自由な投句箱/1月21日~31日


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※投句は、一日1回3句に限ります。
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今日の秀句/1月21日~31日


1月31日(1句)

★剪定の目印ありぬ冬木立/桑本栄太郎
剪定する木に、赤とか緑、青、あるいは黄色といったテープなどで、目印がつけてある。冬木立なので、色が目立ち浮き立つ。剪定を待つ木々に春がそこまで来ている。俳句らしい目のづけどころがいい。(高橋正子)

1月30日(2句)

★咲き誇る梅の合間に青き空/廣田洋一
今、ちょうど、梅の花が咲き誇っている。先日まで2、3分咲きだったのが、真っ白に咲いている。その間から覗く青空もきれいでいいものだ。(高橋正子)

★短身の我が影長く日脚伸ぶ/桑本栄太郎
明るい日差しに映る自分の全身の影。長身でなかなかのスタイルではないか、と思うような影ができる。明るい日差しに、こんな影を見ると、若者でなくても、自己肯定感が増すというものだろう。(高橋正子)

1月29日(1句)

★春近しペンキ新たなボートかな/小口泰與
ボートのペンキが塗り替えられて、ボート遊びの季節に備えられている。塗り替えられたペンキが日に明るく、春の近さが思われる。(高橋正子)

1月28日(1句)

★温室の窓開けらるる春隣り/桑本栄太郎
温室は、室温が高くなりすぎると、蒸れて植物にいろいろ障害が現れる。窓を開けて空気を入れる必要があって、光が十分に差す暖かい日には、温室の窓が開けられる。それを見ると春はすぐ隣なのだ。(高橋正子)

1月27日(1句)

★寒禽に花びら揺るる小枝かな/桑本栄太郎
寒禽が止まる小枝に花が咲き、寒禽の重さや動きで花びらがゆれる。この寒さの中にもかわいらしい光景がある。(高橋正子)

1月26日(1句)

★日脚伸ぶ浅間の空のより深き/小口泰與
日脚が伸びると、浅間の空は、青さがより深くなる。空が輝くよりも深くなるのは、山国のためであろうか。(高橋正子)

1月25日(2句)

★寒林の彼方にありぬ入日かな/桑本栄太郎
寒林の彼方に日が沈む。寒林の枝々が入日を透かし、寒林が光を発しているようにも見える。暖かく心にしみる入日だ。(高橋正子)

★きらきらと池の面光る春隣/多田有花
池の面のさざ波がきらきら光る景色は、風の冷たさをよそに、春がそこまで来ている感じを持たせてくれる。(高橋正子)

1月24日(2句)

残りたる木の実の落ちて冬深し/廣田洋一
木の実がほとんど落ちてしまっているが、念を押すかのように残っている木の実が落ちた。冬の深まりを知る。(高橋正子)

★窓越しの空は明るく冬夕焼け/上島祥子
俳句の内容にふさわしい伸びやかで、素直な句。窓越しに空を見ると冬夕焼が広がっている。希望がすむような冬夕焼がいい。(高橋正子)

1月23日(1句)

★かまくらや一灯ともし完成す/廣田洋一
雪国の小正月の伝統行事として、今では、観光にもなっているかまくらであるが、雪洞のなかに、祭壇を作り水神が祭られ、灯をともして、また、子供たちが餅を焼いて食べたりする。「一灯ともし完成す」で、建築家のブルーの・タウトが「夢の国」とまで言った、幻想的な光景が見られることになる。(高橋正子)

1月22日(1句)

★隼の風割る響き青空に/小口泰與
隼が風を割る(切る)音を実際聞いたことないが、隼が獲物を狙い急降下するとき、時速300キロメートルで急降下するとのことだが、そのとき風を割る音だろう。その鋭い音が冬の青空に響く。隼の精悍さを思う。(高橋正子)

1月21日(1句)

★木蓮のいよよ色めく冬芽かな/桑本栄太郎
木蓮の冬芽も、日脚が伸びてくると、少し膨らみ、つやつやとしてくる。「いよよ色めく」と思われる。春とおからじである。(高橋正子)

1月21日~31日


1月31日(4名)

廣田洋一
大寒に目出度き舞の中華街★★★★
茜色はね返すごと冬三日月★★★
三日月の光柔らか冬ぬくし★★★

小口泰與
あおあおと浅間の空や冬の草★★★
夕照の沼の空より大白鳥★★★★
枯葦や利根の白波奮い起つ★★★

桑本栄太郎
剪定の目印ありぬ冬木立★★★★
剪定する木に、赤とか緑、青、あるいは黄色といったテープなどで、目印がつけてある。冬木立なので、色が目立ち浮き立つ。剪定を待つ木々に春がそこまで来ている。俳句らしい目のづけどころがいい。(高橋正子)

青空に毬吊り下げる冬木かな★★★
今頃となりて夕べの寒波来る★★★

多田有花
春隣る朝の光が木々に差し★★★★
明るさを増す光浴び寒鴉★★★
寒晴や捨てる荷物は山ほどある★★★

1月30日(3名)

小口泰與
弔問の帰りの星や枯木立★★★★
水源の森の鳥語や雪明り★★★
新聞に包まる冬菜貰いける★★★

廣田洋一
早梅や独り見上げし並木道★★★
咲き誇る梅の合間に青き空★★★★
今、ちょうど、梅の花が咲き誇っている。先日まで2、3分咲きだったのが、真っ白に咲いている。その間から覗く青空もきれいでいいものだ。(高橋正子)

潦紅く染めたる梅の花★★★

桑本栄太郎
我がうちの蠢動覚ゆ春隣り★★★
短身の我が影長く日脚伸ぶ★★★★
明るい日差しに映る自分の全身の影。長身でなかなかのスタイルではないか、と思うような影ができる。明るい日差しに、こんな影を見ると、若者でなくても、自己肯定感が増すというものだろう。(高橋正子)

畦焼のけむり棚びく野面かな★★★

1月29日(3名)

