自由な投句箱/7月21~7月31日

※当季雑詠3句(夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。
主宰:高橋正子

今日の秀句/7月21日~7月31日

7月31日(1句)

★大丸へ帰省みやげの買物に/桑本栄太郎

7月30日(1句)

★みんみんや汽車に駆け込む女学生/小口泰與

7月29日(1句)

★湖に浮んで夏の空ばかり/弓削和人
7月28日(1句)

★手をつなぎ片蔭を行く親子かな/廣田洋一
この句を読んですぐに日本画家の小倉遊亀の「径(こみち)」という画を思いだした。この絵は買い物から帰る日傘をさした母と後を付いていく女の子と犬が描かれている。母と子の距離感が言い難い情愛を感じさせている傑作のひとつ。片蔭をゆく手をつないだ親子の風景に涼しさと優しさを感じる。(高橋正子)

7月27日(2句)

★夕菅やテントのランプ次次と/小口泰與
キャンプの夕べのロマンティックなひと時。夕菅、テント、ランプと、句材が揃って少し昔をおもいださせるような懐かしさがある。(髙橋正子)

★夏座敷みるみる雲の湧きにけり/弓削和人

夏座敷に座ると、向こうに「みるみる」雲が湧きあがってくる。上昇気流に立ち上がる雲はまさに夏の勢い。景色が大きくイメージが鮮明なのがいい。(髙橋正子)
7月26日(1句)

★半月の中天にあり夜の秋/多田有花
中天にある半月を見上げ、その涼やかな景色、吹く風の感触に秋を感じた。連日の猛暑のなか、夜はそれでも秋めいているやすらぎがある。(髙橋正子)

7月25日(1句)

★大阪は天満祭の水都かな/桑本栄太郎
大阪は淀川が巡る水都である。大阪天満宮の祭りは日本三大祭のひとつ。天満祭は、宵宮の鉾流しに始まり、本祭の日の夕刻から船渡御があり、神輿、鳳輦の奉安船とこれを迎えるお迎え人形船、篝船、どんどこ船、囃子船などが堂島川を下って、江之子島に着き、陸路を練って本社に還幸する という。水都なればこその祭り。「水都かな」がいい。(髙橋正子)

7月24日(1句)

★糸蜻蛉水輪残して飛び去りぬ/小口泰與
細くかすかな糸蜻蛉が飛び去ったあとに、水輪が残っている。残っている水輪で糸蜻蛉の存在を知るようなもの。飛び去ったあとの水輪が涼しそうだ。(髙橋正子)

7月23日(1句)

★棟上げの祝詞涼しき木の香り/廣田洋一
夏の棟上げは戸外の神事だけに暑いのだけれど、「涼し」と感じられるほど木の香りが、すがすがしかったのだろう。(髙橋正子)

7月22日(1句)

★毎日のネット句会や日日草/小口泰與
毎日のネット句会は、この「自由な投句箱」のこととして、このよう詠んでいただいてうれしい。小さい花ながら、夏の間、日々休まず花をつける、その名が日日草。その日日草のように、小さい句会ながら、日々花を咲かせるように投句がある。その上に秀句も生まれる。(髙橋正子)

7月21日(句)

★母を見舞う涼しき施設の一室に/多田有花
施設で生活をしている母を暑さを心配しながら訪ねた。部屋は適度の冷房で涼しく快適な様子。母の健やかそうな表情がまず目に映ったのだと思う。(髙橋正子)

7月21日~7月31日

7月31日(4名)

小口泰與
道おしえ忠治の墓はいずこにか★★★
おはぐろやすいと釣竿とまりける(原句)
「釣竿とまり」は「釣竿にとまり」にしないといけないです。(髙橋正子)
おはぐろやすいと釣竿にとまり(正子添削)
飛び來るや雀の鋭声兜虫★★★

多田有花
髪切りて風にかるがる七月尽(原句)
「七月尽」は季語として使いません。月の終わりにどの月でも「〇月尽」というのではなく、季節の終わりに季節を惜しんだりするときに「弥生尽・四月尽」などと使います。
蝉しぐれ下から聞こえ五階の部屋★★★
大の字に寝て涼風に身をまかせ★★★

桑本栄太郎
窓を開けそよりと風の朝涼し★★★
大丸へ帰省みやげの買物に★★★★
空蝉の何かを語るまなこかな★★★

弓削和人
向日葵や敬虔にして立ちつくし★★★
街あらた湖畔に映る揚花火★★★★
夏の雨やみてはふれり日誌書き★★★★

7月30日(4名)

