自由な投句箱/4月21日~4月30日

※当季雑詠3句(春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。

今日の秀句/4月21日~4月30日

4月30日(1句)

★何もかも散りて仕舞いぬ四月尽く/桑本栄太郎
三月、四月とたくさんの花が咲いた季節だったが、四月が終わると、桜は葉桜になるというように、緑が美しい新緑の季節に変わっていく。「何もかも散り」には、自然界だけでなく、気持ちにも、そういう感じがしているのかもしれない。(髙橋正子)
4月29日(1句)

★咲き枝垂るもっこう薔薇や珈琲館/桑本栄太郎
もっこう薔薇と珈琲館の取り合わせによる景色の良さ。おそらく黄色のもっこう薔薇と、コーヒーの匂いが、色と匂いは別の物ながら、一つ混じり合っている感じが捨てがたい。(髙橋正子)
4月28日(1句)
★点描のように一気に木の芽張る/川名ますみ
芽立ち始めた木の芽は小さく、枝枝に小さな緑として、「点描画」のような景色を見せてくれる。緑のさわやかな「点描画」は見るものの気持ちを晴れやかにしてくれる。(髙橋正子)
4月27日(1句)

★僚友と一宿一飯さくら餅/弓削和人
僚友とは、同僚のなかでも特に友人のように親しい人。二人は一宿一飯を共にした。食後に出されたさくら餅であろうか、親しくくつろいでさくら餅を食べた。「さくら餅」が効いている。(髙橋正子)
4月26日(2句)

★鴬の声強風によく通る/小口泰與
鴬もすっかり鳴き慣れて、声もたくましくなってきた。強い風の中にはっきりと鴬の声が通ってくる。春もいよいよ闌けてきた。(髙橋正子)

★桜散る吾が身に触れて行きにけり/廣田洋一

桜が散る下を通ると、花びらが「吾が身」に触れて散りすぎてゆく。花びらの軽い優しさは、あたかも、時が「身」をやさしく包むように過ぎてゆく感じだ。(髙橋正子)
4月25日(2句)

★ちるさくら舞い上がりてや天へ消ゆ/弓削和人
「舞い上がりてや」の切字の「や」が句に古い感じを与えているのが、惜しい。桜が散り、舞い上がって天に消える。花びらの行方は気になるものだが、天へ消える花びらに儚さを思う。(髙橋正子)

★竹の子のもう手に追えぬ丈に伸び/桑本栄太郎

竹の子は目にあきらかな生長を見せる。もう、手に届かない高さまで生長したのだ。「手に追えぬ」は、「手で追うことができない」と解釈した。(髙橋正子)
4月24日(1句)

★カーテンを開けて眼下に花みずき/桑本栄太郎
カーテンを開けると明るい花みずきの花が咲いている。さわやかな明るい景色に、心が和む。(髙橋正子)
4月23日(1句)

★眼間の梢にいこう春の星/小口泰與
春の星をまるで小鳥のように思って、「梢にいこう」と言った。無生物に「いこう」気持ちを読み取るのは、穏やかな気持ちが見る側にあるとき。おだやかで、未来に明るさが見える句。(髙橋正子)
4月22日(1句)

★囀りやこの一週間は恙なく/小口泰與
鳥たちも盛んに囀っているこの一週間。体のどこも痛んだりしなくて、体調もいい。心を悩ますこともない。「恙なく」過ごせる一週間は何よりの幸せ。(髙橋正子)
4月21日(2句)

★次つぎに水が水押し春の雷(らい)/小口泰與
水が水をつぎつぎの押す、というのは、押し流れる水。そこに春雷が鳴り響く。春という季節にもこんなダイナミックな景色がある。(髙橋正子)

★蛙鳴く池のほとりに生まれいて/廣田洋一
蛙は、池のほとりに生まれ、そこを離れずにけろけろと鳴く。両生類の蛙には池のほとりがふさわしい。蛙の性とはいえ、かわいい。(髙橋正子)

4月21日~4月30日

4月30日(5名)

小口泰與
翡翠の目の爛爛と日を弾き★★★
卓袱台のいたく古びし菜種梅雨★★★
卓袱台に集う祖父母や木の芽和★★★

多田有花
春長けて珈琲ゆっくり淹れる午後★★★
洗濯す春禽いろいろ鳴く中に★★★
荷風忌や独り気ままの楽しさよ★★★

廣田洋一
花弁の八重に積りて並木道★★★
休耕の畑にそよぐ蓬かな★★★
採血の順番待ちや春惜しむ★★★

桑本栄太郎
小雨降り憂いの色の紫蘭かな★★★
花びらの撒くかに散りぬ花みずき★★★
何もかも散りて仕舞いぬ四月尽く★★★★

弓削和人
苗代の塵泥(ちりひじ)浄く映しけり★★★
かたまりて蝌蚪の解くまでちからため★★★
踏み入れぬ湖畔の樹陰紅つばき★★★
4月29日(4名)

