自由な投句箱/8月1日~10日

※当季雑詠3句(夏の句・秋の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。
代表:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/8月1日~10日

8月10日(1句)
★甲子園テレビ画面に赤とんぼ/桑本栄太郎
2年ぶりの甲子園での高校野球。中継のテレビ画面にすっと赤とんぼが入った。熱戦の繰り広げられる球場は、もう、秋。(髙橋正子)
8月9日(1句)
★鬼やんま岩を越え行く水迅し/小口泰與
岩を越える水の迅さ。その岩の周りを飛ぶ鬼やんま。清涼感があふれる。(髙橋正子)
8月8日(2句)
大津絵の団扇厨に置かれける/小口泰與
大津絵は仏画と世俗画に分かれるようだが、世俗画はいろいろあって、ひょうきんな画もあり楽しい。厨に置かれる団扇は、すし飯を扇いだり、急に冷ます必要なものがあったりと、活躍する。いつも手近にあるものは、面白いもの、楽しいものがいい。(髙橋正子)
★秋きぬと真白き蓮の開きけり/多田有花
秋が来たといって真っ白い蓮が開いた。真白き蓮が秋を見せてくれるかのように、目にすがすがしい。(髙橋正子)
8月7日(2句)
★ものの実の小さく生りて秋立ちぬ/廣田洋一
「小さく生りて」が「秋立ちぬ」の季節感をうまく表している。(高橋正子)
★蟻には広き朝顔の花の上/多田有花
お釈迦様の手のひらの孫悟空を思い出すが、朝顔の花の上の蟻。蟻にとっては、きれいでみずみずしい広い世界。着眼がいい。(高橋正子)
8月6日(1句)
★青空の今日も広がり原爆忌/多田有花
昭和20年8月6日8時15分、広島の上空は快晴だったと聞く。その日と同じように、去年もそうだったが、青空が広がる。それが哀しみを深くする。(髙橋正子)
8月5日(2句)
★翡翠の碧一筋に川渡る/廣田洋一
翡翠が狙った魚を一閃の光のごとく獲る様子と、その羽の色は魅力的。この句は、翡翠が川を渡る様子でこれは少し長く、「碧一筋」を目に焼き付けて飛ぶ様子。川の水を渡り飛ぶ「碧一筋」が涼しそうだ。(髙橋正子)
★朝涼のなかを鉄路はまっすぐに/多田有花
なんと気持ちのよい句だろう。朝の涼しさの中を鉄路がまっすぐ、どもまでも延びる。それだけで、十分な句の世界が成り立っている。(髙橋正子)
8月4日(1句)
★富士の峯青々そびえ夏惜しむ/廣田洋一
富士山の山頂が青々としているのは、本当に夏の間だけ。この青さを惜しみ、ゆく夏を惜しむ気持ちがいい。(高橋正子)
8月3日(1句)
★庭先の小さき浄土蓮の花/多田有花
蓮の花が咲くと、たとえ、そこが小さな池や小さな鉢でも、そのあたりが浄土と思える空気が漂う。蓮の花の清浄さがそうさせる。(高橋正子)
8月2日(1句)
★何もかも忘れたき日や茗荷掘る/桑本栄太郎
茗荷が食べるとものを忘れるという言い伝えがある。人は一切合切忘れてみたくなるとこもある。忘れることで珍事も起こるが、人生にユーモアがあっていい。「茗荷掘る」が真実味があるようで、遊んでいるようで。(高橋正子
8月1日(1句)
★芋の葉の彼方に夏の日が昇る/多田有花
芋の葉が一面畑を覆うその向こうから夏の日が昇る。神々しいまでの夏の日の出を芋の葉が力強く受け止めている。(髙橋正子)