小口泰與
裸木の秀枝に二羽の雀かな★★★
烈風や牡丹の冬芽血の如し★★★
春近しペンキ新たなボートかな★★★★
ボートのペンキが塗り替えられて、ボート遊びの季節に備えられている。塗り替えられたペンキが日に明るく、春の近さが思われる。(高橋正子)

廣田洋一
道戻り手袋拾ふ坂の上★★★
手袋の右だけ落とす改札口★★★
手袋をずらりと干せり工事主任★★★

桑本栄太郎
山際の水色なりぬしぐれ虹★★★★
寒林の梢ゆるむや木々の雨★★★
木々の枝の緩む雨なり草城忌★★★

1月28日(3名)

小口泰與
犬と居て信号を待つ四温かな★★★
記憶より狭き校庭冬菫★★★
忽然と空を奪いし鴨の群★★★★

桑本栄太郎
日輪のにぶき日射しや寒緩む★★★
温室の窓開けらるる春隣り★★★★
温室は、室温が高くなりすぎると、蒸れて植物にいろいろ障害が現れる。窓を開けて空気を入れる必要があって、光が十分に差す暖かい日には、温室の窓が開けられる。それを見ると春はすぐ隣なのだ。(高橋正子)

ゆるゆるとうねる生駒嶺や日脚伸ぶ★★★

廣田洋一
句会終へ未だ止まざる冬の雨★★★
独り居の窓を打ちけり寒の雨★★★
裸木を黒く染めたり雨しとど★★★★

1月27日(3名)

小口泰與
湖の奥に浅間山(あさま)や日脚伸ぶ★★★
春待つや五家宝の土産とどきける★★★
春近し金平糖のうすき色★★★★

廣田洋一
待ち合わせ取消されけり雪催★★★
雪催人影見えぬ畑かな★★★★
柚の実の中をえぐられ雪催★★★

桑本栄太郎
寒禽の花びら揺るる小枝かな(原句)
寒禽に花びら揺るる小枝かな★★★★(正子添削)
寒禽が止まる小枝に花が咲き、寒禽の重さや動きで花びらがゆれる。この寒さの中にもかわいらしい光景がある。(高橋正子)

唐国のまき散らしたり流行風邪★★★
午後よりの風の出でをり寒の雨★★★

1月26日(4名)

廣田洋一
着ぶくれて階段高しジム通ひ★★★
穏やかな主の顔や冬菫★★★
冬菫見る度ごとに歩をゆるめ★★★★

小口泰與
外に出づや眼間大きく寒満月★★★
蝋梅や夕餉仕度の手をとめて★★★
日脚伸ぶ浅間の空のより深き★★★★
日脚が伸びると、浅間の空は、青さがより深くなる。空が輝くよりも深くなるのは、山国のためであろうか。(高橋正子)

桑本栄太郎
せせらぎに固まりいたる冬の鷺★★★
くだら野やどどと過ぎ行く新幹線★★★
くいくいと天を目指すや桜芽木★★★★

多田有花
白菜の収穫進む遠き畑★★★★
寒晴や河岸段丘ひろびろと★★★★
春近し江戸の道標残る道★★★

1月25日(4名)

小口泰與
冬落暉飛行機雲も日を受けて★★★★
酒量はや子にかなわざり寒見舞★★★
村里の書割めきて冬の月★★★

廣田洋一
病得し友の見舞や冬日和★★★★
富士山に雲一つ浮き冬うらら★★★
蒸かし饅頭に行列長し冬日和★★★

桑本栄太郎
三寒の四温の晴れや朝日差す★★★
着ぶくれと言い訳なりぬ太き腹★★★

寒林の彼方にありぬ入日かな★★★★
寒林の彼方に日が沈む。寒林の枝々が入日を透かし、寒林が光を発しているようにも見える。暖かく心にしみる入日だ。(高橋正子)

多田有花
寒の空リアウインドウいっぱいに★★★
今川焼姫路じゃ断然御座候★★★
横浜そごうに御座候あります。断然ですね。(正子)

きらきらと池の面光る春隣★★★★
池の面のさざ波がきらきら光る景色は、風の冷たさをよそに、春がそこまで来ている感じを持たせてくれる。(高橋正子)

1月24日(4名)

小口泰與
白鳥へ飛び來るパンを奪いあう★★★
浅間嶺へ冬星ひときは耀える★★★★
雪雲の峠の空をみたしけり★★★

廣田洋一
三寒の続かぬうちに四温来る★★★
残りたる木の実の落ちて冬深し★★★★
木の実がほとんど落ちてしまっているが、念を押すかのように残っている木の実が落ちた。冬の深まりを知る。(高橋正子)

箱根は雪とスマホに知らせあり★★★

桑本栄太郎
手探りのような朝や冬の靄★★★
くだら野や貨物列車の何処までも★★★★
嶺の端のうすき茜や日脚伸ぶ★★★

上島祥子
早天やインフルエンザ罹患メール★★★
廃屋の更地となって冬の雨★★★

窓越しの空は明るく冬夕焼け★★★★
俳句の内容にふさわしい伸びやかで、素直な句。窓越しに空を見ると冬夕焼が広がっている。希望がすむような冬夕焼がいい。(高橋正子)

1月23日(3名)

小口泰與
白鳥の塒へ奇数偶数と★★★
鴛鴦や永久のめおとの姿なり★★★
吹越と呼びし老婆の今は亡き★★★
(注)吹越(ふっこし)は、上州地方の方言で風花のこと。吹越(し)(ふきこし)は、万葉集では、風が高くを過ぎることを指しています。(高橋正子)

廣田洋一
かまくらや一灯ともし完成す★★★★
雪国の小正月の伝統行事として、今では、観光にもなっているかまくらであるが、雪洞のなかに、祭壇を作り水神が祭られ、灯をともして、また、子供たちが餅を焼いて食べたりする。「一灯ともし完成す」で、建築家のブルーの・タウトが「夢の国」とまで言った、幻想的な光景が見られることになる。(高橋正子)

