自由な投句箱/3月1日~10日


生き生きと、みずみずしい俳句を期待しています。

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今日の秀句/3月1日~10日


3月10日(1句)

★眦に川はありけり雪解風/小口泰與
泰與さんは利根川の流れるところに住んでいる。雪解風を頬に受けながらどこかを見ているのだろう。眦に川がある。利根川の流れることろに来れば、目のどこかに川が入るのだ。「眦に川はありけり」は上手い。(高橋正子)

3月9日(2句)

★うぐいすのひとこえ静かな雨の朝/多田有花
静かに降る雨の朝、うぐいすのひとこえがうれしい。次の声を待つが、ひとこえに終わる。木の芽起こしの雨、うぐいすのひとこえに、春が一歩一歩進んでいる。(高橋正子)

★中州なる雑木林や木の芽張る/桑本栄太郎
川の中州の雑木林が芽吹く。川の光、雑木林の淡い芽吹きの色。絵になる景色だ。(高橋正子)

3月8日(2句)

★春の朝水槽の水真新し/小口泰與
「春の朝」と「真新しい水槽の水」の取り合わせが、生き生きとしている。ガラスを通して見る水の柔らかさに水の温みを感じる。(高橋正子)

★堰水の脇に菜の花明かりかな/桑本栄太郎
輝きながら落ちる堰の水。脇には菜の花が一面に咲いて、明かりが生まれている。春の明るく柔らかい景色だ。(高橋正

3月7日(1句)

★春空を飛行機雲の幾筋も/多田有花
春空に飛行機雲が「幾筋も」伸びている。軽やかで、自由な春の空だ。(高橋正子)

3月6日(3句)

★啓蟄や棚田の水のあふれ落つ/小口泰與
啓蟄。蟄は土の中にいる小さな虫。その虫たちが、春が来たぞと穴を啓いて出てくる。人間にとっても嬉しい日だ。棚田の水は雪解け水であろう、溢れ落ちるほどゆたかだ。(高橋正子)

★イヌフグリ咲けり昔の反戦歌/古田敬二
昔と言えばいつの時代だろうか。そう、遠くない昔であろう。ベトナム戦争のときは若者が反戦歌を歌った記憶がある。イヌフグリが小さい花ながら、ひとつ、ひとつが、平和の歌を歌っているようにも思える。(高橋正子)

★仰ぎ見る芽柳天を掃きにけり/桑本栄太郎
仰ぎ見る芽柳や天。さみどりの芽柳の糸が空を掃いている。軽やかで明るい句だ。(高橋正子)

3月5日(2句)

★囀りの絶ゆること無き一樹かな/廣田洋一
ある一本の樹から絶えることなく囀りが聞こえる。美しい囀りが絶えず漏れるこの一樹の大きな包容力を思う。(高橋正子)

★春耕の畝を天道虫登る/古田敬二
主テーマを春耕とし、そこにいろんなことが起こる。早くも天道虫が畝をヨイショ、ヨイショと登るようなことも。(高橋正子)

3月4日(2句)

★妻といて雛の間と言う静寂かな/小口泰與
雛を飾る部屋の、今の静けさ。妻と特に語り合うこともなく、さらりとした時間。雛の間なので、主役は妻に譲っているのであろうが。(高橋正子)

★頂に立てば初蝶飛び立ちぬ/多田有花
頂に初蝶を見つけた嬉しさと驚き。畑や田や住宅地でなく、頂に見つけたというのがいい。頂も確実に春なのだ。(高橋正子)

3月3日(3句)

★線香の煙を浴びぬ梅日和/廣田洋一
梅日和の良い天気。寺にお参りの人も大勢となる。香煙が身に染むほどである。線香の煙がありがたく思える。(高橋正子)

★緩やかに地球揺るるか春の潮/古田敬二
春の潮が寄せてくるのを静かに眺めていると、地球が揺れて春の潮をゆらしているような錯覚になる。それも作者の真実。(高橋正子)

★ちらし寿司母の叩きし木の芽載せ/川名ますみ
ちらし寿司は華やかに、彩りよく錦糸卵や椎茸、あるいは酢漬けの魚などが載せある。木の芽は手のひらで叩いて香りがよく出るようにする。木の芽を載せて、ちらし寿司はもっとも春らしい寿司となる。(高橋正子)

3月2日(2句)

★対岸は我生れし村春の雪/古田敬二
川沿いに車か列車で走っているのだろう。この川の対岸は敬二さんの生まれた村である。春の雪が生まれた村を消すかのように降ってくる。故郷を思う抒情的な句。(高橋正子)

★ゑんどうの高き支柱や春寒し/桑本栄太郎
春寒いころ、えんどうはまだ支柱の根元辺りに緑の葉をようやく育てている。えんどうが生長する高さを想定して立てられた高い支柱。まだまだ、先までは余りあるのだ。それが「春寒し」を強く感じさせている。(高橋正子)
3月1日(1句)

★道それて摘めば蓬香りけり/古田敬二
蓬を見つければ、つい摘みたくなる衝動。私もあって、春の蓬餅を作り、また食べる楽しみになる。(高橋正子)

3月1日~10日


3月10日(4名)

小口泰與
眦に川はありけり雪解風★★★★
泰與さんは利根川の流れるところに住んでいる。雪解風を頬に受けながらどこかを見ているのだろう。眦に川がある。利根川の流れることろに来れば、目のどこかに川が入るのだ。「眦に川はありけり」は上手い。(高橋正子)

