■2020年7月月例ネット句会■
■入賞発表/2020年7月12日
【金賞】
11.四肢伸ばす風よく通る夏座敷/多田有花
すっきりと曇りのない快い俳句。風がよくとおる座敷は、夏には何よりも嬉しいところ。四肢を伸ばし、全身を伸ばせば、心身ともにくつろげる。自然の風にくつろげる夏座敷は、日本の良さ。(高橋正子)
【銀賞/2句】
39.桔梗のまず縦に割れひらきそむ/川名ますみ
観察がユニークで端正な句。典雅な楽曲を分析したような印象を受ける。作者は今、闘病中のピアニストだが、曲を弾く前には、楽曲を分析されるのであろうか。そんなことを思った。(高橋正子)
40.鮎ふっくら焼けて塩味清々し/髙橋句美子
「ふっくら焼けて」の「ふっくら」に作者らしさが見える。塩を打って焼かれた鮎は、遠火でふっくらと焼かれて、塩味がほどよく、口にすがすがしい。香魚と言われる鮎の塩焼きである。(高橋正子)
【銅賞/3句】
32.雨水の滝なす峠合歓の花/柳原美知子
合歓の花が咲くころは、梅雨も末期になり、雨水も峠に滝となって落ちる。優しい合歓の花を煽るかのような荒々しい滝が対比され、景色がリアルになった。(高橋正子)
18,しそを摘む雨にぬれてる手でつまみ/祝 恵子
しその葉がやわらkに育つころは、梅雨の最中。自然、しそを摘む手も雨に濡れている。しそも、摘む人も濡れて、水に潤う日本の生活がよく詠まれている。(髙橋正子)
25.カサブランカの白へまっすぐ朝陽差す/古田敬二
芳香を放つ大きな百合のカサブランカ。まっ白なカサブランカは存在感もたっぷり。朝陽は迷いもなく、白いカサブランカへ差す。カサブランカは、日本の山百合から作られた花と聞く。(高橋正子)
【高橋信之特選/7句】
11.四肢伸ばす風よく通る夏座敷/多田有花
日毎に暑さが募り籐蓆を敷き、葭戸を入れ、縁側には青簾を掛け、籐椅子も置き、夏暖簾に架け替え、ようやく夏座敷を設え終えました。戸をあけ放てば風も良く通り、仰のけになって四肢を伸ばします。夏用に建てられた日本家屋の醍醐味ですね。 (桑本栄太郎)
風がよく通るだけで気持ちの良い夏の座敷。自然の素晴らしさのひとこまです。 (高橋秀之)
25.カサブランカの白へまっすぐ朝陽差す/古田敬二
明るいカサブランカが清々しいです。 (髙橋句美子)
33.雨雫手に受け今朝のトマト摘む/柳原美知子
雨上がりの朝なんでしょう。トマトを摘もうとすると雨雫も手の中に受けてしまう。朝の天気の良さとトマトの瑞々しさが合わさって伝わってきます。 (高橋秀之)
40.鮎ふっくら焼けて塩味清々し/髙橋句美子
串刺しにして炭火で焼かれた鮎の香りが漂ってきそうです。熱々をそのまま頬張ればぱりっとした鮎の皮とそこに打たれた塩の味が口の中に広がります。(多田有花)
五感を豊かに働かせ見事に鮎を詠みあげていると思う。作者の清々しい日常が匂う。 (吉田晃)
夏の風物は鮎が一番。尾びれに化粧塩を付けてふっくら焼きあがった鮎。頭からかぶりつく鮎はほろ苦く何とも言えぬ味である。 (古田敬二)
15.休日の港に一艘ヨットくる/高橋秀之
18,しそを摘む雨にぬれてる手でつまみ/祝 恵子
39.桔梗のまず縦に割れひらきそむ/川名ますみ
【高橋正子特選/7句】
20.細道へ揚羽を誘う朝の風/西村友宏
細道を抜けると田や畑に出るのかも。風が誘って連れて行ってくれてるのでしょうか。 (祝恵子)
11.四肢伸ばす風よく通る夏座敷/多田有花
15.休日の港に一艘ヨットくる/高橋秀之
18,しそを摘む雨にぬれてる手でつまみ/祝 恵子
32.雨水の滝なす峠合歓の花/柳原美知子
33.雨雫手に受け今朝のトマト摘む/柳原美知子
40.鮎ふっくら焼けて塩味清々し/髙橋句美子
【入選/14句】
02.浮雲もまた旅人や心太/小口泰與
夏空に流れゆく浮雲をながめ、無心に心太を食べる旅にあるような涼し気な境地が思われます。 (柳原美知子)