かまくらや狭きとは言へ華やぎて★★★★
かまくらの座敷を仕切るガキ大将★★★

桑本栄太郎
彫刻のように川面や冬の鷺★★★
うつうつとひと日暮れ行く寒の雨★★★
水滴の小枝に歌う寒の雨★★★

1月22日(3名)

小口泰與
蝋梅や三三五五と歩を運び★★★
隼や媼の鎌の光りける★★★
隼の風割る響き青き空(原句)
「隼の風割る響き」と「青き空」の二つことが示されていますが、それがどうしたのですかという質問が生まれます。つまり、取り合わせの場合の切れの問題です。

隼の風割る響き青空に★★★★(正子添削)
隼が風を割る(切る)音を実際聞いたことないが、隼が獲物を狙い急降下するとき、時速300キロメートルで急降下するとのことだが、そのとき風を割る音だろう。その鋭い音が冬の青空に響く。隼の精悍さを思う。(高橋正子)

廣田洋一
青空を弾くが如し早き梅★★★★
あちこちにほころびをりぬ早き梅★★★
早梅や高き枝より咲き始む★★★

桑本栄太郎
太きもの白く立ち居り冬の畑★★★

地下鉄の地上に出でて日脚伸ぶ(原句)
地下鉄より地上に出でて日脚伸ぶ★★★★(正子添削)

一木を絡め取りたり枯むぐら★★★

1月21日(3名)

小口泰與
吹越に岸辺の鷺の動かざる★★★
蝋梅の川面いっぱい攻め入りぬ★★★★
冬空へのっぺらぼうのビルひとつ★★★

廣田洋一
群れなしてつんと尖りし冬木の芽★★★
鳥の声急かせる如く冬木の芽★★★
日の光溜め込みてをり冬木の芽★★★★

桑本栄太郎
病院の中庭なりぬ枯芙蓉★★★
木蓮のいよよ色めく冬芽かな★★★★
木蓮の冬芽も、日脚が伸びてくると、少し膨らみ、つやつやとしてくる。「いよよ色めく」と思われる。春とおからじである。(高橋正子)

師の影を追い求めたり久女の忌★★★

自由な投句箱/1月11日~20日


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主宰:高橋正子・管理:高橋信之

◆俳句添削教室◆
http://www.21style.jp/bbs/kakan02
◆俳句日記/高橋正子◆
https://blog.goo.ne.jp/kakan02

今日の秀句/1月11日~20日


1月20日(1句)

★冬の星見舞い帰りのバス停に/小口泰與
病院の面会時間に合わせて午後から見舞いに出かけたのであろう。帰るころ、バス停でバスを待っていればいれば、冬の日暮れは早く、星が出ている。見舞いのあとのきれいな星に心を置いている。(高橋正子)

1月19日(2句)

★雪空に生き生きと飛ぶ鳥のあ/廣田洋一
鳥たちは、雪空であろうと、自由に、いきいきと飛んでいる。小さい体にある生命力の強さを見せられる場面。(高橋正子)

★パンジーや開店準備朝陽射す/上島祥子
開店準備中の店頭に朝日が射し、店先のパンジーが生き生きと輝いている。働く人がいきいきと、はつらつとした店の様子が見える。(高橋正子)

1月18日(2句)

★冬桜宿下駄響かせもどりけり/小口泰與
泊りがけで冬桜を見物に。旅の身をほどいて、宿下駄をひっかけて冬桜を見に。良い写真がとれたのであろう。宿下駄をからころ響かせて宿に戻った。楽しそうだ。(高橋正子)

★新駅の高架交叉や日脚伸ぶ/桑本栄太郎
高架が交差し、新駅ができ、街はいきいきと変貌している。日脚が伸びて、その様子が目の当たりに明らかになったように思う。(高橋正子)

1月17日(2句)

★起き抜けの寒気厳しく水を汲む/廣田洋一
寒気は、起き抜けの時一番感じるものかもしれない。その厳しい寒気に耐えて生活の水を汲む必要がある。
地味な句意なのだが、実感があってよく頷ける。(高橋正子)

★まんさくの花よ枯葉をその侭に/桑本栄太郎
まんさくは、枯葉を落ちきらずに花を咲かせている。この枯葉の色と、まんさくの黄色い花が、いい色合いで好もしいのだ。(高橋正子)

1月16日(2句)

朝来山登山
★青空へ裸木の姿くっきりと/多田有花
山の稜線に立つ裸木は、青空を背景にその姿が、ありのままくっっきりとよく見える。きっぱりとした裸ぎの姿が青空と対比されてきれいだ。(j高橋正子)

★春を待つ鉄塔嶺に並びけり/桑本栄太郎
春を待つ心が、遠くの山へ視線を向かわせる。山に鉄塔が並んでいるのはいつも変わらないが、日差しが暖かそうで、そこから春が来そうなのである。(高橋正子)

1月15日(1句)

★水平線白く光れる寒の凪/廣田洋一
空と海とが接する水平線。凪いでいるせいで、その水平線が冷たく白光を放っているのだ。そこから遠い世界が始まるような気がする寒中の景色。(高橋正子)

1月14日(2句)
★冬木立まぶしき朝日受けいたり
差してくる朝日を冬木立が受け止めて輝いている。冬木立の凛とした姿、朝日のまぶしさが、いきいきと緊張感をもって詠まれている。(高橋正子)

★湯上がりの喉を鳴らして寒の水/多田有花
寒中の水は、ごくごくと飲むには冷たすぎる。それでも湯上りとなれば、寒の水の冷たさが乾いたのどにうれしい。喉を鳴らし、ごくごくと飲む。健康でであればこそ。(高橋正子)

1月13日(1句)

★寒鯉を釣りて駆け来る子ら二人/小口泰與
この寒い中、鯉を釣って喜び勇んでかけてくる子二人。見るにつけ、元気な子ども、生き生きした鯉、の様子が絵本の絵のように懐かしく目に浮かんでくる。(高橋正子)

1月12日(2句)

★日の光思はす黄色寒牡丹廣田洋一
牡丹の色として黄色は珍しい。その美しさをなんと表現しようかと悩むところを、寒牡丹の黄色は日の光を思わすとずばり的を得た表現をされた。(高橋正子)