小口泰與
雪代や水路かけ行くいささ舟★★★
給食の肉は勇魚や遠き春★★★
山桜へいざなう道や鳥の声★★★

多田有花
頂に沈む夕陽や春深し★★★
春の朝父は子の手を引き散歩★★★
少しずつ遠くなりけり昭和の日★★★

廣田洋一
蜂を飼う巣箱置きたりビルの庭★★★
花に酔い次々来たる熊ン蜂★★★
夏近し多摩川の水きらめける★★★ 

桑本栄太郎
小手鞠の茂み明るく点しけり★★★
咲き枝垂るもっこう薔薇や珈琲館★★★★
午後よりの雨の予報や花うばら★★★
4月28日(4名)

小口泰與
諍いの野鳥や森は若葉にて★★★
晩春の鳥もいさかう梢かな★★★
あけぼののいさごの上の花弁かな★★★

多田有花
人も蝶もそこに集めし芝桜★★★
快晴の黄金週間庭仕事★★★
ベビーカー押して父ゆく長閑さを★★★

桑本栄太郎
<京都四条大橋界隈散策>
鴨川の堰水光り夏近し★★★
外つ人の浴衣姿のリュックかな★★★
春惜しむ花びら流れ高瀬川★★★

川名ますみ
点描のように一気に木の芽張る★★★★
さやさやと姫檜扇の白光る★★★
  湯島聖堂
銀杏の芽粒立つごとし聖堂前★★★
4月27日(4名)

小口泰與
水温む沼に集いし野鳥かな★★★
岩の間を魚影駆けし春の渓(原句)
「駆けし」の「し」は連体形なので、「春の渓」に直接かかります。一句には、一か所切れがあるほうが、奥行きのある句になります。「駆けり」と切りました。(髙橋正子)
岩の間を魚影駆けり春の渓(正子添削)
新緑や十色の鳥語盛んなり★★★

多田有花
人憩う咲き初めし藤棚の下に★★★
うぐいす谷渡り永遠を思う★★★
晩春の雨は明るく降りにけり★★★

桑本栄太郎
小雨降る箱根卯木の紅の濃し★★★
ジャスミンの白花開く香りかな★★★
妍競う学校花壇や春の園★★★

弓削和人
桜餅暮れゆく景を硝子越し★★★
僚友と一宿一飯さくら餅★★★★
湖を巻く大とぐろかな夕霞★★★

4月26日(4名)
小口泰與
鳥声の千差万別春の森★★★
鶯や強風の中声通る(原句)
鴬の声強風によく通る(正子添削)
春の野や同じ鳥声おちこちに★★★
多田有花
芝桜たどりて歩く人数多★★★
芝桜につぎつぎ現れ揚羽蝶★★★
芝桜山の斜面を彩りぬ★★★
桑本栄太郎
田舎より糠も入れあり竹の子届く★★★★
一度茹で筋皮剥くや蕗を炊く★★★
恥ずかしき匂いのままに筍剥く★★★
廣田洋一
富士山の農鳥出でて春たける★★★
桜散る吾が身に触れて行きにけり★★★★
枝垂れ桜咲き残りたる古き家★★★
4月25日(5名)
小口泰與
曙や春を囃せる鳥数多★★★
満緑の中春翡翠の声豊か★★★
鶯やピィーツピィーツと囀れり★★★

弓削和人
ちるさくら舞い上がりてや天へ消ゆ★★★★
野の墓の一本桜やしだれつつ★★★
紅枝垂一本一本彩りて★★★

多田有花
<福原京跡三句>
君子蘭氷室神社へ向かう道★★★
神戸厳島神社に桜蘂降る★★★
藤咲くを見上げハイキングの終わり★★★

桑本栄太郎
白藤のしだれ一木被いけり★★★
風吹けば早やも薫ると思い居り★★★
竹の子のもう手に追えぬ背伸びかな(原句)
竹の子のもう手に追えぬ丈に伸び(正子添削)

廣田洋一
ウコン桜咲き零れたる啄木碑★★★
八重桜並木をなして華やかに★★★
ごうごうと音立て流れ春の川★★★
4月24日(5名)

弓削和人
ひさかたの湖の紺松の花★★★
遠足や女教師の手につながりて★★★
春蝶の谷の岩間や三途川
蝶は春の季語なので、「春蝶」はどうでしょうか。(髙橋正子)

