今日の秀句/5月1日~5月10日

5月7日(1句)
★葉桜を生き生きさせて雨の降る/多田有花
雨に降られて葉桜は、葉の緑がつやつや光り出す。それが生き生きして見えるのだ。(髙橋正子)
5月6日(2句)
★軽暖の日かげに入る信号待ち/廣田洋一
「軽暖」は、少し暑さを覚えるあたたかさ。この言葉の「けいだん」の響きには、それらしい感覚がある。人は、少し暑さを覚えれば信号待ちの時間にも、自然に日かげを求める。微妙な感覚がよく表現されている。(髙橋正子)
★雨勝ちのひとい始むる立夏かな/弓削和人
立夏は、雨勝ちの日として始まった。早やも夏の雨らしいそぶりが見える。立夏が感覚的に捉えらている。(髙橋正子)
5月5日(2句)
★天空の子らよ燕の軽やかに/多田有花
「天空の子ら」がやや観念的だが、「軽やかに」に救われている。空を自在に飛ぶ子燕は地にも触れず、まさに「天空の子」。子燕への温かいまなざしを感じる。(髙橋正子)
★役者かと思う化粧や豆の花/桑本栄太郎
役者かと思うような化粧をした人とすれ違った。ふと、ピンクに濃い紅がある豆の花を思ったか。あるいはそこに豆の花が咲いていたか。まなじりに紅を入れた役者を想像してみるのも面白い。そら豆の花でも、そんな役者を想像できそうだ。(髙橋正子)
5月4日(1句)
★ついついと白き筋見せ青すすき/桑本栄太郎
青すすきの葉の真ん中をすっとひと筋の葉脈が通る。これが白い。葉むらとなった青すすきは、白い筋が「ついつい」と見えるのだ。青についついと入る白が初夏らしい。(髙橋正子)
5月3日(2句)

★夏近き城どっしりと街なかに/多田有花
夏近い城は白壁が日を力強く反射し、街の中心にどっしりと座っている。城の印象は白壁の印象によって決まるのではと思える。ましてや白鷺城ともなれば。(髙橋正子)

★あおあおと湖の果てなし春惜しむ/弓削和人
「あおあおとした湖の果て」まで思いを行き渡らせる。それがつまりは春惜しむ心情となる。湖は瑠璃色の青さを誇る田沢湖。髙橋正子)

5月2日(2句)

★プランターの土入れ替へて夏隣/廣田洋一
プランターの土を入れ替えて、夏ものを植える準備。入れ替えた土がいきいきと元気で、夏が近づく嬉しさが、身辺にある。(髙橋正子)

<JR飛騨高山線>
★特急の「ひだ号」行くや桐の花/桑本栄太郎
高々とさく薄むらさきの桐の花の傍を過ぎてゆく「ひだ号」。飛騨へ向かう特急へ飛騨への思いを託す。(髙橋正子)

5月1日(2句)

★春日傘回し信号待つ子かな/小口泰與
春の日差しに開いた日傘をくるくる回し、信号を待っている。そのかわいい仕草をほほえましく見ている作者。(髙橋正子)

★メーデーや古き良き日の労働歌/廣田洋一
私の記憶に古き良き日のメーデーは昭和にある。労働歌は肉体あってこその人間の労働歌の印象が残って、労働歌の意味も大きかったように思う。(髙橋正子)

