11月11日~20日


11月19日(4名)

小口泰與
空っ風利根の白波尖りけり★★★
枝打や一段と伸ぶ朝乃山★★★
初霜や靴先濡らす散歩道★★★★

廣田洋一
冬の雨今にも雪になりさうな(原句)
少し、ご自分の気持ちを加えられたらいかがでしょうか。
雨降るよ今にも雪になりさうな★★★★(正子添削)
雨が降っていることよ。今にも雪になりそうなくらいの冷たさ。絵になる雨の模様。

二重橋静かに濡らす冬の雨★★★
倒れたるままの自転車冬の雨★★★

多田有花
頂に見るや小春の凪の沖★★★
小春日の色づく木々を見て歩く★★★
冬ぬくし雲なき空の続きけり★★★★
瀬戸内の冬の暖かさは、珠のようと言えそう。雲もなく広く続く空の下にいる幸せな暖かさがいい。(高橋正子)

桑本栄太郎
赤蕪の一束買いぬ無人棚★★★★
錦木の緋色燃え立つ冬紅葉★★★
燦々と窓に日当たり冬紅葉★★★

11月19日(4名)

小口泰與
隼の羽裏光りて急降下★★★★
逆光の土手に揺るるや枯尾花★★★
奥利根の二両車両や空っ風★★★

多田有花
冬紅葉陽を一心に集めけり★★★★
冬紅葉開山堂を取り巻いて★★★
大分の人から蜜柑を一袋★★★

廣田洋一
冬浅し薄着で通す明日かな
「明日」は、「朝」の誤変換でしょうか。

封を切る珈琲の香や冬初め★★★★
遊水地水の残りて冬初め★★★

桑本栄太郎
紅燈の祇園小橋やかにかく忌★★★
錦木の緋色咲きたり冬紅葉★★★

坂道の側溝流れ石蕗の花★★★★
坂道に沿って側溝が流れている。坂道なので、細い流れも速いのであろう。そこに石蕗の花が明るく咲いて、流れの水を澄まし、急がせている。すがすがしい景色だ。(高橋正子)

11月18日(4名)

小口泰與
D51の鉄橋過ぐや通し鮎★★★★
小春日の光掬いし大広間★★★
赤城より烈風蒔くや干大根★★★

廣田洋一
赤大根野菜売場を華やかに★★★★
大根と言えば、白い野菜の代表だが、赤い大根もある。冬野菜が並ぶ野菜売り場で、ひときわ目立つ赤い色。赤大根が売り場を華やかにして、買う人の気持ちも華やぐというもの。生き生きとした光景だ。(高橋正子)

紅大根色鮮やかなサラダかな★★★
紅大根買ひてレシピを探しけり★★★

多田有花
法螺貝の音が響きし冬の山★★★★
六甲も淡路も隠し冬霞★★★
うつむいて咲く茶の花に陽のやさし★★★

桑本栄太郎
日溜りを占めて乱舞や冬の蝶★★★★
冬ぬくし肩に黒子の目立つ娘に★★★
黄落や日当たりながら窓の外★★★

11月17日(4名)

小口泰與
恐竜の背骨の山や冬紅葉★★★
傘寿まで犬と歩みて小春かな★★★
音立てて木葉落ちくる九十九折★★★★

廣田洋一
時雨急小町通の人力車★★★★
ワゴン車の弁当買へり片時雨★★★
残業の事務所出づれば小夜時雨★★★

多田有花
口笛を吹きつ小春の丘をゆく★★★
光あふれ冬の紅葉のあるところ★★★★
冬紅葉に日が当たると、紅葉の紅さがそれはそれは華やかになる。光があふれると言わねばならないほど。(高橋正子)

彩りを増す山々の十一月★★★

桑本栄太郎
冬菊の括られ色に花舗の朝★★★★
父祖の地の大山斯くや冬紅葉★★★

冬蝶の人を除けゆく京の町★★★★
京の町の観光客の多さをこのごろ耳にする。そんな人たちをよそに冬蝶が軽やかに身をかわして飛ぶ。京の蝶はこのように、と。(高橋正子)

