3月10日(木)

★受験子の髪ふっくらと切り揃う   正子
受験子は女の子でしょう。切り揃えた髪が肩の上で揺れます。清潔なたたずまいが浮かんできます。(多田有花)

○今日の俳句
弁当を誰か広げている梅林/多田有花
「誰か」がいい。梅の花を楽しみながら静かに弁当と広げている。静かに日差している梅林を思う。

○ミモザ(銀葉アカシア)

[ミモザ/横浜日吉本町(左:2014年2月28日)・右:2011年3月27日)]

 原義のミモザは、マメ科オジギソウ属の植物の総称(オジギソウ属のラテン語名およびそれに由来する学名がMimosa)。ミモザ(英: mimosa、独: Mimose)は、本来はマメ科の植物であるオジギソウを指すラテン語名。葉に刺激を与えると古代ギリシアの身振り劇ミモス”mimos”(マイム、パントマイムの前身)のように動くことからこの名がついた。ラテン語本来の発音はミモサ、英語発音はマモゥサあるいはマイモゥサとなり、日本語のミモザはフランス語発音に由来する。
 ミモザは、フサアカシア、ギンヨウアカシアなどのマメ科アカシア属花卉の俗称。イギリスで、南フランスから輸入されるフサアカシアの切花を”mimosa”と呼んだ事から。アカシア属の葉は、オジギソウ属の葉によく似るが、触れても動かない。しかし花はオジギソウ属の花と類似したポンポン状の形態であることから誤用された。今日の日本ではこの用例がむしろ主流である。鮮やかな黄色で、ふわふわしたこれらのアカシアの花のイメージから、ミモザサラダや後述のカクテルの名がつけられている。

◇生活する花たち「桃の花蕾・藪椿・梅」(横浜日吉本町)

●自由な投句箱/3月1日~10日●


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今日の秀句/3月1日~10日


[3月10日]

★蕗の薹高野へ登る電車来る/古田敬二
これから高野山へ参ろうとする電車を待っていると蕗の薹が目に入った。高野の麓には春が来ている。これから参る高野山はどうなんだろうか。高野への期待が湧く。(高橋正子)

[3月9日]

★草の芽やまさに瑞穂の国なれば/河野啓一
瑞穂の国は、日本の国の美称「豊葦原千五百秋瑞穂国」から来た言葉。稲がみずみずしく実る国のまず初めは、身近に草の芽が萌え出すところから。日本の季節は春から始まるのが頷ける。(高橋正子)

[3月8日]

★乗馬する視野に開ける花ミモザ/小川和子
馬に乗ると当然目の位置が高くなる。馬の背の高さに開ける視野には、黄色いミモザの花がふさふさとひろがる。欧米とも違うオーストラリアのロマンティックな風景。(高橋正子)

[3月7日]

★鶯やバスの中にも明らかに/廣田洋一
山間を走るバスなのであろう。鶯の鳴き声がバスの中まではっきりと聞こえてきた。すぐそこの山で鳴いていることは確か。驚きもあり、楽しさもあり、心軽くなるバスの中。(高橋正子)

[3月6日]

★蘆の角水面の空に芽吹きけり/桑本栄太郎
蘆が芽ぐみ始めた。水の中から鋭い緑の角のような芽を出す。まっすぐに、一面にそろって芽吹く景色は見事。水面には空が映って、空に芽吹いているようだ。(高橋正子)

[3月5日]

★山と川鳴り響きあう雪消かな/小口泰與
山国は雪消のときを迎えた。雪解けに川の水は増えて勢いを増し、山に木魂して轟きながら流れる。山と川の雪消の協奏曲と言えるだろう。(高橋正子)

[3月4日]

★鶲来て春の海岸道連れに/谷口博望(満天星)
春のうららかな海岸に鶲が来て、しばらくは鶲を道連れに歩く。まだ帰らぬ鶲と共にいること、ましてや共に歩くことはうれしく、楽しいことだ。(高橋正子)

★春潮の香を漂わせ少女来る/河野啓一
磯遊びをしてきた少女であろう。さわやかな、やわらかな春潮の香りを身にまとっている。自分も春の磯にいるような気持がしてくる。(高橋正子)

