自由な投句箱/1月21日~31日(2019年)


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今日の秀句/1月21日~31日(2019年)


1月31日(1句)

★厳寒に斎庭の砂の白々と/廣田洋一
斎庭(ゆにわ)は、神を祀るために清められた庭。斎庭に敷かれた砂は、ただでさえ、清らかであるが、厳寒には、特に、ものみな、清められた感覚になるので、白々とした砂に一層の清らかさを思った。(高橋正子)

1月30日(1句)

★榛名富士雪さやかなり湖に映ゆ/小口泰與
写真のようにくっきりとした景色。雪を冠った榛名山が湖に映り、「さやかな」様子。寒さの中にある清々しさ。(高橋正子)

1月29日(2句)

★青空にかすかな赤み冬芽かな/廣田洋一
冬木はまだ枯れたように立っているばかりと思いきや、青空に透けた枝先には、かすかに赤い冬芽が見えた。冬木は春の気配に動き始めたようだ。(高橋正子)

★風花や時に無風の青空に/桑本栄太郎
風花のする空であるが、時に風が止んで、驚くような青空が広がる。風花は遠い雪山からの風に乗って来たのだから、風花もぴたっと止んでしまった。(高橋正子)

1月28日(2句)

★葉牡丹や渦巻く日差し取り込みぬ/廣田洋一
日差しが渦巻くのではないが、葉牡丹の葉が巻く渦が日差しを渦巻き状に巻き込んでいる。そんな印象を句にした。(高橋正子)

★日脚伸ぶ車窓過ぎ行く福山城/桑本栄太郎
福山は私の郷里であるので特別な感懐が湧くが、福山城は、駅のすぐ傍に立つ小さい城で、漆喰の白壁が季節季節の光を反射して、それが特徴的で印象的なのだ。日脚伸ぶ感懐も実感として伝わる。(高橋正子)

1月27日(1句)

★駅前の青き空より風花す/廣田洋一
駅前の少し広い青空から、風花が舞う。風花の儚さと美しさが目に見える。(高橋正子)

1月26日(2句)

★赤城より冷気とどくや凍豆腐/小口泰與
凍豆腐は、家庭では、水を切った豆腐を夜は氷点下にもなる戸外に吊るして作る。赤城からの冷気に美味しい凍豆腐が出来上がる。厳しい寒さを利用し、工夫して人は生活している。(高橋正子)

★炭熾り時にぱちんと弾けたり/多田有花
炭火が燃える様子は、見ていて飽きない。炭火が熾って、時にぱちんと弾ける。ぷんと炭の匂いがする。どんな具合のときに弾けるのか知らないが、炭火も時に小さな声を出している。とてもいい時間がある。(高橋正子)

1月25日(2句)

<北摂妙見山・台風21号の爪跡残る>
★傷みつつ寒晴へ立つぶなの木々/多田有花
「傷みつつ」は具体的にどのような状態かな、と思う。ぶなは落葉するが、枯れた葉が落ちないで枝に付いたままのもある。そんな木々のことだろうか。ぶなの大木は寒晴の空へと傷みつつも毅然と立っている。そんな姿に心を打たれた。(高橋正子)

★ぽつぽっと草生え出ずる冬田道/廣田洋一
冬田道を歩き、ふと足元をみると、「ぽつぽつと」緑の草が生えている。枯草の中のささやかな緑にうれしい気持ちになる。(高橋正子)

1月24日(1句)

★春を待つ櫟林を登りゆく/多田有花
櫟林の空は、寒中とは言え、空の光は意外にも強くあかるくなっている。そこを登れば、待春の思いになる。(高橋正子)

1月23日(3句)

★息白し神と仏の居りし部屋/小口泰與
民家で客間として使われる部屋には、仏壇があり、神棚が祀られていることがある。私の生家もそうであったが、朝などは、火もまだ入れず、畳も冷たかった。家の中ながら吐く息も白い。神仏の部屋の緊張感が伝わる。(高橋正子)

★寄れば香に触れるが如し寒の梅/多田有花
ぽつぽつと咲き始めた寒中の梅であるが、近寄れば、いい匂い。香りに触れる感じがする。寒中の貴重な香りだ。(高橋正子)

★風花とみえしばかりに風に消え/古田敬二
風花は、遠方の山岳付近に風雪が起き、それが上層の強風に乗って風下にひらいする現象といわれる。晴れていながら雪片が舞う。その風花が舞うのが見えたと思うと、もう、風に消えている。はかなく、美しいものの一つだ。(高橋正子)

1月22日(1句)

★大根抜くありったけの力もて/古田敬二
もとの句は、「ありったけ力」と舌足らずな表現になっています。「大地」は省きました。(高橋正子)
大根を抜くには、大根が太くよく育っていれば育っているほど抜く力がいる。大根引きは、人間との力比べだ。(高橋正子)

1月21日(3句)

★大寒の木々に差す陽の力増す/多田有花
「陽の力増す」に実感がある。大寒で寒さは厳しいが、日差しは、明るく、力強ささえ感じる。(高橋正子)

★冬深し堂の柱の黒光り/小口泰與
堂の冷え冷えとした中に堂々とした柱が黒光りしている。それを見ると、今こそ「冬深し」なのだと感じる。(高橋正子)

