3月1日~3月10日

3月10日(5名)
小口泰與
一斉に榛名へ咲きし紫木蓮★★★★
木蓮科の花は、日当たる方が伸びるので、日が当たらない方へ蕾の先が向く。従って、榛名は北の方ということか。それよりも榛名山を見る感じで、一斉に同じ方向を向いて咲いているのが、面白い。(髙橋正子)
春の野や深呼吸する吾と犬★★★
春の水五臓六腑へしみ渡り★★★
廣田洋一
鰆は西京焼きと友の言ひ★★★
三月十日語りし友も逝きにけり★★★
啓蟄や閉じこもる友を誘ひ出し★★★
多田有花
ChatGPTに相談をして暖かし★★★
涙あり笑いもありて卒業式★★★
花束を抱いて春陽の下へ出る★★★★
桑本栄太郎
園児らの手つなぐ列や遠足に★★★
春暑し木蔭ばかりを選びゆく★★★
芽柳の風にたゆとう川原かな★★★
弓削和人
砂浜の終点はるかや春の夕★★★
春うらら照るる岸辺に足の跡(原句)
●「照る」は文語では、ラ行4段活用で、岸辺(連体形)に繋がる時は「照る岸辺」となります。
●中七を七音にするには、「照れる岸辺」(照っている岸辺)にするとよいと思います。
分解してすると「照れ(ラ行四段活用の命令形)+る(助動詞「り」の連体形)+岸辺(体言)」となっています。
春うらら照れる岸辺に足の跡★★★(添削)
春波や引いて失せたる砂の文字★★★
3月9日(4名)
小口泰與
花きぶし雨を治むる鎖樋★★★
沈丁や逢魔が時の小糠雨★★★
しんがりの背の高き子や卒業す★★★
廣田洋一
池の端一片零れ八重桜★★★
自治会で箒を配り大掃除★★★
根分けせし菊を分けたる垣根越★★★
桑本栄太郎
我が影を追いて歩むや春暑し★★★★
春暑し天空高くヘリコプター★★★
枝先のうすみどりなる枝垂れ梅★★★
弓削和人
凪ぐ湖へ雪解の水や注ぎたり★★★
田沢湖の水面に春を映しけり★★★
湖の石風のひかりて透きにけり★★★★
「湖の石」の情景が今少しよく見えないのが残念だが、春の穏やかな風が光る日、湖の水が透けて岸辺の小石が見えていると想像する。「風のひかりて」の「て」の働きで、「光る風が水を透き通らせる」の意味になって、表現に面白さがある。(髙橋正子)
3月8日(4名)
小口泰與
暁闇の待合室の忘れ霜★★★
雪解川しりえに光る鉄路かな★★★
雉鋭声利根の荒波育てそめ★★★
 
