4月30日(5名)
小口泰與
翡翠の目の爛爛と日を弾き★★★
卓袱台のいたく古びし菜種梅雨★★★
卓袱台に集う祖父母や木の芽和★★★
多田有花
春長けて珈琲ゆっくり淹れる午後★★★
洗濯す春禽いろいろ鳴く中に★★★
荷風忌や独り気ままの楽しさよ★★★
廣田洋一
花弁の八重に積りて並木道★★★
休耕の畑にそよぐ蓬かな★★★
採血の順番待ちや春惜しむ★★★
桑本栄太郎
小雨降り憂いの色の紫蘭かな★★★
花びらの撒くかに散りぬ花みずき★★★
何もかも散りて仕舞いぬ四月尽く★★★★
弓削和人
苗代の塵泥(ちりひじ)浄く映しけり★★★
かたまりて蝌蚪の解くまでちからため★★★
踏み入れぬ湖畔の樹陰紅つばき★★★
4月29日(4名)
小口泰與
雪代や水路かけ行くいささ舟★★★
給食の肉は勇魚や遠き春★★★
山桜へいざなう道や鳥の声★★★
多田有花
頂に沈む夕陽や春深し★★★
春の朝父は子の手を引き散歩★★★
少しずつ遠くなりけり昭和の日★★★
廣田洋一
蜂を飼う巣箱置きたりビルの庭★★★
花に酔い次々来たる熊ン蜂★★★
夏近し多摩川の水きらめける★★★
桑本栄太郎
小手鞠の茂み明るく点しけり★★★
咲き枝垂るもっこう薔薇や珈琲館★★★★
午後よりの雨の予報や花うばら★★★
4月28日(4名)
小口泰與
諍いの野鳥や森は若葉にて★★★
晩春の鳥もいさかう梢かな★★★
あけぼののいさごの上の花弁かな★★★
多田有花
人も蝶もそこに集めし芝桜★★★
快晴の黄金週間庭仕事★★★
ベビーカー押して父ゆく長閑さを★★★
桑本栄太郎
<京都四条大橋界隈散策>
鴨川の堰水光り夏近し★★★
外つ人の浴衣姿のリュックかな★★★
春惜しむ花びら流れ高瀬川★★★
川名ますみ
点描のように一気に木の芽張る★★★★
さやさやと姫檜扇の白光る★★★
湯島聖堂
銀杏の芽粒立つごとし聖堂前★★★
4月27日(4名)
小口泰與
水温む沼に集いし野鳥かな★★★
岩の間を魚影駆けし春の渓(原句)
「駆けし」の「し」は連体形なので、「春の渓」に直接かかります。一句には、一か所切れがあるほうが、奥行きのある句になります。「駆けり」と切りました。(髙橋正子)
岩の間を魚影駆けり春の渓(正子添削)
新緑や十色の鳥語盛んなり★★★
多田有花
人憩う咲き初めし藤棚の下に★★★
うぐいす谷渡り永遠を思う★★★
晩春の雨は明るく降りにけり★★★
桑本栄太郎
小雨降る箱根卯木の紅の濃し★★★
ジャスミンの白花開く香りかな★★★
妍競う学校花壇や春の園★★★
弓削和人
桜餅暮れゆく景を硝子越し★★★
僚友と一宿一飯さくら餅★★★★
湖を巻く大とぐろかな夕霞★★★
4月26日(4名)
小口泰與
鳥声の千差万別春の森★★★
鶯や強風の中声通る(原句)
鴬の声強風によく通る(正子添削)
春の野や同じ鳥声おちこちに★★★
多田有花
芝桜たどりて歩く人数多★★★
芝桜につぎつぎ現れ揚羽蝶★★★
芝桜山の斜面を彩りぬ★★★
桑本栄太郎
田舎より糠も入れあり竹の子届く★★★★
一度茹で筋皮剥くや蕗を炊く★★★
恥ずかしき匂いのままに筍剥く★★★
廣田洋一
富士山の農鳥出でて春たける★★★
桜散る吾が身に触れて行きにけり★★★★
枝垂れ桜咲き残りたる古き家★★★
4月25日(5名)
小口泰與
曙や春を囃せる鳥数多★★★
満緑の中春翡翠の声豊か★★★
鶯やピィーツピィーツと囀れり★★★
弓削和人
ちるさくら舞い上がりてや天へ消ゆ★★★★
野の墓の一本桜やしだれつつ★★★
