8月14日(日)

★白桃の無疵を少女に剥き与う  正子
正にこれから食べようとしているのでしょう。傷のないきれいな白桃を少女に剥き与うというところに母性の温かさを感じます。(高橋秀之)

○今日の俳句
数本の摘みしコスモス母に出し/高橋秀之
コスモスを摘んできたのは、幼い子どもであろうが、小さな手には、数本で溢れるほどである。きれいな花を母に摘んであげる子どもらしい優しさと、それを受け取る母の温かさが滲んでいる句。(高橋正子)

○溝萩
 溝萩は、水辺や湿地に育ち、淡紅紫色の小さい花が穂のように咲く。私が生まれた備後南部では、これを「盆花(ぼにばな)と呼んでいた。盆のことを「ぼに」と呼んで「ぼにがくるけん、草を刈らにゃあ。」というように使っていた。瀬戸内海沿岸は、夏、雨が少ないので、讃岐のため池ほどではなくても、多くの田に野井戸があった。稲田の水が池から放流される灌漑用水では足りないときは、この野井戸が役に立っている。この野井戸のほとりや、田んぼの隅に溝萩が、それこそお盆用に植えられていた。お盆が近づくと、溝萩の束を持って、道を戻ってくる人を良く見かけた。その淡紅紫色の花穂が故郷のお盆の色である。

○盂蘭盆(満月)ネット句会
 ご挨拶/主宰高橋正子
 今日も暑い一日でした。盂蘭盆ネット句会にご参加いただき、ありがとうございました。入賞の皆様、おめでとうございます。
故郷でお盆をお迎えの方、また帰省されたご家族やご親戚を迎えられた方など、さまざまなお盆をお過ごしのことでしょう。お盆のしっとりと心やすらぐ句がたくさんありました。選と、コメントもありがとうございました。しっとりとしたよい盂蘭盆ネット句会となりましたことを、お礼申し上げます。集計は藤田洋子さんに、管理運営は、信之先生にお願いいたしました。暑い中、お疲れでございました。これで、盂蘭盆ネット句会を終わります。次回は、9月12日(月)の十五夜ネット句会です。楽しみにお待ちください。

【金賞】
★溝萩の水辺に咲けば穂の長き/黒谷光子
溝萩は、水辺や湿地に咲いて、お盆の供華に使われるが、淡紅紫の花が、水辺にあって涼しげで、やさしい。水辺の適地を得て、花穂が長くなって、よい育ちで、供華とするにも嬉しいことである。「穂の長き」が句意をよく集約している。(高橋正子)

【銀賞】
★とんぼうの入りくる画廊開かれて/小川和子
画廊にとんぼうは入ってくるのに意外性がある。窓を開け放った小さな画廊であろう。自然に開け放たれ、自然光を入れ、とんぼうも迷い込むようなところで画を鑑賞するのもよいものだ。(高橋正子)

【銅賞2句】
★盆の日の供物すべてが丸々と/古田敬二
お盆の供物といえば、梨や桃、西瓜なども挙げられよう。茄子や胡瓜の馬も丸々としている。「丸々」とにお盆を迎える人の輪の温かさが読める。(高橋正子)

★苧殻焚き残る匂いの土均す/藤田洋子
迎え火の苧殻を焚いて、そのままではなく、焚いた匂いが残る土を、もとのように均しておく。「土均す」と丁寧な行いに、祈りの気持ちがよく汲み取れる。(高橋正子)

▼盂蘭盆ネット句会の詳細は、下記のアドレスをクリックしてご覧ください。
http://blog.goo.ne.jp/kakan15

◇生活する花たち「ウメバチソウ・アケボノソウ・未草」(尾瀬ヶ原)


コメント

  1. 高橋秀之
    2011年8月7日 23:14

    お礼とコメント
    【お礼】

    高橋正子先生
    数本の摘みしコスモス母に出しの句を今日の俳句にお取りあげくださりありがとうございました。
    数本のコスモスを手に余していたこどもも大きくなって、今となれば十数本でも持てるほどに成長しました。

    【コメント】
    白桃の無疵を少女に剥き与う/正子
    正にこれから食べようとしているのでしょう。傷のないきれいな白桃を少女に剥き与うというところに母性の温かさを感じます。