祝 自由な投句箱開設 5000日

祝 自由な投句箱開設 5000日
今日、8月8日、「自由な投句箱」のブログを開設して5000日となりました。毎日ご投句ありがとうございます。皆様の熱心さにどれだけお応えし、お役に立ったかは疑問ですが、ともかくも5000日、約13年半続いたことは、素晴らしいことと思います。あっけなく過ぎた5000日のようにも思えます。これからもよろしくお願いいたしします。
2022年8月8日
花冠発行所
髙橋信之・髙橋正子

自由な投句箱/8月1日~8月10日

※当季雑詠3句(夏の句・秋の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/8月1日~8月10日

8月10日(2句)
★遊行寺や秋田の踊り披露さる/廣田洋一
遊行寺は藤沢にある、踊念仏で知られる一遍上人のお寺。遊行の盆として日本三大盆踊のひとつ秋田県の「西馬音内(にしもない)盆踊り」が披露されたのだろう。盆踊りは一遍上人の踊り念仏に行きつくと言われることもあって、盆の祈りと共に楽しまれたことだろう。(髙橋正子)
★新涼のラジオ体操妻の朝/桑本栄太郎
「妻の朝」がいい。朝の家事をする妻ではなく、まず「新涼のラジオ体操」をする。さわやかな妻の姿が浮かぶ。(髙橋正子)
8月9日(2句)
★八月の石鉢にメダカ群れ泳ぐ/多田有花
八月といえば、暑さのなかにも秋の気配が感じられる時。石鉢に張られた水が涼しそうで、メダカの群れが泳いで気持ちよさそうだ。主の季語は八月。(髙橋正子)
★世田谷の蜻蛉横切る日暮れかな/友田 修
世田谷は戦後生活の街として発展してきた。昭和20年には人口30万で、竹やぶが残っていた話を聞く。今は景観を重視した街づくりがなされているようだ。「世田谷の蜻蛉」がすっと横切った。もう日暮れなのだ。懐かしい風景が目の前にふっと現れたような気持ちになる。日暮れが余計にそうさせる。(髙橋正子)
8月8日(1句)
★ぎらぎらと立秋の日が昇りけり/廣田洋一
今年は8月7日が立秋だった。いつもの年なら、暑いと言いながらも空や雲に秋の気配が感じられるのに、世情不安もあってか、不快さの混じる立秋だったと思う。「ぎらぎらと」は、立秋に相応しくないようだが、実際の実感として強く訴えて来た。(髙橋正子)
8月7日(2句)
★郭公や妻のかたえのアームチェア/小口泰與
郭公の声が聞こえるところ。誰も座っていないアームチェアの傍にいる妻。妻はもう一つの並んだアームチャアに座っているのではないかと想像する。面白い着眼。夫婦がゆっくり過ごす山の時間を思った。(髙橋正子)
★立秋や今日の献立黒板に/多田有花
「黒板」が楽しい。毎日黒板に献立が書き替えられるのだろう。楽しみな黒板である。立秋の今日は食欲が湧きそうな献立か。(髙橋正子)
8月6日(1句)
★原爆忌昼の窓辺に虫の声/多田有花
原爆忌は広島が8月6日、長崎が8月9日。このころは立秋前後であって、暑いながらも、ふとしたところに秋の気配が感じられるようになる。昼の窓辺から虫の声が聞こえ、哀愁を帯び、原爆忌を悼んでいるようにも聞こえる。(髙橋正子)
8月5日(2句)
★落葉松や夏霧生まる峡の渓/小口泰與
あっさりと情景を詠んだ句だが、句の景色がいい。繊細な落葉松のを包むように夏霧が生まれる峡の渓。秋には落葉松は金の葉を降らすことになる。(髙橋正子)
★夜店あり瞑りて過ぎる通過駅/弓削和人
通過駅は、急行の止まらない小さな町の駅。ちらと見えた町に夜店が出ている。それも疲れて眼をつむったまま通り過ぎる。眼裏には記憶のなつかしい夜店の風景が見えたことだろう。(髙橋正子)
8月4日(1句)
★髪切って胡瓜どっさり冷や汁に/川名ますみ
冷や汁はいろんな具で栄養が補給され、食欲が落ちる夏に冷たい汁を飯に掛けた料理はさっぱりとうれしい。髪を切ってさぱっりし、胡瓜をどっさり入れて爽やかな匂いの冷や汁にさらに元気が湧くというもの。(髙橋正子)
8月3日(1句)
★新しい朝を連れくる蝉の声/多田有花
夏の朝は蝉の声からはじまるが、日々くる朝を新しいと思えば、何事も新鮮で、爽やかで、生き生きと五感が感じ取ってくれる。蝉の声を聞いて、新しい朝を連れて来てくれたのだと感じた潔い心持ちがいい。(髙橋正子)
8月2日(1句)
★黒揚羽嬉々として來る水溜/小口泰與
黒揚羽を見かけるといかにも夏の蝶という固定的な印象をもつが、この黒揚羽は、心躍らせて、「嬉々として」水溜にやって来て水を飲んでいるのだ。そんな揚羽を見ると嬉しいではないか。(髙橋正子)
8月1日(1句)
★隣家まで水打つしぶき懐かしき/弓削和人
冷房の普及しない時代、打水はあちこちで見られた。最近はまた打水のよさが見直され、打水された店や個人の家もある。勢いよく水を打って隣家までのこともある。「隣家まで」に、水の勢いと涼しさが感じられる。(髙橋正子)