11月16日(4名)

廣田洋一
落葉掃く人また一人増えにけり★★★★
滝壺の渦を取り巻く落葉かな★★★
からからと落葉出迎へ夜の道★★★

小口泰與
我が影の野川越え行く冬旱★★★

冬浅間画布いっぱいに青と白★★★★
浅間山を描いてきた人たちは、これまでどれほどいたであろうか。今画布に向かい浅間を描く人は、青と白の色を画布にいっぱいに広げた。青と白は空の青、雪の白であろうか。冬の色として青と白が新しい光彩を放っている。(高橋正子)

けがれ無き冬天に舞う伝書鳩★★★

多田有花
地に落ちし冬の黄葉のまだ光る★★★
冬真昼海の最も光りけり★★★
大橋の主塔の見える冬の晴★★★★

桑本栄太郎
燦々と日当たりながら冬紅葉★★★
新聞の初雪報らす伯耆富士★★★★
着付け終え凛と上向く着袴の儀★★★

11月15日(5名)

小口泰與
迫りくる苦内の木葉獣の道★★★
次々と手裏剣の如木葉雨★★★
朝日受く榛名九嶺冬薔薇★★★★

廣田洋一
水槽の河豚を選びて鍋料理★★★
良く笑ひ取り分け早し鍋奉行★★★
食べ終えて水槽の河豚残り僅か★★★

多田有花
冬紅葉映し静かな池の水★★★
池の端に静かにとまり冬の蝶★★★
青空と冬の紅葉と飛行機と★★★★

桑本栄太郎
木枯や喪中はがきの早や一枚★★★
街燈の夜ともなれば冬めける★★★★
夕刊を取りに出でれば宵の冷え★★★

川名ますみ
木犀を指さす夫婦療の苑★★★
療苑の木犀今は二人に薫る★★★
まとめ髪ほどけば冬の日に照りぬ★★★★
まとめている髪をほどくと、髪は驚くほど冬の光に輝いた。冬の日でなく、夏の日、秋の日、春の日では、全く趣が異なる。冬の日に照る髪があたたかく、愛おしい。(高橋正子)

11月14日(4名)

小口泰與
湯の街の石段街や冬の暮★★★★
寒暁のフロントガラス白き地図★★★
水源の森の渓流小六月★★★

廣田洋一
産土の神にお参り小春かな★★★
小春蝶光撒きつつ飛び去りぬ★★★★
冬満月乱して入る露天風呂★★★★

多田有花
初しぐれ去りきらきらと夕陽さす★★★★
初しぐれに身もかじかむが、時雨が去った後には夕陽がさし、辺りがきらきらと輝いた。その明るさは、ちょっと別世界の感じ。(高橋正子)

法事終え酒饅頭の熱々を★★★★
初冬の青空に皇帝ダリア★★★

桑本栄太郎
切干の笊に干乾びちりちりに★★★
山際の空が真つ赤ぞ冬落暉★★★
大根の葉つぱ広ごり干菜汁★★★★
丁寧な生活が伺える句。みそ汁などにはいった干菜が広がり、大根の葉っぱとわかる。それも興趣。今では、干菜を作る人も都会では稀かもしれないが、生活は丁寧に送りたいものだ。(高橋正子)

11月13日(4名)

廣田洋一
大根のステーキ香る厨かな★★★

畑大根青首出して雨に濡れ(原句)
「青)首を出す」のイメージがあまり良くないように思います。
畑大根青首雨に濡れいたり★★★★(正子添削)
畑の大根が今旬を向かえてよく育っている。青首大根は、首の部分が地中よりでて、青くなる。そこが雨に濡れると寒々といかにも冷たそうな様子になる。(高橋正子)