★我が寝屋の中天高く冬の月/古田敬二
冬月が中天高くのぼり、月の光に照らされている我が寝屋。寒いながら、静かな眠りが保証される。(高橋正子)

1月21日~31日(2019年)


多田有花
寒肥が施されたる木の根元★★★
春待つ木枝いっぱいに陽を受けて★★★
陽のあたる斜面から咲き寒の梅★★★★

小口泰與
春近し我が産土はさりながら★★★
寒雀羽はばたかせ争いぬ★★★
春近し榛名湖へ映ゆ榛名富士★★★★

廣田洋一
寒厳し頬を打ちたる細き針★★★
極寒や半袖シャツの家の中★★★
厳寒に斎庭の砂の白々と★★★★
斎庭(ゆにわ)は、神を祀るために清められた庭。斎庭に敷かれた砂は、ただでさえ、清らかであるが、厳寒には、特に、ものみな、清められた感覚になるので、白々とした砂に一層の清らかさを思った。(高橋正子)

桑本栄太郎
木の枝の雨滴きらめく冬の雨★★★
一二輪紅の矜持や梅古木★★★★
日もすがら雨の一日や一月果つ★★★

1月30日(4名)

小口泰與
榛名富士雪さやかなり湖に映ゆ★★★★
写真のようにくっきりとした景色。雪を冠った榛名山が湖に映り、「さやかな」様子。寒さの中にある清々しさ。(高橋正子)

日脚伸ぶ利根の川幅さやに増ゆ★★★
音さやに家ごと揺るる空っ風★★★

多田有花
寒中の城主の墓を巡りけり★★★
寒厳し石灯籠の並びにも★★★
池涸れて雲多き空映したり★★★★

廣田洋一
古き家取り壊されて春近し★★★★
早々と積まれしチョコや春近し★★★
新人の歓迎会や春隣★★★

桑本栄太郎
<山口へ冬の旅>
園児らの冬のひと日やわらべ歌★★★★
突然の帰京となりぬ流行風邪★★★
降り止むを待つて駅へとしまき風
「しまき」・「雪しまき」は冬の季語ですが、「しまき風」は季語ではありません。

(追述)「しまき」は角川の赤い表紙の歳時記、第三版のとも冬の季語として載っています。そして解説に
「風のことを古語で「し」といい、「まく」と重ねて風の激しく吹きまくること、およびはげしい風や海上の暴風をいうが、俳句では、単にしまきといって雪まじりの強風である雪しまきにも用いる。東北地方や北海道方面にとくに多い。」とあります。栄太郎さんの「しまき風」の「しまき」に風がつけてありますので、「しまく」は「吹き荒れる」の意味をもってきます。

1月29日(4名)

小口泰與
春待つや魚拓の埃払いける★★★
春近し榛名十峰朝日燃え★★★★
さもなくば虎落笛おば聞きにこよ★★★

多田有花
いつもより静かに明けて雪の朝★★★★
雪化粧する紅き実と赤き花★★★
鮮やかや朝日を受ける雪の嶺★★★

廣田洋一
爪の先緑さしたる冬木の芽(原句)
爪先ほどの緑さしたり冬木の芽★★★★(正子添削①)
冬木の芽爪先ほどの緑さし(正子添削②)

青空にかすかな赤み冬芽かな★★★★
冬木はまだ枯れたように立っているばかりと思いきや、青空に透けた枝先には、かすかに赤い冬芽が見えた。冬木は春の気配に動き始めたようだ。(高橋正子)

一枚の木の葉残して冬木の芽★★★

桑本栄太郎
<山口へ新幹線の冬の旅>
風花や時に無風の青空に★★★★
風花のする空であるが、時に風が止んで、驚くような青空が広がる。風花は遠い雪山からの風に乗って来たのだから、風花もぴたっと止んでしまった。(高橋正子)

海峡の明石大橋寒の暮れ★★★
谷間の固まるやうに雪の峰★★★★

1月28日(5名)

小口泰與)
寒暁の瀬音さえぎり鳴く鴉★★★
魚鼓打つや忽と飛び立つ寒雀★★★
日脚伸ぶ大地育む利根の水★★★★

多田有花
頂や望みし沖の寒霞★★★★
山茶花に今日は激しき風の音★★★
青空が一転くもり午後の雪★★★

廣田洋一
葉牡丹やくすみを取らんと渦巻きぬ★★★
葉牡丹や競ひ合ふごと色違へ★★★
葉牡丹や渦巻く日差し取り込みぬ★★★★
日差しが渦巻くのではないが、葉牡丹の葉が巻く渦が日差しを渦巻き状に巻き込んでいる。そんな印象を句にした。(高橋正子)

桑本栄太郎
<山口へ新幹線の冬の旅>
水色の空に黒きやしぐれ雲★★★
枯蘆や石のさざれの吉井川★★★

日脚伸ぶ車窓過ぎ行く福山城★★★★
福山は私の郷里であるので特別な感懐が湧くが、福山城は、駅のすぐ傍に立つ小さい城で、漆喰の白壁が季節季節の光を反射して、それが特徴的で印象的なのだ。日脚伸ぶ感懐も実感として伝わる。(高橋正子)