小口泰與
二三羽の雀の鋭声竹落葉★★★
みんみんや汽車に駆け込む女学生★★★★
翡翠の浮葉すいすい歩みをり★★★

廣田洋一
貸したるノート避暑地より送り来し★★★
風鈴の舌を取り替へ音新た★★★★
鉄風鈴澄みたる音色響かせて★★★

多田有花
少女らの連れ立ち片陰を帰る★★★
校庭に人なく炎暑の光のみ★★★

髪洗い海風の吹く部屋に出る
句意としては★4つですが、「出る」が必要か、どうか、です。(髙橋正子)
髪洗い海風心地よき部屋に★★★★(有花改作)

桑本栄太郎
羅もののはだけ朝に谷崎忌★★★
夕刻は吾の時間と油蝉★★★
街燈の明かり惜しむや夜の蝉★★★

7月29日(5名)

小口泰與
白ばらや大志あふるる少年よ★★★
暁紅の沼にぎわしや糸蜻蛉★★★
川蝉の枝移りたる暁の沼★★★

廣田洋一
片蔭に自転車留めて一休み★★★
サバンナの星空仰ぎ避暑旅行★★★★
道端の白き蕾や晩夏光★★★

桑本栄太郎
夏暁の赤子泣き居る団地かな★★★★
三伏のおこりのような日射しかな★★★
木々の枝の向こう青空秋近し★★★

多田有花
白き渦残し蚊取線香の朝★★★
日が昇るすでに盛んの今日の蝉★★★
人影の消え日盛りの公園に★★★

弓削和人
帽のつば熱風のたび研がれおり★★★
湖に浮んで夏の空ばかり★★★★
夏湖に浮かびて雲を抱きけり★★★

7月28日(5名)

小口泰與
ドア開くや忽と青鷺飛びにける★★★
釣糸のもつれの解けて沼の夏★★★
糸蜻蛉つんつん水輪つくりけり★★★★

廣田洋一
片蔭を辿りて入る喫茶店★★★
手をつなぎ片蔭を行く親子かな★★★★
友集ひ談論風発避暑の宿★★★

多田有花
遠雷の聞こえる夏の昼下がり★★★
アイマスクして存分に昼寝かな★★★
陸風にいつしか変わり夜の秋★★★

桑本栄太郎
止め処なき夢とうつつの熱帯夜★★★
鋪道灼け屋根の灼け居り炎暑かな★★★
炎熱と云えど雄々しき木々の青★★★

弓削和人
宵闇にラジオ響けり秋近し★★★★
運ばれる土砂は湖畔を去りゆけり★★★
土砂降りて静けになりぬ夕焼雲(原句)
土砂降りて静かになりぬ夕焼雲(正子添削)

7月27日(5名)

小口泰與
夕菅やテントのランプ次次と★★★★
綿菅や木道の空との曇★★★
夏菊や豪雨突然襲ひける★★★

多田有花
入道雲午後の北東の空に★★★
川鵜あり羽繕いに余念無し★★★
夏の朝流れし英雄ポロネーズ★★★

廣田洋一
池の端青蘆原の拡がりぬ★★★
メロン一つ二人で分ける日曜日★★★
日盛りや出かける予定遅らせて★★★

桑本栄太郎
三伏の極みなるべし日射しかな★★★
風死すや忽としじまの午後三時★★★
早風呂を取れば雷鳴来たりけり★★★★

弓削和人
夏座敷みるみる雲の湧きにけり★★★★
万緑に歩き始めの子猫かな★★★
ゆるゆると洗濯干せり柿若葉★★★

7月26日(4名)

小口泰與
あけぼのの青水無月の浅間山★★★★
たまゆらの顔見世の如翡翠よ★★★
夕顔や日はあわいに落ちにける★★★

廣田洋一
夏蝶や小さき翅の忙しなく★★★
水中花水を入れ替へ甦り★★★★
鳴る前に目覚ましを見る明易し★★★

多田有花
熊蝉の声湧きたちぬ朝かな★★★
半月の中天にあり夜の秋★★★★
中天にある半月を見上げ、その涼やかな景色、吹く風の感触に秋を感じた。連日の猛暑のなか、夜はそれでも秋めいているやすらぎがある。(髙橋正子)
夏の風心地よく受け拭掃除★★★

桑本栄太郎
甘露忌の白き木槿や鳥小屋に★★★★
落蝉の仰のけなりぬ震いたつ★★★
我が背ナのいやいやしたり扇風機★★★

7月25日(5名)

小口泰與
翡翠や右往左往の沼の魚★★★
仏法僧柾目正しき床柱★★★
たまさかのマンゴー食べし旱星★★★

弓削和人
蝉の殻異動を告げる受話器かな★★★
青空へ去りてや寄るる糸蜻蛉★★★
旅すなり水辺を去りぬ白き鷺★★★

廣田洋一
昼寝の人スマホの人や昼休み★★★
おしゃべりな友の黙りて冷奴★★★
冷奴独り夕餉の冷酒酌む★★★★

多田有花
グラジオラス支えを受けて真っ直ぐに★★★
緑陰に大型バイク停められて★★★★
コーヒー豆ゆっくり挽いて朝曇★★★

桑本栄太郎
大阪は天満祭の水都かな★★★★
じりじり入日を惜しみ油蝉★★★
西山の入日あかねや宵涼し★★★

7月24日(4名)