★仏手柑の添えて有り居り松飾/桑本栄太郎
松飾に仏手柑を添えるのは、おめでたく、飾りの意味が大きいからと想像する。伝統的なものかどうかは、知らないが、現代的な印象がする。(高橋正子)

1月11日(2句)

★白鳥や入日の紅の失わず/小口泰與
白鳥に入日が差していつまでも入日の紅に染まっている。美しい光景。心情が入れば、さらに素晴らしい句に。(高橋正子)

★初化粧リップラインを直線に/川名ますみ
リップラインを直線に引いた初化粧。きりりと引いたリップラインの新年の溌剌とした思いがある。(高橋正子)

1月11日~20日


1月20日(3名)

小口泰與
吹越やシャッター街の通学路★★★
みずうみの只中の島大白昼 
大白昼は、大白鳥の誤りでしょうか。「白昼」が間違いでないなら、「白昼」の「白」は、「明るくはっきりしている」の意味があり、それに「大」はいらないのでは、と思います。

冬の星見舞い帰りのバス停に★★★★
病院の面会時間に合わせて午後から見舞いに出かけたのであろう。帰るころ、バス停でバスを待っていればいれば、冬の日暮れは早く、星が出ている。見舞いのあとのきれいな星に心を置いている。(高橋正子)

廣田洋一
大寒や気温予報を見て出かけ★★★
大寒や今日も元気にラジオ体操★★★
大寒や肩口冷えて目覚めたり★★★

桑本栄太郎
一木を被い尽くせり枯葎★★★

裸木の小枝真直ぐや天を向く(原句)
裸木の小枝真っ直ぐ天を差す★★★★(正子添削)

流木の白く映え居り寒の川★★★

1月19日(5名)

小口泰與
北風に雨戸の騒ぐ夜更かな★★★
空風のさなか巡回車の灯(トモシ)★★★
雪浅間真向いにして大気受く★★★

廣田洋一
降る雪の積もらぬままに止みにけり★★★
白きもの混じれる雨の雪となり★★★
雪空に生き生きと飛ぶ鳥のあり★★★★
鳥たちは、雪空であろうと、自由に、いきいきと飛んでいる。小さい体にある生命力の強さを見せられる場面。(高橋正子)

上島祥子
松過ぎて結局読まずに返す本★★★
小正月出社の息子送り出す★★★
パンジーや開店準備朝陽射す★★★★
開店準備中の店頭に朝日が射し、店先のパンジーが生き生きと輝いている。働く人がいきいきと、はつらつとした店の様子が見える。(高橋正子)

桑本栄太郎
うつすらと寒月残る西の空★★★
燦々と橙の実の日差し受く★★★
トンネルを出でて冬日や新京極★★★

多田有花
亡き人の故郷よりとどくみかんかな★★★
ブロッコリやわらかく溶けるチーズのせ★★★
助手席に葉つき大根二本載せ★★★★

1月18日(4名)

小口泰與
校庭を子ら駆け來るや霜の声
「霜の声」は、「霜の降りる寒い夜、物音がしんしんと響くようなさえわたった興趣。」 を言い、「 霜の降りた夜の様子をいう語」です。ですが、この句からは、昼の子供たちの様子ではないかと思えるのです。

枯枝に音符の弾む群雀★★★

宿下駄を響かせもどる冬桜(原句)
冬桜宿下駄響かせもどりけり★★★★(正子添削)
泊りがけで冬桜を見物に。旅の身をほどいて、宿下駄をひっかけて冬桜を見に。良い写真がとれたのであろう。宿下駄をからころ響かせて宿に戻った。楽しそうだ。(高橋正子)

廣田洋一
着ぶくれて手押し車を出しにけり★★★
着ぶくれてジムに通へる媼かな★★★
着ぶくれてふくら雀と向き合へり★★★

多田有花
寒中の山おりて向かうサウナかな★★★
葉つきのまま大きかぶらを貰いけり★★★
煮かぶらの舌にとろけるばかりなり★★★

桑本栄太郎
<桂川、淀川、木津川>
三川の集う中州や大枯野★★★
新駅の高架交叉や日脚伸ぶ★★★★
高架が交差し、新駅ができ、街はいきいきと変貌している。日脚が伸びて、その様子が目の当たりに明らかになったように思う。(高橋正子)

大寒や村に一つの半鐘塔★★★

1月17日(4名)

小口泰與
冬の鷺湖面に長き影を乗せ★★★
大岩を越えて氷柱の飛びにけり★★★
雪雲の万象全て遮断せり★★★

廣田洋一
海原に酷寒満ちて白々と(原句)
「酷寒満ちて(酷寒が満ちる)」は、日本語として不自然な感じです。
酷寒の海原白々広がれり★★★★(正子添削)

起き抜けの寒気厳しき水を汲む(原句)
「寒気厳しき水」も日本語として不自然です。

起き抜けの寒気厳しく水を汲む★★★★(正子添削)
厳しくのところで切れを入れます。
寒気は、起き抜けの時一番感じるものかもしれない。その厳しい寒気に耐えて生活の水を汲む必要がある。
地味な句意なのだが、実感があってよく頷ける。(高橋正子)

厳寒の空を彩るオーロラかな★★★

桑本栄太郎
鎮魂の祈り炎に阪神忌★★★

まんさくの花よ枯葉のその侭に(原句)
まんさくの花よ枯葉をその侭に★★★★(正子添削)
まんさくは、枯葉を落ちきらずに花を咲かせている。この枯葉の色と、まんさくの黄色い花が、いい色合いで好もしいのだ。(高橋正子)

稜線をいく度も見たり雪催い★★★

多田有花
<朝来山登山三句>
枯葉に座し昼のラーメンを囲む★★★
冬空を映せる池の畔に下りる★★★
天空の城は陽のなか日脚伸ぶ★★★★

1月16日(5名)