8月1日~8月10日

8月10日(5名)
小口泰與
桔梗や殘雨の峠七曲り★★★★
葛咲くや資材置き場のクレーン車★★★
湖の朝の山気や沢桔梗★★★
廣田洋一
遊行寺や秋田の踊り披露さる★★★★
遊行寺は藤沢にある、踊念仏で知られる一遍上人のお寺。遊行の盆として日本三大盆踊のひとつ秋田県の「西馬音内(にしもない)盆踊り」が披露されたのだろう。盆踊りは一遍上人の踊り念仏に行きつくと言われることもあって、盆の祈りと共に楽しまれたことだろう。(髙橋正子)
久し振り踊る櫓のしつらわれ★★★
七夕や子らの希望は宇宙旅行★★★
多田有花
享保の木彫り彩る秋の社★★★
集落は秋の棚田とともにあり★★★★
木造の旧役場支所秋浅し★★★
桑本栄太郎
暁闇のどこか遠くに威し銃★★★★
新涼のラジオ体操妻の朝★★★★
「妻の朝」がいい。朝の家事をする妻ではなく、まず「新涼のラジオ体操」をする。さわやかな妻の姿が浮かぶ。(髙橋正子)
日暮れ居て熱き風吹く残暑かな★★★
弓削和人
垣越しや石榴が熟すをととのえて
「ととのえて」が分かりにくいです。(髙橋正子)
高き日に八月の風交じりけり★★★
雑魚の群れ過ぎゆく秋の川瀬かな★★★
8月9日(6名)
小口泰與
朝顔や左ひだりと宙とらふ★★★
弟切草餌を求めて禽の翔つ★★★
メール音響く湖畔や女郎花★★★
多田有花
八月の石鉢にメダカ群れ泳ぐ★★★★
八月といえば、暑さのなかにも秋の気配が感じられる時。石鉢に張られた水が涼しそうで、メダカの群れが泳いで気持ちよさそうだ。(髙橋正子)
新涼や鎮守の森に入りたれば★★★
谷川の水が水追い秋に入る★★★★
廣田洋一
実朝祭吹き来る風の爽やかに★★★★
父帰宅井戸より上げる大西瓜★★★
西瓜に塩を振る馬鹿振らぬ馬鹿★★★
桑本栄太郎
さるすべり団地を囲み紅あまた★★★
(さるすべりの団地を囲み紅あまた)
長崎忌なみだ滲みぬマリア像★★★
(マリア像の眼に涙とや長崎忌)
日暮れたる峰の西山残暑かな★★★
友田 修
秋立ちて風の動きに驚きぬ★★★
立秋を確かに風に感じけり★★★
世田谷の蜻蛉横切る日暮れかな★★★★
世田谷は戦後生活の街として発展してきた。昭和20年には人口30万で、竹やぶが残っていた話を聞く。今は景観を重視した街づくりがなされているようだ。「世田谷の蜻蛉」がすっと横切った。もう日暮れなのだ。懐かしい風景が目の前にふっと現れたような気持ちになる。日暮れが余計にそうさせる。(髙橋正子)
弓削和人
秋暑し仔虫家居へ入り込み★★★
まな板の音がする秋よその窓★★★★
稲妻のありやすなわちお天道様★★★
8月8日(6名)
小口泰與
朝顔や榛名曇れば利根晴るる★★★
夕立や山語らえば利根答う★★★
萱草の畦に咲きたる足尾線★★★★
廣田洋一
銀(しろがね)の光そよげる芒原★★★★
ぎらぎらと立秋の日が昇りけり★★★★
今年は8月7日が立秋だった。いつもの年なら、暑いと言いながらも空や雲に秋の気配が感じられるのに、世情不安もあってか、不快さの混じる立秋だったと思う。「ぎらぎらと」は、立秋に相応しくないようだが、実際の実感として強く訴えて来た。(髙橋正子)
デザートに西瓜一切れ瑞々し★★★
多田有花
古民家のパン工房や秋立つ日★★★
新秋の座敷に座卓のどっしりと★★★
薪で焼くパン工房に今日の秋★★★
弓削和人
新涼や左官河川を見て食す★★★★
秋空の電柱を仰ぐ工事かな★★★
秋立つやフードコートへ日がさして★★★
桑本栄太郎
お供えの手配終えたる盆用意★★★
しま柄の無くて甘きや真桑瓜★★★
辻曲がり出会いがしらや鬼やんま★★★
8月7日(5名)
小口泰與
片時の日照雨や木木の落し文★★★
ほうたるや天を傾く地震の音★★★
郭公や妻のかたえのアームチェア★★★★
郭公の声が聞こえるところ。誰も座っていないアームチェアの傍にいる妻。妻はもう一つの並んだアームチャアに座っているのではないかと想像する。面白い着眼。夫婦がゆっくり過ごす山の時間を思った。(髙橋正子)
廣田洋一
夏越の茅の輪くぐりて風を受く★★★★
夏越祓形代抱きし若夫婦★★★
秋立つや全天覆ふ雲の有り★★★
多田有花
夜明け前の雷鳴続く今朝の秋★★★
立秋や今日の献立黒板に★★★★
「黒板」が楽しい。毎日黒板に献立が書き替えられるのだろう。楽しみな黒板である。立秋の今日は食欲が湧きそうな献立か。(髙橋正子)
立秋の光の中の天井扇★★★
桑本栄太郎
立秋の朝の静寂や朝烏★★★
大山の峰に傘雲今朝の秋★★★
普羅の忌や想い出で募る伯耆富士★★★
弓削和人
うき草の水面びっしり池の縁★★★
夏の鯉はねるや池の干上がりて★★★
夏日陰鳥居くぐりて露天商★★★
8月6日(5名)
小口泰與
蒼天を泳げ泳げよ若き友★★★
農婦より賜わる茄子の温きかな★★★
鳴り渡るかんかん石の風鈴よ★★★
廣田洋一
国連事務総長を動かしたるや広島忌★★★
南洋にてミサイル飛びし広島忌★★★
広島忌軍手で抜きぬ庭の草★★★
多田有花
神戸牛入れて真夏のすき焼きを★★★
夏の夜の夢に不思議な生きもの★★★
原爆忌昼の窓辺に虫の声★★★★
原爆忌は広島が8月6日、長崎が8月9日。このころは立秋前後であって、暑いながらも、ふとしたところに秋の気配が感じられるようになる。昼の窓辺から虫の声が聞こえ、哀愁を帯び、原爆忌を悼んでいるようにも聞こえる。(髙橋正子)
桑本栄太郎
八月の青空哀し原爆忌★★★
ピカドンの今も広島原爆忌★★★
忘れえじあの娘逝きし日芙蓉咲く★★★
弓削和人
夕立晴サイドミラーに蔓ひかる★★★
太鼓の音きこゆ校舎や夏の宵★★★
休校や植木に張るる蜘蛛の糸(原句)
「張る」は、ラ行四段活用で、「張(は)」が語幹です。ご確認ください。
8月5日(5名)
小口泰與
落葉松や夏霧生まる峡の渓★★★★
あっさりと情景を詠んだ句だが、句の景色がいい。繊細な落葉松のを包むように夏霧が生まれる峡の渓。秋には落葉松は金の葉を降らすことになる。(髙橋正子)
