■7月月例ネット句会入賞発表■

■7月月例ネット句会入賞発表■
2023年7月10日

【金賞】
21.来ては去り去っては戻る揚羽蝶/髙橋秀之
「来てはさり去っては戻る」に揚羽蝶が飛んでいるようなリズム感がある。勢い盛んな夏の花々をゆらりと飛ぶリズム感と共に、その姿が鮮やか想像できる。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
22.露草の一花だけの青を見せ/祝 恵子
露草の季語は秋だけれど、すでに道端や草原には露草が咲きはじめている。「一花だけの青」は鮮烈な印象で、花への愛おしみが感じられる。(髙橋正子)

28.雲とれてしだいに大きく夏の富士/多田有花
今年はコロナ禍のあとの登山解禁で、外国人も、日本人も大勢の人が山頂を目指し、ご来迎を拝もうと登山したと報道で見た。富士山を覆っていた雲が晴れると、大きな夏富士の山容が目の当たりに迫って見える。登っている途中か。「しだいに大きく」に山頂へ次第に近づいていく高揚感が読み取れる。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
08.水打って空へはじける飛沫かな/弓削和人
「打水が空へはじける」がいい。若々しい涼感と言えるだろう。夏が飛沫のように輝いている。(髙橋正子)

15.にぎやかに母の友らと盆支度/川名ますみ
亡くなった人の魂を迎えるお盆は、迎える嬉しさがあって、盆支度に数人がいればお喋りがはずみ、にぎやかでさえある。母の魂を迎えて嬉しいのは娘だけでなく、その親友たちもである。(髙橋正子)

33.降り注ぐ滝音棚田に風わたる/柳原美知子
棚田は滝音が注ぐところにある。涼しい滝の音と、棚田を渡る涼風が入り交じり、佇めば、常世のような感じがしてくる。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】

11.白紫陽花手折り置かれている手水/吉田 晃
蒸し暑い日々、手水にふんわりと置かれた清楚な白紫陽花は涼し気で、やさしい気持ちになります。緑に囲まれた手水が想像され、心配りが嬉しいひとときです。(柳原美知子)

参拝前に心身を清める手水舎に、手折られた花が置かれています。紫陽花、ことに白の紫陽花は清潔感に満ちていますから、手水の水がいっそう涼やかに感じられたでしょう。心遣いが嬉しいですね。 (川名ますみ)

21.来ては去り去っては戻る揚羽蝶/髙橋秀之
気温もあがり万物みどりとなし、あらゆる花の咲く夏となりました。揚羽蝶の行ったり戻ったりの優雅に舞う光景が、俗世の憂さを忘れさせてくれます。 (桑本栄太郎)
黄色い地に黒い筋模様を持つ揚羽蝶が人なっこく来ては去り又来る景が素敵ですね。 (小口泰與)
37.夏帽子さらりと洗われ色淡く/髙橋句美子
夏帽子は季節柄淡い色が多い。そして、洗うとその淡い色がより淡く感じる。これも夏の一つの不思議かもしれません。(高橋秀之)

08.水打って空へはじける飛沫かな/弓削和人

15.にぎやかに母の友らと盆支度/川名ますみ
22.露草の一花だけの青を見せ/祝 恵子
28.雲とれてしだいに大きく夏の富士/多田有花

【髙橋句美子特選/7句】
02.植込みのつつつと伸びる青すすき/桑本栄太郎
青すすきがいつの間にか伸びていく情景を、゛つつつ゛と表現されていることで、植物の成長スピードが人間や動物のように、意志を持って、生きようとする夏らしい句かと思います。 (弓削和人)


33.降り注ぐ滝音棚田に風わたる/柳原美知子
滝と棚田、風に吹かれる青田のさざ波、いい風景です。(祝恵子)

34.伸びをしてプール開きのチャイム待つ/西村友宏
プールで泳ぎたい気持ちを抑えながら待っている様子が想像できます。伸びをして、という言葉がゆったりとした夏を感じます。(髙橋句美子)