小口泰與
鶯や世を囃したる高き声★★★
渦巻きて顔へ迫りし落花かな★★★
次つぎに水輪あらわる春の沼★★★

多田有花
<福原京跡三句>
水族館になった学校春暑し★★★
清盛の雪見御所跡春深し★★★
春たけなわ電動自転車行き交えり★★★

廣田洋一
花筏空を見上げる八重桜★★★
句碑の文字白く浮き立つ春の雨★★★
鈴蘭や鐘を鳴らすかに揺れており★★★

桑本栄太郎
カーテンを開けて眼下に花みずき★★★★
塵出しの朝の静寂や紫蘭咲く★★★
春陰や降るも止まぬも小糠雨★★★
4月23日(4名)

小口泰與
眼間の梢にいこう春の星★★★★
いざ行かむ春翡翠の里の沼★★★
静寂なる沼へ奇声や春の鳥★★★

多田有花
<福原京跡三句>
ひたすらに長き石段登る春★★★
春深し御祈祷受ける人のあり★★★
春の海は街の彼方に見えるかも★★★

廣田洋一
葉桜のトンネル抜ける風やわら★★★
艶やかに躑躅の並木段葛★★★
藤の花ゆったり垂れて鯉はねる★★★

桑本栄太郎
目覚めても又同じ夢朝寝人★★★
子雀の羽を振るいぬ小雨かな★★★
山吹の黄花垂れ居り水車小屋(原句)
景色が止まってしまって、生き生きした面白みに欠けます。水車が落とす水で山吹の黄色い花が揺れいる景色にしてみました。(髙橋正子)
山吹の黄花揺れ居り水車小屋(正子添削)
4月22日(5名)

小口泰與
囀りやこの一週間は恙なく★★★★
沼の面をかすめし燕反転す★★★
里の宿いつも小鮎の宿とせり★★★

多田有花
<福原京跡三句>
木香薔薇春の屋根より雪崩咲く★★★
清盛の栄華は遠き春の夢★★★
春の坂道登れば祇園遺跡★★★

桑本栄太郎
植込みの中に初めてリラの花★★★
小雨降り筍梅雨となりにけり★★★
藤棚の爆音なりぬ虻の昼★★★

廣田洋一
飛ばす子と追いかける子やしゃぼん玉★★★
良き風と歩みたり藤棚の下★★★★
風に揺れ地に触れそうな藤の花★★★

弓削和人
漂泊の雲やかたかご紫(し)は立てり★★★
湿原の道一筋やかごの花★★★
かたかごのたゆたう花穂や水鏡 ★★★
4月21日(4名)

多田有花
春闌花嫁を待つ赤絨毯★★★
春深む楠公さんの楠に★★★
軒先のバターイエロー春の薔薇★★★

桑本栄太郎
<京都四条大橋界隈散策>
見晴るかす筍流しの比叡かな★★★
花みずき雨の木屋町歩きけり★★★
川べりの里ざくら散る高瀬川★★★

小口泰與
次つぎに水が水押す春雷(原句)
次つぎに水が水押し春の雷(らい)(正子添削)

如何ともし難き梅の花咲かず★★★
草むらを二羽の雉の歩むなり★★★

廣田洋一
生まれたる池のほとりや蛙鳴く(原句)
蛙鳴く池のほとりに生まれいて(正子添削)

長々と藤棚続く神の庭★★★
友来たる浅蜊飯にて乾杯す★★★

自由な投句箱/4月11日~4月20日

※当季雑詠3句(春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。

今日の秀句/4月11日~4月20日

4月20日(1句)

★連翹の黄色ははずむ堤かな/弓削和人
「連翹の黄色は」の「は」は限定の意味があるので、「連翹の黄色に限って」は、とか「連翹の黄色はとくに」の意味になる。「はずむ」で大きく切れる。
堤に連翹の花の黄色がとりわけ弾んでいるように思える、という生気ある春の景色が詠まれている。(髙橋正子)
4月19日(1句)

★昼の沼波立つ水をつばくらめ/小口泰與
真昼の沼は普段は静かなのだろうが、この日は風があるのだろう、波立っている。波立つ波をつばめが力強く、また自在に飛んでいる。(髙橋正子)
4月18日(1句)

★日を浴びて咲き崩れたるチューリップ/廣田洋一
チューリップは日光を浴びて花を開く性質がある。日を浴びて咲き崩れるのは、花が終わりということ。そんなチューリップは、開ききって、花びらが一つ欠けたり、落ちそうになったりしている。リアルな花の姿に感じることは多い。(髙橋正子)
4月17日(2句)

★夜の雷花の終わりを告げ激し/多田有花
「激し」が効いている。花の終わりをきっぱりと告げる雷に、季節はまた新しくなる。(髙橋正子)