利根川の白波尖り夏の果★★★
中天へみんみん鳴くよ雨後の沼★★★
多田有花
夕立の残してゆきし空気かな★★★★
宵の月夕立雲の去りしあと★★★
白雨いっとき激しく屋根を打つ★★★
廣田洋一
夏の旅知床の地を満喫す★★★
風鈴のかたとも言はぬ昼下り★★★
湘南の風に応へし南部風鈴★★★
桑本栄太郎
涼風の窓より来たる雨のあと★★★
雨上がり又も鳴き出す蝉しぐれ★★★
ひぐらしやハタと手を置くあかね空★★★
弓削和人
緑負う駅員直く指を差し★★★
夜店あり瞑りて過ぎる通過駅★★★★
通過駅は、急行の止まらない小さな町の駅。ちらと見えた町に夜店が出ている。それも疲れて眼をつむったまま通り過ぎる。眼裏には記憶のなつかしい夜店の風景が見えたことだろう。(髙橋正子)
傘の柄をにぎる拳や大夕立★★★
8月4日(6名)
小口泰與
空耳か夜の闇破る滝の音()
「空耳」と「破る」が不似合いな感じなので添削しました。
空耳か夜の闇より滝の音★★★★(正子添削)
「滝の音」の大きさは読者の読みに任せます。意外と大きい籠ったような音かもしれないし、遠くに聞こえる定かでない音かもしれません。(髙橋正子)
軒並みに向日葵倒る驟雨かな★★★
舐めるよう田をとび回る夏燕★★★
廣田洋一
短夜に終わらぬ夢をまた見たり★★★
夏の夜薄きパジャマをおろしけり★★★
いつまでも夜は来ぬ夏オスロかな★★★
多田有花
秋近し小さき辞書を買い求め★★★★
干しものを乾かす真夏の陽と風と★★★
夕立ち接近左前輪パンクする★★★
桑本栄太郎
いつまでも雨の降らざり雷走る★★★
西山の虹の彼方や晴れ来たる★★★
雨止めば黒雲のこるあぶら蝉★★★
川名ますみ
襟足にあたる剃刀夏の雲(原句)
「剃刀」と「夏の雲」が並ぶと、情景としてかけ離れすぎる感じです。
剃刀のあたる襟足夏の雲★★★★(正子添削)
夕立晴ベリーショートへ最後の刃★★★
髪切りぬ胡瓜どっさり冷や汁に(原句)
髪切って胡瓜どっさり冷や汁に★★★★(正子添削)
冷や汁はいろんな具で栄養が補給され、食欲が落ちる夏に冷たい汁を飯に掛けた料理はさっぱりとうれしい。髪を切ってさぱっりし、胡瓜をどっさり入れて爽やかな匂いの冷や汁にさらに元気が湧くというもの。(髙橋正子)
弓削和人
夏一点雲なき空へ天守閣★★★
冷めんや塩ふくシャツへ風吹きて★★★★
白鷺が潮揺れもせず立ちにけり★★★
8月3日(5名)
小口泰與
相宿の鮎釣り人は今朝坊主★★★
青田まで近き背戸なり水の音★★★★
ひと筋の湖へ入日や一夜酒★★★
廣田洋一
トマトの皮切れなくなりて庖丁研ぐ★★★
大玉のトマトを切りてデザートに★★★
ともかくも喉の渇大暑かな★★★
多田有花
虫の音の聞こえ初めにし夜の秋★★★
新しい朝連れてくる蝉の声(原句)
新しい朝を連れくる蝉の声★★★★(正子添削)
リズムがいいほうがいいかな、と思い添削しました。
夏の朝は蝉の声からはじまるが、日々くる朝を新しいと思えば、何事も新鮮で、爽やかで、生き生きと五感が感じ取ってくれる。蝉の声を聞いて、新しい朝を連れて来てくれたのだと感じた潔い心持ちがいい。(髙橋正子)
渡る日は近し群れたる夏燕★★★
桑本栄太郎
塩飴を舐めて投句の酷暑かな★★★★
午後からは膚を焼くかにあぶら蝉★★★
夕暮れの空掻きならし喜雨ありぬ★★★
弓削和人
電灯の先なる路や夏の夜★★★
玉苗をつっきる畦や漕ぐペダル(原句)
玉苗をつっきる畦やペダル漕ぐ★★★★(正子添削)
この句では、「玉苗をつっきる畦」と「漕ぐペダル」二つがテーマになっています。俳句の都市伝説として、「中が八音になるのはいけない、終わりは体言にするのが効果的」などと言われているのを聞いている思いますが、それはケース・バイ・ケースで、俳句の本質ではありません。(髙橋正子)
高架橋くぐる列車に夏日射し★★★
8月2日(6名)
小口泰與
化粧塩振られし鮎の我が膳に★★★
黒揚羽嬉々として來る水溜★★★★
黒揚羽を見かけるといかにも夏の蝶という固定的な印象をもつが、この黒揚羽は、心躍らせて、「嬉々として」水溜にやって来て水を飲んでいるのだ。そんな揚羽を見ると嬉しいではないか。(髙橋正子)
美麗なる一ノ倉沢蟻地獄★★★
廣田洋一
忘れゐし松葉牡丹の赤き花★★★
打水や黒く染み込むアスファルト★★★
打水や人を迎える少し前★★★
桑本栄太郎
買い物の翁日傘の戻りけり★★★
山の端の入日あかねやあぶら蝉★★★
かなかなや入日茜の山の端に★★★
多田有花
晩夏光ココアの味のプロテイン★★★
明けてくる中へひぐらし鳴き始め★★★★
病院の庭には白き百日紅★★★
弓削和人
夾竹桃高し民家にそそり立ち★★★
日車のノックアウトのように垂れ★★★★
蜘蛛の囲や松を構える庭狭間★★★
川名ますみ
空蝉に未だしがみつく透けるせみ★★★
抜け殻にしがみつくさみどりの蝉★★★
空蝉のふんばり碧き羽を背負う★★★★
8月1日(5名)
小口泰與
目高等の水槽沸かす食餌かな★★★
蛍火や里の露座仏おわします★★★
老鶯や階段続く奥の院★★★★
廣田洋一
睡蓮の揺蕩ふ池に鯉はねる★★★
睡蓮の白一色に平家池★★★
緑陰に南国の香やカフェテラス★★★
多田有花
朝長けて蝉の合唱一段落★★★
影ひとつ持ち運びたる日傘かな★★★
開け放つ部屋吹き通る夏の風★★★★
桑本栄太郎
八月の青空いよよ深きかな★★★★
口を開け鴉歩くや炎暑の日★★★
街燈の明かりを惜しむ蝉しぐれ★★★
弓削和人
隣家まで水打つしぶき懐かしき★★★★
冷房の普及しない時代、打水はあちこちで見られた。最近はまた打水のよさが見直され、打水された店や個人の家もある。勢いよく水を打って隣家までのこともある。「隣家まで」に、水の勢いと涼しさが感じられる。(髙橋正子)
ちらとみゆ面影のこす縞蜥蜴★★★
晩涼に初雪葛添えたりて
「初雪葛」を何に添えたのでしょうか。(髙橋正子)

