1月11日~20日


1月20日(3名)

小口泰與
吹越やシャッター街の通学路★★★
みずうみの只中の島大白昼 
大白昼は、大白鳥の誤りでしょうか。「白昼」が間違いでないなら、「白昼」の「白」は、「明るくはっきりしている」の意味があり、それに「大」はいらないのでは、と思います。

冬の星見舞い帰りのバス停に★★★★
病院の面会時間に合わせて午後から見舞いに出かけたのであろう。帰るころ、バス停でバスを待っていればいれば、冬の日暮れは早く、星が出ている。見舞いのあとのきれいな星に心を置いている。(高橋正子)

廣田洋一
大寒や気温予報を見て出かけ★★★
大寒や今日も元気にラジオ体操★★★
大寒や肩口冷えて目覚めたり★★★

桑本栄太郎
一木を被い尽くせり枯葎★★★

裸木の小枝真直ぐや天を向く(原句)
裸木の小枝真っ直ぐ天を差す★★★★(正子添削)

流木の白く映え居り寒の川★★★

1月19日(5名)

小口泰與
北風に雨戸の騒ぐ夜更かな★★★
空風のさなか巡回車の灯(トモシ)★★★
雪浅間真向いにして大気受く★★★

廣田洋一
降る雪の積もらぬままに止みにけり★★★
白きもの混じれる雨の雪となり★★★
雪空に生き生きと飛ぶ鳥のあり★★★★
鳥たちは、雪空であろうと、自由に、いきいきと飛んでいる。小さい体にある生命力の強さを見せられる場面。(高橋正子)

上島祥子
松過ぎて結局読まずに返す本★★★
小正月出社の息子送り出す★★★
パンジーや開店準備朝陽射す★★★★
開店準備中の店頭に朝日が射し、店先のパンジーが生き生きと輝いている。働く人がいきいきと、はつらつとした店の様子が見える。(高橋正子)

桑本栄太郎
うつすらと寒月残る西の空★★★
燦々と橙の実の日差し受く★★★
トンネルを出でて冬日や新京極★★★

多田有花
亡き人の故郷よりとどくみかんかな★★★
ブロッコリやわらかく溶けるチーズのせ★★★
助手席に葉つき大根二本載せ★★★★

1月18日(4名)

小口泰與
校庭を子ら駆け來るや霜の声
「霜の声」は、「霜の降りる寒い夜、物音がしんしんと響くようなさえわたった興趣。」 を言い、「 霜の降りた夜の様子をいう語」です。ですが、この句からは、昼の子供たちの様子ではないかと思えるのです。

枯枝に音符の弾む群雀★★★

宿下駄を響かせもどる冬桜(原句)
冬桜宿下駄響かせもどりけり★★★★(正子添削)
泊りがけで冬桜を見物に。旅の身をほどいて、宿下駄をひっかけて冬桜を見に。良い写真がとれたのであろう。宿下駄をからころ響かせて宿に戻った。楽しそうだ。(高橋正子)

廣田洋一
着ぶくれて手押し車を出しにけり★★★
着ぶくれてジムに通へる媼かな★★★
着ぶくれてふくら雀と向き合へり★★★

多田有花
寒中の山おりて向かうサウナかな★★★
葉つきのまま大きかぶらを貰いけり★★★
煮かぶらの舌にとろけるばかりなり★★★

桑本栄太郎
<桂川、淀川、木津川>
三川の集う中州や大枯野★★★
新駅の高架交叉や日脚伸ぶ★★★★
高架が交差し、新駅ができ、街はいきいきと変貌している。日脚が伸びて、その様子が目の当たりに明らかになったように思う。(高橋正子)

大寒や村に一つの半鐘塔★★★

1月17日(4名)

小口泰與
冬の鷺湖面に長き影を乗せ★★★
大岩を越えて氷柱の飛びにけり★★★
雪雲の万象全て遮断せり★★★

廣田洋一
海原に酷寒満ちて白々と(原句)
「酷寒満ちて(酷寒が満ちる)」は、日本語として不自然な感じです。
酷寒の海原白々広がれり★★★★(正子添削)

起き抜けの寒気厳しき水を汲む(原句)
「寒気厳しき水」も日本語として不自然です。

起き抜けの寒気厳しく水を汲む★★★★(正子添削)
厳しくのところで切れを入れます。
寒気は、起き抜けの時一番感じるものかもしれない。その厳しい寒気に耐えて生活の水を汲む必要がある。
地味な句意なのだが、実感があってよく頷ける。(高橋正子)