廣田洋一
春満月西空高く浮かびをり★★★
八重の花みっしり連ね枝垂梅★★★
鶯や一声鳴きて飛び去りぬ★★★
多田有花
デザートは苺ベースに春なかば★★★
仲春やWi-Fiもスマホも乗り換える★★★
つちふるもグランドゴルフの老人ら★★★
桑本栄太郎
七段の堰水きらと風光る★★★
ものの芽の色めき立つや河川行く★★★
オールディーズの流れ床屋の春めきぬ★★★
3月7日(4名)
小口泰與
ほつほつとばらの赤芽や鳥の声★★★
曙の視野の浅間の雪解かな★★★
木の間より光り集めて節分草★★★★
廣田洋一
自転車の跳ね上げ行くや春の泥★★★
春泥を総入れ換への道路工事★★★
西京漬けの鰆を焼きて昼餉かな★★★
多田有花
<ホテルモントレ姫路『サンミケーレ』三句>
桜えびを載せし前菜イタリアン★★★
水菜載せトマトソースのリングイネ★★★
春野菜和牛ステーキに添えて★★★
桑本栄太郎
里山の熱のあるかに竹の秋★★★
こつ然と天の静寂や雲雀落つ★★★
一畝の打ち棄てらるる茎立菜★★★★
3月6日(4名)
小口泰與
坂東太郎滔滔と雪解かな★★★
巣に帰る秀つ枝の鳥の遅日かな★★★
朝の日の沼へ直射や百千鳥★★★
桑本栄太郎
<大原野正法寺梅林>
吹き上ぐる風に香を乗せ谷の梅★★★
夕餉支度春の法事の妻の留守★★★★
啓蟄や我が身のうちの虫出づる★★★
多田有花
夜明け告げ雉の幾度も鳴きにけり★★★
啓蟄やChatGPTと話す★★★
AIに俳句詠ませる日永かな★★★
友田 修
啓蟄やヒマラヤ杉と青い空★★★
夜半過ぎ雨戸が揺れる春嵐★★★
満月の照らす小径に春の泥(原句)
満月の照らす小径の春の泥★★★★(正子添削)
3月5日(4名)
小口泰與
浅間へと日の退くや雛納め★★★★
谷川の阿修羅の流れ鳥帰る★★★
百千鳥光は木木の間にまより★★★
廣田洋一
新しき靴の弾みて春の土★★★★
紙雛共に飾りて賑やかに★★★
うららかや二礼二拍の山の神★★★★
多田有花
いかなご漁解禁播磨の春本番★★★
男ひとり家に囲まれ畑打つ★★★
鶯や白み始めし窓の外★★★
桑本栄太郎
しだれ梅しだれにまかせ紅ふふむ★★★
飛行機の雲の途切れや春の嶺★★★
のどけしや老婆を曳いて散歩犬★★★
3月4日(5名)
小口泰與
麗らかや畑へまる描く鳶一羽★★★★
朽枝も小石も運ぶ春の川★★★
朽舟を連れそうように葦の角★★★
廣田洋一
紫陽花の芽日毎色濃く膨らみぬ★★★
朝日浴び白く光れる辛夷の芽★★★★
蒲公英や地にべつたりと張り付きぬ★★★
多田有花
手を止めて耳を澄ませる初音かな★★★
ジャズ流し珈琲入れる春の朝★★★
開花予想今年は随分早そうな★★★
桑本栄太郎
誰が星の落ちしか畦の犬ふぐり★★★
花ゑんどう支柱の丈にまだ足らず★★★★
日差しが強くなるにつれて、豌豆もだんだんと育ってきた。花が咲き、支柱が立てられてあとは伸びて実と結ぶばかり。でも、まだまだ支柱の丈にはのびていない。力を溜めている時。描写が的確なので、句がしっかりしている。(髙橋正子)
素顔見ぬままにあの娘の卒業す★★★
友田 修
土埃洗い流すは春の水★★★
水温む庭の草木の目に新た★★★
春の川膨らむ水面輝ける★★★★
3月3日(4名)
小口泰與
山裾の堂扉開きて春日差す★★★
春雪や悉く木木の花となり★★★
暖かや芝のおちこち醜草よ★★★
廣田洋一
潮の香を窓に運ぶや春の海★★★★
積読の本を覆ひし春の塵★★★
桃活けてすなはち桃の節句かな★★★
桑本栄太郎
婦人科の待合室に雛人形★★★
缶蹴りの子らいつまでも日永かな★★★
つくし摘みお菜としたる立子の忌★★★
弓削和人
紅梅や門よりあふれ家人待ち★★★
紅梅の紅さ鳥居に勝りけり★★★
白き梅家の主になりにけり★★★
「家の主」の比喩はよくないです。俳句では、もともと比喩をきらいます。白梅の描写に力を入れてください。(髙橋正子)
3月2日(5名)
小口泰與
芝の火のしどろに這し暮れなずむ★★★
大沼に朝日染み入る百千鳥★★★
辛夷咲く畑に害獣見たと言う★★★
廣田洋一
熊野路を咲き昇りたる山桜★★★★
川べりを回り道して桜かな★★★
水平線丸く見えたり春夕焼★★★★
多田有花
春風に郵便局まで歩きけり★★★
開花待つ桜の下でボール蹴る★★★
ぶらんこを漕げば青空近づきぬ★★★
桑本栄太郎
朝よりの陽射し眩しく春嵐★★★
風吹くや春のしぐれの大荒れに★★★
本棚の古日記読む日永かな★★★
友田 修
青空に紅白梅のさらに伸ぶ★★★★
木蓮のつぼみ膨らむ三日ぶり★★★
早咲きの桜とともに仰ぐ空★★★
 