★春深し白き小花の街に満つ/川名ますみ
「街に満つ」に、春の深さと詠み手の感銘が伝わってくる。清楚でかれんな小さい白い花が街にあれば、心魅かれる。(髙橋正子)
4月16日(2句)

★すかんぽの穂が伸び風を誘いけり/桑本栄太郎
すかんぽの穂が伸びるころ、野は明るくのびやかになる。ときには、夏近しを思わせる気温になることもあって、吹く風に心身のすこやかさが思われる。(髙橋正子)

★上着置き春の支度の軽きこと/川名ますみ
「上着置き」の情景が少しわかりにくいので気になるが、出かけようとして、上着を着ないでバッグなどの傍に置いている、と言うことなのだろう。
春の外出には冬のように、コート、マフラー、手袋などがいらないので、「支度の軽きこと」を実感する。上着も春用の軽いものになって、軽さはまた気持ちの明るさにもなる。(髙橋正子)

4月15日(2句)
★芝生にてヨガのポーズや若緑/廣田洋一
芝生でゆっくりとヨガのポーズをしている人がいて、傍には松の新芽がしなやかに伸びている。その関係性に妙がある。(髙橋正子)

★しゃがんでは湖面に揺れる若みどり/弓削和人
湖の近くに松の木があり、傍に寄ると松の若葉が美しいのが見て取れる。しゃがんでみると、湖面にその松の若葉が揺れるているのがよくわかる。(髙橋正子)
4月14日

該当句無し

4月13日(1句)
亀鳴くやゆるき日暮れの待ち合わせ/弓削和人
「亀鳴く」は、情緒的な季語とされ、実際亀は鳴くことはない。歳時記によれば、「川越のをちの田中の夕闇に何ぞと聞けば亀のなくなり/藤原為家」に由来すると言われている。
気を使わないでもよい人との、例えば、妻との待ち合わせであろう。「ゆるき日暮れ」の情緒がよく、「亀鳴く」を思わせてくれる。(髙橋正子)

4月12日(1句)

★夢うつつ花時の嵐聞いている/多田有花
花時はまた春眠暁をおぼえずを思い起させる時。夢うつつに聞く花と嵐の交錯したイメージが、遠い出来事のように思える。それがまた夢うつつにいつまでも過ごすことになる。(髙橋正子)

4月11日(1句)

★満開の桜に雨の降り始む/多田有花
満開の桜の精一杯のかがやきに、雨の糸が伝い始めるとき、出会いの美しさがいい。(髙橋正子)

4月11日~4月20日

4月20日(4名)

多田有花
空青く腰赤燕飛び交いぬ★★★
稜線の木々の芽吹きの盛んなり★★★
草の間に見え隠れして紋白蝶★★★

廣田洋一
紫を好む人逝き藤の花★★★
たんぽぽの絮吹き飛びて夏近し★★★★
加熱済み三河の浅蜊売られけり★★★

桑本栄太郎
木蔭行くさくさくさくと春落葉★★★
石垣の割目占め居り花すみれ★★★
穀雨とて午後より曇り雨催い★★★

弓削和人
チューリップ庭に花瓶につづきおり★★★
シクラメン紅茶を蒸らす静かさに★★★
連翹の黄色ははずむ堤かな★★★★
4月19日(5名)

多田有花
つちぐもりゆるゆる走る霊柩車★★★
穀雨なりまこと洗濯日和なり★★★
ちょっと来い朝から小綬鶏忙しき★★★

小口泰與
鳥交る白き浅間山の尖り峰★★★
ふと見れば量を積みたる花吹雪★★★
昼の沼如何に波立つつばくらめ(原句)
「如何に波立つ」の「如何に」がよくわからないので、直しました。(髙橋正子)
昼の沼波立つ水をつばくらめ(正子添削)

桑本栄太郎
春茱萸の種のあまたや坂の道★★★
へんぽんと校旗はためく春北風★★★
中空に影のとどまる虻の昼★★★

廣田洋一
新しき花壇囲めるチューリップ★★★
園児らと飛び回りたる白き蝶★★★
いつの間に子らと離れて浅蜊掘る★★★

弓削和人
土筆んぼう袴の数だけ野の主(あるじ)★★★
人影を失いにけり竹の秋★★★
子雀の空に生くるや親別れ★★★
4月18日(4名)

多田有花
一面のたんぽぽ踏んで散歩へと★★★
雉鳴くや陽はゆっくりと西へ行く★★★
子を抱きて春空見上げる父ひとり★★★

廣田洋一
一晩中小言呟く浅蜊かな★★★
日を浴びて咲き崩れたるチューリップ★★★★
春暁や目覚まし時計鳴りやまず★★★

小口泰與
赤城山あらぬ所に落とし角★★★
楤の芽や妙義山(みょうぎ)を洗う雨降れり★★★
怪獣や雪解の浅間山眼間に★★★

桑本栄太郎
ぽつぽつと躑躅つぼみぬ雨催い★★★
ぼん天の房咲き垂るる里ざくら★★★
路地狭めモッコウ薔薇の垣根かな★★★
4月17日(5名)