10.花蜜柑ゆっくり過ぎる蝶の時間/吉田 晃
22.露草の一花だけの青を見せ/祝 恵子
26.ふりあおぐ合歓よ真青き空の花/髙橋正子
28.雲とれてしだいに大きく夏の富士/多田有花

【入選/14句】

05,日を受けて枝の翡翠妙なるよ/小口泰與
色彩が目に浮かぶ鮮やかな一句。明るい陽射しとそれに映える鮮やかなカワセミの色。カメラマンでもある詠者の視線を感じます。 (多田有花)
07.あき缶の口に滲み入る岩清水/弓削和人
岩清水がじわじわと湧き出る万緑の谷の景の中、小さなあき缶に滲みいる清水の冷たさが清冽に感じられます。岩清水とのうれしい出合いですね。(柳原美知子)

13.地域猫見上げる先に七夕笹/川名ますみ
風をよく感じ、揺れている七夕笹に反応する地域猫。猫を見守る作者と地域の人々の温かい気持ちが伝わってきます。(柳原美知子)
14.フラミンゴ水浴びるとき夏日揺れ/川名ますみ
 優しくてわかりやすい句ですね。フラミンゴの動きに、水がキラキラ光って零れ散る様子が想像されます。暑い夏の日差しが、「水浴びる時」「夏の日ゆれ」によって涼しく感じられます。(吉田 晃)
24.ひまわりに話しかけてる今日は晴れ/祝 恵子
朝いちばんの「おはよう」なんだろうと想像して読みました。気持ちよい晴れの朝、背丈ほどあろうかという向日葵に話しかける様子は清々しい1日のスタートです。(高橋秀之)

30.国籍あまた夏富士の頂へ/多田有花
新型コロナウィルス感染症の行動規制も緩和され、外国の方々の訪日観光客も戻ってきました。そんな観光客は日本の象徴、富士山の頂を目指す方も多いのでしょう。日常が戻って来た一コマの光景です。(高橋秀之)
31.旧友とピッツァ分け合う薔薇の卓/柳原美知子
コロナ禍も一段落し、久しぶりに会った気の置けない友人たちと歓談。「ピッツァ分け合う」に間柄の親しさが現れています。 薔薇を飾ったテーブルで、思い存分話すのは何よりの喜びです。 (多田有花)
32.雨上がり空みずいろに立葵/柳原美知子
雨上りに色鮮やかに咲く立葵と爽やかな空の青さが素敵な夏の訪れを感じさせます。 (西村友宏)
35.冷房のような夜風に沢音も/西村友宏
避暑地でのひとときでしょうか。山間の宿では肌寒いほどの夜風です。都会を抜け出して渓流のそばで過ごすひととき、涼しさ満載です。 (多田有花)

01.初蝉と想いくすぐる耳の奥/桑本栄太郎
09.雨に似て水輪のひとつ糸蜻蛉/弓削和人
12.自転車の少女は風に立葵/吉田 晃
18.梅雨の蝶庭の草花巡りたり/廣田洋一
19.一輪の向日葵に差す陽は東/髙橋秀之

■選者詠/髙橋正子
25.山百合の花の大きく倒れ咲く
山百合は、真横になる程倒れても花は咲き続ける。それほど生命力が強いのを上手く詠んだ。 (廣田洋一)
山百合は野生の花とは思えないほど見事な花を咲かせます。これをもとに多くの園芸品種が作られています。梅雨の後半を彩る花であり細かな雨に濡れて咲いているのもいいものです。 (多田有花)

26.ふりあおぐ合歓よ真青き空の花
薄桃色の花弁の細い花が青空いっぱいに広がっている。子どもの頃に海を望む岬の道で見た光景である。青空に溶け込んでしまいそうな質素で優しい花だが見ていて飽きない。「真青き空の花」の表現がぴったり当てはまったところに、この句の魅力を感じた。その花に呼びかけている正子先生の心の内を推し量る術はないが、この句を見た時、「真青き空の花」になったそこに、信之先生の笑顔を思い浮かべたのである。信之先生には「あきらさん、深読みは陳腐になりますよ」とご指導を受けたが、敢えてコメントをさせていただいた。(吉田晃)