自由な投句箱/7月21日~7月31日

※当季雑詠3句(夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※印の基準について。
「心が動いている」句を上等として、★印を付けています。
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/7月21日~7月31日

7月31日(1句)
★夏の児の青き水筒青きシャツ/弓削和人
「夏の児」と捉えられた子どもは、抽象的ではなく、例えば列車の目の前の座席にいる名前を知らないだけの子のように現実の子。その子が夏を象徴する色「青」い色を身にしている。水筒もシャツも。子どもとの距離感がこの句を生んだか。(髙橋正子)
7月30日(1句)
★麦を干す筵あまたや土用照り/桑本栄太郎
冬播きの小麦は梅雨前に刈り取り、梅雨の晴れを見計らって干さねばならないことが多い。収穫期の小麦は30%も水分を含んでいるらしく、保存のためには乾燥は欠かせない。炎天下の土用に筵を何枚も広げ麦を干す景色は圧巻である、と同時に農作業の労苦を思わざるを得ない切なさの混じる景色でもある。(髙橋正子)
7月29日(1句)
★日盛りの川の流れの透き通り/廣田洋一
日盛りも極まると清らかに感じられてくる。雨にしばらく濁らない川の流れは、きれいに澄んで、いっさい濁りがない。日盛りの流れの清らかさが心に涼いさを呼ぶ。(髙橋正子)
7月28日(1句)
★清流に置かれし机とパラソルと/多田有花
目に映った景色がそのまま句となっている。今風な川床といったところか。清流に机とパラソルを置いて涼をとりながら喫茶や食事ができるのだろう。楽しそうだ。(髙橋正子)
7月27日(1句)
★街中に青すすきあり夕日落つ/弓削和人
街中という思わぬところに青すすきがあって、少しばかり野の風情がある。そこに夕日が落ちていよいよ夕日の落ちてゆく青すすきの野となる。一抹の切なさが湧いて来る。(髙橋正子)
7月26日(1句)
★若竹を括りし後の夜空かな/小口泰與
健やかに伸びた若竹を括ると、あたりにすっきりと広い空間が生まれる。そこは星や月のかがやく夜空。夏の夜空の涼しさが詠まれている。(髙橋正子)
7月25日
該当句無し
7月24日(1句)
★ラピスラズリつけて涼しき鎖骨かな/多田有花
鎖骨が美しいとすずやかな人になる。青い宝石、和名では瑠璃と呼ばれるラピスラズリが鎖骨の見える胸元をきれいに、すずやかに見せてくれる。(髙橋正子)
7月23日(1句)
★水筒を洗い清めて大暑かな/多田有花
最近は自動販売機で手軽に冷たい飲み物が手に入るが、やはり、持参の水筒がいい。この暑さを凌ぐに水筒は、きれいに洗い、きりりと冷えた飲み物を入れたい。「洗い清めて」に冷清水のような感覚を覚える。(髙橋正子)
7月22日(1句)
★雨上がり夏野に染まる車両かな/弓削和人
雨が上がると、夏野の緑が雨に洗われ、すがすがしい緑になる。その夏野を走る車両が夏野に染められるかのように、自然と一体の景色として目に映る。(髙橋正子)
7月21日(1句)
★木下闇病院ナース小走りに/小口泰與
木が良く茂る病院。急ぐ事態が起きたのか、ナースが小走りに木下闇を抜けてゆく。木下闇の暗さに、ナースの小走りの白衣が浮かぶ。目に深く残る光景。(髙橋正子)