[3月3日]

★きらきらと川面の光り雛祭り/多田有花
少女のころを過ぎると、雛祭りを華やかに祝うことも少なくなるが、雛祭りはいつも女性の心を華やがせるもの。きらきら輝く川面を眺めていると、たしかに、雛祭りのころの陽の光りが届いているとうれしくなる。雛飾りの場面から離れると、雛を思いつつ来し方も却ってしのばれるものだろう。(高橋正子)

[3月2日]

★蒲公英のスケッチ膝を野に屈め/河野啓一
蒲公英の丈は低い。西洋蒲公英のように野にへばりつくように咲くのもある。スケッチしようとすれば、花は野に置いたまま、膝を折って、野に屈んでスケッチをする。(高橋正子)

[3月1日]

★弓と槍かざる山家の木の芽漬/小口泰與
木の芽漬は京都の鞍馬のものが有名だが、この句の山家はどこであろうか。弓と槍を飾る武士の流れを汲む家であろうが、木の芽漬を作り、質素に丁寧な山家の春の暮らしがしのばれる。(高橋正子)

3月1日~10日


3月10日(7名)

●古田敬二
(原句)蕗の薹高野山行き電車来る
蕗の薹高野へ登る電車来る★★★★(正子添削)
これから高野山へ参ろうとする電車を待っていると蕗の薹が目に入った。高野の麓には春が来ている。これから参る高野山はどうなんだろうか。高野への期待が湧く。(高橋正子)

芽吹き近き紀伊山並みの色優し★★★
初音聴く高野電車を待つ駅に★★★

●小口泰與
芽柳や風吹きのぼる山上湖★★★★
まとまって一村つくる蕗の薹★★★
小鳥引く同じ模様の寝間着干す★★★

●廣田洋一
(原句)十三湖山影遠し蜆汁
十三湖の山影遠く蜆汁(添削①)★★★★
十三湖の山影思い蜆汁(添削②)
※作り手のいる「位置」が大切です。

山と海の青取り込む蜆汁★★★
※「青」が不明瞭です。

春うららハヤシライスの昼餉かな★★★

●谷口博望 (満天星)
(原句)土佐水木トロイカ鈴の聞こえたり
土佐水木トロイカ鈴思いたり★★★★(正子添削)
※俳句では、比喩(・・ごとしなど)を嫌います。

三椏はちょうちん鮟鱇のごとし★★★
亀鳴くや電気で人の動き出す★★★

●河野啓一
春の雨止むを待ちかね散歩道★★★
ねや川の橋の袂のつくしんぼ★★★
雨上がりうす明りして桜芽木★★★★

●上島祥子
蓄えし色を放ちて初桜★★★★
咲き初めし桜雄蕊の黄の若さ★★★
渾身の紅深々と桜咲く★★★

●桑本栄太郎 (かつらたろう)
(原句)草萌や土手に日射しの桂川
草萌や土手に日射せる桂川★★★(正子添削)
※「の」は、気を付けて使ってください。

堰水の広き流れや風光る★★★★
みちのくの夜を思えり冴返る★★★

3月9日(5名)

●古田敬二
高野への道端で摘む蕗の薹★★★
膝濡らし高野の道に蕗をとる★★★★
蕗みそや高野の山の香り満つ★★★

●小口泰與
うぐいすの初音ひと声それっきり★★★★
石臼にこれは由由しき蛙の子★★★
頭より若鮎食す我と子と★★★

●河野啓一
草の芽やまさに瑞穂の国なれば★★★★
瑞穂の国は、日本の国の美称「豊葦原千五百秋瑞穂国」から来た言葉。稲がみずみずしく実る国のまず初めは、身近に草の芽が萌え出すところから。日本の季節は春から始まるのが頷ける。(高橋正子)

春の雨祖国遍く青み行く★★★
麗しの山河に注ぐ春の雨★★★

●桑本栄太郎
菜園の老いのふたりや豆の花★★★★
行きに見て帰りに眺む白木蓮★★★
白れんの今にも舞うや青空に★★★

●谷口博望(満天星)
谷の中山茱萸の花明りかな★★★★
亡き友の風の便りや沈丁花★★★
石楠花の蕾の中に紅を★★★

3月8日(6名)

