今週の秀句/1月1日~10日


[1月10日]

★寒禽の寄りて啄ばむ木の実かな/多田有花
山に木の実が少なるなる季節。身近にやってきた寒禽は、寄り集まって木の実を啄む。寒禽たちは生きる元気に満ちている。「寄りて啄む」が見どころ。(高橋正子)

[1月9日]

★冬草や水の落ち合う本支流/小口泰與
本流へ支流が流れ込むところの「冬草」の存在感がいい。その季節感がいい。「俳句」が作者の生活にうまく取り込まれているのだ。(高橋信之)

[1月8日]

★飾納いつもの家に戻りけり/廣田洋一
結局、「いつもの家」が落ち着く。華やいで迎えた新年も、寒中となり、寒さを享受することに。「いつも」や「普段」のありがたさ。(高橋正子)

★背に日差し庫裏でいただく煮大根/多田有花
よく見かける冬の生活風景だが、季節感のある、いい句だ。下五の「煮大根」がいいのだ。(高橋信之)

[1月7日]

★少年の自我の目覚めや水仙花/谷口博望(満天星)
下五に置いた「水仙花」が季語であり、一句の季題となった。いい句だ。作者の日頃の精進の結果である。私の推薦句であり、私の好きな句である。(高橋信之)

[1月6日]

★ほつほつと蠟梅開く日本晴/谷口博望(満天星)
日本晴れの真っ青な空に蝋梅の黄色が澄んで、明るい年となったのがうれしい。晴れやかな心持にさせてくる句だ。(高橋正子)

1月5日(2名)

★初春の霞が隠す城下町/多田有花
城下の霞。いい風景だ。私が育った城下町伊予大洲の霞と霧を懐かしく思い出す。(高橋信之)

★酉年の鈴の音清き破魔矢かな/谷口博望(満天星)
破魔矢の鈴音に「酉年」の実感があるのだ。その実感が俳句と成る。(高橋信之)

1月4日(2名)

★みな揃うことこそ良けれ初写真/多田有花
みな揃うことは、誰もが「良けれ」と思うのだが、それでも「良けれ」という。読めば、それでも、「良けれ」と思う。いい句だ。(高橋信之)

★仕事始新入社員加わりぬ/廣田洋一
「仕事始」に加わった「新入社員」の新鮮な姿には、誰もが快い思いを抱く。新年のうれしい風景だ。(高橋信之)

1月3日(1名)

★髭剃りの一仕事有り初鏡/廣田洋一
身近な生活感が下五の季題「初鏡」とうまく合って、いい句となった。作者の姿がありありと浮かんで、個性がある佳句だ。(高橋信之)

1月2日(3名)

★青空に雲もなかりき今朝の春/小口泰與
よく見掛ける風景だが、下五の「今朝の春」がいい。季節感がいいのだ。(高橋信之)

★元旦の青空背負う竜馬像/多田有花
高知桂浜の、昔尋ねたことがある風景。和服姿に懐手,ブーツ姿の龍馬は,はるか太平洋の彼方を見つめていた。(高橋信之)

★亡き妻の誕生日とて初墓参/廣田洋一
「初墓参」の「初」が効いた。いい句だ。「亡き妻」であるが、湿ったところを感じさせない。。(高橋信之)

1月1日(1名)

★初明り妻のエプロン真新し/小口泰與
初明かりに輝いて、真新しいエプロンに妻の新年が始まる。今年もまた、かいがいしく働いてくれる妻への感謝に、エプロンが眩しい。(高橋正子)


コメント

  1. 小口泰與
    2017年1月2日 11:56

    御礼
    高橋信之先生、正子先生
    1月1日の投句「初明り」句を1日の秀句にお選び頂き有難う御座いました。今後ともよろしくご指導のほどお願い申し上げます。

  2. 廣田洋一
    2017年1月4日 16:18

    御礼
    高橋信之先生
       正子先生
    いつも懇切にご指導頂き有難う御座います。
    1月2日の「初墓参」の句を秀句にお選び頂き、信之先生の暖かい句評を賜り誠に有難う御座います。
    今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。