3月1日(3名)
小口泰與
端正の雛に座したる吾子の顔★★★
隠り沼に没日しづもる赤蛙★★★
紅梅のいとしどけなき朝かな★★★

多田有花
スープジャーに残り物入れ春の昼★★★
上着脱ぎ外を歩くや二月尽★★★
三か月ぶりの受診日うららけし★★★

桑本栄太郎
川べりの地道を歩むや蓬萌ゆ★★★
みな上衣脱いで歩めり春の昼★★★
恥ずかしき程の紅なり梅満開★★★

自由な投句箱/2月21日~2月28日

※当季雑詠3句(春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/2月21日~2月28日

2月28日(1句)
★仰ぎ見る天の青さよ柳の芽/桑本栄太郎
つい天を仰ぎたくなる日和。青い空に柳の芽がきらきら光っているのだろう。青い天と柳の芽吹きの風景が春らしく、うららかでいい。(髙橋正子)
2月27日(1句)
★春暁の上枝に集う雀達/小口泰與
「春暁」と「上枝」に作者の気持ちが出ている。春の暁は枕草子のみならず、日本詩歌を作る者たちが心惹かれた刻。そんな刻に、木の上枝に雀たちが集っている。雀たちも春暁に心惹かれたかのようだ。(髙橋正子)
2月26日(1句)
★駆けあがる炎の音や山を焼く/廣田洋一
山焼きは、早春の晴れて風のない日を選んで火が放たれる。火の方向や、勢いを見定めて火事や危険がないようにしなけばいけない。見物の者たちはその様子を見て句にしたりする。山野と炎の織りなす行いに原初の力が見えたのではないだろうか。(髙橋正子)
2月25日(2句)
★早暁のひかり集める梅の花/友田 修
早暁、辺りに光が届き切らない時刻、梅の花はひかりを集めて輝いている。
早暁の光に輝く白梅の花はなんとも清々しい。(髙橋正子)
★チェーンソーの音響きおり春の雪/多田有花
チェーンソーは製材所から聞こえてくるのか、あるいは、山からか。どのどちらにしても、木を切っているには違いない。春の雪が降り、音も静まっているときは、いい木の香りがしてきそうだ。(髙橋正子)
2月24日(2句)
★春の湖白鳥翔てりと聞くばかり/弓削和人
この前まで白鳥がいた湖だが、今日は白鳥がいない。聞けば、白鳥はもう北へ翔ってしまった、とのこと。知らぬうち北国へ帰ってしまった淋しさとか、悔しさが滲んで伝わる。美しい句。(髙橋正子)
★水滴の連なり赤き楓の芽/桑本栄太郎
透明な水滴と赤い楓の芽が目に明らか。俳句では、物をあきらかに見ることは大切。(髙橋正子)
2月23日(1句)
★パレットの色のとりどりうららかに/小口泰與
水彩絵の具なのか、パレットにどりどりの色がある。チューブから出したままの絵具の色、混ぜて作った美しい色。濃い色、薄い色、さまざまな色に光があたって、実にうららかに見える。(髙橋正子)
2月22日(1句)
★芽柳の川風ふくみ青みけり/桑本栄太郎
「川風をふくみ」に川傍に立つ芽柳のやわらかな姿がよく分かる。その芽柳が次第に青んできて、春らしい景色となっていくのが素晴らしい。(髙橋正子)
2月21日(1句)
★池の鳥一声鳴きて柳の芽/廣田洋一
池の鳥が、ほんの一声鳴いた。池端の柳に小さな芽が見えて、小さな切っ掛けでいよいよ春が来るのだ、と言う軽い感じがいい。(髙橋正子)