7月21日~7月31日

7月31日(5名)
小口泰與
水槽の水面を叩く目高かな★★★
沼からの暁の霊気や仏法僧★★★★
老残をかなぐり捨つる登山かな★★★
廣田洋一
太りたる莢豌豆の摘まれけり★★★
冷やしたる甘酒すする昼下り★★★
土手の道草を刈られて清々し★★★★
桑本栄太郎
鈴生りの木々の枝想う蝉しぐれ★★★
七月の果てて青空深く見ゆ★★★★
ひぐらしの山の端赤く染まりけり★★★
多田有花
夏座敷梁どっしりとティールーム★★★
木の器でいただく真夏の珈琲を★★★
雲の峰ぺろりと舐めてみたくなる★★★
弓削和人
夏の児の青き水筒青きシャツ★★★★
「夏の児」と捉えられた子どもは、抽象的ではなく、例えば列車の目の前の座席にいる名前を知らないだけの子のように現実の子。その子が夏を象徴する色「青」い色を身にしている。水筒もシャツも。子どもとの距離感がこの句を生んだか。(髙橋正子)
紀ノ川へルアーを垂れり夏惜しむ★★★
大道やかまきりの子を逃したり★★★★
7月30日(5名)
小口泰與
老鶯や山の羅漢の泣き笑い★★★
溶岩径の雨の轍やがま蛙★★★
川岸へ席を設けし花火かな★★★
多田有花
兄弟の飽きることなく水浴びす★★★
古民家喫茶のれんを揺らす夏の風★★★
前栽や斜めに咲きぬ百日紅★★★
廣田洋一
涼風や掛声響くグラウンド★★★
丑の日や長生きせんと鰻食ぶ★★★
梅酒酌む氷浮かべて食前酒★★★
桑本栄太郎
文豪のつづる姉妹や谷崎忌★★★
麦を干す筵あまたや土用照り★★★★
冬播きの小麦は梅雨前に刈り取り、梅雨の晴れを見計らって干さねばならないことが多い。収穫期の小麦は30%も水分を含んでいるらしく、保存のためには乾燥は欠かせない。炎天下の土用に筵を何枚も広げ麦を干す景色は圧巻である、と同時に農作業の労苦を思わざるを得ない切なさの混じる景色でもある。(髙橋正子)
嶺の端の入日赤きや夏惜しむ★★★
弓削和人
鉄柵に押し寄せたるや青薄★★★★
夏蜂のあわてふためき飛びにけり★★★
旱田やにわかの雨を呑みほして ★★★
7月29日(4名)
小口泰與
落照の山を燃やすや冷し酒★★★★
雷鳴や奇岩の山は鎧ける★★★
草刈や風の落差を二羽の鳶★★★
廣田洋一
祭鱧残る一匹分かち合い★★★
日盛りの川の流れの透き通り★★★★
日盛りも極まると清らかに感じられてくる。雨にしばらく濁らない川の流れは、きれいに澄んで、いっさい濁りがない。日盛りの流れの清らかさが心に涼いさを呼ぶ。(髙橋正子)
日盛りの道端揺らす猫じゃらし★★★
桑本栄太郎
翅残し蝉の亡がら喰われけり★★★
黄金の雲のあかねやあぶら蝉★★★
涼風の木蔭道行く入日かな★★★
弓削和人
青萱がさざめく夕の大樹かな★★★
万歩計幾度と絞る汗拭い★★★
地震あり雲は微塵も揺れもせず
季語があるとよいと思います。(髙橋正子)
「 怪鳥たつ梢も地震(なゐ)にうちふるヘ/横山白虹」自由律で無季の俳句もありますが、季を越えるよほどの体験があれば、無季も可能かと思いますけれど。(髙橋正子)
7月28日(5名)
廣田洋一
大鰻二匹買ひたる丑の日よ★★★
落柿舎の青柿たわわ夕茜★★★
日を浴びて燃え立つ如し百日紅★★★
小口泰與
川岸の流れは坩堝夏の蝶★★★
朝日差す繚乱として百日紅★★★
水鉄砲荘の庭より犬の声★★★
多田有花
冷そうめん氷を入れて運ばれる★★★
焼きたての鮎あたまから食べる★★★
清流に置かれし机とパラソルと★★★★
目に映った景色がそのまま句となっている。今風な川床といったところか。清流に机とパラソルを置いて涼をとりながら喫茶や食事ができるのだろう。楽しそうだ。(髙橋正子)
桑本栄太郎
冷房の部屋に籠れる家居かな★★★
西空の茜となりぬ夕立晴れ★★★
雨止めば暮れて鳴きだすあぶら蝉★★★
弓削和人
夏果てや水路に浮かぶ菓子袋★★★
水筒を車両の床に日焼けの児★★★
凌霄が咲きてやひそと耕具あり★★★★
7月27日(5名)
小口泰與
踝のはれや下山の一夜酒★★★
蚕豆や馬事公苑の女学生★★★
峡の湯に五体ゆだねて一夜酒★★★
廣田洋一
一日の終わりかみしめ梅酒かな★★★
竹林を涼風渡る古都の路地★★★
山からの涼風抜ける墓の前★★★
多田有花
明けてくる中に蜩の声響く★★★
夏山の麓に農家レストラン★★★
夏川に足を浸けつつランチかな★★★
桑本栄太郎
担ぎゆく蟻の列ゆく地道かな★★★
落蝉の仰のけとなり羽ばたきぬ★★★
ひぐらしの鳴いて茜や明日も晴れ★★★
弓削和人
ひび割れの田んぼや遠き夕立雲★★★
街中に青すすきあり夕日落つ★★★★
街中という思わぬところに青すすきがあって、少しばかり野の風情がある。そこに夕日が落ちていよいよ夕日の落ちてゆく青すすきの野となる。一抹の切なさが湧いて来る。(髙橋正子)
夕暮れや水路へ垂れる山牛蒡★★★
7月26日(5名)
小口泰與
ワイパーの激しや忽と鴉の子★★★
佐久の日を含む千曲の青林檎★★★★
若竹を括りし後の夜空かな★★★★
健やかに伸びた若竹を括ると、あたりにすっきりと広い空間が生まれる。そこは星や月のかがやく夜空。夏の夜空の涼しさが詠まれている。(髙橋正子)