8月1日~10日

8月10日(4名)
小口泰與
魚影の浅瀬の瀬尻秋の雲★★★
破顔して下山の髭や草の絮★★★
秋蝉や朝の浅間の褪せにける★★★
廣田洋一
木の実降る音を聞きつつ家路かな★★★★
木槿咲く枝の大きく広がりて★★★
新築の家の石垣宗旦木槿★★★
桑本栄太郎
夜気と云う風の窓辺や涼新た★★★
甲子園テレビ画面に赤とんぼ★★★★
2年ぶりの甲子園での高校野球。中継のテレビ画面にすっと赤とんぼが入った。熱戦の繰り広げられる球場は、もう、秋。(髙橋正子)
訳も無く走り遊ぶや子等の夏★★★
多田有花
台風一過一面に青葉散る★★★
干し物をするや秋めく風のなか★★★★
秋茄子のまだまだ生りし構えなり★★★
8月9日(4名)
小口泰與
鬼やんま岩を越え行く水迅し★★★★
岩を越える水の迅さ。その岩の周りを飛ぶ鬼やんま。清涼感があふれる。(髙橋正子)
しののめの棚田の雨や姫ばつた★★★
山峡の日のつれなしや崩れ簗★★★
廣田洋一
松手入終へたる庭を開け放ち★★★★
軽快な音の続きし松手入★★★
遠見には三角形の松手入★★★
桑本栄太郎
大荒れの木の葉飛び散る初嵐★★★
休日の鉄砲百合や幼稚園★★★
わくら葉ともう云えぬなり野分凪ぐ★★★
多田有花
台風の音を聞きつつ描きおり★★★
喫煙の習慣は無し花煙草★★★
カンナ咲く踏切へ電車やってくる★★★
8月8日(4名)
小口泰與
大津絵の団扇厨に置かれける★★★★
大津絵は仏画と世俗画に分かれるようだが、世俗画はいろいろあって、ひょうきんな画もあり楽しい。厨に置かれる団扇は、すし飯を扇いだり、急に冷ます必要なものがあったりと、活躍する。いつも手近にあるものは、面白いもの、楽しいものがいい。(髙橋正子)
きちきちや赤城の雲の動かざる★★★
螻蛄鳴くや田の水口の水車★★★★
廣田洋一
池の水こつんと叩けり鬼やんま★★★
昨日見し揚羽がここに秋の庭★★★
玉蜀黍刈られし畑広々と★★★★
桑本栄太郎
サングラス散歩の犬に吠えらるる★★★
きちきちの朝の田道を先導す★★★★
ユニクロのセールに集う涼新た★★★
多田有花
秋きぬと真白き蓮の開きけり★★★★
秋が来たといって真っ白い蓮が開いた。真白き蓮が秋を見せてくれるかのように、目にすがすがしい。(髙橋正子)
蓮蕾のすこやかに立つ今朝の秋★★★
かなかなや夜明けを告げて鳴き始め★★★
8月7日(4名)
廣田洋一
庭の草秋色まとふ朝かな★★★
庭隅の草の葉そよぎ秋立ちぬ★★★
ものの実の小さく生りて秋立ちぬ★★★★
「小さく生りて」が「秋立ちぬ」の季節感をうまく表している。(高橋正子)
小口泰與
遠花火浄土の声の聞ゆなり★★★
安けくて仏間に昼寝木木の風★★★
青鷺のはぎ濡れし沼夕間暮れ★★★
多田有花
吹く風が告げてゆきけり今朝の秋★★★
蟻には広き朝顔の花の上★★★★
お釈迦様の手のひらの孫悟空を思い出すが、朝顔の花の上の蟻。蟻にとっては、きれいでみずみずしく広い世界。着眼がいい。(高橋正子)
暑中から残暑へ暑さは変わらずに★★★
桑本栄太郎
空腹を覚え目覚むる今朝の秋★★★
ベランダの鉢に水撒く入日かな★★★
ふるさとの漁火想う秋の宵★★★★
8月6日(4名)
小口泰與
被写体へやすき心や含羞草★★★
物言わぬ犬や夕べのはたた神★★★
水換えて目高やすらい犬欠伸★★★
廣田洋一
あの人もこの人も去り8月かな★★★
その奥に炎立つごと夕焼雲★★★
幾筋も火の帯流れ大夕焼★★★
多田有花
青空のいつも広がり原爆忌(原句)
青空の今日も広がり原爆忌★★★★(正子添削)
俳句は、今、現在のことを詠みます。そしてそれが永遠であることの象徴とします。そういう観点で添削しました。
昭和20年8月6日8時15分、広島の上空は快晴だったと聞く。その日と同じように、去年もそうだったが、青空が広がる。それが哀しみを深くする。(髙橋正子)
秋近き夜明けの空を見上げおり(原句)
「おり」の動作が強く出過ぎるので、もう少し、しっとりするように添削しました。
秋近き夜明けの空を見上ぐなり★★★★(正子添削)
百合白し朝日を浴びる家のそば★★★
桑本栄太郎
黒き雨ようやく止みぬ原爆忌
炎天の火に祈り居り原爆忌
逝く君の日と重なりし原爆忌
8月5日(4名)
小口泰與
蟾蜍からぶ大地に鎮座せり(原句)
「からぶ」は、文語で上二段活用をしますから、字余りとなっても、連体形の場合は「からぶる」にしてください。
蟾蜍からぶる大地に鎮座せり★★★(正子添削)
雷鳴や春子俳句の奇の乱舞★★★
降臨の大樹や風の滝の音★★★
廣田洋一
露店湯の湯煙高き山滴る(原句)