2月21日~2月28日

2月28日(4名)
小口泰與
餌に来る野鳥したたか春の朝★★★
雪解水沈く朽葉を流しけり★★★★
春暁の静けきものに沼の水★★★
多田有花
きさらぎやまかない真似て作りけり★★★
うらうらと古典を読むや春の宵★★★
日当たればはかなきものよ春の霜★★★
桑本栄太郎
仰ぎ見る天の青さよ柳の芽★★★★
つい天を仰ぎたくなる日和。青い空に柳の芽がきらきら光っているのだろう。青い天と柳の芽吹きの風景が春らしく、うららかでいい。(髙橋正子)
まんさくの花の噴き出す川辺かな★★★★
老いてなお花の矜持や梅真白★★★
廣田洋一
八咫烏旅人迎へ春うらら★★★
春風に注連縄揺れて那智の滝★★★★
熊野路の風に散りたる桜かな★★★
2月27日(4名)
小口泰與
猛鳥や椿に翔ける雀たち★★★
頬白の下枝秀つ枝にひょいと舞う★★★
春暁の上枝に集う雀達★★★★
「春暁」と「上枝」に作者の気持ちが出ている。春の暁は枕草子のみならず、日本詩歌を作る者たちが心惹かれた刻。そんな刻に、木の上枝に雀たちが集っている。雀たちも春暁に心惹かれたかのようだ。(髙橋正子)
多田有花
春浅き未明の天気肌で知る★★★
挽きたての珈琲の香や春早し★★★
逃げやすき二月追いかけ励みおり★★★★
桑本栄太郎
ぎらぎらと甍煌めく春の昼★★★
屈み見る花の震えや犬ふぐり★★★
橡の芽のすつくと空にぬめりけり★★★
廣田洋一
春の土整然と畝立てられて★★★★
神の池鯉の口開け水温む★★★
春の夕波平らかに七里御浜★★★
2月26日(4名)
小口泰與
逃げ込みし椿に鳥の糞数多★★★
迎春花いでし雄猫徘徊す★★★
芝の火の犬に迫りて消えにけり★★★
多田有花
ガスレンジ磨き上げたり春の昼★★★
春未明夜勤の人の戻る音★★★
春の朝広告ブロック追加する★★★
桑本栄太郎
老いて尚矜持の花や梅古木★★★
雛市の値切りかしまし老夫婦★★★
句を吟ず白衣すがたや茂吉の忌★★★
廣田洋一
雨上がり匂ひ立ちたる春の土★★★
駆けあがる炎の音や山を焼く★★★★
山焼きは、早春の晴れて風のない日を選んで火が放たれる。火の方向や、勢いを見定めて火事や危険がないようにしなけばいけない。見物の者たちはその様子を見て句にしたりする。山野と炎の織りなす行いに原初の力が見えたのではないだろうか。(髙橋正子)
山焼きや炎の熱気寄せ来たり★★★
2月25日(6名)
小口泰與
卓袱台の昭和のかの日木の芽和★★★★
早春の風に煽らる鳶一羽★★★
洋館の出窓に置かる鉢の梅★★★
友田修
陽を受けてやがて崩れる霜柱★★★
早暁のひかり集める梅の花★★★★
早咲きの花に見惚れる車窓かな★★★
廣田洋一
雨上がり土の匂ひの立ち昇り★★★
季語を入れるのが良いと思います。(髙橋正子)
通りがけ覗いてみたる雛の市★★★
春の服桃色似合ふ媼かな★★★
多田有花
チェーンソーの音響きおり春の雪★★★★
牡丹雪の向こうに日差しのぞきおり★★★
春の雪やめば明るき日の光★★★
桑本栄太郎
ぽつかりと浮かぶ綿雲春の山★★★
春雲の峰の奥より現わるる★★★
風の無き木々の梢や春がすみ★★★
弓削和人
春の夕湖に映りて紺に藍
何が映るのでしょうか。(髙橋正子)
淡雪のひらひら舞うや岩の風呂(原句)
「岩の風呂」は、意味はわかりますが普通「岩風呂」というか、「岩の湯」といいますので、一考されるのがいいと思います。「露天風呂」は「露天の風呂」ではなく「露天の湯」とするなど。(髙橋正子)
ひらひらと淡雪舞うや岩の湯に★★★★(正子添削)
春寒にてんてこまいの書類かな(原句)
「てんてこまいの書類」は、「書類がてんてこまいをしている」の意味に解釈されます。(髙橋正子)
春寒にてんてこまいよ書類積み★★★(正子添削)
2月24日(5名)
小口泰與
釣り上げし魚の鼓動や風光る★★★
四方より森湧きかえる昼蛙★★★
城塞を登り詰めたる春の霧(原句)
城塞を登り詰めたり春の霧★★★(正子添削)
廣田洋一
裏の木の風にそよぎて春めけり★★★
逆上がりようやくできて春めけり★★★
白線を新たに引きし春の土★★★
弓削和人
春の湖白鳥翔てりと聞くばかり★★★★
この前まで白鳥がいた湖だが、今日は白鳥がいない。聞けば、白鳥はもう北へ翔ってしまった、とのこと。知らぬうち北国へ帰ってしまった淋しさとか、悔しさが滲んで伝わる。美しい句。(髙橋正子)
軒ひかる雪解雫のゆたかさよ(原句)
「軒ひかる」で切れていますので、「軒ひかる」と「雪解雫のゆたかさ(よ)」の二つがテーマになっています。テーマは一つに。(髙橋正子)
軒ひかる雪解雫のゆたかさに★★★★(正子添削)
あぜ道に雪間産まれり澄みし空★★★
多田有花
<鹿肉料理専門店・無鹿リゾート>
春雨やシフォンケーキとコーヒーと★★★
<丹波市立丹波竜発掘工房二句>
首長き丹波竜を見る早春★★★
恐竜は骨格となり春の夢★★★★
桑本栄太郎
ででつぽと雉鳩鳴くや春しぐれ★★★
嶺を越え里へと春のしぐれ雲★★★
水滴の連なり赤き楓の芽★★★★
透明な水滴と赤い楓の芽が目に明らか。俳句では、物をあきらかに見ることは大切。(髙橋正子)
2月23日(3名)
小口泰與
芝中の醜草ぬくや初蛙★★★
源流に落ちし春水はや大河★★★
パレットの色のとりどりうららかに★★★★
水彩絵の具なのか、パレットにどりどりの色がある。チューブから出したままの絵具の色、混ぜて作った美しい色。濃い色、薄い色、さまざまな色に光があたって、実にうららかに見える。(髙橋正子)
廣田洋一
短くも丸々白き春大根★★★
門前の無人販売春大根★★★
橋の下鯉の口開け水温む★★★
桑本栄太郎
小雨降る里の旧家や梅屋敷★★★
三階へ着けば霞のエレベーター★★★★
夕霞む京西山となりにけり★★★
2月22日(4名)
小口泰與
足指のじんじん痛み冴返る★★★
クロッカス浅間はいまだ白きまま★★★
太巻きの甘き卵や山笑う★★★
廣田洋一
ものの芽の生気満ちたる庭の中★★★★
お帰りと声をかけたる名草の芽★★★
中州にも物の芽萌ゆる街の川★★★
多田有花
<鹿肉料理専門店・無鹿リゾート三句>
前菜は鹿肉と春の野菜かな★★★
鹿もも肉山椒味噌で焼きにけり★★★
春淡し鹿のロースのやわらかし★★★
桑本栄太郎
ベランダの鳥避けCD風光る★★★
芽柳の川風ふくみ青みけり★★★★
「川風をふくみ」に川傍に立つ芽柳のやわらかな姿がよく分かる。その芽柳が次第に青んできて、春らしい景色となっていくのが素晴らしい。(髙橋正子)
飛行機の雲の茜や春夕焼け★★★
2月21日(5名)
小口泰與
忽然と雉の鋭声や竹の丘★★★
春の雲何処に行くか利根源流★★★
いぬふぐり犬の駆け行く休耕田★★★
廣田洋一
池之端小さく揺れる柳の芽★★★
池の鳥一声鳴きて柳の芽★★★★
湯がきたるほうれん草の茎赤し★★★
多田有花
雉一声鳴けば闇の薄れ初め★★★★
<鹿肉料理専門店・無鹿リゾート二句>
春雨や鹿肉食べに丹波まで★★★
古民家でいただく春の鹿料理★★★
桑本栄太郎
降りつつも陽射し明るき春の雪★★★
吹きすさぶ風の田面や寒戻る★★★
橡の芽のぬめりきらめく風生忌★★★
弓削和人
みちのくの土の物陰やや萌えて★★★
山形にバスより降りぬ余寒かな★★★
春寒や奥羽山脈越えしいま★★★★