古田敬二
冬木立黒々影を伸ばしけり★★★★
落葉道踏まれて土になる気配★★★
尾根に出る快晴の空冬温し★★★

小口泰與
白鳥のだみ声発し翔ちにけり★★★
背らよりシャッター音や大白鳥★★★
白鳥の長の鋭声や族も翔つ★★★

廣田洋一
茜空未だ広がり日脚伸ぶ★★★★
バス停の行列長し日脚伸ぶ★★★
軟式のテニス練習日脚伸ぶ★★★

多田有花
<朝来山登山三句>
赤テープ頼りに枯葉踏み登る★★★
寒林を透かし但馬の山望む★★★
青空へ裸木の姿くっきりと★★★★
山の稜線に立つ裸木は、青空を背景にその姿が、ありのままくっっきりとよく見える。きっぱりとした裸ぎの姿が青空と対比されてきれいだ。(j高橋正子)

桑本栄太郎
山間にけぶる一条寒の峰★★★
春を待つ鉄塔嶺に並びけり★★★★
春を待つ心が、遠くの山へ視線を向かわせる。山に鉄塔が並んでいるのはいつも変わらないが、日差しが暖かそうで、そこから春が来そうなのである。(高橋正子)

寒釣の日差しを背中に紫煙かな★★★

1月15日(4名)

小口泰與
大沼の入日に吼ゆる大白鳥★★★
枯枝の中に入り込む群雀★★★
霜柱庭駆け回る子ら二人★★★★

多田有花
城跡を望める寒の立雲峡★★★★
寒中の桜の枝を見上げおり★★★
冬ぬくし展望台で自撮りかな★★★

桑本栄太郎
乳呑み子の乳欲しきとや雪女★★★
湖の瀬田の小舟や寒しじみ★★★
高階の角の吠え居り虎落笛★★★

廣田洋一
梅の芽のぐんと伸びたる寒日和★★★★
赤き芽の丸く膨らむ冬牡丹★★★

地平線白く光れる寒の凪(原句)
水平線白く光れる寒の凪★★★★(正子添削)
空と海とが接する水平線。凪いでいるせいで、その水平線が冷たく白光を放っているのだ。そこから遠い世界が始まるような気がする寒中の景色。(高橋正子)

1月14日(5名)

古田敬二
寒林やほほに心地よき風受けて(原句)
寒林や心地よき風ほほに受け★★★★(正子添削)

冬木立朝のまぶしき日を受けて(原句)
冬木立まぶしき朝日受けいたり★★★★(正子添削)
差してくる朝日を冬木立が受け止めて輝いている。冬木立の凛とした姿、朝日のまぶしさが、いきいきと緊張感をもって詠まれている。(高橋正子)

柔らかく深くなりたる落ち葉道★★★★

小口泰與
夕暮の枯野出られぬ頭痛持★★★
冬草やゲートボールの老五人★★★
日の暈に閉じ込められし大白鳥★★★★

廣田洋一
初旅や電子辞書を忘れずに★★★
アフリカと言えど気軽に初旅行★★★
初旅に富士の裾野を見渡せり★★★★

多田有花
アイスショー見に門真まで松の内★★★
スケートの大輪の花リンクに咲く★★★
湯上がりの喉を鳴らして寒の水★★★★
寒中の水は、ごくごくと飲むには冷たすぎる。それでも湯上りとなれば、寒の水の冷たさが乾いたのどにうれしい。喉を鳴らし、ごくごくと飲む。健康でであればこそ。(高橋正子)

桑本栄太郎
寒梅の紅のほのかに風に乗り(原句)
寒梅の紅のひとひら風に乗り★★★★(正子添削例)
もとの句は、「紅がほのかに風に乗り」ということなので、意味がよくわかりません。「ほのか」は色や匂いにつかいますが。添削例を挙げました。(高橋正子)

とつぜんの双手鼻へとくつさめす★★★
川底の涸れて蛇行や天井川★★★

1月13日(3名)

小口泰與
寒鯉を釣り掛け來る子ら二人(原句)
寒鯉を釣りて駆け来る子ら二人★★★★(正子添削)
定型5・7・5に直しました。
この寒い中、鯉を釣って喜び勇んでかけてくる子二人。見るにつけ、元気な子ども、生き生きした鯉、の様子が絵本の絵のように懐かしく目に浮かんでくる。(高橋正子)

朝日差す紫紺の榛名山(はるな)霜柱★★★
鳥声や朝日の中の木守柿★★★

廣田洋一
お互ひにそっぽ向きたる水仙花★★★
公園の端に整列水仙花★★★
門前にあちこち向きて水仙花★★★★

桑本栄太郎
一木の山のようなり枯木立★★★★
紅色のままに枯れたる芙蓉かな★★★
小さくて痛々しさや冬の薔薇★★★

1月12日(3名)

小口泰與
杣宿の燗絶妙や北颪★★★
妹もまねて転がす雪だるま★★★
包めるは農事新聞セロリかな★★★★

廣田洋一
菰を着て妍を競ひし寒牡丹★★★
日の光思はす黄色寒牡丹★★★★
牡丹の色として黄色は珍しい。その美しさをなんと表現しようかと悩むところを、寒牡丹の黄色は日の光を思わすとずばり的を得た表現をされた。(高橋正子)

後戻りしてまた見たる寒牡丹★★★★

桑本栄太郎
寒椿高き土塀の建仁寺★★★

仏手柑の添えて有り居り松飾★★★★
松飾に仏手柑を添えるのは、おめでたく、飾りの意味が大きいからと想像する。伝統的なものかどうかは、知らないが、現代的な印象がする。(高橋正子)

せせらぎに枇杷の花咲く高瀬川★★★

1月11日(4名)

廣田洋一
寒月や日暮れの空に白々と★★★
寒月の色に染まりし大銀杏★★★★
人居らぬビルの寒月映す窓★★★★

小口泰與
風に乗り狸のにおい露天風呂(原句)
風に乗り狸のにおい露天湯へ★★★(正子添削)
健啖の老へ北風吹きにけり★★★

白鳥や入日の紅の失わず★★★★
白鳥に入日が差していつまでも入日の紅に染まっている。美しい光景。心情が入れば、さらに素晴らしい句に。(高橋正子)