「露店湯」は変換ミスかと思います。「高き」は「山」を修飾していますので、添削のようにしました。「高し」で切りましたので、「山滴る」(終止形)として切ることはできませんのでこちらも直しました。(高橋正子)
露天湯の湯煙高し山滴り★★★★(正子添削)
山滴る谷川の水青きかな★★★
句意はとても良いと思います。切れが二か所にありますので,気になるところです。(髙橋正子)
翡翠の碧一筋に川渡る★★★★
翡翠が狙った魚を一閃の光のごとく獲る様子と、その羽の色は魅力的。この句は、翡翠が川を渡る様子でこれは少し長く、「碧一筋」を目に焼き付けて飛ぶ様子。川の水を渡り飛ぶ「碧一筋」が涼しそうだ。(髙橋正子)
多田有花
朝涼のなかを鉄路はまっすぐに★★★★
なんと気持ちのよい句だろう。朝の涼しさの中を鉄路がまっすぐ、どもまでも延びる。それだけで、十分な句の世界が成り立っている。(髙橋正子)
朝の田にしばし白鷺の立てり★★★
家々にペチュニア新興住宅★★★
桑本栄太郎
地の塩の噴き出す日なり草田男忌★★★
歩みゆく程にきらめく草の露★★★★
つんつんと青無花果の川辺かな★★★
8月4日(4名)
小口泰與
久に会う友の白髪や大海月★★★
白昼の商店街や風死せり★★★
死の果にある星空や旅晩夏★★★
廣田洋一
富士の峯青々そびえ夏惜しむ★★★★
富士山の山頂が青々としているのは、本当に夏の間だけ。この青さを惜しみ、ゆく夏を惜しむ気持ちがいい。(高橋正子)
アロエの葉枯れてしまひし夏の果★★★
窓を打つ雨音高し夏の果★★★
多田有花
空蝉のいつまで確とつかまりぬ★★★
総身に蝉しぐれ浴び古墳に立つ★★★★
蝉ぐれブランコの風心地よし★★★
桑本栄太郎
青田道縫つて辿りぬ路線バス★★★
鳴くもあり鳴かぬも並ぶ蝉の枝★★★
アスファルト鋪道に流る酷暑かな★★★
8月3日(4名)
小口泰與
風薫る浅間の雲の軽きかな★★★★
ステテコやぬれ縁に来る二羽の鳩★★★
日雷ソフトボールの少女達★★★
多田有花
庭先の小さき浄土蓮の花★★★★
蓮の花が咲くと、たとえ、そこが小さな池や小さな鉢でも、そのあたりが浄土と思える空気が漂う。蓮の花の清浄さがそうさせる。(高橋正子)
朝の月白く残りぬ百日紅★★★★
燕の子寄りあい並び電線に★★★
桑本栄太郎
風音と雨の降る音夜立来る★★★
嶺の端の雨雲去りて虹出ずる★★★
歴史的仮名遣いの表記をするならば、「出(い)づ」は終止形なので、連体形は「出(い)づる」がより正しい表記とされています。(高橋正子)
かなかなの山の端遠く茜かな★★★
廣田洋一
夏の雨止みし途端に湿気かな★★★ 
短夜の更けたる空に地球儀かな★★★
「オリンピック開会式」のドローンの光で作った地球儀でしょうか。前書きがあるとわかりやすいと思います。
短夜や寝技で勝ちし柔道家★★★
8月2日(4名)
小口泰與
常夏や里の小川のさらさらと★★★
木道の下野草や雲湧きぬ★★★
花合歓や天地賜わる我が一世★★★
廣田洋一
揚羽蝶木の香を吸ひて飛び去りぬ★★★
雷鳴の近づきたるや雨烈し★★★
オンライン会議終へたり雷雨去る★★★
桑本栄太郎
かなかなの暁けの茜や朝まだき★★★
何もかも忘れたき日や茗荷掘る★★★★
茗荷が食べるとものを忘れるという言い伝えがある。人は一切合切忘れてみたくなるとこもある。忘れることで珍事も起こるが、人生にユーモアがあっていい。「茗荷掘る」が真実味があるようで、遊んでいるようで。(高橋正子)
音のみの在りて降らずやはたた神★★★
多田有花
紅蓮開く朝の気を吸うごとく(原句)
「ごとく」ではなく、主観で「吸う(吸って)」のほうが、すっきりします。
俳句は詩という観点から見ると、こういった主観はむしろ尊ばれます。(高橋正子)
朝の気を吸って開けり紅蓮★★★★(正子添削)
散る蓮の隣新たに開く蓮★★★★
重たげに開きぬ八重の蓮の花★★★
8月1日(4名)
小口泰與
萱草や溶岩道の岩の数★★★
綿菅や降りたるリフト渦の風(原句)
綿菅や降りたるリフトに風の渦★★★★(正子添削)
雲の峰育つや犬の窶れける★★★
廣田洋一
葉陰より青柿一つ現れし★★★
青柿の踏み潰されし道の端★★★
青柿や水の枯れたる用水路★★★
多田有花
芋の葉の彼方に夏の日が昇る★★★★
芋の葉が一面畑を覆うその向こうから夏の日が昇る。神々しいまでの夏の日の出を芋の葉が力強く受け止めている。(髙橋正子)
山門を入れば一面蓮の花★★★★
花びらの先のみわずかに紅の蓮★★★
桑本栄太郎
想い出のあまたありたる八月来★★★
ひらひらと水辺漂う糸とんぼ(原句)
ひらひらと水辺漂い糸とんぼ★★★★(正子添削)
仰のけのままに羽ばたき蝉の果つ★★★