5月1日~5月10日

5月10日(4名)
小口泰與
川蝉へ朝日射しけり色さやか
層雲を抜きし妙義や初夏の風
さ緑の沼の若葉や鳥の声
廣田洋一
Vの字の大小有りて松落葉
ダイエットに効果ありと麦の飯
麦飯や貧乏知らぬ人増えて
桑本栄太郎
ゆくりなく深呼吸せり若葉晴れ
ジェット雲崩れ流るる若葉風
この海を伝い故郷へ卯波寄す
弓削和人
真四角の池従える蓮浮葉
睡蓮や雲ゆき影のまだらかな
そうびもて街角紅を放たれり
5月9日(4名)
小口泰與
一斉に香を振りまくや庭の薔薇
若葉して山の小沼の鳥の声
川蝉や水面を割りて飛翔せる
廣田洋一
ぽんぽんと毬のはねたる大手毬
二年振りさつき咲きたる狭庭かな
追悼詞短くまとめ五月闇
桑本栄太郎
陽光のバスの車内に若葉晴れ
わらわらと葉裏白きや風薫る
新緑の美味しそうなる散歩かな
弓削和人
桟橋の越ゆる卯波や湖あらく(原句)
桟橋を越ゆる卯波や湖あらく(正子添削)
田沢湖の卯波やひそと露月の碑
金宝樹紅先立てる医院かな
5月8日(5名)
小口泰與
魚咥え翡翠水面割にけり
糞をして逃げる目白のすげなしよ
急降下川蝉すぶと水飛沫
廣田洋一
若楓光零せる法の庭
朝の風つらく当たりし虞美人草
箱車園児が5人桜の実
多田有花
豪雨の一夜明けて残りし若葉寒
若楓の清々しさを仰ぎ見る
雲切れてはつ夏の空見えてくる
桑本栄太郎
朝日さす光眩しき青嵐
初夏やあまたありても「ない」の国
あおぞらの雲間にありぬ新樹冷ゆ
弓削和人
蓬莱の松や湖畔の夏霞
水芭蕉雑木にほのかひかりけり
朝ぼらけ雨滴集まる朴若葉
5月7日(4名)
小口泰與
若鮎の飛びて川面の夕日蹴る★★★
庭も狭に木木の膨らむ若葉かな★★★
びー玉の音響きあう青嵐★★★★
廣田洋一
川風の吹き渡りたる夏薊★★★★
日曜の小町通りの薄暑かな★★★
赤き橋映えたる空に桐の花★★★
多田有花
一日中降るつもりなり初夏の雨★★★
葉桜を生き生きさせて雨の降る★★★★
青空に白き腹見せ夏燕★★★
桑本栄太郎
真つ白を雨に誇りぬ山法師★★★★
叡山の雲にけぶりぬ若葉雨★★★
青くさき匂い立ち居り若葉風★★★
5月6日(5名)
小口泰與
遡上せる釣師に虻もついてきし★★★
燕來る田川の端に道祖信★★★
波も無き沼に一羽の残り鴨★★★
廣田洋一
早速に半袖を着て夏立ちぬ★★★
菖蒲咲く駆け回りたる子らの声★★★
軽暖の日かげに入る信号待ち★★★★
桑本栄太郎
水の香の朝より茅花流かな★★★★
今朝も早や地震のニュース夏に入る★★★
傘雨忌や下町あそびの竹馬に★★★
多田有花
城までのまっすぐな道春惜しむ★★★
雨となる午後の予報や夏に入る★★★
つばめとすずめ巣を並べたる立夏★★★★
弓削和人
夏立つや湖青く山青し★★★
夏に入るこんこんと湧く山清水★★★
雨勝ちのひとい始むる立夏かな★★★★
5月5日(4名)
小口泰與
起立せる妙義や風の百千鳥★★★
若鮎や利根の川面は夕日ける★★★
川風や蝶の庭より吹いてきし★★★
多田有花
夏隣はや蜩の声聞こえ★★★
天空の子らよ燕の軽やかに★★★★
平戸つつじ陽を照り返す街角に★★★
廣田洋一
山間を紫に染め桐の花★★★
端午の日子らはさっさと出かけたり★★★
つばくらめ橋を潜りて反転す★★★★
桑本栄太郎
父母のなき吾が身となりぬ子供の日★★★
役者かと思う化粧や豆の花★★★★
葉の裏の白さも見せて南海吹く★★★
5月4日(4名)
小口泰與
小綬鶏や畔川まんまん流れける★★★
雀の子樋の中にて羽ばたきぬ★★★
鳶の輪の天をはきけり夏隣★★★
廣田洋一
駐車場草の茂りて柿若葉★★★
若き枝ぴんと伸ばして花水木★★★
日の暮れて訃報のメール春の果★★★
桑本栄太郎
ついついと白き筋見せ青すすき★★★★
木洩れ日の木蔭に白く花うばら★★★
白つつじ紅つつじとや高き土堤★★★
弓削和人
春日もて湖心へ垂れり光る浪★★★
湖上から山を見上ぐる石斑魚かな★★★
春波や湖の小石をちらとみゆ(原句)
「みゆ」は「見ようと思わなくても自然に見える」の意味。
春波や湖の小石のちらとみゆ(正子添削)
5月3日(5名)
小口泰與
若鮎や見えざる底ひ渦の中★★★
片隅のゆすらの花へ雨そそぐ★★★
葦の芽や雨水ためる舫船★★★
廣田洋一
憲法記念日国旗の見えぬ大通り★★★
年古りし神の庭にも若緑★★★★
点々と蕾膨らむ柿若葉★★★
多田有花
夏近き城どっしりと街なかに★★★★
<さくらサーカス二句>
サーカスの妙技に歓声春闌★★★
少年のサーカス体験夏近し★★★★
桑本栄太郎
憲法記念日どこの家にも国旗無く★★★
木洩れ日の木蔭に白く花うばら★★★
一休み園の大樹や若葉影★★★★
弓削和人
げんげだの波打つ際の樟二本★★★
あおあおと湖の果てなし春惜しむ★★★★
野良の納屋一棟分の夏近し★★★★
5月2日(5名)
小口泰與
若駒や柵より荒き息を吐き★★★
風たまる裏戸の先や茗荷竹★★★
敷藁の乱れし畑や花苺★★★★
廣田洋一
朝日浴び木陰の広し夏隣★★★
プランターの土入れ替へて夏隣★★★★
人来たる夢に目覚めし朝寝かな★★★
多田有花
八十八夜くまなく晴れし朝となる★★★★
鳴き交わし腰赤燕巣作り中★★★
八十八夜ゆっくり入れる煎茶かな★★★
桑本栄太郎
連休の谷間や今朝の若葉晴れ★★★
黄金週間谷間となりてリハビリに★★★
<JR飛騨高山線>
特急の「ひだ号」行くや桐の花★★★★
弓削和人
貸し船を洗う湖畔や夏近し★★★★
みちのくの春の湖岸や味噌たんぽ★★★
みちのくの水没林や春惜しむ★★★
5月1日(5名)
小口泰與
混沌を抜けし釣糸風光る★★★
春夕や卓布新しうす緑★★★
春日傘回し信号待つ子かな★★★★
廣田洋一
メーデーや古き良き日の労働歌★★★★
夏近しまたも伸びたる庭の草★★★
夏近し流れ穏やか街の川★★★
多田有花
パソコンの突然壊れ四月尽★★★
新しき家が増えたり牡丹咲く★★★★
快晴や堤防に沿い花豌豆★★★
桑本栄太郎
青空の日射し明るく五月来る★★★
竹の子の手をつけられず伸びにけり★★★
メーデーと云えば雨とや午後の雨★★★
弓削和人
濡れそぼつ畦の暮れゆく蛙かな★★★
丘陵の初音や湖へ沁みわたり★★★★
永き日や道に手車ゆるゆると★★★

