●小口泰與
目配せで枝のうぐいす知らせけり★★
春浅しビルの狭間の風迅し★★★
つんつんと土を割りをるチューリップ★★★
●河野啓一
孫娘顔見せるとや春うらら★★★
麗らかに鳥声を聞く散歩道★★★
豊漁の船帰り来る春の海★★★
●小川和子
靴裏に下萌の岸やわらかし★★★
河面射す日の眩しさよ春の岸★★★
春耕のまだ始まらぬ田の広き★★★★
裏作やあるいは冬の間手入れをしないでいた田畑は、だだっ広く思える。しかし、耕しが始まるころになると、田畑も息づいてくる。その広さを感じとったのがよい。
●佃 康水
母と子の手波を添えて雛流す★★★
切り鋏音を弾ませ菰外し★★★
啓蟄や錆付く鋏磨き込む★★★
●桑本栄太郎
朝日さす在所の嶺の霞みけり★★★
さくさくと終えて家路や納税期★★★
お~い雲よ吾も連れゆけ春きざす★★★★
●黒谷光子
啓蟄の菰巻解かる城の松★★★
菰巻を解かれ蘇鉄の奔放に★★★
プリムラの鉢届けらる誕生日★★★
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コメント
好きな句
春耕のまだ始まらぬ田の広き/小川和子
まだ始まっていない春耕に着目されたところが新鮮です。間もなく活気付く田畑、それを待つその場所の空気、そういうものを感じます。
すきな句
お~い雲よ吾も連れゆけ春きざす/桑本栄太郎
春めいてきた空を見上げて「お~い雲よ」思わず呼びかけたくなられた作者の気持ちに共感します。うららかな春の空を雲と一緒に旅をしたくなります。
お礼
信之先生、正子先生、「春耕」の句に★印のご指導と、貴重な評を頂きましてお礼申し上げます。多田有花様には同句をお選びくださり、あたたかいコメントをありがとうございました。
お礼
信之先生、正子先生
「春きざす」の句に★印のご指導を頂戴しまして大変有難うございます。又、河野啓一様には素敵なコメントを添えて頂き大変有難うございます。コメントを頂戴しています事に気づかず失礼致しました。