27.暑き日の水騒がせてかいつぶり

■選者詠/髙橋句美子

37.夏帽子さらりと洗われ色淡く
夏帽子は季節柄淡い色が多い。そして、洗うとその淡い色がより淡く感じる。これも夏の一つの不思議かもしれません。(高橋秀之)

38.採れたての桃の硬さに音がする
たまたま昨日実家で母にもらった桃がこんな感じでした。採れたては、ほんと瑞々しさがあり、硬さがあります。(高橋秀之)
39.朝採れのいんげん豆の青の濃さ

■互選高点句
●最高点句(6点)
21.来ては去り去っては戻る揚羽蝶/髙橋秀之
集計:髙橋正子


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コメント

  1. 吉田晃
    2023年7月10日 22:15

    コメント
    26.ふりあおぐ合歓よ真青き空の花  髙橋正子

     薄桃色の花弁の細い花が青空いっぱいに広がっている。子どもの頃に海を望む岬の道で見た光景である。青空に溶け込んでしまいそうな質素で優しい花だが見ていて飽きない。「真青き空の花」の表現がぴったり当てはまったところに、この句の魅力を感じた。その花に呼びかけている正子先生の心の内を推し量る術はないが、この句を見た時、「真青き空の花」になったそこに、信之先生の笑顔を思い浮かべたのである。信之先生には「あきらさん、深読みは陳腐になりますよ」とご指導を受けたが、敢えてコメントをさせていただいた。

  2. 高橋秀之
    2023年7月10日 22:52

    コメント
    24.ひまわりに話しかけてる今日は晴れ/祝 恵子
    朝いちばんの「おはよう」なんだろうと想像して読みました。気持ちよい晴れの朝、背丈ほどあろうかという向日葵に話しかける様子は清々しい1日のスタートです。

    30.国籍あまた夏富士の頂へ/多田有花
    新型コロナウィルス感染症の行動規制も緩和され、外国の方々の訪日観光客も戻ってきました。そんな観光客は日本の象徴、富士山の頂を目指す方も多いのでしょう。日常が戻って来た一コマの光景です。

    37.夏帽子さらりと洗われ色淡く/髙橋句美子
    夏帽子は季節柄淡い色が多い。そして、洗うとその淡い色がより淡く感じる。これも夏の一つの不思議かもしれません

  3. 多田有花
    2023年7月11日 10:50

    コメント
    05.日を受けて枝の翡翠妙なるよ/小口泰與
    色彩が目に浮かぶ鮮やかな一句。
    明るい陽射しとそれに映える鮮やかなカワセミの色。
    カメラマンでもある詠者の視線を感じます。

    31.旧友とピッツァ分け合う薔薇の卓/柳原美知子
    コロナ禍も一段落し、久しぶりに会った気の置けない友人たちと歓談。
    「ピッツァ分け合う」に間柄の親しさが現れています。
    薔薇を飾ったテーブルで、思い存分話すのは何よりの喜びです。

    35.冷房のような夜風に沢音も/西村友宏
    避暑地でのひとときでしょうか。
    山間の宿では肌寒いほどの夜風です。
    都会を抜け出して渓流のそばで過ごすひととき、涼しさ満載です。

  4. 多田有花
    2023年7月12日 20:06

    お礼
    正子先生、7月月例ネット句会を開催いただきありがとうございました。

    「雲とれてしだいに大きく夏の富士」を銀賞にお選びいただきありがとうございます。
    2002年に「水煙」で富士山に登頂したことを思い出しました。
    柳原美知子さま、 吉田晃さま、選をいただきありがとうございます。
    高橋英之さま、コメントをいただきありがとうございます。うれしく拝読いたしました。

    「国籍あまた夏富士の頂へ 」 へ小口泰與さま選をありがとうございました。
    五合目登山口は大混雑でその半分以上が外国人だったので驚きました。

  5. 祝恵子
    2023年7月12日 22:56

    お礼
    高橋正子先生、7月月例ネット句会の開催をありがとうございます。
    「露草」を銀賞に素敵な句評をありがとうございます。
    高橋秀之様、「ひまわり」に選、コメントを頂きましてありがとうございます。
    弓削和人様、高橋句美子さま、露草に選を頂きありがとうございます。