桑本栄太郎
家中の飾りを集め鏡割り★★★
目覚めいて風呂の掃除や日脚伸ぶ★★★★
鍋に入れ鏡開きの夕餉かな★★★

川名ますみ
初乗の多摩川の果て富士の影★★★
初化粧リップラインを直線に★★★★
リップラインを直線に引いた初化粧。きりりと引いたリップラインの新年の溌剌とした思いがある。(高橋正子)
勝手尽して初夢に人助け★★★

自由な投句箱/1月1日~10日(令和2年)


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今日の秀句/1月1日~10日


1月10日(2句)

★恐ろしきまで一山の雪月夜/小口泰與
これほどの雪月夜をまだ見たことがなく、想像するばかりだが、山国のすざましいほどの雪月夜を思い圧倒された。(髙橋正子)

★明星の光ひと粒寒茜/廣田洋一
寒茜の中に、宵の明星の金星が一粒光っている。一番星のその一粒が愛おしい。(高橋正子)

1月9日(2句)

★明けの雪寺の柱の黒光り/小口泰與明けてみれば寺に雪が積もり、寺の柱はお堂のなかで、黒光りしている。白と黒の寺の光景が黒光りの柱を中心に、写真のように浮かび上がる。(高橋正子)

★立ちこぎのセーラー服や日脚伸ぶ/多田有花
日脚がすこしずつ伸びているkのごろ、自転車を立こぎするセーラー服の女学生を見た。元気いっぱいの、まだあどけなさ残る女学生が往時の自分を見るようで、ちょっと眩しい。「日脚のぶ」が効いている。(高橋正子)

1月8日(2句)

★燗熱くせよ知事賞の報届く/小口泰與
「燗熱くせよ」の勢いがただただ晴らしい。知事賞おめでとうございます。(高橋正子)

★紅白の漬物添へて七種粥/廣田洋一
正月気分のまだ残る七日、七草粥に添えられた紅白の漬物がみずみずしい。地味ながら華やぎがあ句。(高橋正子)

1月7日(1句)

★おちこちに声谺して寒紅梅★★★★
寒紅梅は山間の谷に咲いているのだろう。梅見の人たちの声があちこちから谺して聞こえてくる。谷に散らばって梅見をする人たちの様子が見て取れる。(高橋正子)

1月6日(1句)

★仕事始故郷の菓子を頂きぬ/廣田洋一
仕事初めの会社。帰省した人たちのふるさと土産の菓子を頂いた。ほっこりとするひととき。(高橋正子)

1月5日(2句)

★母に来し年賀状を持ちゆけり/多田有花
娘のところに来た母宛の年賀状。差出人は、母は正月を娘のところで過ごしているんだろうかとの思いかもしれない。母のところへ年賀状をもって行くことは、母に会いに行くことでもある。お互いの思いやりの心が忍ばれる句。(高橋正子)

★同郷の小豆雑煮の二人かな/桑本栄太郎
雑煮は地方地方によって、驚くほどさまざまある。郷土性の豊かな祝い椀である。丸餅、伸餅、餡餅か、紅白餅も。仕立ては白みそ,澄まし、焼くか煮るか。同郷のご夫婦二人は、小豆雑煮。幼い時からの郷土の雑煮を頂く幸せ。小豆雑煮の品の良さが効いている。(高橋正子)

1月4日(2句)

★正月の京都に向かう人を載せ/多田有花
みやびさ漂う正月の京都へ家族か知人を車に乗せたのだろうか。乗るときから着物も匂い華やぎ立っている。また電車に乗っている京都へ向かう人たちを眺めたとも読める。車や電車が正月の華やかさでいっぱいなのだ。(高橋正子)

★マスク子の不安顔なり待合室/桑本栄太郎
病院の待合室。マスクをかけた子が熱でもあるのだろう。不安げな顔でおとなしくしている。子供は風の子、元気な子であるはずなのに。おとなしく不安げであれば、不憫である。(高橋正子)

1月3日(2句)

★雪折の音に目覚めし幼き日/廣田洋一
雪国で幼き日を過ごされたのだろうか。私は、瀬戸内で過ごしたが、たまに大雪が降ることがあって、裏の竹藪の雪がどさっと大きい音を立て落ちるのに驚いたことがある。雪折れの枝がバシッと折れる音は、幼きものを目覚めさせる。今はその音と、音に被る幼き日が思い出される。(高橋正子)

★をけら火や四条通りの縄明かり/桑本栄太郎
をけら火は、京都八坂神社の大晦日から元旦にかけて行われる神事。朮火に縄をかざして火をもらい、その火を持ち帰り雑煮を煮る。縄は1メートルぐらいのものを手に数回手繰って、縄先に火を付ける。晴れ着姿の女性も大勢見受けられる。四条通は、火のついた縄の明かりがゆらいでいる。奥ゆかしい日本の行事である。(高橋正子)

1月2日(2句)

★日溜まりにまた一羽来る寒雀/廣田洋一
日溜まりは誰にもうれしいところ。日溜まりに寒すずめが餌をついばんでいる。チョンチョン飛ぶものもいる。すると、そこへまた一羽が寄って来た。仲間に入って餌をついばむ。見ていてたのしく、心和む光景だ。(高橋正子)

★ふるさとの海鳴り想う波の花/桑本栄太郎
波の花は海水が風で泡立ち花のようになる現象。海鳴りの音に加わり波の花が飛ぶ。特徴的な故郷の景色は、いつまでも目裏に、耳底にある。(高橋正子)

1月1日(4句)

★噴煙の垂直に伸び初浅間/小口泰與
新年、浅間山から噴煙がまっすぐにどこまでも、というふうに、上がっている。新年早々の伸びやかな景色に、今年の幸先のよさを思わずにはおれない。(高橋正子)

★神輿蔵開け放たれて初詣/廣田洋一
普段は閉められている神輿を収めている蔵が、新年には開け放たれ、どっしりと座り、きらびやか姿を見せている。初詣に遭遇するものはいろいろあるなかの、開け放たれた神輿蔵。(高橋正子)