小口泰與
蜻蛉水輪残して飛び去りぬ★★★★
翡翠や沼より流る水の音★★★
牛蛙ドラムの響き高らかに★★★

廣田洋一
朝涼の公園巡り深呼吸★★★
油蝉とろとろと鳴く朝かな★★★
茄子一つ田楽にせる昼餉かな★★★

多田有花
ヨーグルト涼し梅ジャムを添えて★★★
書類整理涼しきうちに済ませけり★★★
驟雨やめばすぐに始まり蝉の声★★★

桑本栄太郎
河童忌の酒は黄桜酒造かな★★★
空蝉やもの言いたげに空見つめ★★★
人の子の我もコロナに秋を待つ★★★
 
7月23日(5名)

廣田洋一
ラジオ体操の掛声涼し朝の庭★★★
棟上げの祝詞涼しき木の香り★★★★
団扇風屋形船の景見せて★★★★

小口泰與
合歓咲くや野鳥の恋は一刹那★★★★
睡蓮の葉つぱを歩む野鳥かな★★★
牛蛙ぐわんと鳴きてそれつきり★★★

多田有花
夏の朝ラジオ体操123★★★
熱中症の注意放送夏の朝★★★
草刈機うなりをあげる大暑かな★★★

弓削和人
中年や鏡に汗のあばら骨★★★
水筒の踊る車両や部活女子★★★
夏の駅つけし額の炭酸水★★★

桑本栄太郎
あおぞらの窓の彼方や大暑の日★★★
落蝉の仰のけなりぬ入日かな★★★
西山の入日あかねや蝉の穴★★★

7月22日(4名)

廣田洋一
墓原の明るくなりぬ百日紅★★★
湘南の海きらめきて土用凪★★★★
少しの間手枕したる昼寝かな★★★

小口泰與
張出し枝に翡翠とまりけり★★★
毎日のネット句会や日日草★★★★
夏藤や榛名山を見あぐ二子山★★★

多田有花
梅雨明けや一番星の光りおり★★★★
すもも食ぶ夕餉のあとの楽しみに★★★
目覚めればいつしか蝉の声盛ん★★★

桑本栄太郎
今朝もまた目覚めに敗ける蝉しぐれ★★★
何となく秋の気配や朝涼し★★★
あおぞらの窓の彼方や雲の峰★★★★

7月21日(4名)

小口泰與
凌霄の咲きのぼりたる時計台★★★
翡翠の忽と高声や沼の径★★★
然の夕立や道は川とかし★★★

多田有花
母を見舞う涼しき施設の一室に★★★★
ランドセル楽し明日から夏休み★★★
風通しよき部屋の良し土用入★★★

桑本栄太郎
何となく夢の哀しき朝涼し★★★
螽斯早も鳴き初む夜涼し★★★★
<田舎の追憶より>
童顔の川面に寄せる夜振りかな★★★

弓削和人
喧騒をはなれる池や蓮浮き葉★★★
菜園の紺に鋏や茄子日和★★★
夏帽の黄映たるや園の路★★★

自由な投句箱/7月11~7月20日

※当季雑詠3句(夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
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「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。
主宰:高橋正子

今日の秀句/7月11日~7月20日

7月20日
※該当句無し

7月19日(1句)

★農道に日のいっぱいや花萱草/小口泰與
農道に夏の日が眩しいほどいっぱいに差し、橙色の萱草の花が日差しと競うかのように咲き誇っている。萱草の咲く農道が画家の描く画のように明るく力強い。(髙橋正子)


7月18日(1句)

★大の字の昼寝や風の通る部屋/桑本栄太郎
昭和の家族の風景を思い起こすような景色。思い切り身体を伸ばし、大の字になって寝ているのは、少年か。屈託なく、なんと頼もしい。(髙橋正子)

7月17日(1句)

★雲の峰遊覧船を運びけり/弓削和人
雲の峰が遊覧船を「運びけり」と、「雲の峰」を人とみなして、面白いとらえ方。雲の峰を背景に遊覧船が小さくなって航行する景色が思い浮かぶ。(髙橋正子)

7月16日(1句)

★ジェット機のいま飛び立ちぬ夏空へ/多田有花
滑走路からジェット機が飛び立つところ。飛び立ってゆくところは「夏の空」。夏空をどのようにイメージするかで句の印象が変わる。ジェット機が飛び立つ、夢と希望のあるスカッとしたショットだ。(髙橋正子)

7月15日(2句)

<忍野八海>
★泉あり空と立木を映しつつ/多田有花
忍野八海は富士山の裾野の、富士山の伏流水が湧き出た泉。泉に空と立木が映っている水景。「映しつつ」は、進行形で、泉が湧き続けている趣を伝えている。(髙橋正子)