自由な投句箱/4月21日~4月30日

※当季雑詠3句(春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/4月21日~4月30日

4月30日(1句)

★卓袱台に結飯(むすび)山もり春の昼/小口泰與
春の昼、働いて外から台所に入ると目が慣れるまでは卓袱台は暗い。その卓袱台に白い結飯が山もりに、自由に空き腹が満たせるように置かれいる。美味しそうで、嬉しいではないか。(髙橋正子)

4月29日(1句)

★急く利根の流れおさまりつばくらめ/小口泰與
雪解け水に速さを増していた利根の流れも収まりつつある。その春の流れをつばめが水に触れんばかりにさっそうと飛んでいる。(髙橋正子)

4月28日(1句)

★あちこちの春田ひかるや耕運機/弓削和人
広い春田があちこちに光って見渡せる。耕運機があちこちに散らばり、田を耕して春田は活気づいている。田植えの準備がいきいきと始まる。(髙橋正子)

4月27日(1句)

  嬉野温泉
★はや胡蝶花の咲き初め佐賀の夏近し/多田有花
佐賀は南国九州。初夏の花である胡蝶花が早も咲き初めて、夏近いことを感じさせてくれる。旅は季節を早めて味合わせてくれる。(髙橋正子)

4月26日(1句)

★手のひらに数えて花の種蒔けり/廣田洋一
手のひらに、大きめの種か、七、八、九、と数えて、それだけの芽ばえを思いつつ種を蒔いた。大切に、また楽しみな種蒔き。(髙橋正子)

4月25日(1句)

★硝子戸の枝葉明るく菜種梅雨/桑本栄太郎
硝子戸に見える枝葉が明るい緑。硝子越しの葉の緑が菜種梅雨の雨に濡れて鮮やかに美しい。(髙橋正子)

4月24日(1句)

★山藤のどさつと垂るる白さかな/桑本栄太郎
白い山藤。古風な印象さえ漂う白い山藤がどさっと垂れる。十分の京らしい一景に思える。(髙橋正子)

4月23日(2句)

★亀鳴くや落語全集書架にあり/小口泰與
「亀鳴く」という空想上の事柄が、書架にならぶ落語全集と取り合わされて、ユーモラスで、楽しい思いになる。(髙橋正子)

★行春や川面に浮かぶ白き雲/廣田洋一
川面に白い雲が浮かぶのを見つけた。川面の雲も川の水と流れて行くようである。行春の思いも川に映る白雲の似ているのかもしれない。(髙橋正子)

4月22日(1句)

★夏近しきらきら光る地平線/廣田洋一
「きらきら光る地平線」は若々しい感覚。夏が近づくと地平線は太陽の光を反射し、沖波をきらめかせる。(髙橋正子)


4月21日(1句)

★芍薬の芽のぐんぐんと日向かな/弓削和人
春の日差しをうけて芍薬の芽がぐんぐんと伸びている。つやつやとした芍薬の芽の力強さがはっきりと詠まれている。(髙橋正子)

4月21日~4月30日

4月30日(3名)
小口泰與
起くおくと騒ぐ子猫や風光る★★★
卓袱台に結飯山もり春の昼★★★★
春の星峡の渓流滔滔と★★★
多田有花
<福岡タワー二句>
うららかや視界の果てまで海岸線★★★
春の午後タワーの影がビルに伸び★★★
博多駅見上げて終わる春の旅★★★
桑本栄太郎
こでまりの滴零すや雨あがる★★★
荷風忌の祇園の路地を徘徊す★★★
四月果つ淀に散りたる天皇賞★★★
4月29日(4名)