小口泰與
鳥声や青葉若葉へ朝日射す★★★
満緑やぴぃーつぴぃ-つと鳥の声★★★
鶯や風の梢の隙間より★★★

多田有花
花びらよ今年はこれでさようなら★★★
午後よりは花散らす風ことさらに★★★
夜の雷花の終わりを告げ激し★★★★

桑本栄太郎
木蔭行き影に気付くや虻の昼★★★
石垣をこぼれ垂れ居り芝ざくら★★★
子供等の嬌声庭によなぐもり★★★

川名ますみ
春深し白き小花の街に満つ★★★★
白山吹寄らんとすれば既に散る★★★★
つぶつぶと銀杏並木に木の芽張る★★★

弓削和人
こちらから声をかけゆく風光る★★★
木の芽増え遊覧船の発つ頃や★★★★
春眠の春の訪れ覚えけり★★★
4月16日(5名)

小口泰與
森若葉ぴぃーつぴぃーつと鳥の声★★★
早春の丘を駆け行く春の雉★★★
波音を消さんとばかり蛙かな★★★

多田有花
花を見てティラミス食べてお茶を飲む★★★
花に来て鵯盛んに蜜を吸う★★★
春土用静かな雨で明けにけり★★★

弓削和人
春蘭を透かすレースの生地やさし★★★
啓蟄に交じりてひかる塵芥(ちりあくた)★★★
ベンチより小さき一湖(いっこ)や黄水仙★★★

桑本栄太郎
どの木々も蘂の赤きや花は葉に★★★
すかんぽの穂が伸び風を誘いけり★★★★
濯ぎもの干すや狭庭の花みずき★★★

川名ますみ
満天星や新たな小さき療苑に★★★
あさみどり植えしばかりの満天星咲く★★★
上着置き春の支度の軽きこと★★★★
 
4月15日(4名)

小口泰與
立読みをあきらめ出づや春驟雨★★★
放流の鮎の稚魚をば岩の間に★★★
大いなる雪解浅間の朝かな★★★

廣田洋一
熊蜂の次々飛び来る桜かな★★★
春暁や目覚まし時計鳴りやまず★★★
芝生にてヨガのポーズや若緑★★★★

多田有花
花仰ぎ石垣白壁狭間瓦★★★
万国の人が集いぬ花の城★★★
花時の城から博物館へ行く★★★

弓削和人
水温む玻璃戸の色の鮮やかに★★★
陰雪や玄関の端欠けており★★★
しゃがんでは湖面に揺れる若みどり★★★★

4月14日(4名)

小口泰與
大沼の春の白鳥あらわなり★★★
春妙義奇岩に迫る雲一朶★★★
夕暮れのあらぬ梢に雲雀かな★★★

廣田洋一
若緑公園駆ける子らの声★★★
仰ぎ見る枝の先々若緑★★★
春暁の空に残れる星一つ★★★

多田有花
咲き初めし一輪千姫ぼたん園★★★
こぶりなる枝垂椿の花満開★★★
花影におのおの座りお弁当★★★

桑本栄太郎
<四条大橋界隈>
鴨川の河畔にカップル春の水★★★
せせらぎを花筏行く高瀬川★★★
木屋町の路地に赤きや花みずき★★★
4月13日(5名)

小口泰與
早春の赤城のすそ野露なり★★★★
眼間の桜満開散るもあり★★★
春ばらの葉のくれないに雨雫★★★

廣田洋一
沿道の紫つつじ艶やかに★★★
一畝の絹さやの花盛りなる★★★
梨棚をネットで囲み花盛り★★★★

多田有花
天守閣そびえる桜をしたがえて★★★
姫路城和船行き交う花の濠★★★
濠の水に姿映して花満開★★★★

桑本栄太郎
石垣の春茱萸熟れて垂れ来たり★★★
頂きに鉄塔ならび花の雲★★★
ねぎ坊主蝶を侍らせ並びけり★★★

弓削和人
亀鳴くやゆるき日暮れの待ち合わせ★★★★
鳥雲に入る石英の砂の山★★★
大試験娘(こ)らの旅行の支度して★★★
4月12日(4名)