★黒南風や孫ら来たりて恐竜展/桑本栄太郎
孫たちは老いの生活に少年の世界を持ち込んでくる。蒸し暑い盛り、風は吹くものの暑さなど気にせず恐竜展に一緒に出かける。俳句の句材が新しく、句が生き生き新鮮になる。(髙橋正子)

7月14日(1句)

★万緑と雲の間に河口湖/多田有花
富士山からの眺めか。富士五湖の一つの河口湖が、山々の万緑と雲の間から見える。小さな河口湖は富士吉田の登山口のあるところ。そこから登ってきたとの思いもあるか。(髙橋正子)
追記:有花さんから5合目からの眺めとコメントが入る。たしかに、「万緑」があるので、山頂からの眺めとは言えないだろうに。(髙橋正子)

7月13日(2句)

★風鈴の戯むる風や星の夜/小口泰與
星がたくさん出ている夜、風もよく吹いて、風鈴が風と戯れているように鳴る。風鈴と星とに癒される、いい夜だ。(髙橋正子)

★祇園会の準備すすみぬ四条かな/桑本栄太郎
祇園会については、京都にお住いの作者に説明してもらうのが一番だが、鑑賞の立場から感想を。七月の京都は祇園祭一色に染まる。中でも祇園四条は賑やかなところ。四条を通れば、祇園会の準備が着々と進んでいる様子をわくわくした思いで見ることができる。それを気取らずに詠んだ。(髙橋正子)

7月12日(1句)

★夏の雲次々消えて富士稜線/多田有花
水煙時代に「富士山頂俳句リーディングをしたが、このときは、私も有花さんに先導されて富士山に登った。そのときの印象が蘇った。富士山にはどこかに雲がかかっている。雲が消えて稜線があきらか見えると、富士山に登るうれしさが湧いてくる。(髙橋正子)
追記:俳句四季8月号の花冠創刊40周年記念の記事に、富士山頂で有花さん、岩本康子さん、私正子の3人が映った写真が載ります。編集者が選んでくれました。(髙橋正子)

7月11日(1句)

★土佐の夏アイスクリンに溺れけり/廣田洋一
土佐の夏は「南国土佐」と歌われただけに、暑い。昔なつかしい「アイスクリン」を溺れるほど食べた。「溺れる」とおかしいほど大げさなのが、この暑さと旅の開放感の中で愉快。(髙橋正子)

7月11日~7月20日

7月20日(5名)

小口泰與
駒草や尾根渉る風清清し★★★
サルビアや飛び込み台の小学生★★★
睡蓮の葉にすいと來し野鳥かな★★★

廣田洋一
琥珀色とろりと古き梅酒酌む★★★
朝日燦々風は変わらず土用入★★★
土用入熱きコーヒー啜りけり★★★

多田有花
干し物をくるくる回し夏の風★★★
夏の日や大学病院へ向かう★★★
トンネルを出れば白雨に出会いけり★★★

桑本栄太郎
涼風の入りて目覚むる窓辺かな★★★
身をすくめ何かを探す朝涼し★★★
じゅわじゅわと朝の序曲や蝉の声★★★

弓削和人
万緑に一路一門版画展★★★
夏帽を浮かべる夏の風一陣★★★
ハンカチの水含みたり丘の空★★★

7月19日(3名)

小口泰與
山径に鳥声かすか独活の花★★★
えぞにうの名も無き沼に咲きにけり★★★
農道に日のいっぱいや花萱草★★★★

桑本栄太郎
目覚むれば早もうねりや蝉しぐれ★★★
落蝉の白き腹見せ仰のけに★★★
忽然と風のざわめき宵涼し★★★

弓削和人
炎天に広重ありぬ戸塚宿★★★
水撒きの店や朝より客を入れ★★★
炎天下ただただ直く人の列★★★

7月18日(4名)
小口泰與
合歓咲くや浮子ぴくぴくと山の沼★★★
山の沼日傘差したるカメラマン★★★
翡翠や沼耐えがたく暗くなり★★★

多田有花
離着陸する機見守り夏の日に★★★
吹き抜ける風よ梅雨明けもまぢか★★★
山門をくぐりて蓮に迎えられ★★★★

廣田洋一
仙人掌の花艶やかに棘白し★★★
十三時目覚ましかけて昼寝かな★★★
昼寝覚時の経つのは早きかな★★★

桑本栄太郎
祇園祭孫ら来る好し帰る良し★★★
大の字の昼寝や風の通る部屋★★★★
炎暑来る音の消え居り午後三時★★★

7月17日(5名)