眼間をまばゆき鳥や真菰の芽★★★
骨酒を頂く宿や木の芽時★★★

廣田洋一
旅の本ひねもす眺めて春の暮★★★
注文の球根届く春の暮★★★★
人恋し返信の無き春の暮★★★

桑本栄太郎
春愁や奈良には古き陀羅尼助★★★
かぎろひの揺らぐ鉄路や電車来る★★★★
菜の花や河川畑の黄明かりに★★★

多田有花
炊きたての豆ご飯食ぶ春の昼★★★★
見上げおり空より梅の枝垂るるを★★★
紅梅と白梅と枝交わしおり★★★

3月9日(4名)

小口泰與
隠り沼へ朝日差しけり波うらら★★★
永き日や子馬馬棚を行き帰り★★★★
愛犬の深き眼差し忘れ霜★★★

廣田洋一
場所前に一荒れしたり春疾風★★★
自転車を二台倒せり春嵐★★★
牛乳の受け箱飛ばす春疾風★★★

多田有花
うぐいすのひとこえ静かな雨の朝★★★★
静かに降る雨の朝、うぐいすのひとこえがうれしい。次の声を待つが、ひとこえに終わる。木の芽起こしの雨、うぐいすのひとこえに、春が一歩一歩進んでいる。(高橋正子)

そそくさと立ち去る山鳥の背中★★★
チョコレートぱきっと割って冴返る★★★

桑本栄太郎
中州なる雑木林や木の芽張る★★★★
川の中州の雑木林が芽吹く。川の光、雑木林の淡い芽吹きの色。絵になる景色だ。(高橋正子)

対応の丁寧なこと納税期★★★
春雷や二つ三つなる音ばかり★★★

3月8日(4名)

小口泰與
春の朝水槽の水真新し★★★★
「春の朝」と「真新しい水槽の水」の取り合わせが、生き生きとしている。ガラスを通して見る水の柔らかさに水の温みを感じる。(高橋正子)

パソコンの指の動きや暖かし★★★
鉄橋を渡る貨物や初燕★★★

廣田洋一
立てかけしシャベル濡らす春の雨(原句)
立てかけしシャベルを濡らす春の雨★★★★(正子添削)
春の雨音もなく窓濡らしけり★★★
降りそうで降らぬままなり春の雨★★★

桑本栄太郎
バスの行く並木大路や木の芽雨★★★
老木の苔青みおり春の雨★★★
堰水の脇に菜の花明かりかな★★★★
輝きながら落ちる堰の水。脇には菜の花が一面に咲いて、明かりが生まれている。春の明るく柔らかい景色だ。(高橋正子)

3月7日(4名)

小口泰與
目裏に五浦の海風光る★★★
鯵ケ沢甚句習うや夜半の春★★★
さえずりや上州菓子の選定会★★★★

廣田洋一
三段に重なり咲きし枝垂れ梅★★★
肺癌の疑いありと春寒し★★★
お大事に。
川縁を緋色に染める桃の花★★★★

多田有花
啓蟄や仕舞込みたるもの捨てる★★★
冴返る風吹く夜のテニスコート★★★
春空を飛行機雲の幾筋も★★★★
春空に飛行機雲が「幾筋も」伸びている。軽やかで、自由な春の空だ。(高橋正子)

桑本栄太郎
椿落つ高き土塀や建仁寺
椿落つ土塀の高き建仁寺(正子添削例①)
建仁寺の高き土塀や椿落つ(正子添削例②)
もとの句は、テーマが二つあります。「椿落つ」と「高き土塀」です。

幾たびも携帯に撮る薄紅梅★★★
西空の暮れて群青冴返る★★★

3月6日(4名)

小口泰與
啓蟄や棚田の水のあふれ落つ★★★★
啓蟄。蟄は土の中にいる小さな虫。その虫たちが、春が来たぞと穴を啓いて出てくる。人間にとっても嬉しい日だ。棚田の水は雪解け水であろう、溢れ落ちるほどゆたかだ。(高橋正子)

拍子木の音に始まる春祭★★★
大利根は円かに雪解治めけり★★★

古田敬二
イヌフグリ咲けり昔の反戦歌★★★★
昔と言えばいつの時代だろうか。そう、遠くない昔であろう。ベトナム戦争のときは若者が反戦歌を歌った記憶がある。イヌフグリが小さい花ながら、ひとつ、ひとつが、平和の歌を歌っているようにも思える。(高橋正子)

若き日の反戦のうたイヌフグリ★★★
クニさんが登った丘のイヌフグリ★★★

廣田洋一
足跡の剥がれしままの春の泥★★★
駆け比べ背にはねたる春の泥★★★
春泥の靴並びたるフェンスかな★★★★

桑本栄太郎
落椿落つや狭庭のやすらぎに★★★
黄沙降る吾にもありし蒙古斑★★★
仰ぎ見る芽柳天を掃きにけり★★★★
仰ぎ見る芽柳や天。さみどりの芽柳の糸が空を掃いている。軽やかで明るい句だ。(高橋正子)

3月5日(4名)

小口泰與
一輪の梅の咲きたる朝かな★★★★
春暁の菓子の車両の一斉に★★★
春昼や花街の辺の古本屋★★★

廣田洋一
囀りや大樹を出たり入ったり★★★
囀りの絶ゆること無き一樹かな★★★★
ある一本の樹から絶えることなく囀りが聞こえる。美しい囀りが絶えず漏れるこの一樹の大きな包容力を思う。(高橋正子)