小口泰與
春の暮歩みて遠き人の世よ★★★
春北風や妙義の峰の荒荒し★★★
麦畑を低空飛行の燕かな★★★

廣田洋一
葉桜に変わりつつある桜並木★★★
遅れ咲く年増のごとき八重桜★★★
色薄くはかなげに咲く躑躅かな★★★

多田有花
傘さしてあえて出かける花の雨★★★
夢うつつ花時の嵐聞いている★★★★
手を引かれ新一年生下校中★★★

桑本栄太郎
蒼ざめて御衣黄桜咲き初むる★★★
園児らのリュックベンチに青き踏む★★★
風なくもはらりはらりと花の塵★★★

4月11日(4名)

小口泰與
森閑とせる森へ一声鶯よ★★★
日を浴びる四月の丘や鳥の声★★★
鶯や丘に集いし人の数★★★

廣田洋一
焼海苔の香り漂うすまし汁★★★
春暁や星のまたたく西の空★★★
園児らの運動場や若緑★★★

桑本栄太郎
ぽつぽつと仰ぎ見上げる新芽立つ★★★
又はらり落つや哀しき花の屑★★★
むらさきと云うは愁いや花蘇芳★★★

多田有花
花盛りの下で三婆立ち話★★★
満開の桜に雨の降り始む★★★★
午後三時ついに降りだす花の雨★★★

今日の秀句/4月1日~4月10日

4月10日(2句)

★引き返し一枚羽織る花の冷え/桑本栄太郎
出掛けたのはいいが、思いのほかの花冷えに家に引き返して一枚羽織ってきた、と言う。今年は冷え込んり、雨が降ったり、桜が満開になるまで日にちがかかった。(髙橋正子)

★清明の雲を迎える湖の青/ 弓削和人

「湖の青」が「迎える」という清明の雲。「迎える」には、泰然とひろがる湖の青色が流れくる清明の日の雲を受け入れる特別感がある。(髙橋正子)
4月9日(2句)

★飛花落花雨の雫を散らしけり/廣田洋一
満開の桜が雨に当たって雫がついている。散る花びらに、ひらひら落ちる花びらに雨の雫がついたまま。「雨の雫を散らす」花となって、みずみずしい美しさが詠まれている。(髙橋正子)

★花桃や裏窓今朝は開けられて/多田有花
花桃が咲く時期は、新暦の3月3日ごろではなく、旧暦の3月3日ごろ。これはほぼ正確であろうが、少しずつ気温があがらい、北風の入る裏窓が久しぶりに開けられている。新しい季節が来ていることが印象付けられる。(髙橋正子)
4月8日(1句)

★そちこちに燕ひらりと身をかわし/多田有花
身辺に燕が自由に飛び交っている。透明な空気が見える感じがする。(髙橋正子)

4月7日(2句)

★満開をせかせる如く花の雨/廣田洋一
桜が咲くのを今か今かとまっているが、咲くときになって冷え込んだせいか、なかなか満開にならない。雨さえも、はやく満開になれとせかすようだ。満開の花を待つ心持。(髙橋正子)

★山桜若葉の色もさまざまに/多田有花
山桜の咲いている山は、早も若葉が湧き出していろんな色あいを見せている。山桜と若葉の色が、春から夏へ変わっていく景色の色を美しく織り成している。(髙橋正子)
4月6日(2句)

★暮れかねているよ花盛りの山は/多田有花
山に桜が咲いていると、そこが白く、明るく暮れ残る。暮れるのを惜しんで、暮れかねている山の雰囲気がよく出ている。(髙橋正子)

★葉の彩のともに美わし山ざくら/桑本栄太郎
山桜は花と葉と同時に見られて、葉の彩も捨てがたい。ともにうるわしい。(髙橋正子)

4月5日(2句)

★夕映えの山の桜よまた明日/多田有花
夕映えの山の桜は、咲き誇って今日の光を放っている。その桜を残して暮れて、さよならと言わなければいけないのは、心残り。「また明日」と言って、友達のように別れる。(髙橋正子)

★太陽光パネルへ春日垂れており/弓削和人
春の日のとろりとした感じがよく出ている。「太陽光パネル」と言う新しい素材に挑んでを詠んだのもいい。(髙橋正子)

4月4日(2句)

★鯉濃に舌打つ春の信濃かな/小口泰與
佐久の鯉濃を小諸の水煙大会のときに頂いたが、鯉濃は信濃の滋味深い料理。遅い春の寒さに熱い鯉鯉に舌鼓が打てるのも信濃の国にいてこそ。(髙橋正子)

★けさ二輪雲のいろしてさくら咲く/川名ますみ
ようやく咲き始めた桜が、曇り空なのだろう、雲とまがうような色に二輪咲いた。桜が桜色でなく、雲の色というのが、いい。たった二輪も可愛い。花時の空の様子がよく知れる。(髙橋正子)
4月3日(1句)

