4月20日(4名)
小口泰與
聞え来る謡の声や蝶の昼★★★
春光や白衣観音青空へ★★★
和紙に書く友への文や桃の花★★★
春光や白衣観音青空へ★★★
和紙に書く友への文や桃の花★★★
廣田洋一
今を盛りの桜を揺らす地震の朝★★★★
休業の店の並びて落花舞ふ★★★
川底に鯉の二匹や花筏★★★
休業の店の並びて落花舞ふ★★★
川底に鯉の二匹や花筏★★★
多田有花
残る花一掃夜の雨と風★★★
くぐり入り枝垂桜を見上げおり★★★★
境内に絵を描く人や糸桜★★★
くぐり入り枝垂桜を見上げおり★★★★
境内に絵を描く人や糸桜★★★
桑本栄太郎
夢に在り惰眠むさぼる穀雨かな★★★
静けさや雨の団地に松の芯★★★★
静けさや雨の団地に松の芯★★★★
雨が降る団地の静けさ。人は家に籠り、人声も、物音もない世界に、松の芯は、ぐんぐん伸びている。驚くほどの勢いに、松の生命力を見る。(高橋正子)
玉房の濡れて垂れ居り八重ざくら★★★
4月19日(4名)
廣田洋一
農小屋に人影見ゆる穀雨かな★★★★
ビニールの覆ひし畝に穀雨かな★★★
雲去りて日のさんさんと穀雨かな★★★
ビニールの覆ひし畝に穀雨かな★★★
雲去りて日のさんさんと穀雨かな★★★
小口泰與
写真家の望遠レンズ山笑う★★★
海棠の雨のしずくの刹那かな★★★
菜の花や千曲の流れ平らかに★★★★
海棠の雨のしずくの刹那かな★★★
菜の花や千曲の流れ平らかに★★★★
多田有花
日永かなもういいかいの声がする★★★
囀りのいろいろ部屋に届きけり★★★★
囀りのいろいろ部屋に届きけり★★★★
外出自粛を要請される日々。家に居ることも多いが、部屋にいて聞こえてくるものは、いろんな鳥の囀り。その声の主の姿を思って見たり、家居も楽しい。(高橋正子)
濃き影を宿して咲きぬ八重桜★★★
桑は本栄太郎
春風や坂道くだる一輪車★★★
山里の甍きらめく揚ひばり★★★★
春雨のスカイプ通話の家居なりぬ★★★
山里の甍きらめく揚ひばり★★★★
春雨のスカイプ通話の家居なりぬ★★★
4月18日(4名)
小口泰與
春ゆうべ漁を終えたる夫婦船★★★
隠り沼の公魚尾びれぴちぴちと★★★
上野毛の空均しけり春の鳶★★★★
隠り沼の公魚尾びれぴちぴちと★★★
上野毛の空均しけり春の鳶★★★★
廣田洋一
ひるがへり橋をくぐりし燕かな★★★★
あの屋根かこちらの屋根か百千鳥★★★★
やはらかき朝の日差しや百千鳥★★★
あの屋根かこちらの屋根か百千鳥★★★★
やはらかき朝の日差しや百千鳥★★★
多田有花
しばし座す蝶の集いし頂に★★★
日差しはや強し咲き初む八重桜★★★★
そめいよしのが終わると八重桜が咲く。そのころには、日差しは初夏を思わせるような日もあって、日差しの強さを実感する。ぼってりと思い八重桜と、日差しが相重なる。(高橋正子)
大腿骨頚部骨折春疾風★★★
桑本栄太郎
山吹の一重と云うは風まかせ★★★★
著莪の花咲いて曇りや明日は雨★★★
遠目にも赤き垣根や新芽吹く★★★
著莪の花咲いて曇りや明日は雨★★★
遠目にも赤き垣根や新芽吹く★★★
4月17日(4名)
廣田洋一
山吹や道灌濠に咲き誇る(原句)
山吹や道灌濠に黄を尽くし★★★★(正子添削例)
「咲き誇る」で問題はないですが、添削例のようにもできます。
山吹や寿司屋の前に黄金吹く★★★
遠き日の友の面影濃山吹★★★
遠き日の友の面影濃山吹★★★
小口泰與
谷あいに入り行く貨車や初燕★★★★
貨物列車が通りすぎてゆき、谷あいに入って小さくなった。そこへ初燕がかろやかに過っていった。貨車も燕もみんな通り過ぎてゆくもの。(高橋正子)
つばくらや白衣観音朝日差す★★★
天平の箜篌の調べや春の雨★★★
天平の箜篌の調べや春の雨★★★
多田有花
伽藍仰ぐ枝垂桜のその向こう★★★★
見上げれば視界いっぱい糸桜★★★
新幹線霞の彼方へ去りゆけり★★★
見上げれば視界いっぱい糸桜★★★
新幹線霞の彼方へ去りゆけり★★★
桑本栄太郎
川に沿い地道下りぬ春柳★★★★
揚ひばり甍きらめく里の屋根★★★
丘うえの早瀬聞き居り芝さくら★★★
揚ひばり甍きらめく里の屋根★★★
