■１１月ネット句会■
■入賞発表/2014年11月12日■
【金賞】
★清純な空の青さに小鳥来る/井上治代
「小鳥来る」ころの空の青さを「清純」と感じたのはユニーク。小鳥のかわいらしさがそう感じさせたのか。清新な青空を渡って来た小鳥が愛おしい。（高橋正子）
【銀賞２句】
★錦秋の雑木もみじに風どっと/小川和子
「風どっと」が生きている。雑木もみじの様々な色を吹き、揺るがせる風の大いなること。読めば、読み手をも風が大きく包んでくれるような気持になれる。（高橋正子）
★頂きし小さき種はハンカチに/祝恵子
植物の好きな近所の人と立話をしていて種をもらったのだろう。小さいので、ハンカチを取り出して、ハンカチに包んだ。気持が優しく、可愛らしささえある仕草。（高橋正子）
【銅賞３句】
★いきいきと立冬の朝の挨拶を/迫田和代
大変、はきはきとした句。立冬の朝を迎え、きびきびとした冬が来て、なんだか嬉しくなっている。朝の挨拶もいきいきと気持よく交わされる。（高橋正子）
★軒下に光集める吊るし柿/古田敬二
軒下の吊るし柿は、簾のようになって、暗かった軒下が柿の色で明るくなる。青空の日が当たると、まさに光を集めて輝くのだ。（高橋正子）
★初冬のメロディー報らす湯張りかな/桑本栄太郎
初冬のころは温かい風呂が恋しい。バスタブに湯が適量張られると、音楽で報せてくれる器具がある。「お風呂が沸いたよ」という、そのメロディーが何とも楽しい。（高橋正子）
【高橋信之特選/８句】
★初冬のメロディー報らす湯張りかな/桑本栄太郎
お風呂の湧きあがりを軽快なメロディーに知る現代の暮らし。寒さに向かいますが、「初冬の」の季語もよく効いて冬の日もあたたかです。 (小川和子)
★軒下に光集める吊るし柿/古田敬二
山里の吊るし柿ほど、澄んだ青空に似合うものはないと思います。あの明かるさに出会う度、しばし呆然と立ち尽くしてしまいます。光集めるという表現は、その輝かしさを見事に言い切っていらっしゃるように思います。 (福田ひろし)
★りんどうの一輪がよく陽にあたる/高橋句美子
清楚かつくっきりと力強いリンドウがいっぱいに陽を受けている。リンドウは地の恵みであり陽は天からの賜りものだ。 (小西 宏)
★日当たりの朝餉嬉しく冬に入る/桑本栄太郎
「冬に入る」季節となれば、「朝餉」の刻の日差しは、室内の奥へと伸びて、「日当たり」のいい「朝餉」となる。家族の会話も嬉しく、楽しい「朝餉」だ。季語「冬に入る」が生活と深く結びついて、いい生活句となった。（高橋信之）
★いきいきと立冬の朝の挨拶を/迫田和代
★頂きし小さき種はハンカチに/祝恵子
★清純な空の青さに小鳥来る/井上治代
★錦秋の雑木もみじに風どっと/小川和子
【高橋正子特選/８句】
★枯れてゆくさまの残菊薫りけり/小川和子
盛りの菊の薫りは勿論ですが、枯れてゆく菊にも薫りが残っている。花の生命力を思います。 (祝恵子)
★箱買いのみかんを荷台に自転車漕ぐ/高橋秀之
冬に入り、食後にお八つにいつも手元にあれば食べるみかんです。箱ごと買って持ち帰れば、子供たちの喜ぶ顔が目に浮かぶ事でしょう。 (桑本栄太郎)
冬になって、いよいよ蜜柑のシーズン。ご家族のために箱ごと買って、自転車の荷台に乗せ家へ持ち帰る。待ちわびるご家族の方々の笑顔も楽しく思い浮かべられます。 (小西 宏)
家族のための箱買いしたみかん。喜ぶ皆の姿を思いながらの、楽しい自転車での帰りです。 (祝恵子)
★いきいきと立冬の朝の挨拶を/迫田和代
★頂きし小さき種はハンカチに/祝恵子
★秋高し心が先に歩き出す/高橋信之
★軒下に光集める吊るし柿/古田敬二
★清純な空の青さに小鳥来る/井上治代
★錦秋の雑木もみじに風どっと/小川和子
【入選/９句】