★雨に濡れ明りとならず花三分 /桑本栄太郎
桜が満開になると、あたりが明るくなり、「花明かり」と、言われるようになる。雨に濡れ、まだ三分咲きの花は、期待ほどの「明かり」とならない。それも花の風情としてとどめておくべきであろう。(髙橋正子)
4月2日(1句)

★桜咲くいつもながらの子らの声/廣田洋一
桜が咲くと日本は新年度を迎え、季節が一新される。子供たちは、桜が咲いてもいつもどおりに活気に満ちて遊んでいる。変わるもの、変わらないもの、それぞれが混じって時が進むのを実感するのが、「桜咲く」と言うことだろう。

4月1日(1句)

★山桜朝の光に咲きそろい/多田有花
朝の光が差す山桜は、匂うような清々しい風情。「咲きそろい」と言い切っているのがさわやか。(髙橋正子)

4月1日~4月10日

4月10日(5名)

小口泰與
公園の春燈切れし数数多★★★
危ぶみて行くを躊躇う春の川★★★
もみじの葉ほぐれほぐれて春の風★★★

多田有花
電線に腰赤つばめやや離れ★★★★
川波の光るにあわせ桜咲く★★★
土手の道桜並木を愛で歩く★★★

廣田洋一
白き富士後にそびえ山笑う★★★
道端の燃ゆるが如き躑躅かな★★★
秘めやかに黒絹まとい欝金香★★★

桑本栄太郎
引き返し一枚羽織る花の冷え★★★★
西山の鉄塔並ぶ花の雲★★★
石垣を零れ倒るる芝ざくら★★★

弓削和人
春風の方へ向きたるベンチかな★★★
頂の雲より下の初音かな★★★★
清明の雲を迎える湖の青 ★★★★
4月9日(5名)

小口泰與
天ざかる里に住みけり桜まじ★★★
天霧らう谷川岳や里は春★★★
天ざかる鄙に住みけり雪解水★★★

廣田洋一
飛花落花雨の雫を散らしけり★★★★
花の雨中止されたる道路工事★★★
合掌をほどきて揺れるチューリップ★★★

多田有花
花桃や裏窓今朝は開けられて★★★★
梅桜ともに咲きたる川の土手★★★
雨降りだす前に終わりぬ入学式★★★

桑本栄太郎
一陣の風に目覚むる春あらし★★★
風吹けば桜吹雪となりぬべし★★★
さくら散る急くな急くなと念じけり★★★

弓削和人
花冷えの蚋は玻璃戸の隙にゐる★★★
春雨のしずく梢にとどまれり★★★
菜の花と宵の境を歩きけり★★★
4月8日(5名)

小口泰與
池の面を微風ふわりと匂鳥★★★
水槽の春の金魚の仰向きに★★★
仰向きて春蝉川を下りけり★★★

多田有花
幸せは桜七分に咲く晴天★★★
雉鳴くや日曜大工の音もして★★★
そちこちに燕ひらりと身をかわし★★★★

桑本栄太郎
想い出す小坊主さそう甘茶寺★★★
行き交うや背割堤の花見客★★★
虚子の忌や芦屋の坂の雨に濡れ★★★

廣田洋一
生誕の150年虚子忌かな★★★
ひっそりと一本咲きし黒チューリップ★★★
チューリップ並びて迎え診療所★★★

弓削和人
花の道おが屑敷きし花見山★★★
連翹のたもと動かぬ亀の首★★★
山茱萸の四弁の小花四方向き★★★
4月7日(4名)

小口泰與
春日濃し我が髪膚をば溶かしけり★★★
紅梅や山のあわいに白き雲★★★
青空を奪い合いたる雲雀かな★★★★

廣田洋一
枝垂れには柔らかく降る花の雨★★★
満開をせかせる如く花の雨★★★★
硬き顔一瞬はじけ山笑う★★★

多田有花
陽の差せばすぐに開きぬチューリップ★★★
雲の影山に落ちたり放哉忌★★★★
山桜若葉の色もさまざまに★★★★
 桑本栄太郎
さくら咲く競馬場なる仁川駅★★★
夙川の河川公園花満開★★★
春宵の山並み六甲茜かな ★★★
4月6日(5名)

小口泰與
赤黄の花に木蓮ほのかにて★★★
池の面をふはりと風や雀の子★★★
夕映えの浅間雪解や紫木蓮★★★

弓削和人
整然と立ちゐるビルの穀雨かな★★★
茅葺きの屋根たるむなり紫木蓮★★★
景色はよくわかります。(髙橋正子)
蒼天をのこしてカモメ翔び立ちぬ★★★

多田有花
咲き初めし染井吉野に陽の高し★★★★
花の峰つなぎ日輪渡りけり★★★★
暮れかねているよ花盛りの山は★★★★

廣田洋一
旧友と酒酌み交はし春の星★★★★
小雀飛び目の前の枝揺らしけり★★★★
露天湯の湯気立ち登り山笑ふ★★★

桑本栄太郎
柳絮降る川辺の地道歩きけり★★★
坂道のなんば歩きや花の昼★★★
葉の彩のともに美はし山ざくら★★★★
4月5日(5名)

