1月17日

●小口泰與
麦の芽や鳶を襲いし鴉二羽★★★
あけぼのの庭に綾なす氷かな★★★
麦の芽や風をあやつる鳶の群★★★

●多田有花
風なくて寒の煙はまっすぐに★★★★
ひと時風が止まる時間がある。そんなとき、当たり前ながら、あれっと気づくことがあって、煙がまっすぐ上るのもその一現象。(高橋正子)

麓よりチャイムが響く寒の昼★★★
寒風に一瞬書類さらわれる★★★

●桑本栄太郎
寒晴れや一点白き放れ雲★★★
リーダーの誰とも知れず寒すずめ★★★
枯蘆の風透き通しゆらぎ居り★★★★
「透き通し」はむしろ「梳き通し」の意味かと思う。枯蘆を梳るように風が通り抜け、蘆を揺らしている。枯蘆のあたりに漂う透明な気配。枯の清潔さだ。(高橋正子)

●祝恵子
出店にはビリケンさんいて宵戎★★★

鳥の声する森にとんどの火と煙★★★★
とんどは、田んぼや河原など、その地域でおおよそ決められた場所で焚かれる。恵子さんの句は、鳥の声のする森の広場だ。神社の境内かもしれないが、鳥の声に合わせるかのように火が弾け、煙が上る。正月気分に区切りがつく、気持ちのよい「とんど」である。(高橋正子)

バチを打つ熱演ありて冬広場★★★

●佃 康水
霜晴れや土黒々と鍬を振り
【添削】霜晴れや鍬振る土の黒々と★★★★

炎から抜けて空ゆく吉書かな★★★
喚鐘や寒満月を寺参り★★★

●小西 宏
枯枝に鳥来て鳴ける陽の光★★★★
古き枝閉ざして池の縞凍る★★★
膝の冷え指先痛き夜の机★★★


コメント

  1. 桑本栄太郎
    2014年1月18日 16:51

    御礼
    高橋信之先生、正子先生
    1月17日の「枯蘆の風透き通しゆらぎ居り」の句に★印のご指導を賜り、嬉しい素敵なご句評も頂戴しまして大変有難うございます。散策でよく伺います近在の池には、刈り残された枯蘆の一画があり、小生が佇みますと待っていたかの如くゆったり揺らいでいました。葉は殆どなく、真っ白な穂絮が僅かな風を透き通して歓迎しているかのようです。ご指摘のように、「風梳き通」しでも良いようですね。

  2. 祝恵子
    2014年1月18日 17:04

    お礼
    信之先生、正子先生、★印のご指導ありがとうございます。「とんど」の句へ素敵な句評を頂きましてありがとうございます。

  3. 多田有花
    2014年1月18日 18:54

    お礼
    信之先生、正子先生、
    「風なくて寒の煙はまっすぐに」にご指導、ご句評をいただきありがとうございます。
    昨日、山の頂から見た播磨臨海工業地帯の姿です。
    煙が垂直に立ち上っているのを見て、あらためて、風がないことに気づき、暖かいと思いました。

  4. 佃 康水
    2014年1月18日 19:58

    お礼
    高橋信之先生 高橋正子先生
    1/17日の投句へ★印のご指導を、そして「霜晴れや鍬振る土の黒々と」と添削の上、四つ★を賜り誠に有難うございます。素直な句になり一段と情景が見えて来ました。打ったり均したりされる畑の土が黒いのが印象的でした。有難うございます。