小口泰與
鯉跳ねて奮い立ちたる夏の沼★★★
河骨や浮子動かざる山の沼★★★
亀の子を釣り上げたるや女の子★★★

廣田洋一
仙人掌の一球一花捧げをり★★★
海の日や豪雨の被害広がりぬ★★★
鮪づくしの鮨に合ひたる吟醸酒★★★

多田有花
<羽田空港三句>
夏の海の彼方に霞むスカイツリー★★★
キャラクターつけし飛行機梅雨晴に★★★
白南風を受けて飛び立ち航空機★★★

桑本栄太郎
<祇園祭山鉾巡行>
祇園会のくじ改めの背筋かな★★★
刀一閃結界ひらく稚児の顔★★★
巡行の祇園囃やコンチキチン★★★

弓削和人
ふやけたる手紙に筆や梅雨に入る★★★
アラームを入れ忘れたる熱帯夜★★★
雲の峰遊覧船を運びけり★★★★

7月16日(5名)

廣田洋一
棚一杯花仙人掌の花屋かな★★★
初蝉や人影の無き公園に★★★
パリ祭やシャンソン歌手の老ひたるを★★★

多田有花
<羽田空港三句>
梅雨晴の影濃く落とし航空機★★★
七月の翼が並ぶ滑走路★★★
ジェット機のいま飛び立ちぬ夏空へ★★★★

小口泰與
糸蜻蛉草の穂先に漂いし★★★
糸蜻蛉鯉は大きな口を開け★★★
水面の水輪三つや糸蜻蛉★★★

桑本栄太郎
<河原町四条通り界隈>
南座の大屋根灼ける青き空★★★
せせらぎ緑蔭なりぬ高瀬川(原句)
せせらぎは緑蔭なりぬ高瀬川(正子添削)
宵山の四条通りやコンチキチン★★★

弓削和人
鬼百合の橙雨に打たれけり★★★
蚊の声や寝起きを急ぐ朝まだき★★★
ある雨のそうびの二三残りけり★★★

7月15日(5名)

廣田洋一
裏窓の明るくなりて西日かな★★★★
大西日沈む地の果てアルジェリア★★★
仙人掌の花赤々と窓辺かな★★★

小口泰與
花合歓や沼を賑わす鳥の声★★★★
鳴きかわす沼の左右の牛蛙★★★
河骨やゆったり泳ぐ鯉の口★★★

多田有花
<忍野八海三句>
泉あり空と立木を映しつつ★★★★
いずこまで続く泉の底を見る★★★
泉囲みあまたの言葉飛び交いぬ★★★★

桑本栄太郎
黒南風や孫ら来たりて恐竜展★★★★
二棹の濯ぎもの干す梅雨晴間★★★
入日さす祇園祭の宵山へ★★★★

弓削和人
豪雨もて秋田を呑むる夏場かな★★★
梅干しのひとつ多めや炎天下★★★★
氷片の一片はじく夏料理★★★
※秋田の大雨、お住いのところは大丈夫でしょうか。(髙橋正子)
 
7月14日(5名)

小口泰與
香煙の犬を襲いし夏の暁(原句)
「襲いし」のあとに切れを入れると、イメージがしっかりしてきます。(髙橋正子)
香煙の犬を襲いぬ夏の暁(正子添削)

百舌鳥高音味噌汁の蓋高鳴りし★★★
翡翠や声を掛け合うカメラマン★★★

廣田洋一
沈みゆく西日を見つつ露天風呂★★★
ロマン香る歌の流れて巴里祭★★★
今日も見る着物の婦人名古屋場所★★★

多田有花
五合目より夏空戴く富士山頂★★★
梅雨晴間小御嶽神社に詣でけり★★★
万緑と雲の間に河口湖★★★★

桑本栄太郎
高校の朝の正門白木槿★★★
交差点の赤き尾灯や梅雨ぐもり★★★
植込みの刈込中や草いきれ★★★

弓削和人
暗雲の低く垂れたり花はちす★★★
短夜や潮鳴りやまぬ松の湖★★★
荒梅雨の庇に鳴きぬ子猫かな★★★

7月13日(5名)

小口泰與
外に出づや咲きほこりたる薔薇百本★★★
風鈴の戯むる風や星の夜★★★★
平らかな沼へ翡翠一直線★★★

廣田洋一
西日受け赤くきらめくビルの窓★★★
仙人掌の花を飾りて美容院★★★
公園に取残されし夏帽子★★★

多田有花
夏富士の五合目焼きたてめろんぱん★★★
富士五湖へ流れゆくかな夏の雲★★★★
夏料理富士の高嶺を望みつつ★★★

桑本栄太郎
薙刀の鉾立て進む大丸前★★★
祇園会の準備すすみぬ四条かな★★★★
今日もまた夕立来たる午後の五時★★★

弓削和人
垂れ下がる蛇の目玉や草の叢★★★
向き合うは展望台に夏嶺かな★★★
湖凪ぎて真帆のひとつや避暑便り★★★★

7月12日(4名)