自由な投句箱/2月11日~2月20日

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※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
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「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/2月11日~2月20日

2月20日(1句)
★陽が差せば騒めき見ゆる銀杏の芽/桑本栄太郎
陰っている時はよく見えなかった銀杏の芽。陽が差すと、陽に輝いたり、陰ったままだったり、にぎやかに騒めいているように見える。「陽が差すと騒めき」の観察がいい。(髙橋正子)
2月19日(2句)
★春雪や運ばれてゆく競走馬/多田有花
運ばれてゆく競争馬が春の雪に降られ、美しい。美しいながらも運ばれてゆくさびしさがあって、深く印象に残る。(髙橋正子)
★梅花を通う人みな麗しき/弓削和人
「梅花」は少し落ち着かない表現に思える。「白梅」にしてはどうかと思うが、一考をお願いしたい。梅の花が咲いているところを通る人はみんな麗しく思えるというのだ。特に咲き初めの梅の花の清らかさが人を麗しくさせている。(髙橋正子)
2月18日(1句)
★奥山の姿を隠し春の雪/多田有花
奥山の姿は、しきりに降る春の雪でかくれてしまった。それほどまでに降る春の雪に、奥行きのある雪景色を見ることとなった。さらりとした詠みぶりが上手。(髙橋正子)
2月17日(1句)
★寄せ太鼓高くひびきて風光る/廣田洋一
寄せ太鼓が高くひびくのを聞くと、面白い事があるのだろうと、気を引かれる。ましてや日光が強くなり、吹く風もきらきらと光ると浮足立ちそうにもなる。「風光る」の季語がよく効いている。(髙橋正子)

