美知子
26.紅梅の雪より咲ける庭深く/土橋みよ
集計:髙橋正子


コメント

  1. 多田有花
    2026年2月9日 9:18

    10.揺れて立つ児の目のむこう春茜
    ちょうどつかまり立ちを始めたお孫さんの様子ですね。
    「揺れて立つ」にその不安定さ、うれしさが感じられます。
    春茜は成長のさまを象徴しており、季節が進めばさらに独り立ち、
    ひとり歩き…へと成長が続いていきます。

    13.白息の連なる朝の遊歩道/西村友宏
    通勤・通学の人たちが大勢行き交っているのでしょう。
    寒いなかにも人々の活気が感じられます。

    24.珈琲の香を挽く春の喫茶店/吉田 晃
    古くからある馴染みの喫茶店でしょうか。
    ドアを開けて入るとコーヒーの香りが満ちています。
    奥の席に座りモーニングサービスを頼む、いいですね。

  2. 藤田洋子
    2026年2月9日 12:35

    07.直会や窓の近くに梅の花/高橋秀之
    神事を終えての会食の窓、ふと目に映る梅の花に、ことのほか清らかな美しさを感じます。日常と違う特別な日の直会に、明るく嬉しい春の兆しです。

    19.ラケットを背負い少年の早春/多田有花
    日の明るさと風の冷たさの入り交じる早春の季節感が、ラケットを背負う少年の姿と響き合うようです。希望に満ちた季節の始まりに、少年へ向けられる温かな眼差しも感じられます。

    02.たっぷりと生成りモヘアの冬帽子/川名ますみ
    明るく自然な風合いと質感に、思わず触れてみたくなるような冬帽子。ふんわりと温かさあふれる冬帽子の存在感です。

  3. 土橋みよ
    2026年2月9日 14:03

    03.節分や影絵のごとき宵の富士
    節分という行事と影絵のように美しく神秘的な宵の富士とがよく溶け合っている感じがとても素敵に思えました。
    05.左義長や煙と共に紙の飛び
    左義長という伝統の火祭りにおいて、煙とともに紙が飛ぶ様子が目に見えるようです。地方によって神事の意味も少しづつ違うようですが。北海道ではその年の病を避けると言い伝えられ、顔を熱くしながら火に当たっていたのを思い出しました。
    28.寒明けて桜の幹の照り返す
    寒明けの光が桜の幹に当たり、それを幹が照り返す姿は力強く、季節が春へと向かうことを想像させてくれました。

  4. 柳原美知子
    2026年2月9日 16:29

    22.暖かや桜枯れ木に蓑虫揺れて/吉田 晃
    今は枯れてしまった桜の老大樹にすがるようにぶらさがり、揺れている小さな蓑虫が可愛らしくユーモラスです。日向ぼっこをしながら、出番の時を感じているのでしょうか。春もすぐそこ。悠久の時間の流れ、季節の移ろいと共に命の輝きが感じられます。
    25.目覚めれば音なく一面の雪/土橋みよ
    夜の内に静かに降り積もった雪。カーテンを開けた時に目の前にひろがる一面の
    純白の雪景色は非日常の別世界を見せてくれ感動します。静かに明るい一日がはじまります。

  5. 柳原美知子
    2026年2月9日 16:55

    お礼

    正子先生、句美子様、友宏様、2月月例ネット句会を開催していただき、ありがとうございました。
    「冬芽伸ぶ」の句に思いがけず金賞を賜わり、正子先生のご丁寧なご句評をいただき、大変うれしく感謝申しあげます。
    松山城より高い場所にある東温市観光物産センターからは、石鎚の雪嶺が眼前に迫って美しく寒晴れの空に木々の芽が伸びてゆく様子に心洗われます。
    みよ様、洋子様には同句に選と温かいコメントを、有花様、晃様には選をいただき、ありがとうございました。
    祥子様には「酸葉の芽」に選とコメントをいただき、ありがとうございました。
    嬉しく読ませていただきました。

  6. 土橋みよ
    2026年2月9日 18:39

    正子先生
    「紅梅の」の句に心引き締まる句評を頂き感謝申し上げます。また、「目覚めれば」の句を入選句にお選びいただき有難うございます。足利は毎年秋から春にかけて晴天の日が続き、本当に久しぶりの積雪に心を弾ませました。常日頃からのご指導に感謝申し上げます。美知子様には両句に温かいコメントを頂き有難うございます。いつも励まされております。また、有花様、秀之様、ますみ様には選を頂きました。有難うございます。