自由な投句箱/7月21日~31日

※当季雑詠3句(夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/7月21日~31日

7月31日(1句)
★山翡翠や日ごとに透ける峡の空/小口泰與
山翡翠の野性味と日ごと透けていく山峡の空が見事にマッチしてゆるぎない世界が生まれている。(高橋正子)
7月30日(1句)
★県境跨げば上がる夏の雨/廣田洋一
県境は、谷筋や山脈など地形によって引かれていることが多い。雨雲も地形に影響される。急に降り出し、急に止む夏の雨は、県境を跨ぐと上がることもあって、面白い現象がみられる。夏の雨の特徴をよく詠んでいる。(高橋正子)
7月29日(1句)
★ことごとく朝露宿す青田かな/多田有花
朝の青田は、どの田も一様に露が宿っている。おびただしい露が目にも心にも涼やかに映る。(髙橋正子)
7月28日(1句)
★太陽へ大きく咲けりハイビスカス/多田有花
「大きく咲けり」が面白い。ハイビスカスは、もともと大きな花であるが、太陽へ向かって大写しされるように明るく屈託なく咲く。そこが南国の花らしい。(高橋正子)
7月27日(1句)
★竹席を敷きて奥利根夏座敷/小口泰與
日本の夏を涼しく暮らす工夫はいろいろあるが、竹席もその一つ。奥利根の夏座敷に敷かれた竹席が陰影深く、涼感を伝えている。(髙橋正子)
7月26日(2句)
★蓮の花音高々と水噴けり/廣田洋一
蓮が咲くのは早朝。きれいな朝の空気に咲く蓮の花に、噴く水の音も高々として涼しげだ。清浄な句。(髙橋正子)
★子供らの蝉採り走る入り日かな/桑本栄太郎
日が暮れそうになっても、子供らは虫取り網と虫籠をもって走りまわり、蝉取りに夢中だ。入日の中のそんな子供らを見ていると、幼いころの遠い景色に重なるようだ。(髙橋正子)
7月25日(1句)
★石鹸の香りほのかにタンクトップ/多田有花
タンクトップを着た人から石鹸の香りが立っている。コロンでも香水でもないく石鹸なのがいい。清潔感があって、爽やかで、若々しい。(髙橋正子)
7月24日(1句)
★炎昼の虚空を渡る歩道橋/多田有花
なにもかも、陽炎のように燃える炎昼。路面より高く設置された歩道橋を渡るときは、あたかも虚空を渡るかのような感じ。炎昼ならばこその感覚。(高橋正子)
7月23日(1句)
★もぎ立ての李や峡の日の温み/小口泰與
李をもいでみると、日の温みが残っている。たしかに、この峡の日に熟れた李への愛おしさが湧いてくる。(高橋正子)
7月22日(1句)
★花ダリア紅の色澄み透り/廣田洋一
夏の庭で、ダリアの花は燃えんばかりに力強く咲く。けれども、その紅の色は純粋で澄んでいる。その発見と驚き。(高橋正子)
7月21日(1句)
★歩み行くほどにきらめく露涼し/桑本栄太郎
歩んでゆく径に置く露。歩いていくほど、露が増えて、きらめく様子に涼しさを覚える。「露涼し」の実感が伝わる。(髙橋正子)