2月16日(1句)
★新幹線星の過ぎゆく余寒かな/弓削和人
新幹線の車窓から夜空を見ていると星が次々に過ぎてゆく。車内は暖房されているだろうが、星がゆく空は冬とは違いつややかにも思えるが、「余寒」を感じてしまう。冬と春の間合いを捉えた繊細な感覚。(髙橋正子)
2月15日(2句)
★朝海にわずかな春や照る山辺/弓削和人
朝の海にわずかに春が来ている。山辺が照っていることを見ても春だとわかる。春の兆しがほんのわずかに感じられたときの心の明るさがいい。(髙橋正子)
★雪解水流れ早める街の中/廣田洋一
雪解水を集めてきた川は街中に入ると流れが速まる。「流れ速める街の中」という着眼点は俳句が得意とするところで、面白い。(髙橋正子)
2月14日(1句)
★藪つばきつやつやと葉を従えて/多田有花
つやつやとした葉に赤い藪つばきの花がくっきりと見える句。花をそれほど言っていないのに、花の印象が強い。(髙橋正子)
2月13日(1句)
★山風を身に孕ませて蓬摘む/小口泰與
赤城颪の山風か。「身に孕ませて」は、あまりに風が吹くので着ている衣類が体にぴたっと纏いつき、その身に風を孕ませたと解釈できる。(髙橋正子)
2月12日(1句)
★春ぐもりペンキ塗りたての香る/多田有花
「ペンキ塗りたて」が名詞のように使われている。つまり、「ペンキ塗りたて」という物や事態がある。うすく光がもれるような曇りかたが春ぐもり。そんな日はペンキがよく匂う。(髙橋正子)
2月11日(1句)
★春雪や雁字搦めの裏の門/小口泰與
春の雪が思わぬ時降って、裏の門はとくに人の出入りがないので、「雁字搦め」になっている。それを面白く捉えた。(髙橋正子)

2月11日~2月20日

2月20日(5名)
小口泰與
山駅のホーム短し鳥交る★★★
大利根の荒き白波巣立鳥★★★
鶯や背の順に行く登校児★★★
廣田洋一
緑青の屋根に映えたり枝垂梅★★★
鳥居より放物線の枝垂梅★★★
枝先に一輪残る枝垂梅★★★
多田有花
コーヒーを挽く香溢れて余寒なお★★★
残り湯をリサイクルする春の朝★★★
春雨の音にしばし耳を澄ます★★★
桑本栄太郎
陽が差せば騒めき見ゆる銀杏の芽★★★★
白梅の己が明かりを誇りけり★★★
ものの芽の濡れて耀やく日差しかな★★★
Unknown(弓削和人?)
外に出ず雪の名残に雪の舞い★★★
凍て返る夜道はるかや買い出して★★★
紅梅のぽつりぽつりや園の池★★★
2月19日(5名)
弓削和人
始発駅春のわずかに目覚めたり★★★
通い路に子の弾む歩や春来る★★★
梅花を通う人みな麗しき★★★★
小口泰與
あけぼのの白き浅間や揚雲雀★★★
ワイシャツの1日の皴白き梅★★★
風の無き我が産土や百千鳥★★★
廣田洋一
風強く曇り空なる雨水かな★★★
鉢の土入れ替えたるや雨水の日★★★
花咲けと絵馬の飾られ梅の花★★★
桑本栄太郎
春雨のけぶりのやうに視界満つ★★★★
ベランダの鉢の濡れたる雨水かな★★★
枝先の濡れてしずくや木の芽雨★★★
多田有花
鞄より首出す犬や冴返る★★★
春雪や運ばれてゆく競走馬★★★★
湯を取りに戻る朝なり冴返る★★★
 
2月18日(5名)
小口泰與
まんさくや白き浅間に黒き筋★★★
春浅し利根の川波たつ仔細★★★
噴煙の西か南か春の風★★★
廣田洋一
シャンシャンに別れを告げて春寒し★★★
春の水こんこんと湧く神の池★★★★
桜の芽膨らみたれど色付かず★★★
多田有花
メレンゲをつんと尖らせ冴返る★★★
奥山の姿を隠し春の雪★★★★
車窓よりひとひら舞い込み春の雪★★★
桑本栄太郎
との曇る空に確かに木の芽かな★★★
遅き日や子共ら庭に遊び居り★★★
奔放と云われ子に継ぐかの子の忌★★★
 