大根に味染み透るおでん鍋★★★

小口泰與
隼や初冠雪の浅間山★★★
冬の日の我が影を置く川原かな★★★
軒下へ薪を積みけり日短か★★★★

多田有花
ひと臼の餅つき終わり黄粉餅★★★★
餅つきの楽しみは、その場で搗きたての餅が食べれること。ひと臼の餅を大切につき終わり、黄粉餅にして食べる。つきたての柔らかさも嬉しいが、みんなの笑顔が見えて、和やかなひと時が過ごせたのも嬉しい。(高橋正子)

湯上りのライトアップの冬紅葉★★★
初しぐれ彩り初めし山隠す★★★

桑本栄太郎
照葉せる朝の窓辺や冬紅葉★★★★
満天星の冬の紅葉の団地かな★★★
二階家の軒端明かりや柿すだれ★★★★

11月12日(4句)

小口泰與
巨大なる冬霧忽と山上湖★★★★
巨大な冬霧が忽然とあらわれる山上湖。「巨大なる」ですでに圧倒されるが、それが、忽とであるから、そのダイナミックな動きに驚く。人間の小ささを思い知らされるほどに、ダイナミックな冬霧なのだ。(高橋正子)

烈風に縋るもの無き枯すすき★★★
小春日や湖畔に画架の五つ六つ★★★

廣田洋一
浅漬けの糠かき混ぜる朝かな★★★
浅漬けの鉢を真中に夕餉かな★★★★
浅漬けに塩昆布混ぜて丸き味★★★

多田有花
冬紅葉見上げつ山門に向かう★★★
冬陽踏み山門へ続く石段を★★★★
楓まだ青々として冬はじめ★★★★

桑本栄太郎
休耕の畑に希望や泡立草★★★
屋上のクレーンに冬の入日かな★★★
暮れのこる夕日ならずや冬紅葉★★★★

11月11日(4名)

小口泰與
小流れの木葉と歩む小春かな★★★
冬浅し酒万頭をほうばって★★★
利根川の岩を越え行く波小春★★★

廣田洋一
頭頂のティアラ光れる冬麗★★★
稜線の真白く浮かぶ冬日和★★★
冬日和子豚と遊ぶ子らの声★★★★

多田有花
初冬や銀杏ようやく色づきぬ★★★
青空に真白き山茶花の映えて★★★★
山茶花にも紅色と白色がある。紅色のにぎやかさに比べ、白はとくに清潔感漂う。澄んだ青空に映えてその純白が美しい。(高橋正子)

里山の十一月の頂よ★★★

桑本栄太郎
亜浪忌の枯れゆく色を惜しみけり★★★★
亜浪忌は11月11日で、立冬が過ぎて間もない。木や草の色も美しく枯れてゆく様が楽しめるが、その枯れゆく色もやがて枯れの一色となる。それまでの「枯れゆく色」が惜しまれる。中間派と呼ばれる亜浪句が偲ばれる。(高橋正子)

茅の穂絮となりたる入日かな★★★
冬紅葉この道たどり父祖の地へ★★★


コメント

  1. 廣田洋一
    2019年11月18日 11:20

    御礼
    高橋正子先生
    いつも懇切にご指導頂き有難う御座います。
    11月13日の「畑大根青首出して雨に濡れ」を「畑大根青首雨に濡れいたり」と添削して頂き有難う御座います。原句の報告句的なところがなくなり、冬の寒々した感じが出てきました。今後とも宜しくご指導のほどお願い申し上げます。

  2. 廣田洋一
    2019年11月20日 19:05

    訂正
    高橋正子先生
    いつも懇切にご指導頂き有難う御座います。
    11月19日の「冬浅し薄着で通す明日かな」に付き、
    「明日」は、「朝」の誤変換でしょうか?とのご指摘を頂き有難う御座います。
    仰る通りの誤変換です。
    気づかずに送信してしまい申し訳ありません。
    以後十分に気を付けます。

  3. 廣田洋一
    2019年11月21日 17:05

    御礼
    高橋正子先生
    いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
    11月20日の「冬の雨今にも雪になりさうな」を、
    「 雨降るよ今にも雪になりさうな」と添削して頂き誠に有難うございます。不輸と雪が季重なりになっていたのが解消され、すっきりしました。
    今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。