廣田洋一
口中のとろりと甘き梅酒の実★★★
夕立や庭草すくと立ち直り★★★★
薬味にて彩り豊か冷奴★★★
多田有花
明け方の野鳥に混じり初蜩★★★
待つことも仕事のひとつ暑き日に★★★
炎昼の駅を電車がすれ違う★★★
桑本栄太郎
水滴の煌めきこぼしダリア剪る★★★★
夕暮れの一時惜しむ蝉しぐれ★★★
溽暑とてひと日暮れ行くあかね空★★★
弓削和人
ブラインドもるる西日のローカル線(原句)
ブラインドをもるる西日やローカル線★★★★(正子添削)
上五が字余りになりますが、ここは「を」が要ります。(髙橋正子)
乗客の脚から脚へ蠅の跡★★★
手作りの風鈴ふたつ軒先に★★★
7月25日(4名)
小口泰與
ぽたぽたと鴉の落す杏子かな★★★
轟ける仕掛け花火のナイアガラ★★★
炎帝を逃れ社へどっこいしょ★★★
廣田洋一
祇園祭鮮やかに鉾廻しけり★★★
うなぎ屋に静かに入る子供連れ★★★
新蝉や二声三声試し鳴き★★★
桑本栄太郎
祇園会の花笠巡行あと祭り★★★
開く度の蝉しぐれなる自動ドア★★★
巣籠のひと日暮れ行く炎暑かな★★★
弓削和人
かなぶんの背や照り返す死してなお★★★
朝明けの川瀬の浮洲橋涼み★★★
茎細く溢れて路へ帚木草★★★
7月24日(5名)
廣田洋一
頭越しカメラ掲げる鉾廻し★★★
年古りて琥珀色なる梅酒かな★★★
床下に寝かせしままの梅酒かな★★★
小口泰與
老いてなお酒量変らず竹婦人★★★
凌霄花や螺旋階段鉄の錆★★★
山影の映る小沼や雲の峰★★★
桑本栄太郎
じうじうと暁けの序曲や蝉の声★★★
空蝉のあまた語りぬ遠まなこ★★★
茜なる窓の西日の入日かな★★★
多田有花
サルビアも吾も朝日を浴びて立つ★★★
ラピスラズリつけて涼しき鎖骨かな★★★★
鎖骨が美しいとすずやかな人になる。青い宝石、和名では瑠璃と呼ばれるラピスラズリが鎖骨の見える胸元をきれいに、すずやかに見せてくれる。(髙橋正子)
涼風を受けつつ洗濯物を干す★★★
弓削和人
池の土手日向ぼこする鳩ありや★★★
「日向ぼこ」の冬の季語です。(髙橋正子)
鳩は毛を繕う夏のほとりかな★★★★
夕焼空街のネオンはかすみけり★★★
7月23日(5名)
小口泰與
えぞにうや霧ヶ峰より湖へ★★★
萱草やわ鉄トロッコ足尾線★★★
午後三時蟻の行列北をさし★★★
廣田洋一
丑の日や筋トレ終えて鰻食ぶ★★★
鰻焼く匂ひ漏れ来る居酒屋に★★★
丑の日や鰻弁当特売中★★★
多田有花
ごうごうと暑中の風が窓揺らす★★★
水筒を洗い清めて大暑かな★★★★
最近は自動販売機で手軽に冷たい飲み物が手に入るが、やはり、持参の水筒がいい。この暑さを凌ぐに水筒は、きれいに洗い、きりりと冷えた飲み物を入れたい。「洗い清めて」に冷清水のような感覚を覚える。(髙橋正子)
大暑来る豆腐そうめん買い求め★★★
桑本栄太郎
朝涼の窓より風に目覚めけり★★★
ひんやりとけ今朝の窓辺の大暑かな★★★
かなかなの鳴いて峰の端暮れゆけり★★★
弓削和人
河原へと体操座りの涼みかな★★★
風鈴や峙つ山へ風運ぶ
「(峙つ)山へ風を運ぶ」という意味になっていますが、その意味ですか。(髙橋正子)
扇風機眠りを誘う子守唄★★★
7月22日(5名)
小口泰與
短夜やテレビの塵を拭く事も★★★
落し文堂の柱の見ゆるなり★★★
杣道の先の出湯や揚羽蝶★★★★
廣田洋一
大西日ここは地の果てロカ岬★★★★
食後のコーヒー飲みて昼寝せり★★★
戦争を思ひ出させる百日紅★★★
多田有花
夏野菜のサラダを添えしランチプレート★★★
古民家の趣残すカフェ涼し★★★★
町屋カフェほうじ茶パフェをいただきぬ★★★
桑本栄太郎
雨降れば出鼻挫かれ蝉しぐれ★★★
雨雲の集いて立つや夕立風★★★★
山の端の茜となりぬ夕立かな★★★
弓削和人
青あらし雲と競える天守かな★★★
大夕焼ふもとの村も夕餉かな★★★
「村も」の「も」は、何に対して「も」なのでしょうか。気になります。
例えば、「大夕焼ふもとの村は夕餉かな(正子添削)」なら、はっきりします。
雨上がり夏野に染まる車両かな★★★★
雨が上がると、夏野の緑が雨に洗われ、すがすがしい緑になる。その夏野を走る車両が夏野に染められるかのように、自然と一体の景色として目に映る。(髙橋正子)
7月21日(5名)
小口泰與
木下闇病院ナース小走りに★★★★
木が良く茂る病院。急ぐ事態が起きたのか、ナースが小走りに木下闇を抜けてゆく。木下闇の暗さに、ナースの小走りの白衣が浮かぶ。目に深く残る光景。(髙橋正子)
短夜やタンスの奥に鯨尺★★★
とうすみや幼の好きな潦★★★
廣田洋一
涼しげに和服着こなし句座の人★★★
一服の抹茶頂き風涼し★★★★
吹き来たる風の涼しき糺の森★★★
桑本栄太郎
ががんぼの外へと暴れ朝の窓★★★
午後よりの日射し厳しき土用かな★★★
山の端の入日あかねやあぶら蝉★★★
多田有花
起床して窓全開に夏の朝★★★
巣作りの蜘蛛の動ける夜明けかな★★★★
熊蝉の沸き立つ如き朝となる★★★
弓削和人
吊りし荷を炎昼の空へクレーン車★★★★
校庭の金次郎像秋近し★★★
空高く球を投げる児夏ひとり★★★