古田敬二
竹の猪口お神酒で囲む焚火かな(原句)
竹猪口のお神酒で囲む焚火かな★★★★(正子添削)
中吉のおみくじ結びお神酒飲む★★★
診断順待つ間の部屋の寒さかな★★★

1月27日(4名)

小口泰與
マフラーやへら浮子店を明るくす(原句)
マフラー巻きへら浮子明るき店におり★★★★(正子添削例)
元の句は、「マフラー」と「「へら浮子店を明るくす」が単にくっつけられているだけです。

寒影や狭軌の尾灯足尾線★★★
枝折戸を押すや逃げ散る寒雀★★★

多田有花
山芋と大根入れて牡丹鍋★★★
食材はすべて丹波の牡丹鍋★★★★
牡丹鍋最後は半熟卵飯★★★

桑本栄太郎
<山口へ新幹線にて冬の旅>
着ぶくれて新幹線の待合室★★★★
新幹線”のぞみ”は西へ日脚伸ぶ★★★
稜線の冬木透きたり青き空★★★

廣田洋一
ハモニカで大合唱や新年会★★★
駅前の青き空より風花す★★★★
駅前の少し広い青空から、風花が舞う。風花の儚さと美しさが目に見える。(高橋正子)
風花や裸木の先明るくす★★★★

1月26日(3名)

小口泰與
大木の怨霊の声虎落笛
大木の声すざましや虎落笛★★★(正子添削)
「虎落笛」に「怨霊の声」を重ねると言い過ぎの感じがします。

白鳥のこうこうと鳴く夕まぐれ★★★

赤城より冷気とどくや凍豆腐★★★★
凍豆腐は、家庭では、水を切った豆腐を夜は氷点下にもなる戸外に吊るして作る。赤城からの冷気に美味しい凍豆腐が出来上がる。厳しい寒さを利用し、工夫して人は生活している。(高橋正子)

多田有花
菊炭を熾し今宵の鍋かける★★★
炉話の弾むあんなことこんなこと★★★
炭熾り時にぱちんと弾けたり★★★★
炭火が燃える様子は、見ていて飽きない。炭火が熾って、時にぱちんと弾ける。ぷんと炭の匂いがする。どんな具合のときに弾けるのか知らないが、炭火も時に小さな声を出している。とてもいい時間がある。(高橋正子)

廣田洋一
ふうふうと息かけ飲むはホットレモン(原句)
「飲むは」の「は」は、「限定」の意味がありますので、限定しないで、さらりと詠むのがよいです。
ふうふうと息をかけ飲むホットレモン★★★★(正子添削)

ステーキに刃を入れ赤きホットワイン★★★

仕事終えまずは一杯ホットウイスキー(原句)
「まずは一杯」が散文的なので、直しました。
仕事終えまず一杯のホットウイスキー★★★

1月25日(3名)

多田有花
<北摂妙見山登山三句>
傷みつつ寒晴へ立つぶなの木々★★★★
「傷みつつ」は具体的にどのような状態かな、と思う。ぶなは落葉するが、枯れた葉が落ちないで枝に付いたままのもある。そんな木々のことだろうか。ぶなの大木は寒晴の空へと傷みつつも毅然と立っている。そんな姿に心を打たれた。(高橋正子)

府県境またぎ真冬の霊場へ★★★
春近き尾根の日差しの中歩く★★★

小口泰與
さなぎだに隠れ沼(ぬ)さびし浮寝鳥★★★
雪浅間あおぎ爽だつ朝かな★★★★
撒き餌にまず偵察の寒雀★★★

廣田洋一
丹沢の風吹き下ろす冬田かな★★★
ともかくも休むにしかず冬田かな★★★

ぽつぽっと草生え出ずる冬田道★★★★
冬田道を歩き、ふと足元をみると、「ぽつぽつと」緑の草が生えている。枯草の中のささやかな緑にうれしい気持ちになる。(高橋正子)

1月24日(3名)

小口泰與
白鳥の翔つ声聴けり夕まぐれ★★★
寒雀撒き餌あること悟りいる★★★
寒中の利根川を見て水に触れ★★★

多田有花
<北摂妙見山登山三句>
春を待つ櫟林を登りゆく★★★★
櫟林の空は、寒中とは言え、空の光は意外にも強くあかるくなっている。そこを登れば、待春の思いになる。(高橋正子)

登り来て山茶花の並木に会う★★★
寒晴や六甲山から淡路まで★★★

廣田洋一
雪掻きのシャベル立てかけ庭の隅(原句)
雪掻きのシャベル立てあり庭の隅★★★★(正子添削)
元の句は間違いではありませんが、写生句として添削しました。

玄関と道路を繋ぐ雪掻きす★★★
点々と雪掻かぬ店シャッター街★★★

1月23日(5名)

小口泰與
息白し神と仏の居りし部屋★★★★
民家で客間として使われる部屋には、仏壇があり、神棚が祀られていることがある。私の生家もそうであったが、朝などは、火もまだ入れず、畳も冷たかった。家の中ながら吐く息も白い。神仏の部屋の緊張感が伝わる。(高橋正子)

雪浅間色定まれる朝かな★★★
定めなき利根の流れや冬銀河★★★

廣田洋一
パンパンと音の乾きし干布団(原句)
干布団バンバン叩けば乾きし音★★★(正子添削)

