■1月月例ネット句会入賞発表■

■1月月例ネット句会入賞発表■
2026年1月12日
【金賞】
34.雪雲の伊吹山越す厚みかな/上島祥子
伊吹山は岐阜県と滋賀県の県境に位置する1337mの山で、日本百名山に数えられる。この句は、伊吹山を越そうとする雪雲の圧倒的な厚みを詠んだ句。雪を降らせながら移動する雲は、豪雪をもたらすこともあろう。「厚みかな」で言い終え、句が読み手に開かれている。ここが共感を呼ぶところである。実感を伴った写生がリアル。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
23.藻塩振り七草あおあお粥炊ける/柳原美知子
「藻塩振り」の所作がまず美しい。それに続く七草、あおあお、粥がイメージを重ね、一句に品が生まれている。新年の伝統行事のゆかしさと、清らかさが感じられる句である。(髙橋正子)

30.白梅の咲けば川辺の明かり初む/川名ますみ
白梅が咲いたとたん、川辺は「明かり初む」のである。よい香りと上品で清らかな花の姿が、川辺を明るくさせることへの驚きがある。「咲けば」が少し説明的ではあるが、さらりと読めるので、句の疵ではない。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
09.粥炊かれ緑豊かな七種に/吉田 晃
粥が炊かれて、粥には七種が入れられる。それが「緑豊かな」粥になっているのである。その目の覚めるような緑色とその豊かさへの驚きがある。大地に燃え出す緑の豊かさが一椀の粥に込められているのだ。(髙橋正子)

31.初空や吾子と見上ぐる朝の径/西村友宏
朝の径の散歩であろう。自分の子どもと同じ視線で見上げる初空は、ひろびろと限りない。まっさらな新年の空が初々しく詠まれている。(髙橋正子)

36.振袖の一日終える寒茜/上島祥子
振袖を着た若い女性の一日が終わるころに、振袖のあでやかさを映し、またしずめるように空には茜が広がっている。一日の華やかさがしずかに着地するころである。しっとりとした豊かさのある句。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/9句】
03.七草の湯気の向こうに妻がいる/高橋秀之
七草粥の湯気のあたたかさの中、ご家庭の幸せな情景が思われ、心あたたまり安らかな気持ちになれます。
(藤田洋子)

06.窓枠に庭の土蹴る寒すずめ/土橋みよ
寒雀の「土を蹴る」という動きがかわいらしい、と同時に、寒さの中で懸命に餌を探しているその小さな脚の強さが「蹴る」という一語に集約されていて生命力を感じます。(友田修)

09.粥炊かれ緑豊かな七種に/吉田 晃
「緑豊か」という言葉に七草がゆのありがたさがにじんでいます。温かく滋養豊富な七草粥をいただかれ今年も息災を祈ります。(多田 有花)

21.幼子ら嬰児囲み松の内/藤田洋子
正月に集まる親戚一同。幼子たちも多いのでしょう。その仲間入りを果たした嬰児を囲む子供たち。お正月の松の内ならではの賑やかな光景を感じます。(高橋秀之)

23.藻塩振り七草あおあお粥炊ける/柳原美知子
七草がゆを作られた様子、さらに湯気の具合、色彩と香りと味わいまでもが感じられます。五感すべてで味う七草がゆであり、御句であります。(多田 有花)

30.白梅の咲けば川辺の明かり初む/川名ますみ
清らかな白梅の香りが漂う川辺の美しい風景が目に浮かぶようです。(土橋みよ)

31.初空や吾子と見上ぐる朝の径/西村友宏
34.雪雲の伊吹山越す厚みかな/上島祥子
36.振袖の一日終える寒茜/上島祥子

【入選/9句】
04.七日かな鏡餅搗く僧の声/土橋みよ
七日で松が明ける地方もありますね。関西の松の内は十五日までなので、地方による差を感じられます。(多田 有花)

05.丸餅の椀に溢るる初雑煮/土橋みよ
ご家族お揃いで迎えられた元朝のおいしそうなお雑煮が想像され、新たな年への希望と喜びが感じられます。(柳原美知子)

08.元朝の風が静かに日の丸へ/吉田 晃
元日の朝、新年を寿ぐ日の丸に風が吹き寄せる。静かにというところが、お正月の朝を感じさせてくれます。最近はお正月に日の丸(国旗)を掲げる家を見かけることも少なくなりました。(高橋秀之)

11.日脚伸ぶ中に夕餉の用意かな/多田有花
まだまだ夕飯の用意をする時間は暗い冬ですが、冬至もすぎ、これからは日脚が伸びてきます。きっと夕餉の用意の時間も少しずつ明るくなることでしょう。(高橋秀之)

13.道端の明るき光仏の座/廣田洋一
姫路でもすでに年末から仏の座があちこちで咲いています。オオイヌノフグリも咲き始めており、新春という雰囲気です。(多田 有花)

