◆今日の秀句/高橋正子選◆

7月5日
★吹き抜けをつらぬくほどに七夕竹/川名ますみ
吹き抜けをつらぬくほどの七夕竹の高さ。竹の高さそのままの青々とし七夕飾りに揺れる様子には感激。(高橋正子)

7月3日
★緑濃き風に吹かれて書道展/小西 宏
緑濃き風が吹き抜け、心地よい会場の書道展。緑濃き風に、墨色もいきいきと浮き上がってくる。(高橋正子)

7月2日
★捕まえて虫籠の少年にやる飛蝗/古田敬二
虫籠を持った少年は、まだなんの虫もとっていないのか、農作業中の作者は飛び出た飛蝗を捕まえて少年に渡した。虫を得た少年の喜びと作者の優しさが読める。(高橋正子)

7月1日/2句
★あるだけの夕餉は採りたて夏野菜/祝恵子
「あるだけの夕餉」は、いい生活だ。「採りたて夏野菜」は、家庭菜園だろうか。身近なところで栽培された新鮮な食材は、美味しい。これもいい生活なのだ。(高橋信之)

★あけぼのの靄の中より新樹光/小口泰與
季語「新樹光」で一句を終えた。終わりを明るく終えたのである。上五の「あけぼの」がいい。中七の「靄の中より」がいい。(高橋信之)

6月29日/2句
★山に向き青田をよぎる道のあり/迫田和代
眺めていると、山に向かって伸びる道があり、それが青田をよぎっている。青田と一本の白い道が絵画のような印象だ。(高橋正子)

★不揃いの三つを篭に初なすび/黒谷光子
初どりの野菜はことに嬉しい。形の不揃いは気にしない。丹精した甲斐があったというもの。これからの収穫がなお楽しみ。(高橋正子)

6月28日
★観音の慈眼へひらく沙羅の花/佃 康水
「観音の慈眼」に「沙羅の花」を取り合わせると、「沙羅双樹(フタバガキ科)」を思って、宗教的になる読み手もあろうが、この句には作者の素直な観察があって読後快い。句のリズムもやさしい。日本での庭木の「沙羅」は、ツバキ科の「沙羅双樹」であり、俳句の季語にある「沙羅の花」も「夏椿の花」のことで、フタバガキ科ではなく、ツバキ科の「沙羅双樹」の花である。(高橋信之)

6月26日
★それぞれの高さに風を花菖蒲/多田有花
花菖蒲は、遠目にはそろって見えるが、それぞれに高さが違う。その一花一花が風をまとって、それぞれが吹かれる様は風情がある。(高橋正子)

6月25日
★鉢ものを見廻る吾や朝涼し/桑本栄太郎
あれこれと植えた鉢物。夏は朝も早く明け、涼しい時間が楽しめる。鉢物を一つひとつ見て回るのも楽しみのひとつ。(高橋正子)

6月24日
★ゆっくりと自転車を漕ぐ青田道/河野啓一
上5の「ゆっくりと」がいい。都会では「青田」を見る機会がないが、少し歩いて郊外に出れば、「青田」に出会うことがある。「青田」の上には広々とした大空あり、いい出会い、いい繋がりの中に出る。すべてが「ゆっくりと」と動き、その中での人間の心も「ゆっくりと」なる。嬉しい句だ。(高橋信之)


コメント

  1. 小口泰與
    2013年7月6日 13:37

    御礼
    高橋信之先生、正子先生
    「新樹光」の句を7/1の秀句にお選びいただき有難う御座いました。
    今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。

  2. 河野啓一
    2013年7月6日 17:24

    お礼
    高橋信之先生、正子先生
    「青田道」の句を6/24の秀句におとりいただき、信之先生には嬉しいご句評も賜りまして誠に有難うございました。今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。

  3. 佃 康水
    2013年7月6日 19:33

    お礼
    高橋信之先生 正子先生
    「紗羅の花」の句を6/28の秀句にお選び頂き、信之先生にはご懇切なるお言葉を頂戴いたしまして大変嬉しくまた、勉強になりました。3人の喜寿のお祝いにと11人で大根島の由志園に参りました。牡丹を持った観音菩薩の直ぐ傍に咲いていた紗羅の花がとても印象に残りました。

    観音の慈眼へひらく沙羅の花

  4. 川名ますみ
    2013年7月6日 21:50

    お礼
    信之先生、正子先生、お忙しい中と存じますのに、ご指導を賜りまして感謝いたします。
    「吹き抜けをつらぬくほどに七夕竹」の句へ頂戴しました、正子先生のご講評を嬉しく拝読しました。七夕竹を仰いだその時の、気持ちのままでございます。

  5. 小西 宏
    2013年7月7日 8:51

    お礼
    高橋信之先生、高橋正子先生
    「緑濃き風に吹かれて書道展」を7月3日の「今日の秀句」にお選びくださり、たいへんありがとうございました。上野の東京都美術館で開かれた書道展に行ってきました。

  6. 小口泰與
    2013年7月7日 9:15

    御礼
    高橋信之先生
    「新樹光」の句に素晴らしい句評を頂き、大変嬉しく感謝申し上げます。有難う御座いました。

  7. 迫田和代
    2013年7月7日 10:45

    お礼
    信之先生
    正子先生
    (山に向き青田をよぎる道のあり)の句を6/29の秀句にお選びいただき 正子先生のお優しいコメントまで戴きおおいな励ましになります。近頃花冠のお陰で、見方が大きくなったような気がします。有り難う御座いました。

  8. 祝恵子
    2013年7月8日 9:04

    お礼
    信之先生、正子先生、7月1日に[夏野菜]をお選びいただき、嬉しい句評をいただきありがとうございました。