丘うえの早瀬聞き居り芝さくら★★★
4月16日(4名)
小口泰與
散る花の境内に満ち躓けり★★★
夕日染む利根の白波揚雲雀(原句)
夕日染む利根の白波揚雲雀(原句)
夕日染む利根の波の上揚雲雀★★★★(正子)添削
もとの句、言いたいことを一つ(揚雲雀)に絞るのがよいと思います。白波が強すぎます。
辰之の地ゆうるり流る春の川★★★
辰之の地ゆうるり流る春の川★★★
廣田洋一
早々と頭揺らせる雛罌粟かな(原句)
雛罌粟の開けば早も風に揺れ★★★★(正子添削)
「頭」は雛罌粟の花冠のことですが、 花びらのひらひらしたイメージに少しそぐわない感じです。
名を知らぬ草花あまた春惜しむ★★★
八重桜枝垂れる先に緋鯉かな★★★
八重桜枝垂れる先に緋鯉かな★★★
多田有花
花びらを風吹くたびに放ちけり★★★★
小綬鶏に呼ばれて開ける昼の窓★★★
一山に影を落として春の雲★★★
小綬鶏に呼ばれて開ける昼の窓★★★
一山に影を落として春の雲★★★
桑本栄太郎
蝶を追う幼ふたりや休園中★★★★
幼稚園や保育園が休みになっても、幼子たちは、遊びに困らない。姉妹か、兄弟か、外で蝶を追いかけて遊んでいる。その無邪気さ、それ自体が絵になっている。(高橋正子)
白き腹見せて反転つばくらめ★★★
げんげ田の鋤き込まれゆく日差しかな★★★
げんげ田の鋤き込まれゆく日差しかな★★★
4月15日(4名)
小口泰與
満ち満ちて一花だに放下せず★★★
鳥だにも来ぬ隠り沼のはこべかな★★★★
頼もしき凪の湖なり残る鴨★★★
鳥だにも来ぬ隠り沼のはこべかな★★★★
頼もしき凪の湖なり残る鴨★★★
廣田洋一
野良として箱に捨てられ子猫かな★★★
天辺の赤く光れる残花かな★★★★
町の川挟みて散りし残花かな★★★
天辺の赤く光れる残花かな★★★★
町の川挟みて散りし残花かな★★★
多田有花
花筏家々の裏を流れゆく(原句)
家々の裏を流れて花筏★★★★(正子添削)
家々の裏を川が流れている。近くに桜の木があるかもしれないが、花筏は遠くから流れ来たかもしれない。「裏を流れて」が味わい深い。(高橋正子)
麗かな頂でコロナ禍を語る★★★
日永かな明るさの中で夕食を★★★
日永かな明るさの中で夕食を★★★
桑本栄太郎
青ざむる御衣黄桜や里の辻★★★
花大根はるか故郷の凪の海★★★★
花大根はるか故郷の凪の海★★★★
花大根は薄紫の花で固まって咲くことが多い。栄太郎さんの故郷は鳥取。日本海の凪いだ海と、花大根の色は似あう。以前城ヶ島に行ったとき、海辺近くに花大根が群れ咲いていた。そんな景色が急に思い出された。(高橋正子)
コロナ禍と云えど樹上の百千鳥★★★
4月14日(4名)
小口泰與
渓流を讃え雪代山女かな★★★
つくしんぼ立ち居定かに新入生★★★★
公魚のかすかな魚信たなごころ★★★
つくしんぼ立ち居定かに新入生★★★★
公魚のかすかな魚信たなごころ★★★
廣田洋一
出で来る芽にせかされし春落葉★★★★
已む無くも休業したり春落葉★★★
春落葉吹き寄せられしフェンス際★★★
已む無くも休業したり春落葉★★★
春落葉吹き寄せられしフェンス際★★★
多田有花
我もまた家に籠りぬ花の冷え★★★
災難はいつも突然春嵐★★★
災難はいつも突然春嵐★★★
快晴に深呼吸して木の芽山★★★★
深呼吸するのは、木の芽山。晴れ晴れとした青空に、木の芽山は、伸びあがって深呼吸しただろう。もちろん、作者も思わず深呼吸したくなっただろう。(高橋正子)
桑本栄太郎
夜もすがら闇の雄叫ぶ春疾風★★★
残花早や散るべくあらん夜半の風★★★
枝先のすでに若葉の日差しかな★★★★
残花早や散るべくあらん夜半の風★★★
枝先のすでに若葉の日差しかな★★★★
4月13日(3名)
小口泰與
全身を花粉まみれや熊ん蜂★★★★
やんちゃ坊主ような熊ん蜂。花に体を突っ込んで、花粉まみれになって蜜を吸ったらしい。(髙橋正子)
ヒヤシンス深閑とせる小料理屋★★★
青柳や風の岸辺の只ならず★★★
青柳や風の岸辺の只ならず★★★
廣田洋一
子の声に応へるごとし椿落つ★★★★
緑の葉押し分け咲ける八重椿★★★