07.荒梅雨や底の抜けたる天の闇/桑本栄太郎
最近の九州、岐阜、長野の豪雨を、底の抜けたる天と表現したのが上手い。(廣田洋一)
08.いさり火の隠岐の闇へと夏ともし/桑本栄太郎
故郷の海岸から沖をご覧になったら、漁火が見えたのですね。沖には壱岐があります。日本海の海の暗さと波の音、沖にきらめく漁火、大きな景色を感じます。 (多田有花)
14.伊賀上野梅雨の晴れ間の芭蕉館/高橋秀之
鉄道に乗って出かけられるのがご趣味です。梅雨の晴れ間のお休みの一日、伊賀上野までお出かけになったのでしょう。地名がよく生きています。 (多田有花)
16.ひまわりや学童保育の子等帰る/祝 恵子
学童保育の子らが帰る様子を見守るように大きなひまわりが咲いている清々しい夏の光景が思い浮かびます。 (高橋秀之)
27.雨あとのよく伸びている草むしり/古田敬二
雨の後は草もよく伸びてくるのも自然を感じる瞬間です。そんな草むしりは大変でもあり自然に触れるひとこまでもあります。 (高橋秀之)
37.泰山木咲けばひかりの弾けたり/川名ますみ
大きな白いタイサンボクの花が弾けると、それはそのまま光が弾けたようです。ある種の驚きをもって花を見つめておられる様子がわかります。 (多田有花)
04.漁師らの喜々たる声やかつお船/吉田 晃
05.高階へ影のぼりゆく梅雨の月/吉田 晃
10.降る音に取り囲まれて梅雨深し/多田有花
13.蝉の声近くに在宅勤務の朝/高橋秀之
29.若き日の友の夢見る夏の夜/廣田洋一
30.溜池の雨音激し蓮の花/ 廣田洋一
31.波音へ昼顔ひらく白砂踏む/柳原美知子
■選者詠/高橋信之
22.鶏の朝の一声夏休み
23.夏休み窓の遠くに野が拡がり
24.六月の朝さわやかに陽が昇る
■選者詠/高橋正子
34.緑陰に水のごとくに日の斑
明るい初夏の日射しの中の緑したたる木立の陰。木陰に織りなす木漏れ日の縞が水の流れのごとくに美しい。素敵な句ですね。(小口泰與)
35.向日葵を人のごとくに風雨打つ
36.初蝉は何蝉の声短すぎ
■互選高点句
●最高点(7点)
40.鮎ふっくら焼けて塩味清々し/髙橋句美子
※コメントのない句にコメントをお願いいたします。
コメント
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16.ひまわりや学童保育の子等帰る/祝 恵子
学童保育の子らが帰る様子を見守るように大きなひまわりが咲いている
清々しい夏の光景が思い浮かびます。
27.雨あとのよく伸びている草むしり/古田敬二
雨の後は草もよく伸びてくるのも自然を感じる瞬間です。
そんな草むしりは大変でもあり自然に触れるひとこまでもあります。
33.雨雫手に受け今朝のトマト摘む/柳原美知子
雨上がりの朝なんでしょう。トマトを摘もうとすると雨雫も手の中に受けてしまう。
朝の天気の良さとトマトの瑞々しさが合わさって伝わってきます。
コメント
08.いさり火の隠岐の闇へと夏ともし/桑本栄太郎
故郷の海岸から沖をご覧になったら、漁火が見えたのですね。
沖には壱岐があります。日本海の海の暗さと波の音、沖にきらめく漁火、
大きな景色を感じます。
14.伊賀上野梅雨の晴れ間の芭蕉館/高橋秀之
鉄道に乗って出かけられるのがご趣味です。
梅雨の晴れ間のお休みの一日、伊賀上野までお出かけになったのでしょう。
地名がよく生きています。
37.泰山木咲けばひかりの弾けたり/川名ますみ
大きな白いタイサンボクの花が弾けると、それはそのまま光が弾けたようです。
ある種の驚きをもって花を見つめておられる様子がわかります。
お礼
信之先生、正子先生
7月月例句会を開催いただきありがとうございました。
「四肢伸ばす風よく通る夏座敷」を金賞および両先生の特選7句にお選びいただきありがとうございます。