囀りや青葉光れる雨上がり
「囀り」は春の季語。「青葉」は夏の季語。この句では、「青葉光れる」と「囀り」とテーマが二つあります。季も違っています。

桑本栄太郎
春嵐とは突然に吹ききたる★★★
父母のむかし懐かし土ひひな★★★
古草の土手に明るき雨一日★★★★

古田敬二
畝立てば春天道虫の登り初め(原句)
春耕の畝を天道虫登る★★★★(正子添削例)
主テーマを春耕とし、そこにいろんなことが起こる。早くも天道虫が畝をヨイショ、ヨイショと登るようなことも。(高橋正子)

春耕の畝を小さき虫登る★★★
春耕や草の根強く抵抗す★★★

3月4日(6名)

廣田洋一
杉山の息吹吹き付け空黄ばむ★★★
腹の虫抛りだしたり山笑う★★★
鉄道の拡幅終わり山笑う★★★★

古田敬二
下校の子すくなし豊かに黄水仙★★★★
海凪て入日の眩しき帯伸びる★★★
春入日落ち切る時の速さかな★★★

小口泰與
妻といて雛の間と言う静寂かな★★★★
雛を飾る部屋の、今の静けさ。妻と特に語り合うこともなく、さらりとした時間。雛の間なので、主役は妻に譲っているのであろうが。(高橋正子)

忽然と白鳥帰り広き沼★★★
日の差すや先ずは片栗そり返り★★★

多田有花
やや遅き朝食の窓に初音かな★★★
頂に立てば初蝶飛び立ちぬ★★★★
頂に初蝶を見つけた嬉しさと驚き。畑や田や住宅地でなく、頂に見つけたというのがいい。頂も確実に春なのだ。(高橋正子)

うすぐもる梅が香の中に降り立ちぬ★★★

桑本栄太郎
川べりに園児散らばり青き踏む(原句)
園児らの散らばる川辺青き踏む★★★★(正子添削)
元の句ですと、「青き踏む」の主語は園児となり、現実園児が「青き踏む」行動をするとは思えない。「青き踏む」の主語は作者とすれば、添削のようになります。

満天星の枝の色めき新芽立つ★★★
芽柳や見上げる空の雲走る★★★

3月3日(6名)

廣田洋一
春暁や月皓皓と西の空★★★
線香の煙を浴びて梅日和(原句)
線香の煙を浴びぬ梅日和★★★★(正子添削)
梅日和の良い天気。寺にお参りの人も大勢となる。香煙が身に染むほどである。線香の煙がありがたく思える。(高橋正子)

絵馬納む紅梅の香に包まれて★★★

小口泰與
微笑みて鼓は打たぬ雛かな★★★
萩焼のぐい飲みに桃の酒★★★
まずもって点す明りや雛祭★★★★

古田敬二
緩やかに地球揺るるか春の潮★★★★
春の潮が寄せてくるのを静かに眺めていると、地球が揺れて春の潮をゆらしているような錯覚になる。それも作者の真実。(高橋正子)

潮騒の静まり春のオリオン座★★★
春オリオンくっきり島の旅にいる★★★

多田有花
三月始まる明るき風荒れて★★★★
よき日和梅見の客のちらほらと★★★
窯焼のピッツアで会食春満月★★★

桑本栄太郎
用瀬(もちがせ)の川面きらめく流し雛★★★★
曲水の宴や琴の城南宮★★★
わらんべの引きずり走る凧の糸★★★

川名ますみ
ちらし寿司母の叩きし木の芽載せ★★★★
ちらし寿司は華やかに、彩りよく錦糸卵や椎茸、あるいは酢漬けの魚などが載せある。木の芽は手のひらで叩いて香りがよく出るようにする。木の芽を載せて、ちらし寿司はもっとも春らしい寿司となる。(高橋正子)

高階の雛の間めぐりお裾分け★★★
ご近所に鮨を配りぬ雛の日★★★

3月2日(4名)

小口泰與
恋猫の非常階段下りて来し★★★
有明の赤城の風や麦青む★★★★
子に伝う家紋の由来囀れる★★★

廣田洋一
黄水仙喇叭くわへて首を振り★★★
庭の隅香るが如き黄水仙★★★★
喪の明けし友を誘ふ黄水仙★★★

古田敬二
春の雪舞う故郷の無人駅★★★
分岐する此処から春の飛騨の川★★★
対岸は我生れし村春の雪★★★★
川沿いに車か列車で走っているのだろう。この川の対岸は敬二さんの生まれた村である。春の雪が生まれた村を消すかのように降ってくる。故郷を思う抒情的な句。(高橋正子)

桑本栄太郎
堰水のきらめき落つや風光る★★★
ゑんどうの高き支柱や春寒し★★★★
春寒いころ、えんどうはまだ支柱の根元辺りに緑の葉をようやく育てている。えんどうが生長する高さを想定して立てられた高い支柱。まだまだ、先までは余りあるのだ。それが「春寒し」を強く感じさせている。(高橋正子)

春暁のヒールひびかせ帰り来る★★★

3月1日(4名)

古田敬二
春潮の満ち来て砂を揺らしけり★★★
春潮の音の優しきリフレイン★★★
道それて摘めば蓬香りけり★★★★
蓬を見つければ、つい摘みたくなる衝動。私もあって、春の蓬餅を作り、また食べる楽しみになる。(高橋正子)