19.年新た生れて五日の赤子抱き/藤田洋子
産まれて間もない赤子を抱くだけでも嬉しい気持ちであるところ、新たな年の気持ちも重なり、二重の寿ぎの瞬間ですね。(高橋秀之)

20.掃初めの門辺に迎え新生児/藤田洋子
新生児を迎えられるため、掃初めをして清められた門。淑気漂う中にも、厳粛な生命を受けとめられるお気持ちに感動します。赤ちゃんご誕生おめでとうございます。(柳原美知子)

22.初山河日差しへ押し行くベビーカー/柳原美知子
静な景色の中に加わるベビーカー。その中にある新たな命を温かな日差しの中に向かわせる、愛情を深く感じる句で、新年の寿ぎにピッタリですね。(上島祥子)

25.枯れ葉舞う地に揺らぎたる月の影/友田 修
地に舞う枯れ葉の乾いた音と天上の雲の流れに揺らぐ月影の柔らかさが印象的で、寒さの中にも安らぎが感じられる情景です。(柳原美知子)

■選者詠/髙橋正子
16.寒晴の空を舞い来て浮く鴎 
事実を述べて力強い句だと感じた。即座に港の風景が脳裏に浮かび、「寒」の冷えた空気と潮の香が体内を清めてくれる感覚にとらわれる。(吉田晃)

18.冬川の色にわが立つ影映り
沈む落葉や冬空を映し深い色を湛える冬川にふと映る自分の影。厳寒の到来を実感し、現実の自分が意識される時でもあります。(柳原美知子)

17.寒鵜二羽並びて羽を広げあう  

●互選最高点句(7点)
34.雪雲の伊吹山越す厚みかな/上島祥子
〇互選次点句(6点)
30.白梅の咲けば川辺の明かり初む/川名ますみ

集計:髙橋正子(1月12日)


コメント

  1. 多田 有花
    2026年1月12日 11:51

    04.七日かな鏡餅搗く僧の声/土橋みよ
    七日で松が明ける地方もありますね。
    関西の松の内は十五日までなので、地方による差を感じられます。

    09.粥炊かれ緑豊かな七種に/吉田 晃
    「緑豊か」という言葉に七草がゆのありがたさがにじんでいます。
    温かく滋養豊富な七草粥をいただかれ今年も息災を祈ります。

    13.道端の明るき光仏の座/廣田洋一
    姫路でもすでに年末から仏の座があちこちで咲いています。
    オオイヌノフグリも咲き始めており、新春という雰囲気です。

    • 吉田 晃
      2026年1月12日 12:10

      コメントありがとうございます。七種の緑を豊かと感じられる年になりました。今年もよろしくお願いします。

  2. 高橋秀之
    2026年1月12日 20:08

    08.元朝の風が静かに日の丸へ/吉田 晃
    元日の朝、新年を寿ぐ日の丸に風が吹き寄せる。
    静かにというところが、お正月の朝を感じさせてくれます。
    最近はお正月に日の丸(国旗)を掲げる家を見かけることも少なくなりました。

    11.日脚伸ぶ中に夕餉の用意かな/多田有花
    まだまだ夕飯の用意をする時間は暗い冬ですが、
    冬至もすぎ、これからは日脚が伸びてきます
    きっと夕餉の用意の時間も少しずつ明るくなることでしょう。

    21.幼子ら嬰児囲み松の内/藤田洋子
    正月に集まる親戚一同。幼子たちも多いのでしょう。
    その仲間入りを果たした嬰児を囲む子供たち。
    お正月の松の内ならではの賑やかな光景を感じます

  3. 柳原美知子
    2026年1月12日 22:55

    05.丸餅の椀に溢るる初雑煮/土橋みよ
    ご家族お揃いで迎えられた元朝のおいしそうなお雑煮が想像され、新たな年への希望と喜びが感じられます。

    25.枯れ葉舞う地に揺らぎたる月の影/友田 修
    地に舞う枯れ葉の乾いた音と天上の雲の流れに揺らぐ月影の柔らかさが印象的で、寒さの中にも安らぎが感じられる情景です。

    18.冬川の色にわが立つ影映り/高橋正子
    沈む落葉や冬空を映し深い色を湛える冬川にふと映る自分の影。厳寒の到来を実感し、現実の自分が意識される時でもあります。

  4. 多田 有花
    2026年1月13日 8:41

    正子先生、1月月例ネット句会を開催いただきありがとうございます。
    句美子さま、友宏さま、管理をありがとうございます。
    「11.日脚伸ぶ中に夕餉の用意かな」を入選にお選びいただき
    御礼申し上げます。
    上島祥子さまには選を、高橋秀之さまにはコメントをいただき
    ありがとうごいました。
    年が明けると日差しの強さ、夕暮れの遅さがはっきり変わっている
    ことが実感できます。
    「12.霜の花輝き即座に消えゆけり」に
    吉田 晃さま、 柳原美知子さま選をいただきありがとうございます。
    寒で寒さが最も厳しい頃です。
    雪の無い地方なので毎朝真っ白に霜が降りています。
    そこへ朝日が差すと一瞬の輝きの後すぐに消えていきます。