音聞きて吾も叩きし干布団★★★

冬の香を日の香に変えし干布団(原句)
干布団日の香ふくむを取り込めり★★★★(正子添削)
もとの句の「冬の香」が具体的に分かりにくいです。

多田有花
寄れば香に触れるが如し寒の梅★★★★
ぽつぽつと咲き始めた寒中の梅であるが、近寄れば、いい匂い。香りに触れる感じがする。寒中の貴重な香りだ。(高橋正子)

くつくつと鍋煮える音寒満月★★★
テニスするコートへ寒月昇り来る★★★

古田敬二
風花や我が青春のキャンパスに★★★
風花とみえしばかりに風に消え★★★★
風花は、遠方の山岳付近に風雪が起き、それが上層の強風に乗って風下にひらいする現象といわれる。晴れていながら雪片が舞う。その風花が舞うのが見えたと思うと、もう、風に消えている。はかなく、美しいものの一つだ。(高橋正子)

風花やメタセコイアの空を指す★★★

桑本栄太郎
椅子に掛け股引き穿きぬ朝かな★★★
メロディーの報らす濯ぎや日脚伸ぶ★★★★
西空の蒼に茜や寒の暮れ★★★

1月22日(4名)

多田有花
<北摂妙見山登山三句>
山眠るケーブルカーは運休す★★★
眠る山に入りて男ら作業中★★★★
炭焼窯跡を包みし冬陽かな★★★

廣田洋一
あちこちで雪見の誘ひ冬深し(原句)
あちこちの雪見の誘ひもらいけり★★★★(正子添削)
「雪見」と「冬深し」は季重なりです。季を重ねるときは、慎重に、推敲をよくしてからにしたいです。

朝焼けの雲の一筋冬深し★★★

冬深し首を垂れたる庭の葱(原句)
庭畑の朝の葱の葉どれも折れ(正子添削例)
「葱」は冬の季語で、「冬深し」と季重なりです。葱の状態をよく詠むことで「冬深し」を表現したいところです。添削例は、時間を詠みこむことで、幾分冬の厳しさが出るのではないかと思います。(高橋正子)

小口泰與
厳寒の梢(ウレ)より落つる寒雀★★★
赤城嶺のながき裾野や日脚のぶ★★★

風音の裾野にあふる枯芒(原句)
風音の裾野にあふれ枯芒★★★★(正子添削)
もとの句は、「あふる」と終止形になっていて、「枯芒」と、切れ過ぎています。切れは、不即不離の関係で収めます。

古田敬二
大地よりありったけ力大根抜く(原句)
大根抜くありったけの力もて★★★★(正子添削)
もとの句は、「ありったけ力」と舌足らずな表現になっています。「大地」は省きました。(高橋正子)
大根を抜くには、大根が太くよく育っていれば育っているほど抜く力がいる。大根引きは、人間との力比べだ。(高橋正子)

伊吹からの風受け独り大根抜く★★★
補聴器に風音立てり大根抜く★★★★

1月21日(5名)

多田有花
湯たんぽに引き止められし寝床かな★★★
大寒の木々に差す陽の力増す★★★★
「陽の力増す」に実感がある。大寒で寒さは厳しいが、日差しは、明るく、力強ささえ感じる。(高橋正子)

自転車の青年寒の頂に★★★

小口泰與
冬深し堂の柱の黒光り★★★★
堂の冷え冷えとした中に堂々とした柱が黒光りしている。それを見ると、今こそ「冬深し」なのだと感じる。(高橋正子)

褐色の利根の流れや冬深む★★★
寂寞の谷川岳や寒厳し★★★

廣田洋一
ポッケにて悴む指をもみほぐす(原句)
ポケットに悴む指をもみほぐす★★★(正子添削)

悴みて歯医者の扉開けにけり★★★
悴みし手にて抱へし湯呑かな★★★

桑本栄太郎
大寒の口ひげ立つと覚えけり★★★★
北山の今朝は見えざり冬の雨★★★
久女忌の水色空や雲の間に★★★

古田敬二
我が寝屋の中天高く冬の月★★★★
冬月が中天高くのぼり、月の光に照らされている我が寝屋。寒いながら、静かな眠りが保証される。(高橋正子)

蝋梅の淡き香りや庭の隅★★★
冬目高暖かければ餌に浮き★★★

自由な投句箱/1月11日~20日(2019年)


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主宰:高橋正子・管理:高橋信之

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◆俳句日記/高橋正子◆
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今日の秀句/1月11日~20日


1月20日(2句)

<大和三山ハイキング>
★耳成山目指し枯田をまっすぐに/多田有花
大和三山の一つ、耳成山。そこに見えているからこそ枯田をまっすぐに行く。耳成山が親しく近づいている。(高橋正子)

★寒満月上りて西は寒茜/廣田洋一
「寒満月」と「寒茜」と季語が二つあるが、この句では、東に「寒満月」、西に「寒茜」と対比させ、その引き合う力強さ、月と太陽の力を感じさせている思い切った句だ。(高橋正子)

1月19日(2句)

★山風の冴ゆる朝や山迫る/小口泰與
山風が冴える朝、山が迫力をもって、まるで大男かのように迫ってくる。朝の寒風の厳しさを身をもって体感した句。(高橋正子)