小口泰與
揚ひばり今朝の浅間のより白き★★★
残照の山は間近くミモザかな★★★★
きさらぎや富士も見えざる富士見村★★★

廣田洋一
雛菊の恙なき世を照らしけり★★★★
手術前長命菊を飾りけり★★★
雛菊や恋占いの小学生★★★

桑本栄太郎
山すその西国街道風光る★★★
由ありて長子家去る春一番★★★★
つぎつぎと嶺の三月雲生るる★★★

自由な投句箱/2月21日~28日


生き生きと、みずみずしい俳句を期待しています。

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主宰:高橋正子・管理:高橋信之

◆俳句添削教室◆
http://www.21style.jp/bbs/kakan02
◆俳句日記/高橋正子◆
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今日の秀句/2月21日~28日


2月28日(1句)

★囀が日差しとともに降り注ぐ/多田有花
囀は空のどこかからかこえているのだが、どこからか、とわからない。日差しに混じって降り注ぐ感じだ。そこをうまく捉えた。(高橋正子)

2月27日(2句)

★春暁の山は誠に青きかな/小口泰與
春暁の冷たく寒い暁であろう。しかし山は「誠に青き」と春が生まれているきりっとした気配がある。(高橋正子)

★残雪嶺に向かう棺の後につく/古田敬二
残雪の嶺、そこへと向かう棺の後につく。さまざまな思いが残雪の嶺に集約され、深い悲しみが流れる。(高橋正子)

2月26日(1句)

★揚雲雀赤城の風のまぎれなし/小口泰與
雲雀が揚がり春が来ているのだけれど、風は赤城山から吹く風に紛れもない。冷たい赤城颪なのだ。暖かい春が待たれる。(高橋正子)

2月25日(2句)

★ぐい飲みの形見と申す朧かな/小口泰與
朧夜酒を静かに酌み交わす。このぐい飲みは形見だという。朧が心情をよく表している。(高橋正子)

★春うらら腰のラヂオの鳴る菜園/桑本栄太郎
うららかな春の日。腰にラヂオをぶら下げて菜園の農作業。ラヂオを友に菜園に過ごす楽しさ。(高橋正子)

2月24日(1句)

★不器男忌の鶏砂を浴びて居り/桑本栄太郎
芝不器男の名句「永き日のにはとり柵を越えにけり」を思い、不器男を偲ぶ句。不器忌は2月24日。不器男の生家を幾度も訪ねたことがあるが、四国の旧家の佇まいが今も残って記念館となっている。(高橋正子)

2月23日(1句)

★たんぽぽや七十過ぎに厄はなし/小口泰與
たんぽぽは根を地中深く伸ばし、可憐な花は子どもが描く太陽のような形。明るい花だ。人生70歳までは厄年がいろいろあったが、七十を過ぎれば、古希、喜寿、米寿、傘寿など、どんどんめでたいことばかり。
2,3の具合の悪いところはあっても、自由闊達に生きれるのが七十代ではなかろうか。(高橋正子)

2月22日(1句)

★嫁ぎたる子の雛飾る雨水かな/廣田洋一
折しも「気雪散じて水と為(な)る也(なり)」の雨水。雪が解け、氷が水に、草木が芽吹く。雛を飾る日に相応しい。嫁いだ子の雛を、嫁ぐ前と同じように飾る。つい億劫になるのだが、きちんと飾られて、そのこともすばらしい。(高橋正子)

2月21日(1句)

★揚雲雀雲のほぐれし榛名富士/小口泰與
「雲のほぐれし」の「ほぐれ」で雲の柔らかさが思い浮かぶ。榛名富士の空に浮かぶ雲が柔らかく、雲雀が高く鳴いている。快活な魂の雲雀だ。(高橋正子)

2月21日~28日


2月28日(5名)

古田敬二
故郷へ伸びる鉄路へ春の雪★★★
故郷の駅は無人よ春の雪★★★
春の旅明るさ流れる飛騨の川★★★★

廣田洋一
青鮫の海に戻りし梅の花★★★
風強し杉の花粉の飛び立ちぬ★★★
挨拶の途中でくしゃみ花粉症★★★

小口泰與
青空の漂う雲や風は春★★★
春暁の榛名山(はるな)へ朝日まさやけし★★★
温泉(ゆ)から出づ猿の親子や風光る★★★★

多田有花
あのころの歌聴いている春の夜★★★
洗うものいろいろありぬ二月尽★★★
囀が日差しとともに降り注ぐ★★★★
囀は空のどこかからかこえているのだが、どこからか、とわからない。日差しに混じって降り注ぐ感じだ。そこをうまく捉えた。(高橋正子)

桑本栄太郎
つぎつぎと雲の去りゆき二月尽★★★★
料峭や高き支柱に低き苗★★★
雪やなぎ芽のとびとびの芽吹きけり★★★

2月27日(5名)

廣田洋一
夫婦にてキャッチボールや春めけり★★★
春の暮飛行機雲の下り来る★★★★
張替へし舗装の白き春の暮★★★

小口泰與
春暁の山は誠に青きかな★★★★
春暁の冷たく寒い暁であろう。しかし山は「誠に青き」と春が生まれているきりっとした気配がある。(高橋正子)
岩を出づ雪代山女斑を返す★★★
鉛筆をまさぐりおれば冴返る★★★

古田敬二
義弟逝く
アルプスを駆け抜け黄泉へ春の雪★★★
逝く人のある朝庭にクロッカス★★★
残雪嶺に向かう棺の後につく★★★★
残雪の嶺、そこへと向かう棺の後につく。さまざまな思いが残雪の嶺に集約され、深い悲しみが流れる。(高橋正子)