7月21日~31日

7月31日(4名)
小口泰與
山翡翠や日ごとに透ける峡の空★★★★
山翡翠の野性味と日ごと透けていく山峡の空が見事にマッチしてゆるぎない世界が生まれている。(高橋正子)
夕菅や湖を囃せる日の光★★★
山峡の棚田いっせい青蛙★★★
多田有花
熊蝉や胴震わせて鳴き続く★★★
色とりどりペチュニア咲かせ歯科医院★★★
ラジコン飛行機夏野に飛ばしおり★★★★
廣田洋一
今年また親子で囲む土用鰻★★★
値段にて産地の知れる大鰻★★★
昼食に鰻せいろを奢りたる(原句)
「昼食に」があるために、事実報告の句になっています。「昼食に」は、読者に想像させましょう。
子に奢る鰻せいろの匂い立ち★★★★(正子添削例①)
子に奢る鰻せいろのおおぶりに(正子添削例②)「おおぶりに」なら、子の年齢もおおよそ知れると思います。(髙橋正子)
桑本栄太郎
ひらひらと水辺漂う糸とんぼ(原句)
添削のように、切れを入れると、糸とんぼの動きが自由になります。(髙橋正子)
ひらひらと水辺漂い糸とんぼ★★★★(正子添削)
風吹けばよろこび詠う稲の花★★★
空蝉の眼遠くを見つめ居り(原句)
空蝉なので、「見つめ居り」は、生々しすぎる感じです。「見つむかに」で修めます。(髙橋正子)
空蝉の眼遠きを見つむかに★★★★(正子添削)
7月30日(4名)
小口泰與
湧き出づる雲の匂いや夏薊★★★
たちまちに畦を責め來る滑莧★★★
グラジオラス一途な恋は剣の如★★★
廣田洋一
夏の雨明るき窓を濡らしけり★★★
県境跨げば上がる夏の雨★★★★
県境は、谷筋や山脈など地形によって引かれていることが多い。雨雲も地形に影響される。急に降り出し、急に止む夏の雨は、県境を跨ぐと上がることもあって、面白い現象がみられる。夏の雨の特徴をよく詠んでいる。(高橋正子)
ぽつと来て一度は止みぬ夏の雨★★★
多田有花
夏つばめ羽繕いに余念なし★★★
風鈴の音に誘われ路地をゆく★★★
蜘蛛渡る朝露宿す稲の間を★★★★
桑本栄太郎
姉妹らの船場言葉や谷崎忌★★★
雨匂い土のにおうや驟雨来る★★★
雷雨去り夕の茜や蝉しぐれ★★★
7月29日(4名)
小口泰與
嬬恋の峡田棚田のあめんぼう★★★★
秋近し街騒遠き杣の宿★★★
花街も灯まばら夏柳★★★
廣田洋一
日焼けせぬ腕を見せ合ふ受験生★★★
サングラスより下は日焼けのランナーかな★★★
日焼け止めアームカバーの理容師かな★★★
多田有花
花魁草朝の散歩の道彩る★★★
ことごとく朝露宿す青田かな★★★★
朝の青田は、どの田も一様に露が宿っている。おびただしい露が目にも心にも涼やかに映る。(髙橋正子)
朝涼やぶらり路地ゆく楽しさよ★★★
桑本栄太郎
こつ然とかなかな鳴きぬ茜かな★★★
<オリンピック女子選手の大活躍>
日の本はやはりをみなや雲の峰★★★★
枝の揺れ葉の擦れあいて夜の秋★★★
7月28日(4名)
小口泰與
もろもろの草の動きや青大将★★★
三山は雲にかしづき夏燕★★★
老犬の安寝の息や合歓の花★★★
廣田洋一
高波を捉えしサーファー銀メダル★★★
炎天に急ぎ飛び去る黒き蝶★★★
プール出でわが体重を感じたり★★★★
多田有花
田草取る人のありけり早朝に★★★
朝散歩夏の流れに沿いてゆく★★★
太陽へ大きく咲けりハイビスカス★★★★
「大きく咲けり」が面白い。ハイビスカスは、もともと大きな花であるが、太陽へ向かって大写しされるように明るく屈託なく咲く。そこが南国の花らしい。(高橋正子)
桑本栄太郎
白靴を買うと決めたる五倍デー★★★
日盛りのみみず干乾ぶ鋪道かな★★★
かなかなの鳴いて入日や夕風に★★★
7月27日(4名)
小口泰與
竹席を敷きて奥利根夏座敷★★★★
日本の夏を涼しく暮らす工夫はいろいろあるが、竹席もその一つ。奥利根の夏座敷に敷かれた竹席が陰影深く、涼感を伝えている。(髙橋正子)
人は皆脆きものなり夏の露★★★
妙義榛名ともろ共に夕焼ぞ★★★
廣田洋一
ぎんぎんに冷えし甘酒酌みたりき★★★
甘酒や生姜を効かし一気飲み★★★
立飲みの甘酒啜る紙コップ★★★
多田有花
庭先でボール蹴る音夏の夕★★★
涼風を受けゆっくりとピラティスを★★★
大樹あり蝉をいっぱいとまらせて★★★
桑本栄太郎
夜気来たる風の窓辺や秋近し★★★
軽鴨のファミリーらしき田水かな★★★
青空に火炎放つやさるすべり★★★
7月26日(4名)
多田有花
夏鶯夜明けとともに鳴き始め★★★
昼餉には茄子やわらかく味噌炒め★★★
昼の部屋ただ涼風があればよし★★★
小口泰與
百草の隣家や雨の雨蛙★★★
贈り來し山女や峡の水の色★★★★