2月17日(名)
小口泰與
きらきらと光る渓流放ち鮎★★★
「放ち鮎」がどうした(どのようだった)のですか。「きらきらと光る渓流鮎放つ」なら、「鮎を放った」ことがわかり、句が生き生きしてきます。「下五は体言止めが効果的」と言う説にとらわれてないでしょうか。(髙橋正子)
畦道やひたと鳴き止む夕蛙★★★
硝子戸へ雀どすんと山笑う★★★
多田有花
沖遥か霞のかかる淡路島★★★
梅が香に触れる位置まで接近す★★★
小さき緋鯉数多わき出て春の池★★★
桑本栄太郎
久方の友と出会いぬ春きざす★★★
山膚にしがみつき居り斑雪(はだれ)かな★★★
遠き日の想い出おもう春の雪★★★
廣田洋一
池の端首筋撫でる柳の芽★★★
青空に彩り添へて河津桜★★★
寄せ太鼓高くひびきて風光る★★★★
2月16日(5名)
小口泰與
この窓に朝日差しけり百千鳥★★★
春雷や九十九折なる山の径★★★
春風や野鳥手に来る森の路★★★
廣田洋一
軒下に野菜並べて春寒し★★★
駅中で大福売られ春寒し★★★
赤飯の横に売られし鶯餅★★★
多田有花
古墳ある春の山道を辿る★★★
風光る重なりあいて島の影★★★★
頂に寝転んで見る春の空★★★
桑本栄太郎
竹林の百幹揺るる余寒かな★★★
白きもの混り風吹く冴返る★★★
山膚にしろきもの見ゆ春の山★★★
弓削和人
講演を待ちて静まり桃の花★★★★
新幹線星の過ぎゆく余寒かな★★★★
春花の楚々と揺れたり蒸汽船★★★
2月15日(5名)
小口泰與
全容の火の山忽と霞みけり★★★★
端正の雛に座したる吾子の顔★★★
春雪や悉く木の花とせる★★★
弓削和人
朝海にわずかな春や照る山辺★★★★
春の海滞船わずか揺らぎけり★★★★
つづきたる足跡はるか春の海★★★
廣田洋一
飛沫上げ雪を投げ込む雪解川★★★
雪解水流れ早める街の中★★★★
どこまでも二匹並びて猫の恋★★★★
多田有花
高木の伐られ広々春の空★★★
切株に坐し梅林を眺めおり★★★
播磨灘望む梅林となれり★★★★
桑本栄太郎
淡雪の陽射しの中を舞いにけり★★★
降ればすぐ歩道吸い込む春の雪★★★
ふるさとを遠くに想う名残り雪★★★★
2月14日(3名)
小口泰與
庭隅の椿へ翔る野鳥かな★★★
風光る湖まんまんと水湛え★★★★
種の違う鳥の争う春の枝★★★
多田有花
藪つばきつやつやと葉を従えて★★★★
つやつやとした葉に藪つばきの花がくっきりと見える句。花をそれほど言っていないのに、花の印象が強い。(髙橋正子)
早春の日差し明るき森をゆく★★★
紅梅咲く花びらを陽に透かせつつ★★★
廣田洋一
看護師に貰ひしチーズケーキバレンタインデー★★★
バレンタインのチョコ菓子作る女の子★★★
春苺きらきら光放ちをり★★★
2月13日(4名)
小口泰與
揚雲雀聲騒がしや野犬居り★★★
いぬふぐり湖畔のボート綱とかれ★★★
山風を身に孕ませて蓬摘む★★★★
廣田洋一
縁側に並ぶ雛菊鮮やかに★★★
三色菫揃ひてこちら向きてをり★★★★
薔薇の芽や棘より小さくふふみたる★★★
多田有花
恋猫の長き夜あるいは短き夜★★★★
すべきこと最小限に二月早や★★★
咲き初めし紅梅の下とらつぐみ★★★
桑本栄太郎
ものの芽のしつとり青に春の雨★★★★
雨降れば午後より寒く冴え返る★★★
<2月12日近鉄小坂駅>
駅前に鉢植えならべ菜の花忌★★★
2月12日(4名)
小口泰與
喧騒と言うほかは無し猫の恋★★★
春風に大利根の瀞目覚めける★★★★
大沼の梢の小鳥風光る★★★
多田有花
春ぐもりペンキ塗りたての香る★★★★
コンバーターにインク吸い上げ春はじめ★★★
丘の家へ春の朝日の差しにけり★★★
廣田洋一
斜張橋白くそびえて風光る★★★★
列なして紫光る菫かな★★★
若草や駆け回りたる子らの声★★★
桑本栄太郎
山里の甍まぶしき春日かな★★★★
溝川の春の小川となりにけり★★★
足下の花びら震え犬ふぐり★★★
2月11日(4名)
小口泰與
春雪の静寂に忽と猫の声★★★
春雪の刹那背の順登校児★★★
春雪や雁字搦めの裏の門★★★★
廣田洋一
雪止みて空晴れ渡る建国の日★★★
駅前に国旗はためく紀元節★★★
畑横切る犬の足跡春浅し★★★
多田有花
雨上がり朝日まぶしき建国日★★★
早春にふんわりと焼くパンケーキ★★★
犬連れる人の遊べる春の午後★★★
桑本栄太郎
佇みて色めく余寒さくら芽木★★★
へんぽんと旗ひるがえる建国日★★★
さざ波のわらわら走り風光る★★★