★小雨のち晴れの週末おでんの香/福田ひろし
立冬ともなると晴れていても暖かくはない。まして雨が降ったあとは・・・ そんな夕餉におでんは嬉しい。 作っている時からするあの独特匂いのが堪らない。(内山富佐子)
★秋深む終着駅の箱根から/高橋句美子
晩秋、秋の気配が濃く趣が深まった小田急の終点箱根に着いて、まずはゆっくり温泉に入って英気を養ってから紅葉見学でも、と考えている作者。素晴らしい日をお過ごしになるのでしょう。 (小口泰與)
小田急線箱根行きの電車に乗り終着駅に着いてみれば、辺りはすっかり錦秋の光景である・・・。さてこれから、散策の始まりを・・とも想われ、上・中・下のそれぞれの語句から深まりゆく秋の光景へと、作者の心が動き行く様子が窺がえ素晴らしい。終着駅との措辞が効いている。(桑本栄太郎)
★土手を歩く小春の風と陽をまとい/小川和子
小春日の清々しい季節感を感じながら土手道を歩くのは、とても気持ちの良いことでしょう。 (高橋秀之)
★池の面の黄のさ揺らぐや石蕗の花/佃 康水
水辺に好んで群生する石蕗の花ですが、その黄色い花が池の面に映って頼りなげに風にゆれている。初冬の穏やかで優美な詠みが魅力です。「さゆらぐ」がいいですね。 (河野啓一 )
（故郷の山・妙高山を読む）
★立冬や妙高山の仁王立ち/ 内山富佐子
立冬を迎える頃は日の光も急に弱まり日脚も短く寒さのつのる厳しい季節になって参ります。立冬と百名山の一つ妙高山の仁王立ちとの取り合わせにより寒さに向かう一層の緊張感を感じさせ、大自然の中の堂々とした景が見えて参ります。 (佃 康水)
★雑木黄葉の窪地に鳥の声満つる/小西 宏
初冬となり、殆どの樹木が錦秋の光景です。窪地（谷地？）の中であってもそこだけは限られた明るい別天地となり、鳥達がが元気に謳歌している。 (桑本栄太郎)
★初冬のマルシェに求むフランスパン/河野啓一
晩秋から初冬になっても、日々の生活は淡々としていて変わらない。しかし、硬目のフランスパンは初冬に相応しいかも知れず、それをマルシェに求め袋からはみ出させて帰る光景は、如何にも洒落た感性である。 (桑本栄太郎)
★萩の寺に句碑見に行かん今朝の冬/矢野文彦
萩の花がまだ残っているかもしれない寺の句碑を見にきたくなった初冬の朝の作者。句碑がある萩寺と言えば、私にも懐かしい寺でもあります。 (祝恵子)
★冬ばらのみず枝をつつむ朝日かな/小口泰與
薔薇を大切に育てておられる泰與さん。薔薇の茎から、紅の柔らかなみず枝がすっと伸び、朝日が暖かく包んでいる。薔薇への細やかな愛情が感じられる。（高橋正子）
■選者詠/高橋信之
★秋高し心が先に歩き出す
晴れ渡った秋の空の下へ出かけようとする時、足より先に心が歩きだすという。心の充実感があふれだしそうにいきいきとした句。(古田敬二)
理屈でなく、言葉もなく、ただただ心と体が一緒になって歩き出す。そんな、高く澄んで大らかな秋空だったのだ。 (小西 宏)
★台風来つつありパソコン画面の緊張
★台風の眼がある今日のパソコンに
■選者詠/高橋正子
★冬はじめ一人紅茶の湯気たのしむ
まだ浅い冬のひと日にあるとは、どのようなことだろうか。とりたてての感慨があるわけではない。ただゆったりとした時の流れ。ほんの少し、冷めた空気を間接的に感じることがあるだけ。 (小西 宏)
★温室のブーベンビリアの楽園へ
大船フラワーセンターの句。「冬はじめ」の季節であったが、室外の季節とは違った冬の「温室」で、南の楽園を思わせるブーベンビリアが色とりどりの花を咲かせていた。（高橋信之）
★山茶花の花はたとえば二年生
■互選高点句
●最高点（６点）
★軒下に光集める吊るし柿/古田敬二