★大河なる湾処に来たり鴨の陣/桑本栄太郎
大河の湾処。大河なるがゆえに鴨も陣となってやって来た。大河の懐に抱かれるような鴨の陣だ。(高橋正子)

1月18日(2句)

★雪浅間仰ぎふかぶか深呼吸/小口泰與
雪の浅間山を仰ぐ。雪山の大きな存在に、自然に大きく、ふかぶかと深呼吸をした。雪の浅間山からの冷気が肺深くまでを晒し、きれいにしてくれるようだ。(高橋正子)

★乳母車の先をあゆみて日脚伸ぶ/桑本栄太郎
乳母車より先を歩む。乳母車をどこか気にして歩いているのだろうが、日脚が伸びた明るさに乳母車の親子
も作者も日差しの明るさを楽しんでいる。(高橋正子)

1月17日(2句)

★一月の飛鳥に残る藁山よ/多田有花
一月の飛鳥は、蕭条と枯れているのであろう。藁山が残っている。藁山は藁塚(にお)等ともよばれるが、稲藁を田圃に棒杭などを積んだものである。寒々とした田にやや傾いていたり、寄り合うようになっていたり、人や人家を思わせたり、風情のあるものだ。(高橋正子)

★寒晴やビニールハウスの開けらるる/桑本栄太郎
寒さを遮ってビニールハウスでは、いろいろな野菜や花、果実などが育てられる。寒晴の一日は、ビニールハウスを開けて中が蒸れないようにする。寒中にあって、それほど気持ちよいいい天気なのだ。(高橋正子)

1月16日(2句)

★寒月の光を肩に帰り道/廣田洋一
「寒月の光を肩に」の「肩に」がいい。肩に射す月光を感じ取っている実感が伝わってくる句だ。(高橋正子)

★本薬師寺跡に咲きおり水仙花/多田有花
本薬師寺跡は、今は跡地には金堂の礎石や東西両塔の上壇、塔の心礎などが残されていて、その背景には畝傍山(うねびやま)が望めるという。天武天皇の発願による官寺跡だけあって、水仙が咲けば、いかにもという気品が伺える(高橋正子)

1月15日(2句)

★青空に咲いて寒九の紅梅は/多田有花
寒九の寒さのなかにも紅梅が鮮やかに咲いて目を楽しませてくれる。その上に青空の青が紅梅を印象付けている。すっきりとした句だ。(高橋正子)

★小豆炊く湯気の吹き出す小正月/廣田洋一
小正月には、ぜんざいをいただく風習があるが、この句はそのために小豆を炊いているのであろう。「湯気の吹き出す」がリアルで、いかにも小正月らしい。いい生活句だ。(高橋正子)

1月14日(2句)

★あけぼのの梢取り合う寒雀/小口泰與
あけぼのの頃から寒雀は元気。梢をじゃれ合うように取り合っている。寒雀の元気で、可愛い姿が見える句。(高橋正子)

★七種の青の若さを頂きぬ/廣田洋一
「青の若さ」によって句が新しくなっている。頂いた作者も若返った思いだろう。(高橋正子)

1月13日(2句)

★寒卵だけの昼餉や息災に/廣田洋一
おそらく一人居の昼食であろうが、清らかな寒卵を大切に、昼食とし、息災である生活がいい。(高橋正子)

★水仙を線路の土手に仰ぎけり/桑本栄太郎
電車の乗って土手上を見上げると水仙が咲いている。思いがけなく水仙の咲く景色に出会ったささやかな喜び。少しの楽しみ、少しの嬉しさがいい。(高橋正子)

1月12日(1句)

★探梅や寺から寺へ訪へり/廣田洋一
寺の庭にはよく梅が植えられている。寺の歴史と共にあるような古木もあって、一輪、二輪の梅の香に
すがすがしい気持ちになる。「寺から寺へ」の探梅が、静かな気持ちにさせてくれる。(高橋正子)

1月11日(2句)

★蝋梅や利根の白波尖りける/小口泰與
蝋梅と利根の白波の取り合わせに、一月の寒さが目に見えるように句に詠まれている。寒々とした中にも蝋梅の透き通るような花が希望のように思える。(高橋正子)

★青空に天辺の透き冬木立/桑本栄太郎
冬木立が寒気に張りつめた青空に透ける様子が、きっぱりとして潔い。(高橋正子)

1月11日~20日(2019年)


1月20日(4名)

小口泰與
手袋の指じんじんと痛みけり★★★
凍風や声の飛び散る山上湖★★★
凍山や星を小出しに出しており★★★★

多田有花
<大和三山ハイキング三句>
耳成山目指し枯田をまっすぐに★★★★
大和三山の一つ、耳成山。そこに見えているからこそ枯田をまっすぐに行く。耳成山が親しく近づいている。(高橋正子)

耳成より望む真冬の二上山★★★
寒中のハイキング終えティータイム★★★

廣田洋一
大寒やダウンコートは要らぬとか★★★
寒満月上りて西は寒茜★★★★
「寒満月」と「寒茜」と季語が二つあるが、この句では、東に「寒満月」、西に「寒茜」と対比させ、その引き合う力強さ、月と太陽の力を感じさせている思い切った句だ。(高橋正子)