多田有花
高速路飛ばし春霞のなか帰る★★★

梅林へ通いし日々の始まりぬ(原句)
梅林へ通える日々の始まりぬ★★★(正子添削)
元の句の「通いし」の「し」は、過去の助動詞「き」の連体形で日々を修飾しています。「通った日々が始まった」という意味になり、意味的に不自然です。

暖かや上着一枚脱ぎ描く★★★★

桑本栄太郎
鴨川の土手に芽柳青みけり★★★★
椿咲く高き土塀や建仁寺★★★
せせらぎの春日眩しき高瀬川★★★

2月26日(3名)

小口泰與
風の中凧のようなる鳶かな★★★
鶯の雀に紛れ居たりけり★★★
揚雲雀赤城の風のまぎれなし★★★★
雲雀が揚がり春が来ているのだけれど、風は赤城山から吹く風に紛れもない。冷たい赤城颪なのだ。暖かい春が待たれる。(高橋正子)

廣田洋一
駅出でて背中丸める余寒かな(原句)
「背中丸める」が、この句では詩情を駄目にしていますので、添削しました。
駅出でて背を覆いくる余寒かな★★★★(正子添削)
熊谷の人体冷えし余寒か★★★な
公園の老人覆ふ余寒なお★★★

桑本栄太郎
くぬぎ葉の未だ張りつく余寒かな★★★
見上げれば芽柳青み枝垂れけり★★★★
ぽつぽつと小さき芽吹きや雪柳★★★

2月25日(2名)

小口泰與
ぐい飲みの形見と申す朧かな★★★★
朧夜酒を静かに酌み交わす。このぐい飲みは形見だという。朧が心情をよく表している。(高橋正子)
また一人公魚釣りに加わりぬ★★★
影も無き日は中天のクロッカス★★★
「影も無き日は中天」に少し無理があります。

桑本栄太郎
犬ふぐり風の野面に震え居り★★★
料峭のさらさらさらと葉擦れかな★★★

菜園の腰のラヂオや春うらら(原句)
句のリズムはなめらかでよいのですが、「菜園の腰のラヂオ」は、少し無理な表現と思います。
春うらら腰のラヂオの鳴る菜園★★★★(正子添削)
うららかな春の日。腰にラヂオをぶら下げて菜園の農作業。ラヂオを友に菜園に過ごす楽しさ。(高橋正子)

2月24日(3名)

廣田洋一
春夕焼しばし留まる桃色に★★★★
焼肉の煙漏れ来る春夕焼★★★
露天風呂春夕焼けに漬かりをり(原句)
春夕焼けに浸かるのが露天風呂になっていますので、意味が通りにくいです。

露天風呂春夕焼けを映しけり★★★(正子添削)

小口泰與
ほろほろと白梅散るやせせらぎへ★★★
雛菊や通学の児へ小犬吠ゆ★★★
揚雲雀榛名十峰朝日受く★★★★
榛名十峰に射す朝日と揚雲雀の取り合わせ。快活な句だ。(高橋正子)

桑本栄太郎
料峭の風の荒ぶる丘上かな★★★
春耕の畝に足跡ありにけり★★★
不器男忌の鶏砂を浴びて居り★★★★
芝不器男の名句「永き日のにはとり柵を越えにけり」を思い、不器男を偲ぶ句。不器忌は2月24日。不器男の生家を幾度も訪ねたことがあるが、四国の旧家の佇まいが今も残って記念館となっている。(高橋正子)

2月23日(4名)

小口泰與
たんぽぽや七十過ぎに厄はなし★★★★
たんぽぽは根を地中深く伸ばし、可憐な花は子どもが描く太陽のような形。明るい花だ。人生70歳までは厄年がいろいろあったが、七十を過ぎれば、古希、喜寿、米寿、傘寿など、どんどんめでたいことばかり。
2,3の具合の悪いところはあっても、自由闊達に生きれるのが七十代ではなかろうか。(高橋正子)

蝋梅の湖の水面へほのめかす★★★
紅梅のほむらのような夜明けかな★★★

廣田洋一
カート引き集まり来たる入学試験(原句)
カート引き集まり来たり大試験★★★★(正子添削)
グリーン車で最後の準備受験生★★★
大試験終へて帰宅の急ぎ足★★★

多田有花
冴返るラム酒の入りしチョコレート★★★
春進むオリンピックの間にも★★★★
オフロードバイクの轍春の泥★★★

桑本栄太郎
春睡や二度寝の夢のつづき居り★★★
剪定のクレーン伸び行く余寒かな★★★★
詠うまで屈み待ちおり犬ふぐり★★★

2月22日(3名)

小口泰與
ほとびたる細き素麺冴返る★★★
止まりて雉の鋭声や夜のほどろ★★★
汀へと波かさね来し蕗の薹(原句)
「来し」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、「蕗の薹」を修飾することになります。
蕗の薹汀へ波のかさね来し★★★★(正子添削)

廣田洋一
駅出でて傘を取り出す雨水かな★★★
嫁ぎたる子の雛飾る雨水かな★★★★
折しも「気雪散じて水と為(な)る也(なり)」の雨水。雪が解け、氷が水に、草木が芽吹く。雛を飾る日に相応しい。嫁いだ子の雛を、嫁ぐ前と同じように飾る。つい億劫になるのだが、きちんと飾られて、そのこともすばらしい。(高橋正子)

残雪を溶かす雨降る道の端★★★

桑本栄太郎
春水の祇園白川勇歌碑★★★
青空の底ひも知らず梅日和★★★★
”早春賦”流るる春の梅田駅★★★

2月21日(3名)