★竹林の白き節見せ淑気満つ/桑本栄太郎★
京都の竹林の美しさは言うまでもないが、竹の節が白く粉を吹いたようである。年改まる中、りんとして、淑気に満ちている。(高橋正子)

何気なく出て全身に初日浴ぶ/多田有花
「何気なく出て」が面白い。何気なく出たら、全身を初日が照らしてくれた。日を浴びるのは初日だけにうれしい。(高橋正子)

1月1日~10日(令和2年)


1月10日(4名)

小口泰與
入相の太き日矢さし小白鳥★★★
恐ろしきまで一山の雪月夜★★★★
これほどの雪月夜をまだ見たことがなく、想像するばかりだが、山国のすざましいほどの雪月夜を思い圧倒された。(髙橋正子)

遠き日の一言を悔い寒牡丹★★★

廣田洋一
明星の光ひと粒寒茜★★★★
寒茜の中に、宵の明星の金星が一粒光っている。一番星のその一粒が愛おしい。(高橋正子)

寒茜細き枯枝際立たせ★★★
富士の影黒く浮かべて寒茜★★★★

多田有花
アップライトピアノ旅立つ松の内★★★
寒晴れへ吊り上げられしピアノかな★★★★
ピアノ去れば広々として冬座敷★★★★

桑本栄太郎
道野辺の烏ついばむ日脚伸ぶ★★★
目覚めたる妻の厨へ日脚伸ぶ★★★
冬晴れのままに暮れ居り茜空★★★★

1月9日(4名)

小口泰與
明けの雪寺の柱の黒光り★★★★
明けてみれば寺に雪が積もり、寺の柱はお堂のなかで、黒光りしている。白と黒の寺の光景が写真のように浮かび上がる。(高橋正子)

残照の沼にひろがり大白鳥★★★
寒月を乗せて湖の面音もなく★★★

廣田洋一
窓の外ぱっと明るく冬日かな★★★
昼過ぎて出でし冬日を仰ぎたる★★★
冬日受け葉をそよがせし並木かな★★★

多田有花
立ちこぎのセーラー服や日脚伸ぶ★★★★
日脚がすこしずつ伸びているkのごろ、自転車を立こぎするセーラー服の女学生を見た。元気いっぱいの、まだあどけなさ残る女学生が往時の自分を見るようで、ちょっと眩しい。(高橋正子)

松の内髪切りたいと母が言う★★★
駆けてゆく子らの歓声寒四郎★★★

桑本栄太郎
ざんばらと土堤に傾げり枯尾花★★★
初釣の湾処(わんど)に背ナや桂川★★★
冬銀河あまた瞬き明日は晴れ★★★★

1月8日(3名)

小口泰與
燗熱くせよ知事賞の報届く★★★★
「燗熱くせよ」の勢いがただただ晴らしい。知事賞おめでとうございます。(高橋正子)

醜草の湯レイルたり冬の鷺★★★
山風を背負い冬耕はじめたり★★★

廣田洋一
紅白の漬物添へて七種粥★★★★
正月気分のまだ残る七日、七草粥に添えられた紅白の漬物がみずみずしい。地味ながら華やぎがあ句。(高橋正子)

朱塗椀に早緑匂ふ七種粥★★★
山盛りの七種セットや一つ買ふ★★★★

桑本栄太郎
燦々と冬日差したり風の午後★★★
蝋梅の日射し透きをり膨らみぬ★★★★
初釣の背ナに日当たる湾処かな★★★

1月7日(4名)

小口泰與
霜柱踏めば星屑こぼれけり★★★
おちこちに声谺して寒紅梅★★★★
寒紅梅は山間の谷に咲いているのだろう。梅見の人たちの声があちこちから谺して聞こえてくる。谷に散らばって梅見をする人たちの様子が見て取れる。(高橋正子)

雲走り電車待つ間の冬の虹★★★

廣田洋一
検診と句会を記す初暦★★★
初暦机に一つ飾りけり★★★
初暦着物姿の美しき★★★

多田有花
パソコンを出先で開く仕事始★★★
小寒や粗大ごみ230kg★★★
暖かきままに過ぎゆき七日かな★★★★

桑本栄太郎
山茶花の紅を散り敷く朝かな(原句)
山茶花の紅の散り敷く朝かな★★★★(正子添削)
もとの句は、「朝が、山茶花の紅を散り敷く」となっていて、意味が取りにくいです。

寒林の銀杏並木やバス通り★★★
ワイパーの滲み擦りぬ寒の雨★★★

1月6日(4名)

小口泰與
友病むか年賀のメールいまだ来ず★★★
冬林檎輪切りにきりて食卓へ★★★
枝枝の奇数偶数寒雀★★★

廣田洋一
朝の風さすが冷たし寒の入★★★
電線に雀のをらぬ寒の入★★★
仕事始故郷の菓子を頂きぬ★★★★
仕事初めの会社。帰省した人たちのふるさと土産の菓子を頂いた。ほっこりとするひととき。(高橋正子)

桑本栄太郎
カーテンを開けて結露や寒に入る★★★
医科大の芙蓉枯れ居り中庭に★★★
会計の挨拶し合う医務はじめ★★★

1月5日(4名)

小口泰與
室咲や短き祝辞甘露なる★★★★
冬ばらの開かんとして力尽き★★★
名物の風を賜る冬牡丹★★★

廣田洋一
鯉二匹さかのぼり行く冬の川★★★★
橙飾る古き屋敷の四世代★★★
読初や今年も虚子の一日一句★★★

多田有花
法被着て初商の社員かな★★★
あのころの写真を整理初昔★★★

母に来し年賀状を持ちゆけり★★★★
娘のところに来た母宛の年賀状。差出人は、母は正月を娘のところで過ごしているんだろうかとの思いかもしれない。母のところへ年賀状をもって行くことは、母に会いに行くことでもある。お互いの思いやりの心が忍ばれる句。(高橋正子)