大寒の葱の白身を測りけり★★★

桑本栄太郎
冬萌の田面の青き車窓かな★★★★
教会へ集う道なり寒紅梅★★★
集いたる雲の黒さや寒雷忌★★★

1月19日(4名)

小口泰與
まみゆる事も果報とや御神渡★★★
白鳥や水面激しく羽を搏つ★★★
山風の冴ゆる朝や山迫る★★★★
山風が冴える朝、山が迫力をもって、まるで大男かのように迫ってくる。朝の寒風の厳しさを身をもって体感した句。(高橋正子)

廣田洋一
寒の川小魚群れて動かざる★★★
冬の川底の石まで澄み通る★★★★
白鷺の一羽佇む冬の川★★★

桑本栄太郎
寒晴やあれもこれもと濯ぎもの★★★
大河なる湾処に来たり鴨の陣★★★★
大河の湾処。大河なるがゆえに鴨も陣となってやって来た。大河の懐に抱かれるような鴨の陣だ。(高橋正子)
天狼や吾に大志のありしころ★★★

多田有花
<大和三山ハイキング三句>
柑橘類植えし家々寒の内★★★
藤原宮跡にたたずみ枯れ広し★★★★
冬枯の宮城跡に野球場★★★

1月18日(4名)

小口泰與
雪浅間仰ぎふかぶか深呼吸★★★★
雪の浅間山を仰ぐ。雪山の大きな存在に、自然に大きく、ふかぶかと深呼吸をした。雪の浅間山からの冷気が肺深くまでを晒し、きれいにしてくれるようだ。(高橋正子)

遠山は富士よ白鳥飛び立ちぬ★★★
富士見ゆやひと筋の日に小白鳥★★★

多田有花
<天岩戸神社>
玉垣の中の真冬の真竹かな★★★★

<天香久山>
畝傍山葛城山もしぐれけり★★★
青鷺が屋根に止まりて冬深し★★★

廣田洋一
新海苔の缶より出して匂ひけり★★★
寒海苔やぱりぱり焼きて握り飯★★★★
寒海苔の磯の香淡き朝餉かな★★★

桑本栄太郎
水色の空が見え居り風花す★★★★

乳母車より先あゆむ日脚伸ぶ(原句)
乳母車の先をあゆみて日脚伸ぶ★★★★
乳母車より先を歩む。乳母車をどこか気にして歩いているのだろうが、日脚が伸びた明るさに乳母車の親子
も作者も日差しの明るさを楽しんでいる。(高橋正子)

下校児の口笛吹くや冬うらら★★★

1月17日(4名)

小口泰與
大樹より精をたまふや虎落笛★★★
蝋梅や日の張りつむる浅間山★★★★
逆光と風をたまわる枯尾花★★★

廣田洋一
日脚伸ぶ行き交ふ車無灯火にて★★★
一時のお茶を楽しみ日脚伸ぶ★★★
公園の子らのかけっこ日脚伸ぶ★★★★

多田有花
<大和三山ハイキング三句>
飛鳥川しぐれて白鷺の立ちぬ★★★
木守柿天香久山の近し★★★

一月の飛鳥に残る藁山よ★★★★
一月の飛鳥は、蕭条と枯れているのであろう。藁山が残っている。藁山は藁塚(にお)等ともよばれるが、稲藁を田圃に棒杭などを積んだものである。寒々とした田にやや傾いていたり、寄り合うようになっていたり、人や人家を思わせたり、風情のあるものだ。(高橋正子)

桑本栄太郎
トースターの目盛を深く寒の朝★★★
バスに乗り日差しまぶしく春近し★★★

寒晴やビニールハウスの開けらるる★★★★
寒さを遮ってビニールハウスでは、いろいろな野菜や花、果実などが育てられる。寒晴の一日は、ビニールハウスを開けて中が蒸れないようにする。寒中にあって、それほど気持ちよいいい天気なのだ。(高橋正子)

1月16日(4名)

小口泰與
清らかな朝日浴びけり雪浅間★★★★
寒暁の榛名の襞の彫深し★★★
冬赤城長き裾野に雲も無し★★★

廣田洋一
雲間より青き光や寒の月★★★
寒月に白々光る駐車場★★★
寒月の光を肩に帰り道★★★★
「寒月の光を肩に」の「肩に」がいい。肩に射す月光を感じ取っている実感が伝わってくる句だ。(高橋正子)

多田有花
<大和三山ハイキング三句>
本薬師寺跡に咲きおり水仙花★★★★
本薬師寺跡は、今は跡地には金堂の礎石や東西両塔の上壇、塔の心礎などが残されていて、その背景には畝傍山(うねびやま)が望めるという。天武天皇の発願による官寺跡だけあって、水仙が咲けば、いかにもという気品が伺える(高橋正子)

振り向けばしぐれておりぬ畝傍山★★★
松の内藤原京の跡歩く★★★

桑本栄太郎
外つ人の祇園小路や冬の雨★★★
冬鷺ののそりのそりと高瀬川★★★
尾ひれつく噂ばなしや女正月★★★

1月15日(3名)

多田有花
青空に咲いて寒九の紅梅は★★★★
寒九の寒さのなかにも紅梅が鮮やかに咲いて目を楽しませてくれる。その上に青空の青が紅梅を印象付けている。すっきりとした句だ。(高橋正子)