小口泰與
淡雪を支うる桧葉へ疾風かな★★★
揚雲雀雲のほぐれし榛名富士★★★★
「雲のほぐれし」の「ほぐれ」で雲の柔らかさが思い浮かぶ。榛名富士の空に浮かぶ雲が柔らかく、雲雀が高く鳴いている。快活な魂の雲雀だ。(高橋正子)

畦川の雨音定か麦青む★★★

桑本栄太郎
耕さる田面白きや風光る★★★★
送電線のあおぞら紡ぐ春の山★★★
せせらぎの芽柳青む風生忌★★★

廣田洋一
雪溶けて畑の土の黒光り★★★
学僧や参道の雪を掻き清め★★★
若布採る小舟忙し松島湾★★★★

自由な投句箱/2月11日~20日


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今日の秀句/2月11日~20日


2月20日(3句)

★ひたひたと渚へ波や春炬燵/小口泰與
渚の傍の旅の宿であろう。春は名ばかりの寒さに炬燵で寛ぐとひたひたと渚に波が寄せている。春炬燵に過ごす至福の時。(高橋正子)

★雪乗せて木の芽膨らむ山の道/廣田洋一
山は芽吹きつつも雪が降る日もあって、膨らむ木の芽に雪が積もっている。木の芽を包む雪が柔らかい。(高橋正子)

★木屋町の青空あおく柳の芽/桑本栄太郎
木屋町の音の響きがいい。京都、高瀬川沿いの通りを思うが、青空が青く、柳の芽の浅緑がことに映える。京都へ旅を誘うような句だ。(高橋正子)

2月19日(1句)

★梅のごと氷の花咲く蔵王かな/廣田洋一
梅と氷を結び付けたところがいい。樹氷の蔵王。(高橋正子)

2月18日(2句)

★自転車の轍つづくよ春の雪/桑本栄太郎
春の雪に自転車の轍がつづく。一台自転車の轍ではなく、二三台の轍と見る方が面白い。春の雪のまた違った一面を見せてくれた句。(高橋正子)

★一瞬に畦火大きく立ち上がる/多田有花
畦焼の火が、一瞬大きく燃え上がる。一瞬の風をはらんだ火は強烈な驚きだ。このようにして、畦が焼かれ春草が芽生えるのだ。(高橋正子)

2月17日(3句)

★たらの芽やいかにも春を食したり/廣田洋一
春最初に市場に出る山菜が蕗の薹とたらの芽だろうが、たらの芽のみどりの朴訥さを天麩羅などで食べると春そのものを食べている感がするのだ。(高橋正子)

★楤の芽や鳶はゆったり輪を描き/小口泰與
楤の芽が採れる山。青空には鳶がゆったりと輪を描き、まさに春である。(高橋正子)

★車窓には須磨と明石の春の海/多田有花
春の海といえば、筝曲の「春の海」が思い浮かぶが、「須磨」「明石」の海には源氏物語を忍ばせる、のどかで優美な「春の海」がある。須磨明石の眺めの車窓が素敵だ。(高橋正子)

2月16日(2句)

★蒼天の一朶の雲や犬ふぐり/小口泰與
青空に一朶の雲。地には空の青のような犬ふぐり(おおおいぬのふぐり)。日本の、のどかな春の風景。(高橋正子)

★寺壁にさす木の影の春めきぬ/多田有花
木の影が大抵は白い寺の漆喰壁に映る。その淡い影にどことなく春めいたものを感じる。寺というのは季節をよく感じさせる建造物だと日頃思う。(高橋正子)

2月15(1句)

★雛菊や大志抱きし幼き日/小口泰與
雛菊からイメージされる幼き日は、幼稚園や小学生の低学年であろう。そのころ抱いた大志を思い起こして、自分自身が微笑ましく思えるのである。(高橋正子)

2月14日(2句)

★山茱萸の光の中の園児達/小口泰與
山茱萸は花は澄んだ色の黄色。早春の光を浴びて山茱萸の花は輝く。園児達も「光の中」でかわしらしさを弾かせる。(高橋正子)

★駅一つ過ぎる間に止む春の雪/廣田洋一
春の雪ははかなさ。駅一つ過ぎる間に止んでしまう。それだけに美しさが心に残る。(高橋正子)

2月13日(2句)

★海に向く斜面に紅梅咲き初める/多田有花
海と紅梅の取り合わせが晴れやかだ。暖かい日差しが海と紅梅に降り注ぐ景色が目に見える。(高橋正子)

★チューリップ芽が出て客もベランダに/川名ますみ
チューリップの芽が出たうれしさ。その嬉しさを来客とつい分かちたくなる。私も、ものの芽が出るときは特にうれしい。(高橋正子)

2月12日(1句)

★春の日や車光れる海岸線/廣田洋一
湘南海岸であろうか。春の日差しを受けて車が走る。海岸線なので、走る車はよく見えて、海からの反射光もけて光っているのだ。春の光が存分な海岸線が素敵だ。(高橋正子)

2月11日(2句)

★春ショール靡かせ湖の展望台/小口泰與
春ショールと湖の展望台で物語性が生まれた。春ショールを靡かせる麗人の姿が想像できるが、読み手により春ショールの人は様々だろう。(高橋正子)

<増位山随願寺・鬼追い式>
★鬼追いの太鼓余寒に響きけり/多田有花
鬼追いは、腹に響くような太鼓で追っ払ってもらいたい。余寒の空気を震わして太鼓が鳴り響く。「余寒」が効いて、鬼もさほどに憎めない。(高橋正子)