●小口泰與
上州の端山奥山雪消かな★★★★
紅梅の小豆の色にふふみけり★★★
爺さんと婆さんの箸遅日かな★★★

●河野啓一
メジロ来て馬酔木の花にぶら下がり★★★
満開の馬酔木の花に遊ぶ鳥★★★★
花馬酔木白い蜜壺鳥のもの★★★

●廣田洋一
春の波一つ乗り越え不惑かな★★★
(原句)悠揚と一歩踏み出す春の波
悠揚と一歩踏み出し春の波★★★(正子添削)

川縁の草々伸びて風薫る★★★★

●多田有花
穴を出る小さき蜥蜴足元に★★★
竹林をさわさわとゆく春の風★★★
大霞する彼方の島の名を呼べり★★★★

●桑本栄太郎
<高瀬川三句>
沈丁の花の香りや高瀬川★★★
せせらぎの音に育む桜芽木★★★★
沈丁の咲いて別れをしのびけり★★★

●小川和子
乗馬する視野に開ける花ミモザ★★★★
馬に乗ると当然目の位置が高くなる。馬の背の高さに開ける視野には、黄色いミモザの花がふさふさとひろがる。欧米とも違うオーストラリアのロマンティックな風景。(高橋正子)

豪州を旅す思い出ミモザ咲く★★★
春暖炉燃えて草食む羊群れ★★★

●谷口博望(満天星)
初音かなこの一年も恙なく★★★★
頬白の飛び交う朝の清々し★★★
老夫婦河津桜で昼餉かな★★★

3月7日(6名)

●小口泰與
頬刺に湯呑みを満たす手酌かな★★★
たらの芽や上流へ打つてんから師★★★★
てんごうに春日闌けたる芝の中★★★

●廣田洋一
鶯やバスの中にも明らかに★★★★
山間を走るバスなのであろう。鶯の鳴き声がバスの中まではっきりと聞こえてきた。すぐそこの山で鳴いていることは確か。驚きもあり、楽しさもあり、心軽くなるバスの中。(高橋正子)

啓蟄や幸福の鐘響く丘★★★
春山の鳶を見下ろすケーブルカー★★★

●谷口博望(満天星)
水鳥の惜別の歌透き通る★★★
水鳥の帯を引きたる瀬戸の春★★★
雲雀鳴く祖父と登りし裏の山★★★★

●河野啓一
わかめ干す阿波の海辺の風の音★★★★
阿波の鳴門わかめは有名。細くて紐のようなわかめで高級なもの。若布を干す海辺では春先の強い風が吹く。この風が若布を乾かせる。その風の音は印象に残るものだ。(高橋正子)

春潮の寄せて浜辺の散歩道★★★
春の雨生駒の里の水車小屋★★★

●桑本栄太郎
株の間の草の萌え出づ田面かな★★★★
春川と云えど水無き水無瀬(みなせ)川★★★
笑みこぼれいよよ咲き初む白木蓮★★★

●多田有花
啓蟄の光あだし野念仏寺★★★
初蝶と隣あわせて頂に★★★★
山寺に鶯の声こだまする★★★

3月6日(5名)

●小口泰與
(原句)鳥影の一瞬にして窓の春
鳥影の一瞬よぎる春の窓★★★★(正子添削)

あけぼのや犬の駆け行く牧の春★★★
一両の吾妻線や利根の春★★★

●河野啓一
春禽の声かすかなる朝の空★★★★
お茶を汲みカリリと噛みし雛あられ★★★
オカリナの調べ漏れ聞く春の午後★★★

●桑本栄太郎
蘆の角水面の空に芽吹きけり★★★★
蘆が芽ぐみ始めた。水の中から鋭い緑の角のような芽を出す。まっすぐに、一面にそろって芽吹く景色は見事。水面には空が映って、空に芽吹いているようだ。(高橋正子)