小口泰與
忽然と谷蟇なくや時停止★★★
餌台の餌のたのもし夏雀★★★
翡翠や沼の魚を賜われり★★★

弓削和人
白蝶の降り昇りたる小雨かな★★★
夕立雲風のぬるみに立ち止まり★★★
青梅雨や野路のぬかるみ軽く避け★★★

桑本栄太郎
目覚むれば忽ち蝉の時雨かな★★★
リハビリを終えて家路の溽暑かな★★★
夕立去り忽ち風の夕涼し★★★

多田有花
<山梨県立富士山世界遺産センター三句>
和紙製の巨大な富士や梅雨晴間★★★
夏の富士バックに記念撮影す★★★
夏の雲次々消えて富士稜線★★★★

7月11日(3名)

 小口泰與
翡翠のぐいと飲み込む魚かな★★★
青鷺やドアの開きに翔けにける★★★
絵簾をくぐり女将の現れし★★★

廣田洋一
一斉に日傘開きて吟行会★★★
この頃は男もさせり黒日傘★★★
土佐の夏アイスクリンに溺れけり★★★★

桑本栄太郎
初蝉のわしやわしやと自己主張★★★
一陣の夕立ち風や午後の四時★★★
西山の入日あかねや蝉の声★★★

自由な投句箱/7月1日~7月10日

※当季雑詠3句(夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。
主宰:高橋正子

今日の秀句/7月1日~7月10日

7月10日(1句)

★那智の滝注連縄揺らし落ちにけり/廣田洋一
滝は夏の季語。滝の冷気は特別である。那智の滝は、滝自体がご神体なので、その前に注連縄が張られている。落差133mの滝が落ちると、水飛沫や冷気の動きで風が起こる。(髙橋正子)

7月9日(1句)

★孫ら来る祇園祭のあといくつ/桑本栄太郎
遠く離れて住む孫が祇園祭にやってくる。あといくつ寝たら会えるのか、と素直な気持ちが詠まれているのがいい。孫たちも京都行を楽しみにしていることだろう。(髙橋正子)

7月8日(1句)

★冷麦の赤を取り合ひ昭和の日/廣田洋一
白い冷麦に赤や緑、黄色の色がついたのが、少し交じっていて、昭和の子供は色のついたのを当たりくじのように欲しがった。やっぱり赤が人気だったか。大勢で暮らした昭和が懐かしく思い出される。(髙橋正子)

7月7日(1句)

★青空へ紐を結びぬ竹簾/川名ますみ
竹簾を吊るすときに、実際は、窓枠の出っ張りなどに紐を結んで吊るすが、青空を見ながら吊るすと、「青空へ」紐を結んでいるかのように見える。夏の青空と簾が絵のように思える。(髙橋正子)

7月6日(1句)

★のっぱらやさやかに揺らぐ花菖蒲/弓削和人
「のっぱら」に切字「や」がついて、アンバランスな感じがしないでもないが、野原に花菖蒲が揺れているのが、目にさやかに映る。これは、箱根の仙石原にあるようなノハナショウブなのか。(髙橋正子)
7月5日(1句)

★あき缶の口に滲み入る岩清水/弓削和人
飲み干したあき缶に、岩清水を入れて飲もうというのだ。あき缶の小さい飲み口から滲みいる清水のつめたさは感激もの。岩清水のあたりの涼気が想像できる。(髙橋正子)
7月4日(1句)

★あおぞらの視界ぐるりと梅雨の晴れ/桑本栄太郎
ぐるりと見まわす視界のかぎり、青空が広がる。梅雨の晴れ間の力強く、涼し気な空の青。元気がでる。(髙橋正子)

7月3日(1句)

★終電の駅に降り立ち夏の星/廣田洋一
「夏の星」は、すずしそうな輝きが特徴である。終電まで乗り、疲れ気味に駅に降り立つと、空には涼しそうな星が輝いている。涼しそうな星の美しさに心が洗われる思いだ。(髙橋正子)
7月2日(1句)

★雨に似て水輪のひとつ糸蜻蛉/弓削和人
糸蜻蛉はあまりに姿がかすかなので、水面に生まれている水輪は、小さい雨の作る水輪と思ったが、よく見ると雨ではなく糸蜻蛉がいて出来た水輪だったということ。率直な見方に詩情がある。(髙橋正子)
7月1日(3句)

★一時の風の中なる油蝉/小口泰與
いかにも暑そうに鳴く「油蝉」と「風」の取り合わせがよく、一服の清涼剤のような風が吹き抜け、心まで涼しくなる句。(髙橋正子)

★丹沢の雲の晴れたり梅雨夕焼/廣田洋一

丹沢の山々にかかる雲が晴れて夕焼けが広がる。晴れ晴れとした梅雨夕焼に、新しい世界が目の前に広がるようだ。(髙橋正子)