  7. 多田有花
    2026年2月10日 9:00

    正子先生、二月月例句会を開催いただきありがとうございます。
    「19.ラケットを背負い少年の早春」を入選句に
    お選びいただきありがとうございます。
    藤田洋子様にはコメントを、柳原美知子様には選をいただき
    うれしく拝見いたしました。御礼申し上げます。
    立春の後しばらく暖かく、中学生がラケットを背負って
    自転車で駆けていくのに出会いました。
    はつらつと、いきいきとしていいものです。

  8. 土橋みよ
    2026年2月10日 13:18

    正子先生
    『紅梅の』の句につきまして、ご指導と添削ありがとうございます。動詞の連体形と終止形、切れの入れ方について、さらに、勉強したいと思います。

  9. 上島祥子
    2026年2月11日 17:35

    15.冬日差す棚につかまり立ちの吾子/西村友宏

    子がつかまり立ちをするのなら 室内に入る冬日はことさら優しく感じられ 見守る男親の愛情が真っ直ぐに伝わります。

  10. 上島祥子
    2026年2月11日 17:51

    お礼
    正子先生、句美子様、友宏様、2月月例ネット句会を開催して頂き有難うございました。
    「春雪や靴跡に続く軽き音」を銅賞にお選び下さり、丁寧な句評を有難うございました。
    8日の朝は愛知県でも雪が降りました。日陰に残る雪をサクサク鳴らすのは楽しかったです。
    みよ様 秀之様 ますみ様 「春雪」の句に貴重な選を有難うございました。美智子様「春の雪」の句に貴重な選を有難うございました。

  11. 川名ますみ
    2026年2月11日 21:43

    正子先生、句美子さま、友宏さま、今月も月例ネット句会をご開催くださいまして、ありがとうございました。皆さまの御句やコメントにふれ、新しい春を感じることができました。
    この度は「紅梅を」句に、銅賞と正子先生の特選を賜りまして、感謝いたします。思い切って新しくしたカーテンが、春を見せてくれたようです。貴重な選をくださいました秀之さま、コメントをいただきました有花さま、お礼申し上げます。
    「冬帽子」の句に入選を、また、洋子さまにはお優しいコメント、晃さまには選をいただき、嬉しく存じます。お気に入りの冬帽子です。
    「節分」の句には入選を、そして、みよさまの選とコメントを頂戴しまして、ありがとうございます。二月は夕景色がきれいに見えますが、この節分の宵は、殊更くっきりと美しい富士を望みました。

  12. 柳原美知子
    2026年2月12日 22:29

    正子先生
    「石鎚へ続く青空冬芽伸ぶ」の句についての御指導と添削をいただき、ありがとうございます。
    先ず冬芽が青空に伸びているのに感動し、その同じ青空がその先の石鎚へとひろがっている景に感動して作った句で、自分では「冬芽伸ぶ」に焦点をあてたつもりだったのですが、動詞がふたつも気にはなっていたのですが、何よりも説明したい気持ちが先にたっていたのですね。ご指摘ありがとうございます。
    2の「冬芽伸ぶ石鎚の空あおく」だと15音になるので、「冬芽伸ぶ石鎚山の空あおく」にすればいいでしょうか。
    句の純度ということを改めて心に留めたいとおもいます。

    • 髙橋正子
      2026年2月13日 0:27

      美知子さんへ
      金賞おめでとうございます。
      オリンピックのフィギュアスケートを見ていて、日本勢の活躍を目を瞠って楽しく見ておりました。多くの完璧な演技を見ました。それでも頂点に立つのはむずかしいことだと思いました。それを見ながら思ったのです。

      花冠の皆さんは、俳句の内容はかなり上質だと思いますが、俳句の純度ということについて、もう一度振り返ってみる必要があるのではないかと自戒を含めておもいました。それで、今回のようなアドバイスの形で書いてみました。私の示したのは例えばの例で、句としてよいわけではないのですが。

      冬芽伸ぶ石鎚山の空あおく 美知子

      がいいと思います。いつもの美知子さんの句と少し違う印象かもしれませんが、「冬芽伸ぶ」は、たしかに美知子さんの語調が残っているので、いいと思います。