※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
（集計/藤田洋子）
※コメントのない句にコメントをお願いします。
コメント
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★箱買いのみかんを荷台に自転車漕ぐ/高橋秀之
冬に入り、食後にお八つにいつも手元にあれば食べるみかんです。箱ごと買って持ち帰れば、子供たちの喜ぶ顔が目に浮かぶ事でしょう。
★雑木黄葉の窪地に鳥の声満つる/小西 宏
初冬となり、殆どの樹木が錦秋の光景です。窪地（谷地？）の中であってもそこだけは限られた明るい別天地となり、鳥達がが元気に謳歌している。
★初冬のマルシェに求むフランスパン/河野啓一
晩秋から初冬になっても、日々の生活は淡々としていて変わらない。しかし、硬目のフランスパンは初冬に相応しいかも知れず、それをマルシェに求め袋からはみ出させて帰る光景は、如何にも洒落た感性である。
コメント
★箱買いのみかんを荷台に自転車漕ぐ/高橋秀之
冬になって、いよいよ蜜柑のシーズン。ご家族のために箱ごと買って、自転車の荷台に乗せ家へ持ち帰る。待ちわびるご家族の方々の笑顔も楽しく思い浮かべられます。
★秋高し心が先に歩き出す/高橋信之
理屈でなく、言葉もなく、ただただ心と体が一緒になって歩き出す。そんな、高く澄んで大らかな秋空だったのだ。
★りんどうの一輪がよく陽にあたる/高橋句美子
清楚かつくっきりと力強いリンドウがいっぱいに陽を受けている。リンドウは地の恵みであり陽は天からの賜りものだ。
コメント
★箱買いのみかんを荷台に自転車漕ぐ/高橋秀之
家族のための箱買いしたみかん。喜ぶ皆の姿を思いながらの、楽しい自転車での帰りです。
★萩の寺に句碑見に行かん今朝の冬/矢野文彦
萩の花がまだ残っているかもしれない寺の句碑を見にきたくなった初冬の朝の作者。句碑がある萩寺と言えば、私にも懐かしい寺でもあります。
御礼
高橋信之先生。正子先生。藤田洋子様。
11月ネット句会の開催ありがとうございました。
萩の寺の句、入選九句にお選び頂き内山富佐子さん、福田ひろしさんには選を、祝恵子さんにはコメントを頂き御礼申し上げます。
落葉舞うの句に選を下さった河野啓一さん、内山富佐子さん御礼申し上げます。
お礼
信之先生、正子先生
１１月のネット句会有難うございました。また入選に「妙高山」の句をお選びくださって有難うございました。
小口泰興様、福田ひろし様 佃康水様、「妙高山」の句をお選びくださって有難うございました。佃様には素晴らしいコメントには感動いたしました。
また祝恵子様には銀杏黄葉の句をお選びくださって有難うございました。
お礼
信之先生、正子先生
11月ネット句会を開催して頂きましてありがとうございます。「小鳥来る」の句を金賞、信之先生特選、正子先生特選にお選び頂きましてとても嬉しく感謝致します。正子先生には味わいのある句評を頂きましてありがとうございます。同句に小川和子様の選を、「いけばな展」の句に内山富佐子様の選を頂きましてありがとうございます。昨日風邪ぎみで薬を飲んで寝てしまい、選句が出来ず申し訳ありません。藤田洋子様、集計のお世話いつもありがとうございます。
お礼
信之先生、正子先生、11月ネット句会を開催して頂きましてありがとうございます。句会では、「錦秋の雑木もみじ」の句に両先生の特選、そして銀賞にお選びくださいましてお礼申し上げます。正子先生には、同句に貴重なご講評を頂きました。河野啓一様には選を頂きありがとうございます。又、「残菊薫りけり」の句を正子先生の特選にお選び頂きありがとうございました。同句に佃康水様、祝恵子様、古田敬二様、選を、恵子様にはうれしいコメントを添えて頂きありがとうございます。