★七月や早やも祇園を想う朝/桑本栄太郎
葵祭から祇園祭へと京都の夏は祭で賑わう。七月になれば、コンチキチが耳に聞こえ、やきらびやかな鉾や山車の姿が目に浮かぶということだろう。「祇園を想う」に祇園の街の華やぎや祭を心待ちにする京都人の思いをみる(髙橋正子)

7月1日~7月10日

7月10日(4名)
小口泰與
満緑や雲ひとはけの妙義山★★★
猫車芋いっぱいや夏の朝(原句)
涼しそうな句ですね。この句の主題は「芋」で「芋」の季語は秋で、「夏の朝」とは季重なりです。(髙橋正子)
日を返す咫尺の沼や時鳥★★★
廣田洋一
那智の滝注連縄揺らし落ちにけり★★★★
旅人の滝の行者と変身す★★★
冷麦をすいすい啜る真昼かな★★★
桑本栄太郎
初蝉の鳴き初めすぐに止みにけり★★★
舞い来ては躊躇い居りぬ揚羽かな★★★
坂道の石垣つづき苔茂る★★★
弓削和人
濃紫雨後に栄えたる鉄線花★★★
夏がすみ展望台の湖畔かな★★★
蜻蛉生まる野芥子に六肢つかまれリ★★★
7月9日(3名)
小口泰與
突然の雨や忽と雹となり ★★★
噴煙の棚引く先や二重虹★★★
郭公や丈夫の妻の頼もしく★★★★
廣田洋一
草取るや庭の黒土甦る★★★
鍔広の帽子かぶりて草を取る★★★
堰落ちる川に虹立つ朝かな★★★★
桑本栄太郎
雨上がり溽暑となりぬ河原町★★★
くちなしの花の朽ち来てなほ匂う★★★
孫ら来る祇園祭のあといくつ★★★★
7月8日(3名)
小口泰與
雷鳴や家ぬちの音絶ちにける★★★
草草や沼の谷蟇日を受けて★★★
翡翠の一亥だにも来ぬ小沼★★★
廣田洋一
冷麦の赤を取り合ひ昭和の日★★★★
なだらかな坂を下りて沙羅の花★★★
焼酎で乾杯したる夕べかな★★★
桑本栄太郎
涼風の吹き抜けるいたる雨の午後★★★
黒蟻の慌て走りぬ雨催い★★★
ひと仕事ごとに水飲む溽暑かな★★★
7月7日(5名)
小口泰與
上州の山の蒼さや鮎遡上★★★
あけぼのの只中の声翡翠よ★★★
忽然と蝦蟇の合唱沼の朝★★★
桑本栄太郎
日盛りやホースの水に鴉どち★★★★
くちなしの花の朽ちたる垣根かな★★★
星合の夕となれども雨催い★★★
廣田洋一
揚羽蝶晴れたる空を低く飛び★★★★
七夕や子らの健康願ひたり★★★
駅出でて短冊飾る七夕かな★★★
川名ますみ
①青空へ紐を結びぬ/竹簾★★★★
「竹簾を掛けようとして紐を結ぶときに、青空に簾を掛けるかのように高いところに紐を結んだ。」という行為の楽しさが詠まれている。
②青空へ紐を結びし竹簾
「高い青空に紐を結んだ竹簾」ですよ。竹簾が主題。
①と②とどちらが面白いですか。技術的にはどちらも同じようですが、読んで①と②とどちらが面白い、楽しそう、ですか。(髙橋正子)
窓拭けば遠き万緑迫りくる★★★★
受診日や寝間着にレース羽織り出づ★★★
青空へ紐を結びし竹簾
弓削和人
湖や街灯うるむ夕すずみ★★★
風青し無人のままのコンバイン★★★
石仏の背をおおいたる雲の峰(原句)
「おおう」は適切でしょうか。(髙橋正子)
石仏の背より湧きたる雲の峰(正子添削)
7月6日(3名)
廣田洋一
千切りの野菜を添へて冷し麦★★★
冷麦に一本の赤妻は亡く★★★
梅雨晴間草花香る楸邨忌★★★
桑本栄太郎
梅雨晴れや草の匂いと土匂う★★★
硝子戸の向こうに舞いぬ揚羽蝶(原句)
硝子戸の向こうを舞いぬ揚羽蝶(正子添削)
みどり為す龍田川とや夏の川★★★
弓削和人
遊泳のしきりのさきや黄泉の湖★★★
一息と床をしとねに午睡かな★★★
のっぱらやさやかに揺らぐ花菖蒲★★★★
7月5日(4名)
小口泰與
日を受けし翡翠沼の指呼に居り★★★
裂帛の鴉の鋭声夏木立★★★
沼の樹や翡翠の声聞こえきし★★★
廣田洋一
ビーチパラソル砂浜埋める家族連れ★★★
汗流れ拭ひもせずに鉾廻し★★★
ナイターや終わらぬうちに帰宅せり★★★
桑本栄太郎
午後よりの雨模様なる梅雨深し★★★
昨日とは嘘のようなり梅雨寒し★★★
荒梅雨や樋より垂るる音激し★★★
弓削和人
あき缶の口に滲み入る岩清水★★★★
桑の実の紅口つけてなつかしや★★★
遊覧船さゆらぐ旗の夏の湖★★★
7月4日(5名)
小口泰與
ご先祖へ朝の誦経や明易し★★★★
夕涼や祖母の手ずれの黄八丈★★★
翡翠の魚を獲りしやたまさかに★★★
多田有花
飛ぶために生まれし吾ぞ夏燕★★★
とうきびの花の仲良く背くらべ★★★
蓮咲けばそこに極楽浄土あり★★★
廣田洋一
鱧見つけ直ぐ注文の小料理屋★★★
山裾に枝を広げし合歓の花★★★
親水公園出水後しばし閉ざされぬ★★★
桑本栄太郎
朝なれば花びら赤く月見草★★★
あおぞらの視界ぐるりと梅雨の晴れ★★★★
耳奥の音の微かや初蝉に★★★
弓削和人
海開く埃を払う着替え小屋★★★
白き花アヤメの筋に黄ちらり★★★
垣の苔滴るたびにてかりけり★★★
7月3日(5名)