厳寒の空を彩るオーロラかな★★★

桑本栄太郎
鎮魂の祈り炎に阪神忌★★★

まんさくの花よ枯葉のその侭に(原句)
まんさくの花よ枯葉をその侭に★★★★(正子添削)
まんさくは、枯葉を落ちきらずに花を咲かせている。この枯葉の色と、まんさくの黄色い花が、いい色合いで好もしいのだ。(高橋正子)

稜線をいく度も見たり雪催い★★★

多田有花
<朝来山登山三句>
枯葉に座し昼のラーメンを囲む★★★
冬空を映せる池の畔に下りる★★★
天空の城は陽のなか日脚伸ぶ★★★★

1月16日(5名)

古田敬二
冬木立黒々影を伸ばしけり★★★★
落葉道踏まれて土になる気配★★★
尾根に出る快晴の空冬温し★★★

小口泰與
白鳥のだみ声発し翔ちにけり★★★
背らよりシャッター音や大白鳥★★★
白鳥の長の鋭声や族も翔つ★★★

廣田洋一
茜空未だ広がり日脚伸ぶ★★★★
バス停の行列長し日脚伸ぶ★★★
軟式のテニス練習日脚伸ぶ★★★

多田有花
<朝来山登山三句>
赤テープ頼りに枯葉踏み登る★★★
寒林を透かし但馬の山望む★★★
青空へ裸木の姿くっきりと★★★★
山の稜線に立つ裸木は、青空を背景にその姿が、ありのままくっっきりとよく見える。きっぱりとした裸ぎの姿が青空と対比されてきれいだ。(j高橋正子)

桑本栄太郎
山間にけぶる一条寒の峰★★★
春を待つ鉄塔嶺に並びけり★★★★
春を待つ心が、遠くの山へ視線を向かわせる。山に鉄塔が並んでいるのはいつも変わらないが、日差しが暖かそうで、そこから春が来そうなのである。(高橋正子)

寒釣の日差しを背中に紫煙かな★★★

1月15日(4名)

小口泰與
大沼の入日に吼ゆる大白鳥★★★
枯枝の中に入り込む群雀★★★
霜柱庭駆け回る子ら二人★★★★

多田有花
城跡を望める寒の立雲峡★★★★
寒中の桜の枝を見上げおり★★★
冬ぬくし展望台で自撮りかな★★★

桑本栄太郎
乳呑み子の乳欲しきとや雪女★★★
湖の瀬田の小舟や寒しじみ★★★
高階の角の吠え居り虎落笛★★★

廣田洋一
梅の芽のぐんと伸びたる寒日和★★★★
赤き芽の丸く膨らむ冬牡丹★★★

地平線白く光れる寒の凪(原句)
水平線白く光れる寒の凪★★★★(正子添削)
空と海とが接する水平線。凪いでいるせいで、その水平線が冷たく白光を放っているのだ。そこから遠い世界が始まるような気がする寒中の景色。(高橋正子)

1月14日(5名)

古田敬二
寒林やほほに心地よき風受けて(原句)
寒林や心地よき風ほほに受け★★★★(正子添削)

冬木立朝のまぶしき日を受けて(原句)
冬木立まぶしき朝日受けいたり★★★★(正子添削)
差してくる朝日を冬木立が受け止めて輝いている。冬木立の凛とした姿、朝日のまぶしさが、いきいきと緊張感をもって詠まれている。(高橋正子)

柔らかく深くなりたる落ち葉道★★★★

小口泰與
夕暮の枯野出られぬ頭痛持★★★
冬草やゲートボールの老五人★★★
日の暈に閉じ込められし大白鳥★★★★

廣田洋一
初旅や電子辞書を忘れずに★★★
アフリカと言えど気軽に初旅行★★★
初旅に富士の裾野を見渡せり★★★★

多田有花
アイスショー見に門真まで松の内★★★
スケートの大輪の花リンクに咲く★★★
湯上がりの喉を鳴らして寒の水★★★★
寒中の水は、ごくごくと飲むには冷たすぎる。それでも湯上りとなれば、寒の水の冷たさが乾いたのどにうれしい。喉を鳴らし、ごくごくと飲む。健康でであればこそ。(高橋正子)

桑本栄太郎
寒梅の紅のほのかに風に乗り(原句)
寒梅の紅のひとひら風に乗り★★★★(正子添削例)
もとの句は、「紅がほのかに風に乗り」ということなので、意味がよくわかりません。「ほのか」は色や匂いにつかいますが。添削例を挙げました。(高橋正子)