自由な投句箱/7月11日~7月20日

※当季雑詠3句(夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※印の基準について。
「心が動いている」句を上等として、★印を付けています。
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/7月11日~7月20日

※遅くなりましたが、7月15日~7月20日の秀句にコメントをしました。ご確認ください。(7月21日 髙橋正子)
7月20日(1句)
★朝暁の初ひぐらしに目覚めけり/桑本栄太郎
目覚めると、空は朝焼け、今年初めての蜩の声。はかなくて美しいものの中に目覚めて一時浸る気分には少し哀愁も混じるだろうか。(髙橋正子)
7月19日(1句)
★アロハシャツ着て講演に買物に/多田有花
講演を聞きにゆくのか、それとも逆にする立場なのか、アロハシャツは着て気楽で涼しく、リゾート感覚が楽しめる。講演に、買い物に、大活躍のアロハシャツは盛夏ならでのシャツ。(髙橋正子)
7月18日(1句)
★名を知らぬ庭草咲きて秋近し/廣田洋一
庭には名前を知らない草も軽やかに花をつける。雑草と言われながらも花をつけると優しさが見えて、「秋近し」の情趣が湧いて来る。(髙橋正子)
7月17日(1句)
★街へ来ぬ素足にかるきハイヒール/川名ますみ
華やぐ街へ来たときのうれしさデ。素足に履いたハイヒールが軽い。ハイヒールはトウが開いていたり涼し気な色やザインだと思う。都会的でおしゃれな俳句。(髙橋正子)
7月16日(1句)
★山鉾の並ぶ四条やあかね空/桑本栄太郎
今年は3年ぶりの山鉾の巡行がある祇園祭。四条通りに山鉾がきらびやかに立ち並び、空は茜に染まる。美しい祇園祭の宵となった。(髙橋正子)
7月15日(1句)
★薫風へ向かうやリュック背負い直し/弓削和人
トレッキングの途中か。少し休憩を入れ、リュックを背負い直し、薫風へ向かって出発。「薫風へ向かう」が楽しそうでいい。(髙橋正子)
7月14日(1句)
★夏涼し照らされ浮かぶ夜の天守 /弓削和人
夜の天守の白壁が灯に青白く浮かびあがり、涼しそうに見える。夜涼の風が度かからか吹いて来る。(髙橋正子)
7月13日(2句)
 兵庫県立国見の森公園
★緑陰に座り広げるサンドイッチ/多田有花
緑陰の楽しさが伝わる句。緑陰で持ってきたサンドイッチを広げ、昼餉とする。夏は緑陰がなにより。私ならコーヒーがあれば、最高のランチになる。(髙橋正子)
★夏萩の花の下枝や風に浮く/桑本栄太郎
夏萩は、葉の茂りがさらさらとして涼しそうだ。下の方の枝が風に掬われるように浮く軽やかさが涼し気でいい。(髙橋正子)
7月12日(1句)
★鉾立の四条通や通り雨/桑本栄太郎
祇園祭の山鉾巡行が今年は3年ぶりに行われるそうだ。行事の細かいところはよく知らないのでお教えいただきたいが、建てられた鉾が四条通りを試しに曳き初めたのであろう。おりしもの通り雨。通り雨が京の祭りを「はんなり」と見せてくれている。(髙橋正子)
7月11日(1句)
★夏の湖汲めど尽きせぬ空の蒼/小口泰與
夏の湖に空が映っている。その空の蒼を湖から汲もうとするが、汲めども汲めども尽きない蒼。湖の水も、空の蒼も、汲めども尽きぬものなのだ。(髙橋正子)