日脚伸ぶ頂に影長く伸び★★★
春を待つ沖こそ最も光りけり★★★★

廣田洋一
並びたる車真白き小正月(原句)
並びたる車真白し小正月★★★(正子添削)

小豆炊く湯気の吹き出す小正月★★★★
小正月には、ぜんざいをいただく風習があるが、この句はそのために小豆を炊いているのであろう。「湯気の吹き出す」がリアルで、いかにも小正月らしい。いい生活句だ。(高橋正子)

酒瓶の杜氏は女性小正月★★★

小口泰與
山風や枝に飛びつく寒雀★★★★
上州の虎落笛こそすさまじき★★★
名の木枯る鳥飛び立ちて枝のゆれ★★★

1月14日(4名)

小口泰與
岩に付く霧の落葉や鳥の声
「霧」は、「桐」の間違いですか。

あけぼのの梢取り合う寒雀★★★★
あけぼのの頃から寒雀は元気。梢をじゃれ合うように取り合っている。寒雀の元気で、可愛い姿が見える句。(高橋正子)

からびたる郷の社や寒紅梅★★★

多田有花
<橿原神宮から畝傍山へ三句>
緋鳥鴨と大鷭群れし深田池★★★
寒中の瑞鶴之碑に詣でけり★★★
蝋梅の匂いし若桜友苑★★★

廣田洋一
七種の青の若さを頂きぬ★★★★
「青の若さ」によって句が新しくなっている。頂いた作者も若返った思いだろう。(高橋正子)

寒鯉の甘み広がる洗ひかな★★★
見映え良き特賞用意初句会★★★

桑本栄太郎
寒暁の茜となりぬ放れ雲★★★
朝日さす水面眩しく寒晴るる★★★
雲影の冬田を走る車窓かな★★★★

1月13日(3名)

小口泰與
底冷や長き裾野は雲の中★★★
妻が撒く餌や梢の寒雀★★★★
白雲へ同化の浅間霜冴ゆる★★★

廣田洋一
白玉の大きく見ゆる寒卵★★★
寒卵だけの昼餉や息災に★★★★
おそらく一人居の昼食であろうが、清らかな寒卵を大切に、昼食とし、息災である生活がいい。(高橋正子)

白粥にとろりと流す寒卵★★★

桑本栄太郎
冬川の浅き流れや鳥の声★★★
乗換えの日差しまぶしき寒の晴れ★★★

水仙を線路の土手に仰ぎけり★★★★
電車の乗って土手上を見上げると水仙が咲いている。思いがけなく水仙の咲く景色に出会ったささやかな喜び。少しの楽しみ、少しの嬉しさがいい。(高橋正子)

1月12日(4名)

多田有花
失せやすき一月の日々確実に★★★
寒暁に起きだし山に向かいけり★★★★
寒烏ねぐらに目覚め鳴き初めし★★★

小口泰與
冬ざれや雀のあさる庭の隅★★★
かあかあと何を望むや寒鴉★★★
野ざらしの手押し車や空っ風★★★

廣田洋一
探梅や寺から寺へ訪へり★★★★
寺の庭にはよく梅が植えられている。寺の歴史と共にあるような古木もあって、一輪、二輪の梅の香に
すがすがしい気持ちになる。「寺から寺へ」の探梅が、静かな気持ちにさせてくれる。(高橋正子)

二の丸三の丸と過ぐ探梅行★★★
探梅の一輪見付けまた一輪★★★

桑本栄太郎
寒禽の枝のみ揺るる朝かな★★★★
天辺の高き梢や冬木立★★★
おもむろに嶺に育つや寒の月★★★

1月11日(4名)

多田有花
爆音が落葉の山を走る走る★★★
増位山今日も落葉を踏みゆかん★★★
ねぎ白菜求め今夜は鍋料理★★★

小口泰與
蝋梅や利根の白波尖りける★★★★
蝋梅と利根の白波の取り合わせに、一月の寒さが目に見えるように句に詠まれている。寒々とした中にも蝋梅の透き通るような花が希望のように思える。(高橋正子)

猟銃音白鳥翔ちてそれっきり★★★
逆光と風に煽らる枯尾花★★★

廣田洋一
朝稽古終へたる子らや鏡開★★★★
大鍋に湯気立つ小豆鏡開★★★
稽古終へ鏡開きの神事かな★★★

桑本栄太郎
川中に一羽孤高や冬の鷺★★★

天辺の青空に透き冬木立(原句)
青空に天辺の透き冬木立★★★★(正子添削)
「天辺の」は「冬木立」に掛かるので、添削しました。
冬木立が寒気に張りつめた青空に透ける様子が、きっぱりとして潔い。(高橋正子)

山茶花の植込み低く零れけり★★★

自由な投句箱/1月1日~10日(2019年)


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今日の秀句1月1日~10日(2019年)


1月10日(1句)

★北の峰雪化粧している朝/多田有花
きのうと一変した朝の景色、北の峰の雪化粧に、はっきりと目が覚める。雪化粧がもたらす新しい思い。(高橋正子)

1月9日(1句)