2月11日~20日


2月20日(4名)

小口泰與
ひたひたと渚へ波や春炬燵★★★★
渚の傍の旅の宿であろう。春は名ばかりの寒さに炬燵で寛ぐとひたひたと渚に波が寄せている。春炬燵に過ごす至福の時。(高橋正子)

店頭に煮貝並ぶや甲斐の春★★★
淡雪を弾き飛ばせし高速路★★★

多田有花
海峡を望む山頂梅開く★★★★
目を閉じて露天ジャグジー春夕べ★★★
雨水ゆえ黒豆ご飯を炊きました★★★

廣田洋一
きゅつきゅつと音立てて踏む雪の道★★★
雪乗せて木の芽膨らむ山の道★★★★
山は芽吹きつつも雪が降る日もあって、膨らむ木の芽に雪が積もっている。木の芽を包む雪が柔らかい。(高橋正子)

そりに乗り喚声上げる爺婆ら★★★

桑本栄太郎
木屋町の青空あおく柳の芽★★★★
木屋町の音の響きがいい。京都、高瀬川沿いの通りを思うが、青空が青く、柳の芽の浅緑がことに映える。京都へ旅を誘うような句だ。(高橋正子)

耕さる畝乾き居り風光る★★★
せせらぎの芽柳青む風生忌★★★

2月19日(4名)

小口泰與
ばらの芽のとびとびに出づ青き空★★★★
一弁を鳥の啄ばむ梅の花★★★
淡雪の踏まれては消ゆ畷かな★★★

多田有花
<雄岡山・雌岡山登山三句>
神出し山へと早春を登る★★★★
紀州へと続く山並春きざす★★★
ため池のさざなみのうえ風光る★★★

桑本栄太郎
送電線はるか遠くに春の山★★★
春日さす天井川や土堤の草★★★★
芽柳の少し青むと覚えけり★★★

廣田洋一
冴え返る山の稜線くっきりと★★★
雪山のトンネル抜けてまた雪山★★★
梅のごと氷の花咲く蔵王かな★★★★
梅と氷を結び付けたところがいい。樹氷の蔵王。(高橋正子)

2月18日(4名)

小口泰與
犬ふぐり田川の水の流れ出づ★★★
魚釣は坊主や土産蕗の薹★★★★
春愁や未だ奴雁の我なりし★★★

廣田洋一
国中を沸かせし春の金銀メダル★★★
梅の香にふるさと偲ぶ元使塚★★★
紅白の枝絡み合ふ梅の花★★★

桑本栄太郎
自転車の轍つづくよ春の雪★★★★
春の雪に自転車の轍がつづく。一台自転車の轍ではなく、二三台の轍と見る方が面白い。春の雪のまた違った一面を見せてくれた句。(高橋正子)

春光やバギーに投げ出すくびれ足★★★
土堤草の芽の青みをり京都線★★★

多田有花
風強く吹けど春風今日の風★★★
畦焼の炎に向かい歩きけり★★★

一瞬に畦火大きく立ち上がる★★★★
畦焼の火が、一瞬大きく燃え上がる。一瞬の風をはらんだ火は強烈な驚きだ。このようにして、畦が焼かれ春草が芽生えるのだ。(高橋正子)

2月17日(4名)

廣田洋一
たらの芽やいかにも春を食したり★★★★
春最初に市場に出る山菜が蕗の薹とたらの芽だろうが、たらの芽のみどりの朴訥さを天麩羅などで食べると春そのものを食べている感がするのだ。(高橋正子)

たらの芽の緑に惹かれ買ひにけり★★★
たらの芽や空を掴みて伸び上がる★★★

小口泰與
紅灯の清搔消ゆや朧月★★★
楤の芽や鳶はゆったり輪を描き★★★★
楤の芽が採れる山。青空には鳶がゆったりと輪を描き、まさに春である。(高橋正子)

下萌や土かく犬の後ろ足★★★

多田有花
春浅しボルサリーノの老紳士★★★
車窓には須磨と明石の春の海★★★★
春の海といえば、筝曲の「春の海」が思い浮かぶが、「須磨」「明石」の海には源氏物語を忍ばせる、のどかで優美な「春の海」がある。須磨明石の眺めの車窓が素敵だ。(高橋正子)

春昼の電車空席の多し★★★

桑本栄太郎
梅ひらく白きメゾンの芦屋かな★★★
鴨残るつがい寄り添う芦屋川★★★
土手草の青む家路や京都線★★★★

2月16日(4名)

小口泰與
蒼天の一朶の雲や犬ふぐり★★★★
青空に一朶の雲。地には空の青のような犬ふぐり(おおおいぬのふぐり)。日本の、のどかな春の風景。(高橋正子)

湖の波風に押さるや落椿★★★
薔薇の芽の競いて数多付きにけり★★★

多田有花
チョコレート大人買いして春はじめ★★★
寺壁にさす木の影の春めきぬ★★★★
木の影が大抵は白い寺の漆喰壁に映る。その淡い影にどことなく春めいたものを感じる。寺というのは季節をよく感じさせる建造物だと日頃思う。(高橋正子)

布団干す家を従え山笑う★★★

廣田洋一
溜まりたる雨水氷る春の朝★★★
薄氷や日差しを返す道の端★★★
登校子の滑りて遊ぶ薄氷★★★★

桑本栄太郎
七段の堰水光り風光る★★★★
いのちあるものの讃歌や木の芽張る★★★
鉄さびの赤き鉄路や余寒風★★★

2月15日(4名)