小口泰與
道糸のみとめに魚信春夕べ★★★
急く利根の流れおさまりつばくらめ★★★★
岩ひとつ堰きて輝く春の川★★★

廣田洋一
いつまでも立ち続けたり葱坊主★★★
春の宵新しき店覗きたる★★★
春の用熟女と共に乾杯す★★★

多田有花
<大宰府天満宮>
仮殿予定地前で参拝の春★★★
<福岡タワー二句>
タワー真っ直ぐ快晴の春空へ★★★
タワーより春の渚を見下ろしぬ★★★

桑本栄太郎
園児らの今日は休みや花槐★★★
すかんぽの赤の穂の揺れ雨催い★★★
貧しくも希望ありたる昭和の日★★★

4月28日(5名)

小口泰與
春雨に傘の中にて居てほしや★★★
鳥の巣を覗きし風のほわほわと★★★
黄蝶や裾廻の径の鳥の声★★★

廣田洋一
春暑し宝石を売るインド人★★★
春の鴨行きつ戻りつ町の川★★★
その度に若返りたる春の夢★★★★

多田有花
<大宰府天満宮三句>
うららかに参道晴れて天満宮★★★
大宰府は道真の墓所春深し★★★
楠大樹並ぶ大宰府麗かに★★★★

弓削和人
あちこちの春田ひかるや耕運機★★★★
耕運機春めく泥をしゃくりあげ★★★
トンネルを越えるや春の御空あり★★★

桑本栄太郎
ひいらぎと云えど若葉や柔らかし★★★
雨上がりゲートボールや新樹光★★★
山藤の一木占めて被いけり★★★★

4月27日(4名)

小口泰與
花薺小川の土橋塞ぎけり★★★
蜜蜂の忙しき動き空は蒼(原句)
「空は蒼」の「は」が気になります。(髙橋正子)
蜜蜂の忙しく動く空蒼し(正子添削)

速やかに燕反転田畑かな(原句)
俳句は一文を切字で切っていると思ってください。(髙橋正子)
速やかに燕反転田の上を(添削例)  

多田有花
<嬉野温泉三句>
はや胡蝶花の咲き初め佐賀の夏近し★★★★
春深し宿の暖簾の緑茶色★★★
ネパール人研修生や君子蘭★★★

廣田洋一
授業にて種蒔したる一年生★★★

遠富士の豌豆の花真白なり(原句)
「遠富士の豌豆の花」は意味の上で無理があるように思います。(髙橋正子)
遠富士や豌豆の花真白なり★★★★(添削例①)
遠富士に豌豆の花真白なり(添削例②)

豌豆の花紫色に揺れてをり★★★

桑本栄太郎
葉桜となりて青空被いけり★★★

虎杖の石のすき間の日射しかな(原句)
「虎杖の石のすき間」は意味がわかりにくいです。(髙橋正子)
石の間に虎杖芽生え日射すかな(正子添削)

群青の空の嶺なり春の宵★★★

4月26日(5名)

小口泰與
利根川の絶えず流るや春の山★★★
山径の狭にはびこりし菫草★★★
水音にはやも育ちし川高菜★★★★

多田有花
<嬉野温泉三句>
夜の雨花びらに残し躑躅咲く(原句)
夜の雨を花びらに残し躑躅咲く(添削①)
花びらに夜の雨残し躑躅咲く(添削②)

佐賀尽しの料理が並ぶ春の朝★★★
雨上がり嬉野温泉春深む★★★

廣田洋一
街角のちらほら白き残花かな★★★
手のひらに数えて花の種蒔けり★★★★
ころころと車輪廻して種を蒔く★★★

桑本栄太郎
木々の枝の揺れ止まざるや若葉寒む★★★
父母のなき故郷遠く新樹冷ゆ★★★★
げんげ田やふるさとの野辺想い居り★★★

弓削和人
囀りや起きてまどろむ待合所
「起きてまどろむ」が分かりにくいです。
囀りやまどろみがちに待合所(添削例①)
囀りやまた微睡みて待合所

花冷えの待ちたるバス停朝の雨
ポイントを絞る必要があります。「花冷え」「朝の雨」「バス停」「待ちたる」と句材が多すぎます。(髙橋正子)
花冷えの朝の雨降りバスを待つ(正子添削)

ゆく雁や連山映す湖面のみ
「ゆく雁」と「連山映す湖面」とテーマが二つになっています。テーマは一つに。(髙橋正子)
ゆく雁や湖は連山映すのみ(正子添削)

4月25日(5名)