紅枝垂一本一本彩りて★★★
多田有花
<福原京跡三句>
君子蘭氷室神社へ向かう道★★★
神戸厳島神社に桜蘂降る★★★
藤咲くを見上げハイキングの終わり★★★
桑本栄太郎
白藤のしだれ一木被いけり★★★
風吹けば早やも薫ると思い居り★★★
竹の子のもう手に追えぬ背伸びかな(原句)
竹の子のもう手に追えぬ丈に伸び(正子添削)
廣田洋一
ウコン桜咲き零れたる啄木碑★★★
八重桜並木をなして華やかに★★★
ごうごうと音立て流れ春の川★★★
4月24日(5名)
弓削和人
ひさかたの湖の紺松の花★★★
遠足や女教師の手につながりて★★★
春蝶の谷の岩間や三途川
蝶は春の季語なので、「春蝶」はどうでしょうか。(髙橋正子)
小口泰與
鶯や世を囃したる高き声★★★
渦巻きて顔へ迫りし落花かな★★★
次つぎに水輪あらわる春の沼★★★
多田有花
<福原京跡三句>
水族館になった学校春暑し★★★
清盛の雪見御所跡春深し★★★
春たけなわ電動自転車行き交えり★★★
廣田洋一
花筏空を見上げる八重桜★★★
句碑の文字白く浮き立つ春の雨★★★
鈴蘭や鐘を鳴らすかに揺れており★★★
桑本栄太郎
カーテンを開けて眼下に花みずき★★★★
塵出しの朝の静寂や紫蘭咲く★★★
春陰や降るも止まぬも小糠雨★★★
4月23日(4名)
小口泰與
眼間の梢にいこう春の星★★★★
いざ行かむ春翡翠の里の沼★★★
静寂なる沼へ奇声や春の鳥★★★
多田有花
<福原京跡三句>
ひたすらに長き石段登る春★★★
春深し御祈祷受ける人のあり★★★
春の海は街の彼方に見えるかも★★★
廣田洋一
葉桜のトンネル抜ける風やわら★★★
艶やかに躑躅の並木段葛★★★
藤の花ゆったり垂れて鯉はねる★★★
桑本栄太郎
目覚めても又同じ夢朝寝人★★★
子雀の羽を振るいぬ小雨かな★★★
山吹の黄花垂れ居り水車小屋(原句)
景色が止まってしまって、生き生きした面白みに欠けます。水車が落とす水で山吹の黄色い花が揺れいる景色にしてみました。(髙橋正子)
山吹の黄花揺れ居り水車小屋(正子添削)
4月22日(5名)
小口泰與
囀りやこの一週間は恙なく★★★★
沼の面をかすめし燕反転す★★★
里の宿いつも小鮎の宿とせり★★★
多田有花
<福原京跡三句>
木香薔薇春の屋根より雪崩咲く★★★
清盛の栄華は遠き春の夢★★★
春の坂道登れば祇園遺跡★★★
桑本栄太郎
植込みの中に初めてリラの花★★★
小雨降り筍梅雨となりにけり★★★
藤棚の爆音なりぬ虻の昼★★★
廣田洋一
飛ばす子と追いかける子やしゃぼん玉★★★
良き風と歩みたり藤棚の下★★★★
風に揺れ地に触れそうな藤の花★★★
弓削和人
漂泊の雲やかたかご紫(し)は立てり★★★
湿原の道一筋やかごの花★★★
かたかごのたゆたう花穂や水鏡 ★★★
4月21日(4名)
多田有花
春闌花嫁を待つ赤絨毯★★★
春深む楠公さんの楠に★★★
軒先のバターイエロー春の薔薇★★★
桑本栄太郎
<京都四条大橋界隈散策>
見晴るかす筍流しの比叡かな★★★
花みずき雨の木屋町歩きけり★★★
川べりの里ざくら散る高瀬川★★★
小口泰與
次つぎに水が水押す春雷(原句)
次つぎに水が水押し春の雷(らい)(正子添削)
如何ともし難き梅の花咲かず★★★
草むらを二羽の雉の歩むなり★★★
廣田洋一
生まれたる池のほとりや蛙鳴く(原句)
蛙鳴く池のほとりに生まれいて(正子添削)
長々と藤棚続く神の庭★★★
友来たる浅蜊飯にて乾杯す★★★