小口泰與
ばらの葉の赤青さやか春の雨★★★
うぐいすや小沼ひびかす日の光★★★
様ざまな鳥語飛び交う小沼かな★★★

廣田洋一
連翹や養生中の園の中★★★
鈴振りて人を迎へるスノーフレーク★★★
紫躑躅上品に見ゆ狭庭かな★★★

多田有花
花朧よきことのみを思い出す★★★
夕映えの山の桜よまた明日★★★★
跪き見るやスノーフレークを★★★

桑本栄太郎
あおぞらの隙間にありぬ花万朶★★★
歩みゆく山の里へと花の雲★★★
花の雲仰ぎ見て居り嵐山★★★

弓削和人
太陽光パネルへ春日垂れており★★★★
藤波をくぐる車両や接骨院★★★
単線の柑子に覚めり山笑う★★★
4月4日(5名)

小口泰與
鯉濃に舌打つ春の信濃かな★★★★
足裏のつぼの数多や桜もち★★★
赤青の新芽ほぐるる春のばら★★★

多田有花
洗濯の前に挨拶朝桜★★★★
鶯の盛んに鳴くや朝の雨★★★
雨あがり清明の朝日差し来たり★★★

廣田洋一
地震の町希望を灯す春の星★★★
黄の花をついと立てたりクローバー★★★
青き葉の先に開きし桜かな★★★

桑本栄太郎
濡れつつも咲きつづけ居り花の雨(原句)
濡れつつも咲きつづけ居り雨の花(正子添削)
意味を考えると添削句のようになるのでは、ないでしょうか。(髙橋正子)

咲き満てど蒼ざめいたる花あはれ★★★
「蒼ざめ」と「あはれ」がつきすぎと、思います。(髙橋正子)

菜種梅雨ふるさと遠くしのびけり★★★

川名ますみ
けさ二輪雲のいろしてさくら咲く★★★★
栗鼠の尾をなびかせており春北風★★★★
雪やなぎの光がビルの向こうから★★★
4月3日(5名)

小口泰與
春の池朝日差し込み麗らかや★★★
水槽に遊ぶ諸子や子犬の眼★★★
集めたる野鳥の本や春うらら★★★

弓削和人
雪やなぎ風にまかせて触れ合いて★★★★
春の風門の構えを越えゆけり★★★
春愁や雑貨の向きを窓際へ★★★

多田有花
高架橋花の姿を近く見て★★★★
せせらぎを聴きつつ咲けり山桜★★★
なつかしき人と再会花の山★★★

桑本栄太郎
雨に濡れ明りとならず花三分★★★★
白れんの傷つき落つや地に襤褸★★★
大正の母の着物や紫もくれん★★★

廣田洋一
雨空に咲きつのりたる桜かな★★★★
枝から枝忙しく飛べる小雀かな★★★
東天に新しき灯や春の星★★★
4月2日(4名)

小口泰與
頬白を追いたるカメラ朝の丘★★★
春なれやわが産土の山と川★★★
朝夕の日の見事なり山笑う★★★

多田有花
花々の向こうに大きく山桜★★★★
道山に迫れば近し山桜★★★
光太郎忌山小屋に籠りたし★★★

廣田洋一
桜咲くいつもながらの子らの声★★★★
新人の挨拶回り桜咲く★★★
ビル谷間ゆっくり上る春の星★★★

桑本栄太郎
日の本の大和ごころや山ざくら★★★
花あはれあまた蕾の三分かな★★★
嶺の端の夕日にじむや花ぐもり★★★
4月1日(4名)

小口泰與
朝寝せり鶯来るを待ちつつも★★★
朝戸出や雉声近し風の中★★★
正面を見据えし雉やほろろ打つ★★★

多田有花
山桜朝の光に咲きそろい★★★★
桜咲く公園に人影はなけれども★★★
紫木蓮咲かせ大きな門構★★★★

桑本栄太郎
川風にしなり枝垂るる柳の芽★★★
摘草の姉妹屈める川辺かな★★★
乙女等の白き足裏(あうら)や青き踏む★★★

弓削和人
菜の花の黄色は陽(ひ)より賜われり★★★
春あけぼの地下鉄階をあがるほど★★★
上座にも下座も等し初桜★★★