  6. 川名ますみ
    2023年7月13日 1:02

    お礼
    正子先生、7月月例ネット句会を開催くださいまして、ありがとうございました。
    句美子さま、友宏さま、お世話さまでございます。
    この度は「にぎやかに」の句に、銅賞と正子先生の特選を賜り、とても嬉しく存じます。母の高校時代からの親友が、娘さんとご一緒に、お手伝いにいらしてくださいます。盆支度も慣れたもので、お喋りをしながら楽しく過ぎました。栄太郎さま、洋一さま、恵子さま、秀之さま、選を頂き感謝申し上げます。
    「地域猫」の句に、入選と美知子さまの選、コメントを頂きまして、景色を思い出しながら、一人、笑顔になりました。地域で可愛がられている猫が、街の祭に参加しているようで、幸せな一こまでした。
    「フラミンゴ」の句には、入選と晃さまの選、ご共感のコメントを頂き、嬉しゅうございます。近所の動物公園で見たままの景色です。仰るとおり、涼しさが満ちていました。

  7. 桑本栄太郎
    2023年7月13日 18:41

    御礼
    高橋正子先生
    7月度花冠ネット句会を開催頂きまして大変有難う御座います!!。
    高橋句美子様には「植込みにつつつと伸びる青すすき」のの句を特選句にお選び頂きまして大変有難う御座います!!。又弓削様には同句に選とコメントを、西村様には貴重な選を頂戴しまして大変有難う御座います。更に小口様には「初蝉と思いくすぐる耳の奥」の句に貴重な選を頂戴しまして大変有難う御座います。

  8. 柳原美知子
    2023年7月13日 22:29

    コメント
    11.白紫陽花手折り置かれている手水/吉田 晃
    蒸し暑い日々、手水にふんわりと置かれた清楚な白紫陽花は涼し気で、やさしい気持ちになります。緑に囲まれた手水が想像され、心配りが嬉しいひとときです。

    07.あき缶の口に滲み入る岩清水/弓削和人
    岩清水がじわじわと湧き出る万緑の谷の景の中、小さなあき缶に滲みいる清水の
    冷たさが清冽に感じられます。岩清水とのうれしい出合いですね。

  9. 柳原美知子
    2023年7月13日 23:04

    お礼
    正子先生、句美子様、友宏様、お忙しい中7月月例ネット句会を開催いただき、ありがとうございました。
    「滝音」の句に銅賞と句美子様の特選、正子先生の素敵なご句評をいただき、大変うれしく感謝申しあげます。
    「白猪の滝」の湧水を汲みに行き、登り口にある「渓流公園」からの棚田の景で
    正子先生の仰るとおり常世のようでした。
    「薔薇の卓」「立葵」の句も入選句にお加えいただき、ありがとうございました。
    恵子様、友宏様、有花様、選と温かいコメントをいただき、ありがとうございました。
    晃様、選をいただきありがとうございました。

  10. 高橋秀之
    2023年7月13日 23:28

    お礼
    高橋正子先生
    7月月例ネット句会を開催いただき、ありがとうございました。
    高橋句美子さま、西村友宏さま、句会管理をお世話になりました。

    今月の金賞句に「来ては去り去っては戻る揚羽蝶」の句をお選びいただきありがとうございました。玄関横のプランターの花によく蝶々がやって来るのですがこの時は一方通行ではなく何かが気に入ったのか、何度も何度も行き来してました。

    同句にコメントをいただきました桑本栄太郎さま、小口泰與さま、
    また、選をいただきました桑本栄太郎さま、廣田洋一さま、多田有花さま、小口泰與さま、
    「一輪の向日葵に差す陽は東」の句に選をいただきました廣田洋一さま、ありがとうございました。

  11. 小口泰與
    2023年7月14日 10:14

    御礼
    高橋正子先生
    7月ネット句会を開催していただき有難う御座いました。
    高橋句美子様、西村友宏様、句会管理有難う御座います。今後ともよろしくお願い申しあげます。
    多田有花様には「翡翠」の句に選とコメントを頂き有難う御座いました。