百日紅開かずのままの裏鬼門★★★
廣田洋一
打水に黒く染まりしアスファルト★★★★
蓮池や透ける花弁重なりぬ(原句)
蓮池や花弁の透けて重なりぬ★★★★(正子添削)
噴水の音高々と蓮の花★★★★
「噴水の音高々と」と「蓮の花」が同等に強いので、「噴水」(夏)、「蓮の花」(夏)の季重なりと言えます。添削では、「蓮の花」をメインとしました。
蓮の花音高々と水噴けり(正子添削①)
「蓮の花」の語調がやわらかい(締まらない)と思われるなら、「蓮の花」を
「花蓮(はなはちす)」にされてもよいと思います。
花蓮(はなはちす)音高々と水噴けり(正子添削②)
蓮が咲くのは早朝。きれいな朝の空気に咲く蓮の花に、噴く水の音も高々として涼しげだ。清浄な句。(髙橋正子)
桑本栄太郎
草むらの風に鳴き初むきりぎりす★★★★
炎昼や鳴くものすべて鳴き止みぬ★★★
子供らの蝉採り走る入り日かな★★★★
日が暮れそうになっても、子供らは虫取り網と虫籠をもって走りまわり、蝉取りに夢中だ。入日の中のそんな子供らを見ていると、幼いころの遠い景色に重なるようだ。(髙橋正子)
7月25日(4名)
小口泰與
隠り沼の朽舟に舞う水馬★★★
訪ね来し眉雪の友や冷やし酒★★★
物寂ぶる梔子の花地を転ぶ★★★
廣田洋一
青き地球空に浮かびし五輪祭★★★
少しづつ彩り変へて夏料理★★★
緑に始まり緑に終る夏料理★★★
多田有花
夏満月低く南の空にあり★★★
家包み湧きたつ如し蝉の声★★★
石鹸の香りほのかにタンクトップ★★★★
タンクトップを着た人から石鹸の香りが立っている。コロンでも香水でもないく石鹸なのがいい。清潔感があって、爽やかで、若々しい。(髙橋正子)
桑本栄太郎
古池の蓮の葉被い蓮ひらく(原句)
古池を蓮の葉被い蓮ひらく★★★(正子添削)
猫バスのトトロの森や木下闇★★★
坂道を下り迫り出す百日紅★★★
7月24日(4名)
廣田洋一
茶碗の水に溺れし小蠅かな★★★
牛の尾のゆらりと揺れて蠅を追ふ★★★
オリンピックの賛歌と聞きし蝉時雨★★★
小口泰與
凌霄花や風の抗弁激しけれ★★★
郭公や風が物言う山上湖★★★
山風を大樹が庇う百合の花★★★
多田有花
炎昼の虚空を渡る歩道橋★★★★
なにもかも、陽炎のように燃える炎昼。路面より高く設置された歩道橋を渡るときは、あたかも虚空を渡るかのような感じ。炎昼ならばこその感覚。(高橋正子)
夏暁けの空に伸びゆく飛行機雲★★★
陽がさせば早も炎暑の気配あり★★★
桑本栄太郎
河童忌や夕日に光る蜘蛛の糸★★★
かなかなの茜となりぬ遠嶺かな★★★
空蝉の命あるかに構えけり★★★
7月23日(3名)
小口泰與
もぎ立ての李や峡の日の温み★★★★
李をもいでみると、日の温みが残っている。たしかに、この峡の日に熟れた李への愛おしさが湧いてくる。(高橋正子)
雲の峰家業固守せる我が一世★★★
梔子や古手拭の如しなる★★★
多田有花
炎昼の道は峠に向かいおり★★★★
片陰を選び駅前ロータリー★★★
夏野菜いろいろ刻みラタトゥイユ★★★
桑本栄太郎
梅漬けの笊に干さるる大暑かな★★★
<故郷の話題二つより>
隠岐や今遥か彼方や土用波★★★★
松蔭の敗れて夏の終わりけり★★★
7月22日(4名)
廣田洋一
下戸なりし妻の漬けたる梅酒かな(原句)
下戸なりし妻の遺せし梅酒かな★★★★(正子添削)
ポンポンダリア団地の庭の華やげる★★★
花ダリア紅の色澄み透り★★★★
夏の庭で、ダリアの花は燃えんばかりに力強く咲く。けれども、その紅の色は純粋で澄んでいる。その発見と驚き。(高橋正子)
小口泰與
落日を一顧だにせず山女釣★★★
下校児の畦の桑の実家遠し★★★
遠き日の端居の父の強面★★★
多田有花)
朝の窓開け放ちたり盛夏来る★★★
ブーツ型のグラスに入りしレモンスカッシュ★★★
遠雷よりわずかに雨滴吹かれ来る★★★★
桑本栄太郎
木洩れ日の道を伝いて朝涼し★★★
蝉の翅の透きたるような夏衣かな★★★
葉を透きし窓の樹木や西日さす★★★
7月21日(3名)
小口泰與
夕虹の掉尾や風の峡に住む★★★
贈られし奥多摩山女舌肥し★★★
紅蓮や閨秀詩人住まいける★★★
廣田洋一
夕暮れの川辺にそよぐ青田かな★★★
道はさみ開発進む青田かな★★★
年古りて琥珀色なる梅酒酌む★★★
桑本栄太郎
歩み行くほどにきらめく露涼し★★★★
歩んでゆく径に置く露。歩いていくほど、露が増えて、きらめく様子に涼しさを覚える。「露涼し」の実感が伝わる。(髙橋正子)
朝日差す風に蹲踞やさるすべり★★★
蜘蛛の囲の朝日が差せば主無し★★★

