2月28日(1句)
★かまくらの構え崩さず春遅し/弓削和人
雪を固めて作られるかまくらは雪国の風物詩であるけれど、今年の大雪のせいで、2月の終わりになっても、かまくらの構えがびくともしない。待ち遠しいはるは、なかなか来そうにない。雪国に暮らす人の切なる想い。(髙橋正子)
2月27日(1句)
★春日背に大きく伸びる万歩計/桑本栄太郎
背中に射す日差しが暖かくなると、どんどん遠くへ歩いて行きたくなる。万歩計もどんどん歩数をのばして、自分でもおどろくほどだ。伸び伸びした気持ちが句のよく現れている。(髙橋正子)
2月26日(1句)
★雪掻けど掻けど今宵の雪降りぬ/弓削和人
今年の雪の降り方は尋常ではない。出入り口の戸が開かなかったり、あまり雪の降らない地方でも雪が積もったりしている。作者は、毎日毎日雪掻きをするが、今宵もまた雪が降っている。雪の多さに負けず、力強く雪掻きをする作者の姿が見える。(髙橋正子)
2月25日(2句)
★白梅や遠くに見ゆる富士の山/廣田洋一
白梅と富士山の取り合わせがすがすがしい。遠景色の白い雪を冠った富士山も晴れ晴れしている。俗念を忘れそう。(髙橋正子)
★不器用な紐の結び目雛飾る/上島祥子
雛人形はなにもかも小さい。冠の紐を結ぼうとしても、なかなかきれいに結ぶのは難しい。不器用に結ばれた紐にかえって暖かみと愛らしさを感じる。私も雛人形の紐を結ぶのは苦手。弛んでしまう。(髙橋正子)
2月24日(1句)
★地に青く瞬き初めしいぬふぐり/多田有花
この句の「いぬふぐり」は「おおいぬのふぐり」のこと。おおいぬのふぐりは明治初期に日本に入ったヨーロッパ原産の花。日本のいぬふぐりはほとんど見られないとのこと。
いぬふぐりが咲き始めると、真っ先に地に春が来たという印象を持つ。太陽の光を受けて花が開くので、「光で瞬いている」と言える。虚子に
「犬ふぐり星のまたゝく如くなり 虚子 」がある。(髙橋正子)
2月23日(2句)
★鴨川のはるか北山はだれ雪/桑本栄太郎
四条大橋のたもとからの景色とのこと。鴨川は京都を代表する川だが、はるかにはだれ雪を冠った北山がある。京都を俳句で画に描いた。(髙橋正子)
★川波のきらめき揺るる春隣/土橋みよ
「春隣」には、「川波のきらめき揺るる」がかかっている。そんな春隣なのですよ、ということ。広やかで、おだやかな心境が感じられる句。(髙橋正子)
2月22日(2句)
★知らぬ間に春の雪の降りいたり/多田有花
春の雪が、いつともなく、気が付かない間に降っている。いかにも春の雪らしく、はかなさと、やわらかさが感じられる。(髙橋正子)
★雀らの啄む春の土匂う/森下朋子
「春の土匂う」が、いい。春になると、土までも生命力が増すのか、科学的には微生物などが活発になるせいだろうが、土の匂いがする。雀たちも群がって啄んでいる。早春の感じがよく出ている。(髙橋正子)
2月21日(1句)
★水脈長く引きて一羽の残り鴨/桑本栄太郎
一羽の残り鴨が長く引く水脈が、水面の広さと静かさを想像させてくれる。残った鴨に孤独感より、むしろ平淡な感じだ。(髙橋正子)
コメント
御礼
高橋正子先生
2月21日の今日の秀句に「水脈長く引きて一羽の残り鴨」の句をご添削の上お取り上げ頂き、過分なるご句評も頂戴しまして大変有難う御座います!!。
散策の途中に数日前行った徒歩20分の所にある池の鴨の様子を眺めに行きました。
最初池に着き目にした鴨は、たった一羽で池の真ん中を巣進んで、長い水脈を曳いて居りました。その奥の入り江には未だ数羽居りました。」
お礼
正子先生
「われ知らぬ間に降りぬ春の雪」を
「知らぬ間に春の雪の降りいたり」へと添削の上2月22日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
こうして並べると「詩」とは何かがわかる思いがします。
瀬戸内は雪がほとんど降りません。今回の寒波でもわずかに雪が舞った程度でした。
「知らぬ間に降る雪」などとは、日に数度の雪かきに追われておられる豪雪地帯の方からは信じられないような話だと思います。
御礼
高橋正子先生
2月23日の今日の秀句に「鴨川のはるか北山はだれ雪」の句をお選び頂き、嬉しい過分なるご句評も頂戴しまして大変有難う御座います!!。
雪模様ながら、朝方は晴れて居り久しぶりに市内河原町界隈まで出掛けました。四条多大橋は相変わらずインバウンドの外国人も多く、はしの上より遥か北山を眺めればはだれ雪の光景が見事でした。
Unknown
正子先生
「川波の」の句にコメント頂きありがとうございました。ポイントをどう捉えたら良いか勉強になりました。
御礼
高橋正子先生
いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
2月25日の「白梅や遠くに見ゆる富士の山」を秀句にお選び頂き、その上正子先生には素敵な句評を賜り、真に有難う御座います。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
お礼
正子先生
「地に青く瞬き初めしいぬふぐり」を2月24日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
今年の早春の寒さは暖かい瀬戸内海沿岸部でも尋常ではなかったです。
それでも野に出るとオオイヌノフグリが咲き始めているのに出会いました。
間違いなく春が来ているなあとうれしくなりますね。
御礼
高橋正子先生
2月27日の今日の秀句に「春日背に大きく伸びる万歩計」の句をお選び頂き、嬉しい共感のご句評も頂戴しまして大変有難う御座います!!。
昨日27日は、急激に気温が温かくなり喜び勇んで散歩ウオーキングに出掛けました。背中に暖かい春日が射し、とても心地良い散策でした。何時もより1.5倍も歩いてしまいました。
お礼
正子先生
25日の秀句に「不器用な紐の結び目雛飾る」をお選び頂き 丁寧な句評を賜り有難うございました。
お礼を書き込むのが遅くなり申し訳ありませんでした。