門前に笑顔見せたる白椿★★★
緑の葉押し分け咲ける八重椿★★★
門前に笑顔見せたる白椿★★★
桑本栄太郎
ひたひたと音に目覚めり菜種梅雨★★★
花屑の水面に集い浮かびけり★★★
雨雲の晴れて現わる花の雲★★★★
花屑の水面に集い浮かびけり★★★
雨雲の晴れて現わる花の雲★★★★
4月12日(4名)
小口泰與
隠り沼の春たけなわや鳥の声★★★★
定かなる日差しの音色チューリップ★★★
夕闇や乙女椿のたたずまい★★★
定かなる日差しの音色チューリップ★★★
夕闇や乙女椿のたたずまい★★★
廣田洋一
見開きて海の夢見る桜鯛★★★
園児らの声の燃え立つ躑躅かな(原句)
園児らの声に燃え立つ躑躅かな★★★★(正子添削)
「燃え立つ」のは、「園児の声」か「躑躅」かということになりますが、「躑躅」のほうが、自然ではないでしょうか。
躑躅の色は、鮮烈。「燃え立つ」と言って過言ではない。園児らがあげる無邪気な声に、呼応するかのように花色を強める躑躅だ。(高橋正子)
道はさみ色とりどりのつつじ咲く★★★
多田有花
日曜の朝の静かな春の雨★★★
午後よりは桜を散らす風の音★★★★
午後よりは桜を散らす風の音★★★★
午後になって風が出てきた音がする。その音は、桜を散らす風だった。「散らす風の音」というからには、風は見えないけれど、桜の散る様に風の姿が見て取れる。(高橋正子)
点々と高き所に芽吹く木々★★★
桑本栄太郎
窓辺より見やる空へと木の芽雨★★★
残花早や蘂の赤きが目立ちけり★★★★
満天星の花の滴やうつむいて★★★
残花早や蘂の赤きが目立ちけり★★★★
満天星の花の滴やうつむいて★★★
4月11日(4名)
小口泰與
また二人車より降る田芹かな★★★
海棠や小犬親子は夢の中★★★
囀りや浅間南面青々と★★★★
海棠や小犬親子は夢の中★★★
囀りや浅間南面青々と★★★★
多田有花
大霞なり淡路家島六甲も★★★
楠落葉はらはら続く交差点★★★
楠落葉はらはら続く交差点★★★
花楓光と影が交差する★★★★
楓の若葉、その中に暗紅色の種をなした小さい花が見られる。楓の若葉に降り注ぐ光、光が作る影が交差して、また若緑と暗紅色が光と影のように対比されて、桜が終わるころの明媚な景色となっている。(高橋正子)
廣田洋一
大取りの色鮮やかに八重桜★★★
散り敷きし花に降りたる桜蘂★★★
かくれんぼの子に降りかかる桜蘂★★★★
散り敷きし花に降りたる桜蘂★★★
かくれんぼの子に降りかかる桜蘂★★★★
桑本栄太郎
ねぎ畑に狂い舞うかに蝶の昼★★★
日を透きし赤き垣根や新芽噴く★★★
川べりの坂を下りぬ花吹雪★★★★
日を透きし赤き垣根や新芽噴く★★★
川べりの坂を下りぬ花吹雪★★★★
コメント
御礼
高橋正子先生
いつも懇切にご指導頂き有難う御座います。
4月12日の「園児らの声の燃え立つ躑躅かな」を「園児らの声に燃え立つ躑躅かな」と添削いただき、誠に有難う御座います。仰る通りこの方が自然です。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
お礼
正子先生
4月15日の「花筏家々の裏を流れゆく」を
「家々の裏を流れて花筏」に添削いただきありがとうございます。
句の焦点がしっかり定まった感じがします。
御礼
高橋正子先生
いつも懇切にご指導頂き有難う御座います。
4月16日の「早々と頭揺らせる雛罌粟かな」を「雛罌粟の開けば早も風に揺れ」と添削して頂き誠に有難う御座います。綺麗な句になりました。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
御礼
高橋正子先生
いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
4月17日の「山吹や道灌濠に咲き誇る」を「山吹や道灌濠に黄を尽くし」と添削して頂き誠に有難うございます。
美しい句になりました。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。