1月31日(3名)
多田有花
<明石市・浜の散歩道三句>
陽光のきらめく渚鴨集う★★★★
日向ぼこするごと小船の引き上げられ★★★
春近き大橋の袂でウインドサーフィン★★★
廣田洋一
寒卵茹でてチーズに代へにけり★★★
道草の丈伸び来たり春隣★★★
ローラースケートの初すべり春隣★★★
桑本栄太郎
一月の果てて又もや雪催ひ★★★★
風花や赤き実乾ぶ遊歩★★★道
四温とはいまだ為らざる日差しかな★★★
1月30日(5名)
小口泰與
曙の澄める野川の氷柱かな★★★★
春近き利根の川面や夕日蹴る★★★
行く冬や解き放たれる髪膚にて★★★
廣田洋一
久闊を叙するメールや初三十日★★★
縦に割り白き身さらす白菜かな★★★
葉牡丹や朝日に向かひ傾ぎをり★★★
多田有花
<明石市・浜の散歩道二句>
春近き子午線の町を歩きけり★★★★
春隣る海まで坂道を降りる★★★
<明石市・来迎寺十一面観音像>
面変わり観音拝観寒の内★★★
桑本栄太郎
陽の力日々に戻りて日脚伸ぶ★★★★
寒晴れの日差し明るき窓の空★★★
残雪の遠嶺明るき日差しかな★★★
弓削和人
雪原や悲しいまでに澄みきりて★★★
寝て起きぬひかりて根づく雪の原★★★★
朝の日を氷柱や垂れて待ちわびぬ★★★
「待ちわびる」の「わびる」に感情が入りすぎているのではないでしょうか。(髙橋正子)
1月29日(3名)
多田有花
寒暁の静けさのなかに座りおり★★★
静かさは土曜の朝の積雪か★★★
午後の陽のすでに明るし春隣★★★
小口泰與
老躯いま鳥にかしずき四温かな★★★
隼や羽音激しき雀達★★★
鈴なりの雀の数や枯枝垂れ★★★
桑本栄太郎
凍雪の車閉じ込め出でられず★★★
寒禽の雪を零して飛翔かな★★★★
網に入れ種の干軒端に草城忌★★★
1月28日(4名)
廣田洋一
地元産野菜特売春隣★★★
湘南に雪の予報や春近し(原句)
「湘南に雪の予報や」と「春近し」の関係が気になります。(髙橋正子)
湘南に雪の予報も春近し★★★★(正子添削)
ぜんざいの餅は一つと決まりをり★★★
多田有花
昇り来る朝日を待ちぬ雪の嶺★★★★
雪の枝へ群れ集いたる雀かな★★★★
朝の雪雨に変わりて昼となる★★★
小口泰與
しかずかに一羽の鴨の群離れ★★★
隼や庭木の雀騒ぎたつ★★★
探梅や坂東太郎滔滔と★★★★
桑本栄太郎
凍晴れやはるかに望む雪の嶺★★★
凍雪のがりがり踏みて子等の声(原句)
凍雪をがりがり踏みて子等の声★★★(正子添削)
ふるさとの村の孤立や豪雪に★★★★
1月27日(4名)
小口泰與
夕映えの褪めてしまうや池の鴛★★★
鴨の中一羽悠然かいつぶり★★★★
綿入やさやにはにかむ吾子二人★★★
廣田洋一
風止みて三日月冴ゆる西の空★★★
参道に龍の玉あり南無阿弥陀★★★★
柊挿していつも通りの鮨屋かな★★★
多田有花
風おさまる夕刻雪の降り出しぬ★★★
積雪に備えワイパーを上げる★★★
冬帝に列島頭を低くする★★★
桑本栄太郎
凍窓や起きてすぐ拭く日のつづく★★★
窓を開け又もしきりに今朝の雪(原句)
窓開ければ又もしきりに今朝の雪★★★★(正子添削)
凍空や早やも日暮れのあかね雲★★★
1月26日(5名)
小口泰與
手のひらへふはりと野鳥枯木立★★★
山風の溶かす大地や日脚伸ぶ★★★
さ迷える人の数多や虎落笛★★★
多田有花
寒波来る外の蛇口にタオル巻く★★★
雲低く寒風しだいに強まりぬ★★★
冬将軍総攻撃の今宵かな★★★
廣田洋一
ふくら雀鉢に休みて動かざる★★★★
日の当たる道を塞ぎしふくら雀★★★
悴みて三日月照らす西の空★★★
桑本栄太郎
何もかもリセットするかに雪景色★★★
ガリガリと車発車や凍つる朝★★★
日脚伸ぶ吾が半生に瑕瑾なし★★★
弓削和人
マフラーをきつく締めるや戸の施錠★★★
日向ぼこバスを待ち待ち頬ゆるみ★★★
寒風や荷物を手繰る指かたし★★★
1月25日(4名)
小口泰與
さびさびの利根の河原や冬の鷺★★★
様様な波の形や枯葎★★★
笹鳴や襖閉めたる四畳半★★★★
廣田洋一