小口泰與
そこはかと香菫や石の洞★★★
雨上がり菫の蕊の光かな★★★★
そこはかと隣人来たる春夕べ★★★

多田有花
<嬉野温泉三句>
温泉の街を流れる春の川★★★
嬉野茶入れて露天風呂の春★★★
嬉野茶活かす料理や春の夕★★★

廣田洋一
絢爛たる都をどりやよういやさ★★★
白と紅道を明るく躑躅かな★★★
大紫燃え立つ如き垣根かな★★★

桑本栄太郎
塵出しの朝の静寂や紫蘭咲く★★★
何となく不安となりぬ若葉寒む★★★
硝子戸の枝葉明るく菜種梅雨★★★★

弓削和人
チューリップ昼日の揺るる赤白黄★★★★
湖風に欠航せらる周遊船(原句)
「(欠航)せらる」が気になります。(髙橋正子)
湖風に欠航となり周遊船
春湖に桟橋浸り漂えり★★★

4月24日(3名)

小口泰與
浅間嶺の煙たゆたう春の川★★★
猫の子や芝の雑草ほこほこと★★★★
全容の浅間や春の鳥の声★★★

桑本栄太郎
山藤のどさつと垂るる白さかな★★★★
手を停めて夕日眺むや窓若葉★★★
西山の峰に入日や若葉寒む★★★

弓削和人
春の川湖に合わさば流れ疾く★★★
ぜんまいの十六のうず空を巻き★★★★
吹かれたる水仙の数透き目なく★★★

4月23日(4名)

小口泰與
亀鳴くや落語全集書架にあり★★★★
水音を遮る如く蝶の舞う★★★★
囀りや水面に映る朱き橋★★★

廣田洋一
行春や川面に浮かぶ白き雲★★★★
ポンポンと音立て種を蒔きにけり★★★
白き富士遠くに仰ぎ種を蒔く★★★

桑本栄太郎
<四条大橋界隈>
からし菜の高き背丈や高瀬川★★★★
外つ人の大橋渡る春日かな★★★
南座の甍まぶしき春の日に★★★

多田有花
<西九州新幹線二句>
木の香り漂う車両春の旅★★★
折り紙の新幹線や春うらら★★★
<嬉野温泉>
茶どころに来て淹れる春の茶うまし★★★

4月22日(4名)

小口泰與
そこばくの星を支えし春の松★★★
春の水山より出でて大河なり★★★
鶯やテーブルクロス風に揺れ★★★★

廣田洋一
楓の木小枝手折りて剪定す★★★
ピストルの打ち出したるやしゃぼん玉★★★
夏近しきらきら光る地平線★★★★

多田有花
春の港クルーズ船の入港す★★★
<大浦天主堂>
二百五十年ぶり信徒発見の春★★★
<西九州新幹線>
かもめに乗り春の長崎後にする★★★

桑本栄太郎
我が影鋪道に色濃く花は葉に(原句)
5-7-5に整えたいです。(髙橋正子)
我が影の舗路に色濃し花は葉に(正子添削)

山藤の一木被う坂の道★★★
ふるさとの想い出遠く花大根★★★

4月21日(5名)

小口泰與
葱坊主赤城の風の荒ぶれる★★★
花大根浅間の襞のむらさきに★★★
つんつんと天を支えし松の花★★★

桑本栄太郎
彩雲の下りて来たるや藤の棚★★★
ふるさとの遠くになりぬ花大根★★★★
葉の茂り日差しを被う木蓮忌★★★

多田有花
<グラバー園三句>
花が散る蝶々夫人の彫像に★★★★
陽光を受け真っ赤なる皐月かな★★★
花と海に囲まれ春のグラバー邸★★★

弓削和人
山陽や葉陰に覗く桜草★★★
芍薬の芽のぐんぐんと日向かな★★★★
湖風やたちまち揺れし黃水仙(原句)
湖風やたちまち揺るる黄水仙★★★★(正子添削)

自由な投句箱/4月11日~4月20日

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今日の秀句/4月11日~4月20日

4月20日(2句)

     グラバー園
★つつじ咲き海ひたすらに青さ増す/多田有花
つつじが燃えるように赤くさくと、海の青がますます青くなる。平戸躑躅の名があるように、長崎につつじはよく似合う。(髙橋正子)

星江ノ電の窓を開けたり春暑し/廣田洋一
江ノ電沿線の景色は楽しい。初夏を思わせる春の日には窓を開けると心地よい風が窓から入り、これもまた、小さな旅が味わえてたのしい。(髙橋正子)

4月19日(1句)

グラバー園
★うららかや長崎湾に船が入る/多田有花
グラバー園からの眺め。長崎湾に船がゆったりと入って来る様子がよく見える。うららかな景色である。(髙橋正子)

4月18日(1句)

★文机に春の苺の置いてあり/小口泰與
文机で読書していた作者だが、少し文机をはなれたのだろう。その間に妻が苺を置いていった。そんな場面が想像できた。(髙橋正子)

4月17日(1句)

★天つ日をたまわる棚田つばくらめ/小口泰與
棚田は天に近い。天の日をたまわる棚田を自由自在につばめが飛ぶ。すきな景色だ。(髙橋正子)

4月16日(1句)

★軒下の汲み置く水へ春の鳥/小口泰與
軒下に汲み置いた水に春の鳥が水を飲みに来た。そっと観察するかわいい仕草に癒される。(髙橋正子)