小口泰與
電線をつつと駆ける夏雀★★★
日盛や沼は黄金の面を持ち★★★
日を受けし翡翠沼の指呼にあり★★★

廣田洋一
夕焼けの残れる空に一番星★★★
終電の駅に降り立ち夏の星★★★★
松葉菊なだれ咲きたる門の前★★★

桑本栄太郎
バンザイの小枝両手に今年竹★★★
若竹の節の白さよ天を衝く(原句)
原句では、「天を衝く」の主語が「若竹の節の白さ」となっています。(髙橋正子)
天と衝く若竹節の真白さよ(正子添削)

山裾の鉄砲百合や山の畑★★★

多田有花
ほととぎす遠く近くに繰り返し★★★★
ひまわりやすっと背筋を伸ばし見る★★★
造成地に公園新し夏の朝★★★

弓削和人
キブシより小さき木漏れ日梅雨曇★★★
県民の森を標すは紫蘭かな★★★
朽ち果つる橋の新緑なりにけり ★★★
7月2日(5名)
小口泰與
確かなる山女の影や峡の子等(原句)
俳句の形式としては問題ないですが、「山女の影」と「峡の子等」の関係がわからないのが問題です。意味が通じることがまず大事です。(髙橋正子)
確かなる山女の影に峡の子等(正子添削)

羅を無造作に着て確かなり★★★
時鳥田は蒼蒼と風を呑む★★★

廣田洋一
海紫陽花水辺の岩間に咲きにけり★★★
群をなし透き通りをり海月かな★★★★
黒潮に乗りて来たれる海月かな★★★

桑本栄太郎
藻の花やせせらぎ浅き高瀬川★★★
街角に祇園囃しの四条かな★★★★
日盛や外つ人ならぶラーメン店★★★

多田有花
雨上がりの靄の晴れゆく半夏生★★★★
七月や韓国料理を食ぶ夕べ★★★
夏の夕ぴりりと辛きキムチかな★★★

弓削和人
やわらかき羽出し発ちぬ天道虫★★★

雨に似せ水輪のひとつ糸蜻蛉(原句)
「似せ」と糸蜻蛉に主体をもたせるより、情景の写生の方が、イメージがはっきりし、句に品も生まれると思います。(髙橋正子)

雨に似て水輪のひとつ糸蜻蛉(正子添削)

青すすき揺れぬばかりの風吹きぬ★★★
7月1日(5名)

小口泰與
一時の風の中なる油蝉★★★★
会議終う麻の背広の皴の数★★★★
逞しき利根の流れや鮎育つ★★★

廣田洋一
七月や雨音高く始まりぬ★★★
七変化待ちたる雨を吸込みぬ★★★
丹沢の雲の晴れたり梅雨夕焼★★★★

多田有花
ねずみもちの花やまわりの田は失せて★★★
百合の香の庭の外まであふれ出す★★★
のうぜん花焼き板壁の家の前★★★

桑本栄太郎
いつまでも夢のつづきや夜立来る★★★
七月や早やも祇園を想う朝★★★★
降り止みて又も降りだす梅雨荒るる★★★

弓削和人
梅雨寒や熱き珈琲求めたり(原句)
「求めたり」とした下五は大事です。コーヒーを飲んだ時の感じが伝わるとよいと思います。(髙橋正子)
梅雨寒や熱き珈琲胃に落とす(正子添削例)

水切ってはや食膳の冷奴★★★★
香水をのこす車両や人の去り(原句)
「香水をのこす」では、香水瓶を残す意味になりかねません。正しくは「香水の香(り)」です。(髙橋正子)
香水の香りのこるや車両無人(正子添削例)