風吹けば風に微笑む犬ふぐり★★★
つぴつぴと囀り聞こゆ枝の揺れ★★★

●多田有花
観梅のベンチに広げるお弁当★★★
三月や山歩く人急に増え★★★
風の音強き中より初音して★★★★

●谷口博望(満天星)
水鳥の鳴き声白く朝霞★★★
水鳥の浜を行き交う小舟かな★★★
雲雀鳴き時に草原横切りぬ★★★★

3月5日(5名)

●小口泰與
(原句)山と川オーケストラの雪消かな
山と川鳴り響きあう雪消かな★★★★(正子添削)
山国は雪消のときを迎えた。雪解けに川の水は増えて勢いを増し、山に木魂して轟きながら流れる。山と川の雪消の協奏曲と言えるだろう。(高橋正子)

朝寝して晩年のなお我が時間★★★
米寿まであと十年ぞ風光る★★★

●廣田洋一
(原句)黄水仙門の前にてお出迎へ
黄水仙門の前にて咲きそろう★★★(正子添削)

(原句)枝垂れ梅地にこびるごとしだれたり
枝垂れ梅地へと地へとしだれたり★★★(正子添削)

枝垂れ梅雨に打たれて匂い立つ★★★★

●河野啓一
木瓜の花無垢の姿の素晴らしき★★★
啓蟄やいかなる虫の這い出せる★★★★
縄文の土偶も梅見したるかな★★★

●桑本栄太郎(かつらたろう)
さえずりの高き梢に日射しけり★★★★
天井に飛行機ひびく春の昼★★★
老いふたり背なに日差しの梅見かな★★★

●谷口博望 (満天星)
亀鳴くや人口の減る局面に★★★
春眠の猫の如くに虎斑木菟(トラフズク)★★★
水鳥の北へのけはい春霞★★★★

3月4日(5名)

●谷口博望(満天星)
鶲来て春の海岸道連れに★★★★ 
春のうららかな海岸に鶲が来て、しばらくは鶲を道連れに歩く。まだ帰らぬ鶲と共にいること、ましてや共に歩くことはうれしく、楽しいことだ。(高橋正子)

鳶啼く優しき日なり春の浜★★★
うらうらと小舟往き交う瀬戸の海★★★

●小口泰與
西国へ飛び行く蝶よ硬き空★★★
雑草の芝をつかみし春の鳥★★★
(原句)山風に拡散せしや夜の梅
山風に匂い広がる夜の梅★★★★(正子添削)

●廣田洋一
(原句)若き葉の朝日に光りて山笑う
若き葉の朝日に光り山笑う★★★(正子添削)
※「光り」とし、そこに「切れ」を作ります。

(原句)逃げ水や追いかけおるは吾一人
逃げ水や追いかけいるは吾一人★★★★(正子添削)
蝶々や押し花のごと飾られし★★★

●河野啓一
春潮の香を漂わせ少女来る★★★★
磯遊びをしてきた少女であろう。さわやかな、やわらかな春潮の香りを身にまとっている。自分も春の磯にいるような気持がしてくる。(高橋正子)

青海苔をまぜて搗きたる餅の色★★★
青のりを焙って揉んでたこやきに★★★

●桑本栄太郎
風吹けば風に微笑む犬ふぐり★★★
木蓮の芽の立ち騒ぐ日差しかな★★★
むらさきの橡の芽光るバス通り★★★★

3月3日(6名)

●小口泰與
夕さりの火の見櫓に鴉の巣★★★
禅寺の庫裡寝静まる猫の恋★★★★
二千キロ飛び行く蝶やパネル板★★★

●谷口博望(満天星)
望遠の春の青鳩緑色★★★
群れ飛んでけたたましきや春の鵯★★★
春鶫距離を保ちて啄めり★★★★

●多田有花
きらきらと川面の光り雛祭り★★★★
少女のころを過ぎると、雛祭りを華やかに祝うことも少なくなるが、雛祭りはいつも女性の心を華やがせるもの。きらきら輝く川面を眺めていると、たしかに、雛祭りのころの陽の光りが届いているとうれしくなる。雛飾りの場面から離れると、雛を思いつつ来し方も却ってしのばれるものだろう。(高橋正子)