■2月月例ネット句会ご案内

■2月月例ネット句会ご案内
①投句:当季雑詠(春の句)3句
②投句期間:2023年2月5日(月)午前6時~2023年2月12日(日)午後5時
③投句は、下記アドレスブログの<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。
月例ネット句会ブログ:https://blog.goo.ne.jp/kakan02d
▼互選・入賞・伝言
①互選期間:2月12「日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:2月13日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、2月13日(月)正午~2月16日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

自由な投句箱/2月1日~2月10日

※当季雑詠3句(冬の句・春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/2月1日~2月10日

2月10日(1句)
★早春や利根の白波育ちそめ/小口泰與
川の見方は難しいところがあるが、上流や中流の川では、早春、雪解けで川の水が増えて流れが急になると岩に当たって白波が立つようになるのだろう。そんな川の姿を見て「早春」の思いを強くもった。(髙橋正子)
2月9日(1句)
★未明月を見上げて湯を沸かす/多田有花
未明に起きたとき、お茶を飲むためにガスに暖まりながら、シュンシュンと湯を沸かすのは私もだ。早春の未明のしらじらとした空気に窓から見える冷ややかに澄んだ月の取り合せがいい。(髙橋正子)
2月8日(1句)
★まんさくや雪の山肌眼間に/小口泰與
私は節分の日、横浜の里山公園でまんさくがほころんでいるのを見た。泰與さんは雪の山肌が眼間に迫るところのまんさくを見られた。雪とまんさくが素敵で美しい。(髙橋正子)
2月7日(2句)
★クロッカス日は利根川を直射せり/小口泰與
「直射せり」が日の力強さを表現している。同時に早春の小さい花と大利根の流れが対比され、早春の日に清潔感が読み取れる句となっている。(髙橋正子)
★母の忌の咲き揃ひたる黄水仙/廣田洋一★★★★
日も暖かくなり、さらりとした表現の中に、母への優しい思いが伝わる句。(髙橋正子)
2月6日
※該当句無し
2月5日(1句)
★春が来る走れ新生児救急車/多田有花
新生児に特化しての救急車、「新生児救急車」が、サイレンを鳴らし急を報せながら走る。一分一秒を争う命が助かるように「走れ」とエールを送る。万物の命の春が来ているではないか、と。(髙橋正子)
2月4日(1句)
★雪かきのスコップ屋根に残りけり/弓削和人
和人さんは、雪の少ないところから雪国へ転勤されて、新しい経験をされていることと思う。雪かきのスコップが屋根に残されているのも珍しく目に映る。(髙橋正子)
2月3日(4句)
★あけぼのの荒き山風揚げ雲雀/小口泰與
あけぼのは特に山風が荒い。山風を漕ぎに漕いで、習性とは言え、雲雀は空高く揚がる。不屈の力。(髙橋正子)
★大鷭を浮かべし池や日脚伸ぶ/多田有花
大鷭は黒い鳥だが、鴉のように艶はない。日々伸び行く日差しに、シルエットのように池に浮かんでいるは、真っ黒い大鷭。「日脚伸ぶ」よく生きている。(髙橋正子)
★法螺の音の先導したる節分会/廣田洋一
寺社によって節分会はさまざまな形で行われ、赤鬼、青鬼が法螺貝を吹く修験者を迎えたり、厄除けの儀式ながら、可笑しく、楽しいものであったりする。
法螺貝の音色で異次元の世界に誘われるようだ。(髙橋正子)
★壬生寺へ妻の出掛けや追儺の会/桑本栄太郎
壬生寺の追儺会では、壬生狂言などが行われ、とりわけ楽しみな追儺式である。まるで芝居見物に出かける妻を見送るような心境ではないか。(髙橋正子)
2月2日(1句)
★待春の空気満ちたり酒蔵に/多田有花
日本酒は、1月4、5日から立春までに作られる寒造りが品質がよいということである。出来た酒は新酒として売られるが、そうでないものは一定期間置いて火入れ(低音殺菌)して貯蔵される。立春までに作られた寒造りの酒は、まさに「待春の空気」を感じさせてくれるものだろう。(髙橋正子)
2月1日(2句)
★明星や凍星となり光増す/廣田洋一
明星は金星のこと。暁けの明星、宵の明星と見える位置が違っている。冬星は瞬かないと言われるが、さらに凍星となっては鋭い光となる。そこを見逃さなかった。(髙橋正子)
★枝先の赤味初めたり寒ゆるむ/桑本栄太郎
赤い色は、明るくて、力があって、可愛さもあって、めでたくて、といろいろなイメージをもっている。枝先に赤みが見えると春遠からじと思える。寒のゆるみに気づいたこと。(髙橋正子)