7月11日~7月20日

7月20日(4名)
小口泰與
滝水を弾く大岩蒼き空★★★
沛然の畷に燥ぐ青蛙★★★
激つ瀬の瀬尻の岩や苔の花★★★
多田有花
影は無し雨の海水浴場★★★
雨上がりの霧が晴れ行く土用入り★★★
一斉に熊蝉鳴きだす午前七時★★★
桑本栄太郎
朝暁の初ひぐらしに目覚めけり★★★★
目覚めると、空は朝焼け、今年初めての蜩の声。はかなくて美しいものの中に目覚めて一時浸る気分には少し哀愁も混じるだろうか。(髙橋正子)
ががんぼの朝日に騒ぐ戸の隙間★★★
夕刻となれば入れ替えあぶら蝉★★★
弓削和人
紅ほのか自転車を降り百日紅★★★
オニユリの橙通りの道標★★★
印刷所夾竹桃の白き路★★★
7月19日(5名)
小口泰與
国道へのこのこ出し蟾蜍★★★
雲分けて嶺嶺の映ゆるや天花粉★★★
風死すや剥落続く天狗面★★★
廣田洋一
カーテンの色くすみたる西日かな★★★
襁褓干す西日の強き部屋の中★★★
山清水たゆまず流れ法の池★★★
桑本栄太郎
雷鳴と雨脚つづく夜もすがら★★★
眠る間の無きなり続く夜立かな★★★
冷や麦の昼餉を摂ればまた雨に★★★
多田有花
キャベツサラダわっさわっさと混ぜにけり★★★
アロハシャツ着て講演に買物に★★★★
講演を聞きにゆくのか、それとも逆にする立場なのか、アロハシャツは着て気楽で涼しく、リゾート感覚が楽しめる。講演に、買い物に、大活躍のアロハシャツは盛夏ならでのシャツ。(髙橋正子)
部屋着はタンクトップ珈琲は熱く★★★
弓削和人
夏陰の医院や植木並びおり★★★
夏池の丘を登れば欅あり★★★★
蝉の音は俄か雨にも交じりけり★★★
7月18日(5名)
小口泰與
出るやいな蚯蚓は鳥に食われけり★★★
みんみんや沼の水面の平らなる★★★★
鼓虫の櫂に踊るや二人連★★★
多田有花
月光の斜めに残り夏未明★★★
煮浸しの茄子くたくたとやわらかし★★★
カリグラフィーペンで書き込む夏の朝★★★
廣田洋一
一本の赤を分け合ふ冷し麦★★★
名を知らぬ庭草咲きて秋近し★★★★
庭には名前を知らない草も軽やかに花をつける。雑草と言われながらも花をつけると優しさが見えて、「秋近し」の情趣が湧いて来る。(髙橋正子)
富士の峯白き筋見え秋近し★★★
桑本栄太郎
蝉鳴けど未だしぐれとならざりき★★★
雨脚の峰駆け巡る喜雨亭忌★★★★
早風呂を済ませば窓の風涼し★★★
弓削和人
夏蝶の飛ぶではなくて吹かれ落つ★★★
夏涼に立ち寄る人や種苗園(原句)
「夏涼」が落ち着かない気がします。
涼しくて立ち寄る人や種苗園★★★★(正子添削)
玉の汗拭うて見ゆるほくろかな★★★
7月17日(5名)
小口泰與
国訛りいまだ抜けずや夏の露★★★
天繭や渓流に班の走りける★★★
下宿屋の三畳駆ける守宮かな★★★
多田有花
クーラーを点けると駆けだして行きぬ
何が駆けだしたのでしょうか。(正子)
切られたるメロンに添えてジャスミン茶★★★★
夏満月の光が深く室内へ★★★★
桑本栄太郎
<祇園祭三題>
宵山の四条通りや鉾灯り★★★★
祇園会のくじ改めや畏まり★★★
山鉾の結界の切られ巡行に★★★
弓削和人
暮れゆけり蝉一匹が啼きつづけ★★★
早苗の葉夜風吹かれて充ちいたり
「充ちいたり」は早苗が充足している感じだということでしょうか。(正子)
明滅の星や茂り葉びっしりと★★★★
川名ますみ
空色の切り絵をひらく戻り梅雨★★★★
街へ来ぬ素足にかるきハイヒール★★★★
華やぐ街へ来たときのうれしさデ。素足に履いたハイヒールが軽い。ハイヒールはトウが開いていたり涼し気な色やザインだと思う。都会的でおしゃれな俳句。(髙橋正子)
サンダルのヒール素足が鳴らしゆく★★★
7月16日(3名)
小口泰與
酔眼をもて袈裟斬りや夏燕(原句)
酔眼に袈裟斬り飛ぶや夏燕★★★★(正子添削)
最中をばざくっと噛むや二重虹★★★
山門を羽根の漂う木下闇★★★
桑本栄太郎
雨止めば風に乗り来る涼気かな★★★
宵山の四条通りやコンチキチン★★★
山鉾の並ぶ四条やあかね空★★★★
今年は3年ぶりの山鉾の巡行がある祇園祭。四条通りに山鉾がきらびやかに立ち並び、空は茜に染まる。美しい祇園祭の宵となった。(髙橋正子)
弓削和人
大きめの海水帽の児を親見入て★★★
空蝉の四つ足しかと枝握り★★★
空蝉の本体何処鳴きにけり★★★
7月15日(4名)
小口泰與
投網より逃るる魚や行行子★★★
妻の手に持薬渡すや夕涼み★★★
利根川の空真っ青や鮎遡上★★★★
桑本栄太郎
雨止めば又も日差しや草いきれ★★★
石垣の隙間被いぬ草茂る★★★
一陣の風立ちのぼり戻り梅雨★★★
多田有花
盛夏なり冷水一杯のみ干しぬ★★★
涼しさやマスター手製のパウンドケーキ★★★
夏山を下り自家焙煎珈琲美味し★★★
弓削和人
薫風へ向かうやリュック背負い直し★★★★
トレッキングの途中か。少し休憩を入れ、リュックを背負い直し、薫風へ向かって出発。「薫風へ向かう」が楽しそうでいい。(髙橋正子)
夏草の露や滲まむ靴のさき ★★★
さびしさや口笛を吹く木下闇★★★★
7月14日(5名)
小口泰與
松籟や赤白黄の薔薇動く★★★
畷より赤城を望むや夏雲雀★★★
雨風を罵りつつも黄菅かな★★★
廣田洋一
プールにておしゃべり止まぬ老婦人★★★
冷麦や口に広がる甘き味★★★
いそいそと冷麦茹でる一人厨★★★
多田有花
滝求め渓流沿いを遡る★★★
折り畳み傘を日傘として歩く★★★
青田のむこうに小さき喫茶店★★★
桑本栄太郎
あじさいの花の萎れ̪て雨上がる★★★
迷い込むように木蔭へ黒揚羽★★★
笛が鳴りプールサイドの指導かな★★★
弓削和人
夏涼し照らされ浮かぶ夜の天守★★★★ 
夜の天守の白壁が灯に青白く浮かびあがり、涼しそうに見える。夜涼の風が度かからか吹いて来る。(髙橋正子)
緑なる山のすそ野や民家あり★★★
夏の駅父の帽もて跳ねる児かな★★★
7月13日(5名)
小口泰與
微醺にて湯の香の街の夜店かな★★★
螢火やぬばたまの夜の艶然と★★★
土器を念じて投げし風知草★★★
廣田洋一
雨降りて色の変はりぬ七変化★★★
薔薇園を寄り添ひて行く白日傘★★★
散策の終りを締める冷しぜんざい★★★
多田有花
<兵庫県立国見の森公園三句>
猪の木彫りが夏草のなかに★★★
緑陰に座り広げるサンドイッチ★★★★
緑陰の楽しさが伝わる句。緑陰で持ってきたサンドイッチを広げ、昼餉とする。夏は緑陰がなにより。私ならコーヒーがあれば、最高のランチになる。(髙橋正子)
ミニモノレール万緑をくだりけり★★★
桑本栄太郎
植込みの上にすいすい青すすき★★★
夏萩の花の下枝や風に浮く★★★★
夏萩は、葉の茂りがさらさらとして涼しそうだ。下の方の枝が風に掬われるように浮く軽やかさが涼し気でいい。(髙橋正子)
雨上がり早も鳴き居りきりぎりす★★★
弓削和人
噴水の水輪重なる夕景色★★★
木洩れ日を背に横切るや夏雲雀★★★
門標の袂に繁る赤き紫蘇★★★
7月12日(4名)
小口泰與
風死すや自転車並ぶ赤提灯★★★
鉄線や大曲して山の駅★★★
嶺雲や田川へ集うランドセル★★★
多田有花
<兵庫県立国見の森公園三句>
ゆるやかなスロープ緑陰に続く★★★
山頂展望台夏青空を背景に★★★
播磨灘は夏の霞の彼方かな★★★
廣田洋一
門前のプールにはしゃぐあねいもと★★★
まだ鳴かぬ蝉を探して松林★★★
燭台を垂らしたるごと凌霄花★★★
桑本栄太郎
鉾立の四条通や通り雨★★★★
祇園祭の山鉾巡行が今年は3年ぶりに行われるそうだ。行事の細かいところはよく知らないのでお教えいただきたいが、建てられた鉾が四条通りを試しに曳き初めたのであろう。おりしもの通り雨。通り雨が京の祭りを「はんなり」と見せてくれている。(髙橋正子)
午後よりの日差し明るき溽暑かな★★★
涼風の窓よりさやと夕の雨★★★
7月11日(4名)
小口泰與
夏の湖汲めど尽きせぬ空の蒼★★★★
夏の湖に空が映っている。その空の蒼を湖から汲もうとするが、汲めども汲めども尽きない蒼。湖の水も、空の蒼も、汲めども尽きぬものなのだ。(髙橋正子)
短夜や机辺に数多辞書と本★★★
雀らに芝の庭あり日射病★★★
廣田洋一
藪雨や高き鳴声あちこちに★★★
切りつめし金柑の木に花満ちる★★★
金柑の花に誘はれ蜂来たる★★★
多田有花
<兵庫県立国見の森公園三句>
夏野菜サンドを背負いピクニック★★★
ミニモノレール登りゆく夏の山★★★
夏川の蛇行が眼下に見えてくる★★★
桑本栄太郎
選挙終え朝の静寂や蝉の声★★★
天気予報外れ午後より炎暑来る★★★
シャワー浴び入日茜の夕餉かな★★★