桑本栄太郎さま、 高橋秀之さまには選とコメントを、
祝恵子さま、古田敬二さまには選を頂戴し、誠にありがとうございました。
「降る音に取り囲まれて梅雨深し」を入選句にお選びいただきありがとうございます。
小口泰與さま、 吉田晃さまには選をいただきありがとうございました。
Unknown
信之先生、正子先生,7月月例句会を開催いただきありがとうございました。友人の葬儀等でお礼が遅くなり申し訳ありませんでした。カサブランカの句を銅賞にお取り上げ頂きありがとうございました。カサブランカは5鉢と地植えで3本咲かせています。句美子さん、カサブランカに選をいただきありがとうございました。有花さん、季之さん、洋一さん、選をありがとうございました。
お礼
高橋信之先生、正子先生、7月月例ネット句会の開催をありがとうございました。
信之先生、正子先生に「しそ」を特選に、また銅賞にお選び頂き、素敵な句評をありがとうございました。入選に「ひまわり」をありがとうございました。
「ひまわり」に多田有花様、「しそ」に高橋秀之様、吉田晃様、髙橋句美子様、選をありがとうございました。
高橋秀之様さまには「ひまわり」にコメントを頂きありがとうございました。
吉田晃様、よろしくお願いいたします。
御礼
高橋信之先生、正子先生
7月月例ネット句会を開催して頂き有難う御座いました。「心太」の句を入選句にお取り上げ頂き有難う御座いました。今後とも宜しくご指導のほどお願い申し上げます。
柳原様には「心太」の句に選とコメントを頂き有難う御座いました。大変嬉しいです。
御礼
高橋信之先生、正子先生
7月月例ネット句会を開催頂き、大変有難う御座います!!。
「荒梅雨や底の抜けたる天の闇」、「いさり火の隠岐の闇へと夏ともし」の二句を入選句にお選び頂き、大変有難う御座います。
「荒梅雨」の句に廣田様には選とコメントを、小口様、柳原さまには貴重なる選を頂き大変有難う御座います。
又「夏ともし」の句に吉田さまには貴重な選を頂き、大変有難う御座います。
お礼
信之先生、正子先生、7月月例ネット句会を開催いただき、ありがとうございました。
「合歓の花」の句に銅賞および正子先生の特選とご句評をいただき、大変うれしく感謝申しあげます。
「トマト」の句にも両先生の特選、「昼顔」の句も入選にお加えいただき、ありがとうございました。
「合歓の花」に小口泰與様、桑本栄太郎様、「昼顔」に高橋句美子様、「トマト」に祝恵子様の選を、高橋秀之様には温かいコメントをいただき、ありがとうございました。
お礼
信之先生、正子先生、花冠の皆さま、月例ネット句会に加えて頂きましてありがとうございます。
皆さまの御句、選句、コメントを拝読し、俳句の美しさを感じることができました。怠けておりましてお恥ずかしいですが、おかげ様で、わくわくしております。
拙句「桔梗のまず縦に割れひらきそむ」に、銀賞と信之先生特選、正子先生のご講評、句美子さまの選を賜りまして、嬉しゅうございます。
ご近所の方から桔梗の鉢植えをお借りし、間近に観察する機会を得ました。
ぷっくりと膨らんだ桔梗の蕾が、割れてひらく瞬間に出逢いました。蕾の縦の切れ目が割れ、桔梗の花の形になる様を、息を呑んで見つめました。
演奏と楽曲分析につきましても、息を呑むコメントを頂き、ありがとうございました。
学生時代、演奏は即ち楽曲分析、と習いました。楽譜を分析した結果を音にあわらすのが演奏だと。和声や対位法等、多くのアナリーゼを教わりました。俳句にそれが生きれば、ご恩返しになりますね。目標ができました。
お礼
「ひかり降り泰山木の花に散る」に晃さまの選、「泰山木咲けばひかりの弾けたり」には美知子さまの選、有花さまのコメントを頂きまして、ありがとうございました。病院への道に、大きな泰山木の木があります。花をつけると陽射しも眩しく映え、目に飛び込んできます。まさに驚きつつ見ております。