立ち止まり初音かと耳を澄ます★★★
春風が蓑虫を揺らし続け★★★

●廣田洋一
(原句)引鴨や羽ばたき猛く北を向く
引鴨の羽ばたき猛し北を向き★★★★(正子添削)

つくしん坊袴をはきて空に立つ★★★
逝きし子の下りて来そうな吊るし雛★★★

●桑本栄太郎
(原句)照る曇る日差し明るき春の雪
照る曇る日差しに明るき春の雪★★★★(正子添削)

花鳥のつつぴつつぴと垣根かな★★★
春興や嬰児つぶやくように泣く★★★

●河野啓一
(原句)ひな祭りデイの昼餉は散らし寿司
ひな祭りデイの昼餉の散らし寿司★★★(正子添削)

(原句)丘の樹々淡き色へと変わりゆく
丘の樹々淡き色へと日永し★★★★(正子添削)
元の句は、季語がないので添削した。

梅咲くや朝日を浴びてキラキラと★★★

3月2日(6名)

●広田洋一
山形にゆったり咲きし河津桜★★★

(原句)着物着て迎える乙女河津桜
河津桜と着物の乙女に迎えられ★★★(正子添削)

(原句)河津桜菜の花と頬寄せ合えり
菜の花と河津桜と咲き合えり★★★★(正子添削)

●小口泰與
春の野や伊兵衛も拳も忘れたる★★★
首傾ぐ犬の仕草よ初蛙★★★

(原句)嬬恋の山間を鋤く春田かな
春田鋤く嬬恋村の山間に★★★★(正子添削)

●谷口博望(満天星)
人口減少日本の春愁★★★
春愁や人種不明の浅草寺★★★
春愁や大東京はどこへ行く★★★

●多田有花
寺へゆく道たずねられ春の昼★★★★
蛇行する川は霞に消えゆけり★★★
紅梅に接写レンズを向ける人★★★

●河野啓一
春禽の声高らかに空に満ち★★★
残雪の比良山系や湖西線★★★
蒲公英のスケッチ膝を野に屈め★★★★

●桑本栄太郎
つちふるや遙か故郷は見えざりき★★★
なだらかに遙か生駒やうす霞★★★
菜園の春菜をささげ家事の主婦★★★★

3月1日(6名)

●河野啓一
時ならぬ白い花々春の雪★★★★
春雪の庭一面に花咲かせ★★★
隣屋の屋根雪消えて弥生かな★★★

●谷口博望 (満天星)
しんしんと春三月の牡丹雪★★★★
春愁や酔うて待ちたる終電車★★★
そわそわと帰り支度や鴨の陣★★★

●小口泰與
弓と槍かざる山家の木の芽漬★★★★
木の芽漬は京都の鞍馬のものが有名だが、この句の山家はどこであろうか。弓と槍を飾る武士の流れを汲む家であろうが、木の芽漬を作り、質素に丁寧な山家の春の暮らしがしのばれる。(高橋正子)

春を撮る何処にも所属して居らず★★★
小綬鶏を追いて連写の我が時間★★★

●廣田洋一
(原句)赤傘に色とりどりの吊るし雛
吊るし雛赤い傘より吊るされし(正子添削)★★★★

(原句)這い這いの子が見上げる吊るし雛
這い這いの子が見上げたる吊るし雛(正子添削)★★★

俳人の遺せし雛の句をせがむ★★★

●多田有花
三月や木々の枝先光りおり★★★
梅が香を胸いっぱいに吸う朝★★★★
三月の風花に靴紐を結ぶ★★★
 
●桑本栄太郎
(原句)春雪や朝より来たる救急車
春の雪朝より来る救急車★★★★(正子添削)

濯ぎもの軒端に揺るる春嵐★★★
春昼や尾根を越え来る放れ雲★★★

※廣田洋一さん(神奈川県・藤沢市)がこの度花冠に俳句添削教室より入会されました。別の機会に洋一さんの句をまとめてご紹介いたします。よろしくお願いいたします。