桑本栄太郎
同郷の小豆雑煮の二人かな★★★
雑煮は地方地方によって、驚くほどさまざまある。郷土性の豊かな祝い椀である。丸餅、伸餅、餡餅か、紅白餅も。仕立ては白みそ,澄まし、焼くか煮るか。同郷のご夫婦二人は、小豆雑煮。幼い時からの郷土の雑煮を頂く幸せ。小豆雑煮の品の良さが効いている。(高橋正子)

枯草の明かりとなりぬ朝の雨★★★
返り花とはもう云えず菜種咲く★★★

1月4日(5名)

小口泰與
干芋へ赤城颪を賜りぬ★★★
産土に手足伸ばすや冬の梅★★★
樫の木の秀つ枝下枝に寒雀★★★★

廣田洋一
初暦予定書き込み恙なし★★★
筋トレも心新たに四日かな★★★
大皿をみな仕舞ひたる四日かな★★★★

多田有花
初掃除すいすい進むコードレス★★★
居酒屋に集う三日の誕生日★★★
正月の京都に向かう人を載せ★★★★
みやびさ漂う正月の京都へ家族か知人を車に乗せたのだろうか。乗るときから着物も匂い華やぎ立っている。また電車に乗っている京都へ向かう人たちを眺めたとも読める。車や電車が正月の華やかさでいっぱいなのだ。(高橋正子)

桑本栄太郎
マスク子の不安顔なり待合室★★★★
病院の待合室。マスクをかけた子が熱でもあるのだろう。不安げな顔でおとなしくしている。子供は風の子、元気な子であるはずなのに。おとなしく不安げであれば、不憫である。(高橋正子)

四日早や内科医院の込みいたる★★★
漫才も聴いて白ける四日かな★★★

川名ますみ
初富士の雲の晴れゆき夕映に★★★★
雲掃かれ初富士現れし夕べ★★★
目覚むればあっという間の初笑★★★

1月3日(4名)

小口泰與
大利根へ朝日差したる御慶かな★★★
吾子の手に受けたる破魔矢鈴さわぐ★★★
朝日差す蔵の錠前仏の座★★★★

多田有花
宅配の荷物が届く二日はや★★★
わらわらと飛び降り飛び立つ初雀★★★★
初電話うれしき報せもたらしぬ★★★

廣田洋一
淑気満つ令和の朝の晴上り★★★
雪折の音に目覚めし幼き日★★★★
雪国で幼き日を過ごされたのだろうか。私は、瀬戸内で過ごしたが、たまに大雪が降ることがあって、裏の竹藪の雪がどさっと大きい音を立て落ちるのに驚いたことがある。雪折れの枝がバシッと折れる音は、幼きものを目覚めさせる。今はその音と、音に被る幼き日が思い出される。(高橋正子)

雪折れの枝を切りたる朝もあり★★★★

桑本栄太郎
三日早やジャムトーストの朝餉かな★★★
食うて寝て又食い寝たる三が日★★★

をけら火や四条通りの縄明かり★★★★
をけら火は、京都八坂神社の大晦日から元旦にかけて行われる神事。朮火に縄をかざして火をもらい、その火を持ち帰り雑煮を煮る。縄は1メートルぐらいのものを手に数回手繰って、縄先に火を付ける。晴れ着姿の女性も大勢見受けられる。四条通は、火のついた縄の明かりがゆらいでいる。奥ゆかしい日本の行事である。(高橋正子)

1月2日(4名)

小口泰與
三山の朝の淑気を賜りし★★★
初春や湯けむりの立つ磴の街★★★
山風の産土なるや初景色★★★★

多田有花
一瞬の沈黙の後初泣きす★★★
年玉を泣き顔の子に渡しけり★★★★
新春の空につぎつぎ飛行機雲★★★

廣田洋一
初氷車の窓を覆ひけり★★★
鳩の餌横取りしたる寒雀★★★
日溜まりにまた一羽来る寒雀★★★★
日溜まりは誰にもうれしいところ。日溜まりに寒すずめが餌をついばんでいる。チョンチョン飛ぶものもいる。すると、そこへまた一羽が寄って来た。仲間に入って餌をついばむ。見ていてたのしく、心和む光景だ。(高橋正子)

桑本栄太郎
ふるさとの海鳴り想う波の花★★★★
波の花は海水が風で泡立ち花のようになる現象。海鳴りの音に加わり波の花が飛ぶ。特徴的な故郷の景色は、いつまでも目裏に、耳底にある。(高橋正子)

海鳴りの怒涛や冬の日本海★★★
空き缶のまろぶ音あり寒波来る★★★★

1月1日(4名)

小口泰與
噴煙の垂直に伸び初浅間★★★★
新年、浅間山から噴煙がまっすぐにどこまでも、というふうに、上がっている。新年早々の伸びやかな景色に、今年の幸先のよさを思わずにはおれない。(高橋正子)

朝日差す榛名九嶺お元日★★★
菩提寺の僧都に礼や年新た★★★

廣田洋一
年改まり富士の嶺白く改まる★★★
神輿蔵開け放たれて初詣★★★★
普段は閉められている神輿を収めている蔵が、新年には開け放たれ、どっしりと座り、きらびやか姿を見せている。初詣に遭遇するものはいろいろあるなかの、開け放たれた神輿蔵。(高橋正子)

綴じ紐は目出度き赤や初暦★★★

桑本栄太郎
竹林の白き節見せ淑気満つ★★★★
京都の竹林の美しさは言うまでもないが、竹の節が白く粉を吹いたようである。年改まる中、りんとして、淑気に満ちている。(高橋正子)
三川の集う中州や大枯野★★★
もくれんの冬芽かくかくしかじかと★★★

多田有花
何気なく出て全身に初日浴ぶ★★★★
「何気なく出て」が面白い。何気なく出たら、全身を初日が照らしてくれた。日を浴びるのは初日だけにうれしい。(高橋正子)

初暦まだ見ぬ月日重なりぬ★★★
元日や早も出会いし救急車★★★