探梅や天神様に祈願せり★★★
探梅や良い匂いねと声上がり★★★
川べりの草々揺れて冬田かな★★★
桑本栄太郎
雪しまく雄叫び激し夜もすがら★★★
風雪や禍根残らぬ吾が半生★★★
露凝るや窓拭く時の開けやらず★★★
弓削和人
風花の舞いて大きく車窓を過ぐ★★★
冬木立学生時分の吾の影★★★
寒波あり天のいずこやはからうか★★★
1月24日(5名)
小口泰與
寒梅や風に逆らう二羽の鳶★★★
鷹舞うや蒸気機関車喘ぎける★★★
水鳥や咳く我に鋭声吐く★★★
多田有花
干し物に残る湿りや冬深し★★★
強霜のなかにいきいき大根葉★★★★
強霜にもめげず、大根葉が緑濃い葉をいきいきと広げているのを見ると、
人間も励まされ、元気がでる。寒ければ寒いほど、元気に葉を広げている大根が際立つ。(髙橋正子)
雨の朝軒下で鳴き寒雀★★★
廣田洋一
残り物寄せ鍋にして一人分★★★
寄せ鍋や婦人が采配振るひたり★★★
庭の隅彩り付けて実千両★★★★
桑本栄太郎
寒波来る顔をしかめつ歯の治療★★★
麦の芽のあごひげかとも葦平忌★★★
雪しまく京の夜とはなりにけり★★★★
盆地である京都は街まで雪が深く積もることは珍しいと報道されていた。この度の寒波でみやびな京の夜も雪がしまき、白一色の世界となっている。(髙橋正子)
弓削和人
寒波いま信号待ちにすれ違い★★★
底冷えや蛇口は一切閉じにけり★★★★
都心ビル闇に響ける虎落笛★★★
1月23日(5名)
小口泰與
赤城よりこれぞこの風空っ風★★★
さなぎだに山湖淋しき鴛鴦一羽★★★
流れ行く水を触りて春を待つ★★★★
流れ行く水を見れば、触りたくなるのは待春の心。決して凍っていない、そうそうと流れる水は、幾分かでも温みはじめたであろうか。「流れ行く水」がいい。(髙橋正子)
廣田洋一
窓際の鉢にやりたる寒の水★★★
寒の水五臓六腑の目覚めけり★★★★
起き抜けの腰痛止めんと寒灸★★★
多田有花
寒暁の空に残りし飛行機雲★★★
春を待ち作る真昼のカレーかな★★★★
午後の陽の陰りて雪の予報かな★★★
桑本栄太郎
陽光の日差し明るく寒の雨★★★
雨降れば体操したる寒波かな★★★
<故郷の日本海を追憶>
海鳴りのふるさと想う寒怒涛★★★
弓削和人
遊ぶ子ら帰る夕べの雪の跡★★★
家の中そぞろ歩きて深雪かな★★★
天高く地を推す雪や夜の杜★★★
1月22日(4名)
小口泰與
上州の風の定かな冬の利根★★★
着水の鴨たちまちに首伸ばし★★★
枯枝にさと向きを変う野鳥かな★★★
多田有花
投げられしバトン追いけり冬の犬★★★
春まぢか知らせるものは日差しなり★★★
ヒレ肉の色鮮やかに日脚伸ぶ★★★
廣田洋一
茶の花や小川の流れゆったりと★★★
茶の花の垣を成したり池の端★★★
大寒の水ひたひたと法の池★★★
桑本栄太郎
教会の讃美歌零れ寒の晴れ★★★
寒禽の翔ぶと云うより跳びにけり★★★★
鳥も寒いと体が縮こまって硬くなるのか、「飛翔」とは言い難い飛び様。チョンチョンと跳んでいるような姿を見せてくれる。寒さにふくらんだ鳥の姿が思い浮かぶ。(髙橋正子)
陽光のマルチ煌めく寒日和★★★
1月21日(5名)
小口泰與★★★
近寄るや沼へ翔け行く鴨の群★★★
笛の音に冬霧立つや山の城★★★
赤城よりこの風定か虎落笛★★★
廣田洋一
訃報告げる友の留守電冴えにけり★★★
ライブ果つ不忍池の冴ゆる中★★★
道端に喇叭並べる水仙花★★★
友田 修
大寒の朝穏やかに晴れわたる★★★
大寒にひかり輝く屋根瓦★★★★
雑煮餅これが最後ね妻が言う★★★
多田有花
車出すリアウインドウ凍てしまま★★★
地は白く凍てて朝日を焦がれおり★★★
寒鴉鳴く声夜明けを告げており★★★
桑本栄太郎
才媛の疎まれやすく久女の忌★★★
陽光の光りきらめき風花す★★★★
風花は遠くの嶺などに降った雪が風で運ばれてちらちら降る雪。大寒には、はや日の光は明るく強さを増してくる。日の光は、なりよりも季節の推移を報せてくれる。明るさの中に舞う風花が美しい。(髙橋正子)
ビニールのハウス煌めき春近し★★★