自由な投句箱/7月11日~20日

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主宰:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/7月11日~20日

7月20日(2句)
★香水の香る近さの握手かな/廣田洋一
握手をしたら、ふうっと香水が匂って、涼しい風が流れたような気持ちになった。ちょうどいい距離の握手が爽やか。(髙橋正子)
★放れ雲青空にあり炎暑来る/桑本栄太郎
青空に雲が放り投げられたように浮いている。隠れようのない炎暑が来たのだ。雲だって暑い。(髙橋正子)
7月19日(1句)
★木の丈を越ゆる凌霄花空に風/小口泰與
凌霄花は蔓性の木性で、ほかの木に蔓を絡めてよじ登るように伸びていく。花は明るいオレンジ色で美しい。この句は、木の丈以上に伸びて青空によく映え咲いている凌霄花。花の上を心地よい風が吹いているのだろう。凌霄花の特性をよく捉えた夏らしい句。(髙橋正子)
7月18日(1句)
★梅雨明けや書斎の椅子を新調す/多田有花
梅雨が明け、いよいよ夏本番となるとき、気持ちを一新して書斎の椅子を新調した。デスクワークがはかどりそう。(高橋正子)
7月17日(1句)
★噴煙も雲も夕焼け一色に/小口泰與
浅間の噴煙も雲も、夕焼けに同じように染まってしまう。雄大な夕焼けの景色が素晴らしい。(高橋正子)
7月16日(1句)
★棟上げの木の香漂う西日かな/廣田洋一
いよいよ棟上げの日、組み上げた木に西日が当たり、西日の温みに真新しい木が匂う。新築らしい木の香りに棟上げの喜びも一入。(高橋正子)
7月15日(1句)
★蝉の声雷雨ののちの雨しずく/桑本栄太郎
雷雨が去ると、途端に蝉が鳴きだす。蝉の鳴く枝からは雨の滴が垂れて、蒸し暑さが湧き上がるよう。夏だ。(髙橋正子)
7月14日(2句)
★暑き日をしづめて湧ける泉かな/小口泰與
泉に来ると、周りの暑さをしずめたように涼しい感じがする。泉の清涼感がいい。(高橋正子)
★畦道に朝日差しけり青田波/桑本栄太郎
早朝、畦道を歩くと朝日が斜めに差して眩しいほどだ。青田に風が渡り波立っている。朝の涼しい景色がいい。(髙橋正子)
7月13日(2句)
日焼けせし腕が自慢の女の子/廣田洋一
日焼けした腕を自慢する元気な女の子。健康的で、さっぱりした女の子の様子がいい。(髙橋正子)
朝日差す池の静寂や蓮の花/桑本栄太郎
蓮の花は早朝に開き、昼前にはしぼむ。神々しく朝日が差す静かな蓮池。(髙橋正子)
7月12日(1句)
★葉陰より紫光る茄子の花/廣田洋一
茄子は、葉も、茎も、花も少しずつ色が違う紫。葉陰から茄子の花が見えるが、生き生きとして光っている。花の紫が光っていて、目に焼き付く強さ。
それがいい。(高橋正子)
7月11日(1句)
★梅雨深し向かいの木槿咲き初めし/多田有花
梅雨の雨が降り通し、身の回りが雨に浸されそう。そんなとき、向かいの槿を見て居れば、咲き始めている。花のすがすがしいこと。(髙橋正子)