とつぜんの双手鼻へとくつさめす★★★
川底の涸れて蛇行や天井川★★★

1月13日(3名)

小口泰與
寒鯉を釣り掛け來る子ら二人(原句)
寒鯉を釣りて駆け来る子ら二人★★★★(正子添削)
定型5・7・5に直しました。
この寒い中、鯉を釣って喜び勇んでかけてくる子二人。見るにつけ、元気な子ども、生き生きした鯉、の様子が絵本の絵のように懐かしく目に浮かんでくる。(高橋正子)

朝日差す紫紺の榛名山(はるな)霜柱★★★
鳥声や朝日の中の木守柿★★★

廣田洋一
お互ひにそっぽ向きたる水仙花★★★
公園の端に整列水仙花★★★
門前にあちこち向きて水仙花★★★★

桑本栄太郎
一木の山のようなり枯木立★★★★
紅色のままに枯れたる芙蓉かな★★★
小さくて痛々しさや冬の薔薇★★★

1月12日(3名)

小口泰與
杣宿の燗絶妙や北颪★★★
妹もまねて転がす雪だるま★★★
包めるは農事新聞セロリかな★★★★

廣田洋一
菰を着て妍を競ひし寒牡丹★★★
日の光思はす黄色寒牡丹★★★★
牡丹の色として黄色は珍しい。その美しさをなんと表現しようかと悩むところを、寒牡丹の黄色は日の光を思わすとずばり的を得た表現をされた。(高橋正子)

後戻りしてまた見たる寒牡丹★★★★

桑本栄太郎
寒椿高き土塀の建仁寺★★★

仏手柑の添えて有り居り松飾★★★★
松飾に仏手柑を添えるのは、おめでたく、飾りの意味が大きいからと想像する。伝統的なものかどうかは、知らないが、現代的な印象がする。(高橋正子)

せせらぎに枇杷の花咲く高瀬川★★★

1月11日(4名)

廣田洋一
寒月や日暮れの空に白々と★★★
寒月の色に染まりし大銀杏★★★★
人居らぬビルの寒月映す窓★★★★

小口泰與
風に乗り狸のにおい露天風呂(原句)
風に乗り狸のにおい露天湯へ★★★(正子添削)
健啖の老へ北風吹きにけり★★★

白鳥や入日の紅の失わず★★★★
白鳥に入日が差していつまでも入日の紅に染まっている。美しい光景。心情が入れば、さらに素晴らしい句に。(高橋正子)

桑本栄太郎
家中の飾りを集め鏡割り★★★
目覚めいて風呂の掃除や日脚伸ぶ★★★★
鍋に入れ鏡開きの夕餉かな★★★

川名ますみ
初乗の多摩川の果て富士の影★★★
初化粧リップラインを直線に★★★★
リップラインを直線に引いた初化粧。きりりと引いたリップラインの新年の溌剌とした思いがある。(高橋正子)
勝手尽して初夢に人助け★★★


コメント

  1. 小口泰與
    2020年1月15日 19:37

    御礼
    高橋正子先生
    1月13日の投句「寒鯉」の句を添削して頂き有難う御座いました。素晴らしい句になりました。感謝です、今後とも宜しくご指導のほどお願い申し上げます。

  2. 小口泰與
    2020年1月15日 19:56

    御礼
    高橋正子先生
    1月11日の投句「狸」の句を添削して頂き有難う御座います。今後とも宜しくご指導のほどお願い申し上げます。

  3. 廣田洋一
    2020年1月17日 15:59

    御礼
    高橋正子先生
    いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
    1月15日の「地平線白く光れる寒の凪」を 「水平線白く光れる寒の凪」と添削して頂き有難うございます。素晴らしい句になりました。
    今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。

  4. 廣田洋一
    2020年1月19日 9:59

    御礼
    高橋正子先生
    いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
    1月17日の「酷寒」の句と「寒気」の句を添削して頂き有難うございます。推敲の足りない句を投句して申し訳ありませんでした。リズムの良い素晴らしい句になりました。
    今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。

  5. 小口泰與
    2020年1月21日 15:31

    1月20日の投句の件
    高橋正子先生
    1月20日の投句「みずうみの只中の島大白昼」は「大白鳥」の打ち間違えです。ご迷惑をおかけいたしました。
    以上の句を「だみ声を上げて着水大白鳥」に変更いたしました。よろしくお願い致します。