4月15日(1句)

★菜種梅雨窓の明かりに推敲中/桑本栄太郎
自画像として面白い。菜種梅雨にどこにも行けず、窓の明かりに寄って俳句を推敲している最中なのだ。(髙橋正子)

4月14日(1句)

★青空へ軽トラ白しいとざくら/弓削和人
絵本の画のような景色。いとざくらは、エドヒガンのうちの枝垂れ桜。白い軽トラックと青空の対比が春らしくていい。空想すれば、白い軽トラックは白い雲のようで、小回りが利いて空を走って行きそう。(髙橋正子)

4月13日(1句)

★花楓葉先の風のうすみどり/桑本栄太郎
深紅の花が咲いている楓は、まだ若緑。そのこずえの先を吹く風は、楓の色に染まったように「うすみどり」に感じられる。(髙橋正子)

4月12日(1句)

★すかんぽの茎の伸びたる雨一日/桑本栄太郎
雨の日はとくに野の草は良く伸びる。すかんぽの茎も雨にすくすくと茎を伸ばし、昔から変わらぬすかんぽに故郷を思い出す。(髙橋正子)

4月11日(2句)

★星影の時々消えて朧かな/廣田洋一
「時々消えて」に朧な空の感じがよく出ている。「星影」「朧」がローマン的。(髙橋正子)

★まさおなる分校の空黄水仙/弓削和人
「まさお」「黄水仙」の二つが作るイメージが鮮明。分校の空の汚れなさ、それだけにさびしさも。黄水仙は分校の子供たちのようでもある。(髙橋正子)

4月11日~4月20日

4月20日(4名)

小口泰與
春ばらの風になびきし鳥の声
「なびきし」は「鳥の声」にかかっています。

河原鶸聴きて野原の快楽かな★★★
山径を歩き疲れや河原鶸★★★

多田有花
<グラバー園三句>
つつじ咲く海ひたすらに青さ増す(原句)
つつじ咲き海ひたすらに青さ増す★★★★(正子添削)
春暑し木陰に舐めるソフトクリーム★★★
快晴のグラバー園の八重桜★★★

廣田洋一
体感の温度下げたり春の風★★★
江ノ電の窓を開けたり春暑し★★★★
春の風今日は優しく包まれて★★★

桑本栄太郎
覚めても夢の何処かに春の雷★★★
午後からは日射し極むる穀雨かな★★★
山藤の一木被い垂れにけり★★★★

4月19日(4名)

小口泰與
渓音に育つ若鮎空は蒼(原句)
「渓音に育つ若鮎」と「空は蒼」の関係がばらばらです。(髙橋正子)
若鮎の育つ渓空あおあおと(正子添削)

水槽の死する諸子魚やひとつ星★★★
渓流に影走りける上り鮎★★★

廣田洋一
霞立ち彼方の海を塗りつぶし★★★
霞立ち冨士道消える高尾山★★★
杉林花粉撒き終へ鎮まりぬ★★★

多田有花
<出島>
春深し阿蘭陀冬至の続きおり★★★
<グラバー園二句>
うららかや長崎湾に船が入る★★★★
巡りゆく洋風建築のどけしや★★★

桑本栄太郎
道に沿いつつじ燃え居りバス通り★★★
メゾンなるエントランスや花みづき★★★
紅花まんさくホテルの前の垣根かな★★★
 
4月18日(5名)

小口泰與
地虫出づ影をともない出にける★★★
文机に春の苺の置いてあり★★★★
村里の火の見櫓や風光る★★★

多田有花
稲佐山展望台から春の夜景★★★
春長けてなんと小さき出島かな★★★★
平戸つつじ旧神学校脇に★★★

桑本栄太郎
からからと風の奏づる春落葉★★★
春風や幼児たんたん歩き初む★★★★
新駅の低き樹高や花みづき★★★★

廣田洋一
春大根厚めに切りて斎の膳★★★
霊気満々長寿を誇る杉の花★★★★
願ひ込め智の輪くぐれり春の昼★★★

弓削和人
春山や白山裾野満たしけり(原句)
白山の裾野を満たし春の山(正子添削)

対岸の家のあかりや春の湖★★★★
角館垂れ桜の武家屋敷★★★

4月17日(4名)

小口泰與
天つ日をたまわる棚田つばくらめ★★★★
奥利根の峡田の畔の黒黒と★★★
蝶蝶の吹き飛ばされし田圃道★★★★

多田有花
眼鏡橋を眼鏡にしたり春の川★★★
カラフルな路面電車よ春の街★★★
長崎にちゃんぽん食べる春の夕★★★

桑本栄太郎
バス停へ急ぐ坂道つつじ燃ゆ★★★
咲き初めて青き愁いや著莪の花★★★
竹林の産みの熱とや竹の秋★★★

弓削和人
春寒や小雨寄りたるキャンプ場(原句)
「寄りたる」が分かりにくいです。(髙橋正子
春寒や小雨降り来るキャンプ場(正子添削)

