10月27日(土)

★秋水湧く波紋をそのまま手にすくう  正子
空も水も澄んで見える秋です。こんこんと湧き出る泉に出会われたのでしょう。波紋をなして広がる秋水をそのまま手にすくえば、その冷たさと透明感に身も心も清められるようです。(小川和子)

○今日の俳句
うろこ雲球根あまた植えし目に/小川和子
「球根植う」は、歳時記では春の季語。ダリヤやグラジオラスなど夏咲く花の球根を指すが、最近は、秋植えのチューリップなどの球根になじみが深い。この句では、「うろこ雲」が主題。球根を植えた秋の日のうららかさが気持ちよい。(高橋正子)

○野竹(のだけ)

[野竹の花/東京白金台・国立自然教育園]_[野竹の花後/東京白金台・国立自然教育園]

★野竹美し花後の実の膨らみつつ/高橋信之
★野竹野に美しき実を散らばせる/高橋信之
★九月の茂り野竹の花の色まぎる/高橋正子

 野竹というのを、今年の九月に四季の森公園で見るまで、名前も、もちろん花も知らなかった。九月に里山の茂りの中に濃い赤紫色の複散形花序の花を咲かせているのを初めて見た。なぜ「竹」の字が入るのだろうと思い茎を見ると、確かに茎が竹の節のようになっている。それで、「野竹」なのだ。花の後は、子房がロココ調のような美しい薄青色になる。花よりも花の後が美しい。

ノダケ(野竹、学名:Angelica decursiva)はセリ科シシウド属の多年草。根は太く束状になる。茎は暗紫色を帯び、直立し、上部はわずかに分枝して、高さは80-150cmになる。葉は互生し、柄があり、ふつう3出羽状複葉または羽状複葉になり、小葉や裂片は長卵形、楕円形、長楕円形で、縁には軟骨質で硬い鋸歯があり、葉の裏側は白色を帯びる。頂小葉の基部は葉柄に流れて翼になり、葉柄の下部は袋状にふくらむ。花期は9-11月。茎頂か、分枝した先端に暗赤色の複散形花序をつける。花は5弁花で、花弁は暗紫色まれに白色で、萼歯片はない。 果実は長さ4-6mmの平たい広楕円形になる。分果の背隆条は脈状、側隆条は広い翼状になり、油管は表面側の各背溝下に1-4個、分果が接しあう合生面に4-6個ある。果実にはカレー粉に似た香りがある。日本では、本州、四国、九州に分布し、山野に生育する。世界では朝鮮、ウスリー、中国、インドシナに分布する。なお、多くの図鑑などでは、分布は「本州(関東地方以西)」とあるが、東北地方でも分布が確認されている。

◇生活する花たち「白式部・南天・かりん」(横浜日吉本町)


コメント

  1. 小川和子
    2012年10月27日 10:49

    お礼.コメント
    正子先生の俳句日記に「うろこ雲」の句をとり上げて頂きまして有難うございます。今年もチューリップの球根を植える頃となりました。うろこ雲がきれいな季節です。

    ★秋水湧く波紋をそのまま手にすくう 正子
    空も水も澄んで見える秋です。こんこんと湧き出る泉に出会われたのでしょう。波紋をなして広がる秋水をそのまま手にすくえば、その冷たさと透明感に身も心も清められるようです。