入選句の「小春」の句には高橋秀之様の選とコメントを頂きうれしい句会となりました。皆様ありがとうございました。
お礼
高橋信之先生、高橋正子先生
いつもネット句会をご開催くださり、たいへんありがとうございます。また「雑木黄葉の窪地に鳥の声満つる」を【入選/９句】にお加えくださり、たいへん嬉しく思っております。
桑本栄太郎さま
嬉しい句評をお添え下さり、たいへんありがとうございました。
お礼
高橋信之先生、高橋正子先生
11月ネット句会を開催いただき、ありがとうございます。
また、高橋正子特選/８句に「箱買いのみかんを荷台に自転車漕ぐ」の句をお選びいただきありがとうございました。
同句に選とコメントを゜いただきました小西宏さま、コメントをいただきました桑本栄太郎さま、祝恵子さま、「齧りかけの林檎がひとつ皿の上」の句に選をいただきました祝恵子さま、ありがとうございました。
藤田洋子さま、集計のお世話いつもありがとうございました。
お礼
信之先生
正子先生
１１月ネット句会をお開きいただき有難うございました。そのうえ 銅賞 両先生の特選句 にお選びいただけるなんて嬉しがり屋の私です。有難うございました。 選句出来ませんで申し訳なく思っております。実のところ翌日の１番目に歯医者の予約で、選句をあきらめたのです。失礼致しました。
高橋 秀之様
立冬の句をお選びいただき有難うございました。
藤田 洋子様
何時もお世話様です。
御礼
高橋信之先生、正子先生
11月ネット句会を開催頂き、大変有難うござます。
句友の皆さまの晩秋から初冬の光景を各地からお届け頂き、大変楽しむ事が出来ました。
「初冬のメロディー報らす湯張りかな」の句を図らずも銅賞にお選び頂き、正子先生の嬉しいご句評も添えて頂き大変有難うございます。又、小川和子様には同句をお選び頂き、素敵なコメントも頂戴しました事、大変有難うございます。
更に「日当たりの朝餉嬉しく冬に入る」の句を信之先生には特選句にお選び頂き、大変有難うございます。河野啓一様、古田敬二様には貴重なる選を頂戴しまして大変有難うございます。
上記二句は、日中はともかく日々に朝晩が冷え込んで来る今日、暖房を入れる程ではなくても暖かい日差し、温かいお風呂が恋しくなる今の時季を詠んでみました。
藤田洋子様にはいつも集計の労をお取り頂き、大変有難うございます。感謝致しております。
お礼
信之先生、正子先生、１１月ネット句会の開催をありがとうございます。
「小さき種」を銀賞にお取りいただき、信之先生、正子先生の特選を頂きまして大変ありがとうございます。
高橋秀之様、「銀杏並木」に貴重な選を頂きましてありがとうございます。
藤田洋子様、いつもお世話になりありがとうございます。
御礼
高橋信之先生 高橋正子先生
１１月ネット句会の開催をありがとうございます。また入選９句に「池の面の黄のさ揺らぐや石蕗の花」をお選び頂きまして有難うございます。
河野啓二様には同句に素晴らしいまた嬉しいお言葉を頂き誠に有難うございます。市内の庭園の池の周囲に沢山咲かせていますが、回遊を誘う様に水面が明るく揺れています。高橋秀行様 貴重な選を誠に有難うございます。
内山富佐子様 祝恵子様 小西宏 様 古田啓二様 「今朝の冬」に貴重な選を頂き有難うございます。
藤田洋子様 何時も、お世話になり有難うございます。感謝申し上げます。
お礼
高橋信之先生、正子先生
11月ネット句会を開催頂き、大変有難うござました。「初冬のマルシェ」を入選句にお加えいただき有り難うございました。同句に選と嬉しいコメントを下さいました古田さま、桑本さまに感謝申し上げます。
藤田さま、いつもお世話になり有り難うございます。