  5. 高橋秀之
    2026年1月13日 20:40

    高橋正子先生、1月月例ネット句会を開催いただきありがとうございました。
    高橋句美子さま、西村友宏さま、句会管理をありがとうございました。

    髙橋正子特選/9句に「七草の湯気の向こうに妻がいる」のをお選びいただきありがとうございました。
    また、藤田洋子さまには同句に選とコメントを、友田修さまには同句に選を、それぞれありがとうごいました。

    全国的に寒い日が続いております。みなさま、体調管理を万全にご自愛ください。

  6. 柳原美知子
    2026年1月13日 20:55

    正子先生、1月月例ネット句会を開催いただき、ありがとうございました。
    句美子様、友宏様、お世話いただき、ありがとうございました。
    「七草粥」の句に銀賞を賜り、正子先生のご丁寧なご句評をいただき、大変嬉しく感謝申しあげます。今年の七草粥は自分でもうまく炊けたと思うので、記念すべき一句となりました。
    「初山河」の句も入選句にお加えいただき、ありがとうございました。
    有花様には「七草粥」に選と温かいコメントを、みよ様、晃様には選をいただき、ありがとうございました。
    祥子様には、「初山河」に選と温かいコメントを、洋子様には選をいただき、ありがとうございました。
    正子先生、皆様、今年もよろしくお願い致します。

  7. 友田 修
    2026年1月14日 10:44

    正子先生、1月月例ネット句会を開催いただき、ありがとうございました。
    髙橋正子特選/9句に「枯れ葉舞う地に揺らぎたる月の影」をお選びくださりありがとうございます。 また同句に選をいただきました高橋秀之様、川名ますみ様、選とコメントをいただきました柳原美知子様、ありがとうございます。
    皆様、今年もどうぞよろしくお願い致します。

  8. 土橋みよ
    2026年1月14日 11:40

    正子先生
    句会の開催有難うございます。また、拙句を特選句と入選句に選んで頂き有難うございます。友田様、多田様、柳原様には温かい句評を頂戴し感謝申し上げます。また、選を頂きました多田様、上島様、秀之様、友田様、川名様、有難うございました。

  9. 藤田洋子
    2026年1月15日 17:33

    正子先生、句美子様、友宏様、1月月例ネット句会、お世話になりありがとうございました。
    正子先生の特選句に「松の内」の句を、入選句に「年新た」「掃初め」の句を選んでいただき大変ありがとうございました。高橋秀之様、柳原美知子様には、選と温かなコメントをいただきましてありがとうございます。年の始めに嬉しいことでした。吉田晃様、多田有花様、選句をいただきありがとうございました。
    正子先生、皆様、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

  10. 上島祥子
    2026年1月15日 22:32

    正子先生 句美子様 友宏様 1月月例句会を開催頂きありがとうございました。
    金賞に「雪雲の伊吹山越す厚みかな」銅賞に「振袖の一日終える寒茜」をお選びくださり、丁寧な句評を有難うございました。愛知県西尾張に流れ込む雪雲は伊吹山からやってきます。ヤマトタケルの最後の地でも有り、雲で山影は見えなくともその存在感は圧倒的です。
    12日は長女の成人式で朝から支度して、挨拶に回ったりして忙しい一日を過ごしました。
    秀之様 みよ様 修様 晃様 洋子様 ますみ様 貴重な選を頂き有難うございました。

    • 髙橋正子
      2026年1月16日 0:48

      祥子さんへ
      娘さんの成人式おめでとうございます。小学生のころ水煙に俳句を投句してくれていたと思いますが。年賀状の振袖姿。かわいらしさが残っていて、きれいでした。

      金賞おめでとうございます。伊吹山へかかる雪雲を同じ日のライブで見ました。圧倒的な雲量ですね。このような雲は初めてみました。

  11. 川名ますみ
    2026年1月17日 17:17

    正子先生、1月月例ネット句会を開催いただき、ありがとうございました。句美子さま、友宏さま、お世話さまでした。互選が遅くなりまして、申し訳ございません。
    「白梅」の句に銀賞を賜り、正子先生のご句評をいただき、感謝申し上げます。通院時に通る玉川のほとりの梅苑です。「咲けば」を「ひらき」にするかと迷いながらの投句でした。的確なことばを吟味できるよう、精進したいと思います。
    みよさま、拙句に選とコメントをいただき、嬉しく存じます。同句をお選びくださいました有花さま、修さま、美知子さま、洋子さま、ありがとうございました。