廣田洋一
春暁の足音高き勤め人★★★★
コーーランの目覚まし時計春の夜明★★★
春は曙コーヒー豆を炒りにけり★★★

小口泰與
雛菊や大志抱きし幼き日★★★★
雛菊からイメージされる幼き日は、幼稚園や小学生の低学年であろう。そのころ抱いた大志を思い起こして、自分自身が微笑ましく思えるのである。(高橋正子)

春苺何処に行くにも妻と犬★★★
熱海にも定宿あるや梅の園★★★

多田有花
春めきてスケッチブックを買いにけり★★★★
春曇終わらぬ更新プログラム★★★
(春遅し終わらぬ更新プログラム)より初めの句のほうが詩情があってよいです。「春遅し」と「終らぬ更新」では、「春遅し」のイメージが湧きにくく、理詰めの感じがします。

この春の歩みゆっくりとして確か★★★

桑本栄太郎
まんさくの日射し紡ぎて花あかり★★★★
佐保姫の吾を嘉する日差しかな★★★
スカイプの孫と会話や春きざす★★★

2月14日(4名)

小口泰與
山茱萸の光の中の園児達★★★★
山茱萸は花は澄んだ色の黄色。早春の光を浴びて山茱萸の花は輝く。園児達も「光の中」でかわしらしさを弾かせる。(高橋正子)

気色立つ森や木の芽の沸沸と★★★
牧場の日照雨のほぐす木の芽かな★★★

多田有花
球深く打ち込む余寒のテニスコート★★★★
オリーブ油とろり固まる余寒かな★★★
チョコレートひとかけ食べるバレンタイン★★★

廣田洋一
駅一つ過ぎる間に止む春の雪★★★★
春の雪ははかなさ。駅一つ過ぎる間に止んでしまう。それだけに美しさが心に残る。(高橋正子)

牡丹雪重げに降れど積もらざり★★★
春の雪竹しなやかにやり過ごす★★★

桑本栄太郎
いのちあるものの讃歌や木の芽張る★★★★
若枝の色めき立つや木の芽吹く★★★
佐保姫の日差し統べ居る山河かな★★★

2月13日(5名)

小口泰與
白梅やあれこれ悩む事多し★★★
落椿蘂に水滴付きにけり★★★★
夕映えのローソク岩や牡丹の芽★★★

多田有花
きらきらと森に舞いけり春の雪★★★
雪しぐれ春陽の下を通りけり★★★
海に向く斜面に紅梅咲き初める★★★★
海と紅梅の取り合わせが晴れやかだ。暖かい日差しが海と紅梅に降り注ぐ景色が目に見える。(高橋正子)

廣田洋一
葱刻み青さ加へる蜆汁★★★★
酒終えて蓋を取りたる蜆汁★★★
古の夢を掻き出す蜆かな★★★

桑本栄太郎
春水の川面下りて歩みけり★★★
堰水の春の岸辺やきらめける★★★
畝間ごと水のきらめき風光る★★★★

川名ますみ
多摩川に今年も梅よ来年も★★★
チューリップ芽が出て客もベランダに★★★★
チューリップの芽が出たうれしさ。その嬉しさを来客とつい分かちたくなる。私も、ものの芽が出るときは特にうれしい。(高橋正子)

早春の一番星を人と見る★★★

2月12日(4名)

●小口泰與
春遅しおつ切り込みの沸沸と★★★
鯉こくの信州味噌や雪解風★★★★
カールの髪肩へなびかせ風光る★★★

●廣田洋一
春の日やきらきらきらと波静か★★★
木々の芽をふんわり包む春日差★★★
春の日や車光れる海岸線★★★★
湘南海岸であろうか。春の日差しを受けて車が走る。海岸線なので、走る車はよく見えて、海からの反射光もけて光っているのだ。春の光が存分な海岸線が素敵だ。(高橋正子)

●多田有花
春の雪舞い初めしなか護摩を焚く★★★
春の霜ソーラーパネルに残りけり★★★
薄氷の水にかえりしところかな★★★★

●桑本栄太郎
畝間ごと水のきらめき風光る★★★★
スカイプの孫と会話や建国日★★★
風船を待つて富山の薬売り★★★

2月11日(4名)

●小口泰與
紅梅や浅間は見えず赤城見ゆ★★★
朝の日の差すやミモザの花の下★★★
春ショール靡かせ湖の展望台★★★★
春ショールと湖の展望台で物語性が生まれた。春ショールを靡かせる麗人の姿が想像できるが、読み手により春ショールの人は様々だろう。(高橋正子)

●廣田洋一
点々と打ち上げられたる若布かな★★★
湯がきたる緑の若布干されけり★★★★
砂浜の若布干場となりにけり★★★

●多田有花
<増位山随願寺・鬼追い式>
鬼追いの太鼓余寒に響きけり★★★★
鬼追いは、腹に響くような太鼓で追っ払ってもらいたい。余寒の空気を震わして太鼓が鳴り響く。「余寒」が効いて、鬼もさほどに憎めない。(高橋正子)

鈴鳴らし余寒の闇を鬼が来る★★★
鬼が持つ松明寒の戻りかな★★★

●桑本栄太郎
堰水の光りきらめく春となる★★★★
梅林のみんな違つてみんな良し★★★
愛づるより餅の急かるる梅見かな★★★

自由な投句箱/2月1日~10日


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