7月11日~20日

7月20日(3名)
小口泰與
大瑠璃のこえや山家の大庇★★★★
ゆらゆらと小枝に非ず目高かな★★★
夏茜追想はつねに胸躍る★★★
廣田洋一
香水の香る近さの握手かな★★★★
握手をしたら、ふうっと香水が匂って、涼しい風が流れたような気持ちになった。ちょうどいい距離の握手が爽やか。(髙橋正子)
香水のぶつかりをりぬ電車の中★★★
暮れなづむ田の面を明るく合歓の花★★★★
桑本栄太郎
青空の木洩れ日辿る朝涼し★★★
分けつの太き青田や朝の風★★★
放れ雲青空にあり炎暑来る★★★★
青空に雲が放り投げられたように浮いている。隠れようのない炎暑が来たのだ。雲だって暑い。(髙橋正子)
7月19日(4名)
小口泰與
木の丈を越ゆる凌霄花空は風(原句)
木の丈を越ゆる凌霄花空に風★★★★(正子添削)
凌霄花は蔓性の木性で、ほかの木に蔓を絡めてよじ登るように伸びていく。花は明るいオレンジ色で美しい。この句は、木の丈以上に伸びて青空によく映え咲いている凌霄花。花の上を心地よい風が吹いているのだろう。凌霄花の特性をよく捉えた夏らしい句。(髙橋正子)
熱帯夜朝風呂入りて早忘れ★★★
庭仕事汗の言霊発しける★★★
廣田洋一
香水を一滴たらし眠りけり★★★
たっぷりと庭に水撒く土用入★★★
燦燦と晴れ上がりたる土用入★★★★
多田有花
われもまた盛夏の日差し浴びて立つ★★★
蝉の声にぎやかな朝となりにけり★★★
青空に雲のまぶしき真夏かな(原句)
真夏はだいたい雲がまぶしいですから、それを実感した、句に仕立てます。(髙橋正子)
青空に雲のまぶしさ真夏かな★★★★(正子添削)
桑本栄太郎
日傘差し朝の散歩や老婦人★★★
空蝉の命あるかに構えけり★★★
明けて早や日差し炎暑や青き空★★★
7月18日(4名)
小口泰與
田水沸く犬も散歩を尻ごみぬ★★★
軽装や湖畔に立ちて夏夕べ★★★
長き尾の目高のずいと水面へと★★★
廣田洋一
青空に赤く垂れたる唐黍の花★★★
川風の涼しき並木そよぎけり(原句)
みんなそよいでいる方が涼しく感じられます。
川風の涼しき並木みなそよぎ★★★★(正子添削)
片蔭を伝ひて歩く散歩道★★★
多田有花
梅雨明けや書斎の椅子を新調す★★★★
梅雨が明け、いよいよ夏本番となるとき、気持ちを一新して書斎の椅子を新調した。デスクワークがはかどりそう。(高橋正子)
梅雨明けの風入る部屋で瞑想す★★★
梅雨明けや煎じし生薬の甘し★★★
桑本栄太郎
梅雨明けの青空行くや朝の道★★★
枝毎に密をいとわず蝉しぐれ★★★
夏萩の枝の浮き居り下風に★★★★
7月17日(4名)
廣田洋一
頼まれし香水求めシャンゼリゼ★★★
湯上りにパッと振りかけオーデコロン★★★
シャツの背の丸く濡れたる極暑かな★★★
小口泰與
あけぼのの百千のばらや鳥の声★★★
奥利根の夏闌の棚田かな★★★
夕焼や雲と噴煙ともに紅(原句)
噴煙も雲も夕焼け一色に★★★★(正子添削)
浅間の噴煙も雲も、夕焼けに同じように染まってしまう。雄大な夕焼けの景色が素晴らしい。(高橋正子)
桑本栄太郎
茅舎忌の種を播きたり夏大根★★★
一陣の風を生みたる夕立来る★★★
梅雨明けの祇園囃子や練り歩く★★★★
多田有花
雨やめば蝉の声する朝となり★★★
双眼鏡で見る山肌の合歓の花(原句)
「で見る」が、散文的かな、と思います。
山肌の合歓の花見ゆ双眼鏡★★★★(正子添削)
梅雨明けと思いし今朝の夜明けかな★★★
7月16日(3名)
小口泰與
農婦より朝採り胡瓜賜りぬ★★★★
鷺草へ風の物言い湖辺にて★★★
物の怪の如き顔出づ花蜘蛛ぞ★★★
廣田洋一
駅出れば西日射し込む車窓かな★★★
照り返す西日の川に舟浮かぶ★★★
棟上げの木の香漂う西日かな★★★★
いよいよ棟上げの日、組み上げた木に西日が当たり、西日の温みに真新しい木が匂う。新築らしい木の香りに棟上げの喜びも一入。(高橋正子)
桑本栄太郎
突然の音に目覚むや朝の雷★★★
夏草や遠くの孫に会えぬ日々★★★
嶺に沿い茜つづけり梅雨入日★★★
7月15日(3名)
小口泰與
何だこりや忽と花蜘蛛眼間に★★★
郭公や休日の暁け起こされし★★★
山林の小火や牝鹿の鋭声せり★★★
廣田洋一
四つ角を曲がれば止みし夕立かな★★★
橋渡り追ひかけて来る夕立かな★★★★
予報は三時夕立前に帰宅せり★★★
桑本栄太郎
捩花のねじれ忘れや真直ぐに★★★
突然の音に目覚めり雷走る★★★
雷雨去り雨のしずくや蝉の声(原句)
蝉の声雷雨ののちの雨しずく★★★★(正子添削)
雷雨が去ると、途端に蝉が鳴きだす。蝉の鳴く枝からは雨の滴が垂れて、蒸し暑さが湧き上がるよう。夏だ。(髙橋正子)
7月14日(3名)
小口泰與
水割って滝を遡上や魚の群★★★
暑き日を包みこみたる泉かな(原句)
「包みこみたる」と言い切ってしまうと、江戸俳諧のような印象を受けます。もう少し新しさがあっていいのではないでしょうか。(髙橋正子)
暑き日をしづめて湧ける泉かな★★★★(正子添削)
泉に来ると、周りの暑さをしずめたように涼しい感じがする。泉の清涼感がいい。(高橋正子)
百日紅文机に置く史記一巻★★★
桑本栄太郎
朝日差す畦道来たる青田波(原句)
整理された方がいいと思います。(髙橋正子)
畦道に朝日差しけり青田波★★★★(正子添削)
早朝、畦道を歩くと朝日が斜めに差して眩しいほどだ。青田に風が渡り波立っている。朝の涼しい景色がいい。(髙橋正子)
花びらの巻いて散り居り木槿咲く★★★
午後よりの黒雲集う梅雨の雷★★★
多田有花
たっぷりと油を吸って茄子うまし★★★
帰り着くやいなや白雨の来たりけり★★★
やわらかく包まれメロンの並びおり★★★
7月13日(4名)
小口泰與
混沌の釣糸解きて翡翠かな★★★
夏の暁紫紺の赤城靄も無き★★★
蒼天は癒しや湖の時鳥(原句)
「癒し」が読み手に伝わりにくいです。
湖に蒼天晴ればれ時鳥★★★★(正子添削)
廣田洋一
日焼けせし腕が自慢の女の子★★★★
日焼けした腕を自慢する元気な女の子。健康的で、さっぱりした女の子の様子がいい。(髙橋正子)
紅花の凛として立つ葵かな★★★
雷雨にも耐へて立ちたる花葵★★★
多田有花
窓ガラス揺らし真昼の梅雨の雷★★★
夏燕また巣作りを始めおり★★★
梅雨長しゆっくりコーヒーを入れる★★★
桑本栄太郎
おもむろに蝉の鳴き出す暁けの道★★★
朝日差す池の静寂や蓮の花★★★★
蓮の花は早朝に開き、昼前にはしぼむ。神々しく朝日が差す静かな蓮池。(髙橋正子)
雷鳴の音に目覚むる夕べかな★★★
7月12日(4名)
小口泰與
夕さりの鄙の小店やおとり鮎★★★
うなそこの破船の海月闇に舞う★★★
腰痛を忘るる趣味や七変化★★★
廣田洋一
葉陰より紫光る茄子の花★★★★
茄子は、葉も、茎も、花も少しずつ色が違う紫。葉陰から茄子の花が見えるが、生き生きとして光っている。花の紫が光っていて、目に焼き付く強さ。
それがいい。(高橋正子)
晴天や日毎色濃き茄子の花★★★★
谷戸の風追ふが如くに蝉時雨★★★★
多田有花
草を刈る音の終日梅雨晴れ間★★★
たどたどしく「雨だれ」を弾く梅雨の部屋★★★
青芝を丸く刈りたり芝刈り機★★★
桑本栄太郎
虎尾草の花の仕舞いや雨上がる★★★
雷雨去り風の夕べや宵涼し★★★
嶺の端のひと日暮れ行く梅雨入日★★★
7月11日(4名)
廣田洋一
山裾にくっきり浮かぶ合歓の花★★★
合歓の花たづねつつ行く谷戸の道★★★
一駅を過ぎれば上がる夕立かな★★★★
小口泰與
滝に立ち風の飛沫を身にまとう★★★★
屋上や夕焼を真っ向に受く★★★
「真っ向に受く」の「に」が気になります。
真っ向の夕焼受けて屋上に★★★★(正子添削)
巣を出づや躁の子鴉親追う目★★★
多田有花
ひとときの梅雨の日差しののち雨に★★★
梅雨深し向かいの木槿咲き初めし★★★★
梅雨の雨が降り通し、身の回りが雨に浸されそう。そんなとき、向かいの槿を見て居れば、咲き始めている。花のすがすがしいこと。(髙橋正子)
遠雷や梅雨の終わりの近づきぬ★★★
桑本栄太郎
初蝉の忽と鳴き初む朝餉かな★★★★
夕映えや塒すずめの姦しく★★★
鳴りいても雨の降り来ず梅雨の雷★★★
)

自由な投句箱/7月1日~10日

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※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
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主宰:高橋正子・管理:高橋信之