バス停の時刻を見上げ春の鳥(原句)
バス停の時刻見上げて春の鳥(正子添削)

春惜しみ湖のさざ波まったりと(原句)
「惜しみ・・と」に理屈があります。俳句では、こういう理屈はよくないです。
春惜しむ湖のさざ波まったりと(正子添削)

4月16日(5名)

多田有花
春深き長崎へ向かうふたつ星★★★
「春深き」と「ふたつ星」の関係をもう少し整理するといいと思います。
(髙橋正子)
春の海彼方に雲仙普賢岳★★★
車両とは思えぬ意匠春の旅★★★

小口泰與
つばくろの軒営巣続きけり★★★
軒下の汲み置く水へ春の鳥★★★★
ふらここや大利根の渓越え行ける★★★

廣田洋一
永き日の四方山話はづみけり★★★
天を突く武蔵の塔の影朧★★★
診療所迎へて揺れる桜草★★★★

桑本栄太郎
鈴蘭の園の花壇や日曜日★★★★
花虻の爆音なりぬ棚の下★★★
石垣の風に煽らる春の茱萸★★★

弓削和人
田沢湖や霞たなびき山白し★★★
春寒の飛沫や岩に弾け引き★★★
春雨や対岸の湖藍深し★★★


4月15日(4名)

小口泰與
つばくらや奇岩屹立妙義山★★★
河原鶸地より秀つ枝に翔けにける★★★
頬白や滝雲渓へ流れける★★★

廣田洋一
永き日のいつもの店や駅近し★★★
永き日や雑談続く喫茶店★★★
やはらかな風を生みたる春の草★★★★

桑本栄太郎
菜種梅雨窓の明かりに推敲中★★★★
くもりいて早も若葉の寒さかな★★★
山吹の雨のひと日に七重八重★★★

弓削和人
花冷えて出かけ間際や雨に傘★★★
湖風に辛夷の花や踏ん張りぬ★★★★
春寒に遠くの湯舟を恋しかな(原句)
「遠くの湯舟」の「遠く」はどこですか。表現に少し無理があります。「恋しかな」は「湯舟を恋し」となっているので、「恋し」の部分は動詞です。したがって「恋うるかな」となります。(髙橋正子)
春寒にわが家の湯舟恋うるかな(添削例)

4月14日(4名)

小口泰與
上枝より下枝にすいと河原鶸★★★
頬白や木道の背を渡り行く★★★
雨雲や飛燕せわしく袈裟斬りに★★★

廣田洋一
藤の房ゆらゆら揺れる道の端★★★
体感の温度下げたる春の風★★★
花筏岸に寄せられ厚み増し★★★★

桑本栄太郎
藤棚の下で語らう二人かな★★★
紅白の揃い団地に花みずき★★★
信号のテールランプや躑躅燃ゆ★★★

弓削和人
いとざくら園庭に垂れ日影添え★★★
青空へ軽トラ白しいとざくら★★★★
園庭を眺める垂れ桜かな★★★

4月13日(4名)

小口泰與
秀つ枝より周り見まわす河原鶸★★★
鶯の声のみ聞ゆ大樹かな★★★
すいすいと下枝上枝と河原鶸★★★

廣田洋一
知らざりし土筆の先に杉菜とは★★★
切株の割れ目に光る春の草★★★
門燈をつけ忘れたる日永かな★★★

弓削和人
車窓見ゆ風にゆだねる春の鳥
「車窓見ゆ」は「車窓が見える」の意味です。字余りでも「車窓に見ゆ」とすべきです。あるいは五音になるように、他の表現を考えるとか。(髙橋正子)

一面の畑に浮かぶ耕運機(原句)
「耕運機」は季語ではありません。「浮かぶ」の情景がわかるような表現が欲しいです。俳句の基本は写生(描写)です。(髙橋正子)
耕運機春の畑のあちこちに(添削例①)
かぎろいて畑に浮かぶ耕運機(添削例②)

ひとい終え帰りの電車春の宵★★★

桑本栄太郎
棚上を見上げ爆音虻の昼★★★
花楓葉先の風のうすみどり★★★★
つちふるや今日は定期の検診日★★★

4月12日(4名)

小口泰與
背びらより朝日差しけり上り鮎★★★
遠き祖を訪ね諏訪湖や忘れ霜★★★
春灯や盛り塩崩れ仕舞いける★★★

廣田洋一
立話また一人増え日永かな★★★
黒き土覆ひつくせる杉菜かな★★★
尾の長さ整へ揚げる凧★★★★

桑本栄太郎
雨にぬれどさつと眼前に椿落つ★★★
飛花落花雨に濡れたる鋪道かな★★★
すかんぽの茎の伸びたる雨一日★★★★

弓削和人
春湖のたゆたう波やあおみどり★★★
みちのくの空うばい合う百千鳥★★★
アザリアのピンクやピンク数知れず★★★

4月11日(4名)

