★葉桜に夜も残れる空の紺 正子
美しく広がった葉桜のうす緑と、暮れなずむ初夏の夜空の深い紺色とが溶け合って独特の色彩の世界を描いている、との句意かと存じます。色ばかりでなく爽やかな夜風も感じられるように思いました。 (河野啓一)
○今日の俳句
卯の花の白きを門に置きし家/河野啓一
卯の花の白さを門に配しているのがいい感覚だ。「置きし」は、画を描いているような、絵具を置くような、詠み方で、光景を絵画的にしている。(高橋正子)
○紫陽花(あじさい)
[アジサイ 墨田の花火/東京・関口芭蕉庵]
★紫陽花や藪を小庭の別座敷/松尾芭蕉
★紫陽花の末一色となりにけり/小林一茶
★紫陽花の花に日を経る湯治かな/高浜虚子
★紫陽花や水辺の夕餉早きかな/水原秋櫻子
★紫陽花や白よりいでし浅みどり/渡辺水巴
★紫陽花の醸せる暗さよりの雨/桂信子
★大輪の紫陽花に葉の大きさよ/稲畑汀子
★里山の結界なせる濃紫陽花/宮津昭彦
★あじさゐや生き残るもの喪に服し/鈴木真砂女
★誓子旧居紺あぢさゐに迎へられ/品川鈴子
★紫陽花の花あるうちを刈られけり/島谷征良
★あぢさゐに触れて鋏のくもりけり/高田正子
紫陽花(アジサイ、学名: Hydrangea、アジサイ科アジサイ属の植物の総称である。学名は「水の容器」という意味で、そのまま「ヒドランジア」あるいは「ハイドランジア」ということもある。また、英語では「ハイドレインジア」と呼ぶ。開花時期は、 6月から7月15日頃。ちょうど梅雨時期と重なる。日本原産。色がついているのは「萼(がく)」で、花はその中の小さな点のような部分。しかしやはり萼が目立つ。紫、ピンク、青、白などいろいろあり。花の色は土が酸性かアルカリ性かによっても。また、花の色は、土によるのではなく遺伝的に決まっている、という説もある。
★妻の浴衣あじさい白く染め抜かれ/高橋信之
★あじさいに七曜またも巡りくる/高橋正子
コメント
お礼
正子先生
「卯の花」の句を今日の俳句に引用していただき有難い句評も頂戴しまして、厚くお礼申し上げます。
観賞
★葉桜に夜も残れる空の紺 正子
美しく広がった葉桜のうす緑と、暮れなずむ初夏の夜空の深い紺色とが溶け合って独特の色彩の世界を描いている、との句意かと存じます。色ばかりでなく爽やかな夜風も感じられるように思いました。