  3. 廣田洋一
    2017年1月4日 16:23

    御礼
    高橋信之先生
       正子先生
    いつも懇切にご指導頂き有難う御座います。
    1月3日の「初鏡」の句を秀句にお選び頂き、その上信之先生の過分な句評を賜り誠に有難う御座います。
    今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。

  4. 多田有花
    2017年1月5日 8:55

    お礼
    信之先生、正子先生
    「元旦の青空背負う竜馬像」を1月2日の秀句に、
    「みな揃うことこそ良けれ初写真」を1月4日の秀句に
    それぞれお選びいただきありがとうございます。
    信之先生のご句評も頂戴し、うれしく読ませていただきました。

    年越しは四国でした。
    元旦の桂浜はよく晴れて風も無く暖かでした。
    坂本龍馬には青空が似合うと思いました。

  5. 小口泰與
    2017年1月5日 9:26

    御礼
    高橋信之先生、正子先生
    1月2日の投句「今朝の春」の句を秀句にお選び頂き、その上、信之先生にはうれしい句評を賜わり厚く御礼申し上げます。有難う御座いました。
    今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。

  6. 廣田洋一
    2017年1月5日 15:19

    御礼
    高橋信之先生
       正子先生
    いつも懇切にご指導頂き有難う御座います。
    1月4日の「仕事始」の句を秀句にお選び頂き、その上信之先生の句評を賜り誠に有難う御座います。
    今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。

  7. 多田有花
    2017年1月6日 14:10

    お礼
    信之先生、正子先生
    「初春の霞が隠す城下町」を1月5日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
    大洲は一度訪れたことがあります。
    肱川が流れる伊予の小京都。
    鵜飼を遠くから見ました。
    新年に入ってからも暖かくもう春のようです。

  8. 廣田洋一
    2017年1月9日 13:44

    御礼
    高橋信之先生
       正子先生
    いつも懇切にご指導頂き有難う御座います。
    1月8日の「飾納」の句を秀句にお選び頂き、その上正子先生の簡潔な句評を賜り誠に有難う御座います。
    今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。

  9. 満天星
    2017年1月10日 0:25

    お礼
    高橋信之先生
    1月7日投句の「少年の自我の目覚めや水仙花」の句を推薦句に選んでいただき、ありがとうございます。希望に燃えて高校へ入学しましたが、いじめにあって挫折が始まりました。水仙が自信に満ちて咲いているのを見てこの時の苦い思いを句にしました。心が先に出た句なので、多分ダメ句だろうとは思いましたが、いい句といわれて嬉しくなりました。「水仙花」が季語であり、一句の季題となったという言葉から季題とはこういうことかと初めて知りました。大変勉強になりました。今後もよろしくご指導お願い致します。

  10. 満天星
    2017年1月10日 0:25

    お礼
    高橋信之先生
    1月7日投句の「少年の自我の目覚めや水仙花」の句を推薦句に選んでいただき、ありがとうございます。希望に燃えて高校へ入学しましたが、いじめにあって挫折が始まりました。水仙が自信に満ちて咲いているのを見てこの時の苦い思いを句にしました。心が先に出た句なので、多分ダメ句だろうとは思いましたが、いい句といわれて嬉しくなりました。「水仙花」が季語であり、一句の季題となったという言葉から季題とはこういうことかと初めて知りました。大変勉強になりました。今後もよろしくご指導お願い致します。

  11. 多田有花
    2017年1月10日 8:59

    お礼
    信之先生、正子先生
    「背に日差し庫裏でいただく煮大根」を1月7日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
    大きな鍋で前日から炊かれた大根とあげをいただきました。
    味がしみて柔らかく美味しかったです。

  12. 小口泰與
    2017年1月10日 12:43

    御礼
    高橋信之先生、正子先生
    1月9日の投句「冬の草」の句を秀句にお選び頂き、その上、信之先生には素晴らしい句評賜わり厚く御礼申し上げます。今後ともよろしくご指導のほどお願い申し上げます。有難う御座いました。

  13. 多田有花
    2017年1月11日 13:52

    お礼
    信之先生、正子先生
    「寒禽の寄りて啄ばむ木の実かな」を1月10日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
    身近なところで目にする野鳥の動きというのは、楽しいものです。
    正子先生のお言葉どおり、生きる元気に満ちています。