小口泰與
源流の宿の廃れや上り鮎★★★
辛夷咲く洞より出でる獣かな★★★
百本の春ばら咲くを待ちにけり★★★

廣田洋一
星影の時々消えて朧かな★★★★
マンションの窓の潤みて街朧★★★
春の草引き抜く力入れずとも★★★

桑本栄太郎
しべ赤くしがみつきたる残花かな★★★
春闌くや庭の梢の森めきぬ★★★★
嶺よりの夕日葉を透く遅日かな★★★

弓削和人
まさおなる分校の空黄水仙★★★★
廃校の跡に虎杖芽吹くかな★★★
湿原に白みひかるや水芭蕉★★★

自由な投句箱/4月1日~4月10日

※当季雑詠3句(春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/4月1日~4月10日

4月10日(1句)
★ぜんまいの渦巻きゆるまず湖の風/弓削和人
「ぜんまいの渦巻きゆるまず」がまさ寒さの残る空気感を感じさせてくれる。湖とぜんまいの取り合せがいい。(髙橋正子)
4月9日(2句)
★オルガンの音色戸外へ復活祭/桑本栄太郎
「オルガン」に教会を思う。復活祭の教会からもれてくるオルガンの音色は、明るい。(髙橋正子)
★花冷えや一指を象牙の鍵盤に/川名ますみ
象牙のピアノの鍵盤はいまではとても貴重。花冷えと同じように静かに冷えているのだろう。一指を落として響いた音は。聞いてみたい。(髙橋正子)
4月8日(2句)
★朝寝して鴉の声に起こさるる/小口泰與
朝寝をして、鴉のとぼけたような鳴き声に起こされるのも、のどかでいい。(髙橋正子)
 
★花冷えやおもわず遠く歩きたり/弓削和人
花冷えの中は、どんどん歩きたくなる。歩いて寒すぎることもなく、暑いこともない。「おもわず遠く」がいい。(髙橋正子)
4月7日(2句)
★盛岡や朝寝うつつに旅立ちぬ/弓削和人
盛岡から新幹線に乗るのか。朝寝のうつつのままに旅立つ。仕事の旅であっても、どこかのどか。(髙橋正子)
★さっぱりと花終わらせる雨の降る/多田有花
「さっぱりと花終わらせる」は、有花さんらしい。さっぱりとしたいい気性の有花さんならではの句。(髙橋正子)
4月6日(2句)
★花辛夷獣穴の笹倒れおり/小口泰與
山には辛夷が咲いて、獣穴の前の笹が倒れている。笹を踏んで穴を出入りしていることは容易に知れる。山の春は、獣が身近なのかもしれない。(髙橋正子)
★清明や入念に拭く古机/廣田洋一
「清明」。日はほがらかになって、気持ちがいい。使い込んだ古い机を入念に拭いた。きれいにさっぱりとなり、机上の仕事も捗ろうというもの。(髙橋正子)
4月5日(3句)
★雪柳素直に咲いて山の風/小口泰與
「雪柳」が「素直に咲いて」は雪柳の本質を言い得ている。納得の一句。(髙橋正子)
★花吹雪高層階まで届きおり/多田有花
地上の桜の花びらが、こんな高さまで舞い上がることよ、の感嘆の句。高層階も花びらに彩られるとは。(髙橋正子)
★山吹の堰水囃す黄色かな/桑本栄太郎
川堰の水が落ちるとき山吹の黄色が揺れる。また逆に、堰水は山吹に囃されるようにどんどん落ちて流れる。そんな川辺の景色が春らしい。(髙橋正子)
4月4日(2句)
★送電線峰より里へ花の雲/桑本栄太郎
送電線が峰から里へと張られいる。その間を埋め尽くすかのような花の雲。(髙橋正子)
★花曇青の自転車赤のバギー/川名ますみ
花曇なので、自転車のピカピカの青。バギーの赤は特に印象的。青と赤の思い切りの良さ。思い切りよい表現が快い。(髙橋正子)
4月3日(1句)
★土筆煮てきたと広げる花の下/多田有花
お花見弁当に煮た土筆がある。四季折々のくらしに野のものを味わう楽しさ。きどりのない素敵な花見。(髙橋正子)
4月2日(1句)
★軽やかな足音聞きつ朝桜/廣田洋一
「聞きつ」の「つ」には気を付けなればいけない。この句では、「聞き(連用形)+つ(近い過去)」と解釈した。
句意は「さっき、軽やかな足音を聞いた。目を遣れば、朝の桜が咲いている。」朝の桜の清潔で透明感のある姿に、人の軽やかな足音が絶妙に配置されている。(髙橋正子)
4月1日(1句)
★風に舞う桜を追いて笑う子ら/友田 修
そのままの情景を句に詠んでいて、多くの人たちも、私も見たことのある光景。花が散るのを楽しそうに、笑いながら追いかける。遊びでもあるが、子どもは、子どもの心で桜を楽しんでいる。(髙橋正子)