★橋の上川べり広き初景色/廣田洋一
いつも通る橋の上から見る川べりの初景色。川には鯉がいたり、鴨が数羽泳いでいたりするところかもしれないが、そうでない川でも、年が改まると、緑も見えて、景色が新しくなる。(高橋正子)

1月8日(1句)

★北の峰雪化粧している朝/多田有花
きのうと一変した朝の景色、北の峰の雪化粧に、はっきりと目が覚める。雪化粧がもたらす新しい思い。(高橋正子)

1月7日(2句)

★小寒の午後の窓辺に鳥の影/多田有花
寒は寒さが極まるときであるが、同時に一番静かな季節であると思う。小寒の午後の窓辺。うららかに鳥の影が映る。その明るい静けさは捨てがたい。(高橋正子)

★竹林の節の白さよ寒に入る/桑本栄太郎
竹林の竹の節が白く際立つ。張りつめた寒気の中の竹節の白さに、今日の寒の入りを思う。(高橋正子)

1月6日(1句)

★裸木や青一色の空の中/多田有花
裸木が真っ青な空に伸び、枝を広げている様子は、全く無駄というものがない。すっきり、はっきりしている。人の気持ちも時には、こうありたいものだ。(高橋正子)

1月5日(3句)

★新春の山新しき靴でゆく/多田有花
新春は、そのままでもちろん、あたらしい。新春の山を歩くのに真新しい靴で行く。新しい靴の匂い、履き心地の快感。それらは、新春をさらに明るくさせてくれる。(高橋正子)

★冬萌や大河の土堤の何処までも/桑本栄太郎
冬萌の緑の鮮やかさ。それは大河の土手のどこまでも続く冬萌えなのだ。その眺めに、どっしりと心が座る気がする。(高橋正子)

★初乗りや窓には空の青ばかり/川名ますみ
今年初めての外出に車に乗る。車窓からは、空の青ばかりが目に入る。外出の嬉しさも手伝ってか、初空の青さに今年の明るさを感じ取った。(高橋正子)

1月4日(1句)

★透き通る朝の冷気や雪浅間/小口泰與
雪の浅間山が透き通る朝の冷気を送ってくる。雪の浅間山からの朝の冷気は、実際触れて見てこそ、「透き通る」感じがするのであろうと思う。(高橋正子)

1月3日(2句)

★三が日きれいに晴れてよき始め/多田有花
三が日が良い天気ならば、この一年、きっとよいことがあるであろうと予感する。「きれいに」の言葉が、素直で、このことを真実にしてくれそうだ。(高橋正子)

★神門をくぐりて仰ぐ淑気かな/廣田洋一
神門をくぐれば、そこより。神域。空も、社の屋根の反りにも、仰げば淑気が満ちている。清々しい新年である。(高橋正子)

1月2日(1句)

★家々はまだ静かなり注連飾り/多田有花
二日の朝。家々はまだ物音もなく、人の動く気配もない。注連飾りは静かに、正月であることをしめしている。句は、二日と限定していないが、この雰囲気は、二日の朝の独特の静けさだ。年期のある句だ。(高橋正子)

1月1日(2句)

★利根川の流れ清らや年始/小口泰與
いつも流れている利根川が、年の始め、あたらしく、清らかになる。そう思う作者がいることで、利根川の流れが、清らかになるのだ。(高橋正子)

★高層ビルの玻璃きらきらと初明かり/廣田洋一
高層ビルの窓の玻璃は、空の光を様々に映す。初明かりに窓がきらきらと輝く。都会の初明かりが瀟洒に捉えれて、新しい。(高橋正子)

1月1日~10日(2019年)


1月10日(4名)

多田有花
北の峰雪化粧している朝★★★★
きのうと一変した朝の景色、北の峰の雪化粧に、はっきりと目が覚める。雪化粧がもたらす新しい思い。(高橋正子)

寒四郎ところどころに青空が★★★
二度寝してすでに明るし寒の朝★★★

廣田洋一
湯豆腐や酒好きの友集まれり★★★
湯豆腐や思ひの外に飲み過ごし★★★★
湯豆腐や友のいつもの自慢話★★★

小口泰與
鉢巻に気風の良さや達磨市★★★
冬草や白波たつる利根瀬尻★★★
てらてらと燃ゆる枯芝鳥の声★★★★

桑本栄太郎
剪定の幹の白さや冬ざるる★★★★
川べりの地道歩めり枯真菰★★★
もうもうと煙たちをり冬の畑★★★

1月9日(4名)

小口泰與
朝日受くるる榛名十峰寒紅梅★★★★
枯枝に十二三羽の雀かな★★★
山風に捻り鉢巻達磨市★★★

多田有花
初打ちのテニスを終えて戻る夜★★★
冬深し稜線の木々空に透け★★★★
会う人にまず新年の挨拶を★★★

廣田洋一
松過ぎて賀状来たれり日の暮れぬ★★★
橋の上川べり広き初景色★★★★
いつも通る橋の上から見る川べりの初景色。川には鯉がいたり、鴨が数羽泳いでいたりするところかもしれないが、そうでない川でも、年が改まると、緑も見えて、景色が新しくなる。(高橋正子)

富士に向かふ一本道や初景色★★★

桑本栄太郎
うなりたる音に目覚めり虎落笛★★★
初雪の里に間なしや嶺の上★★★
寒禽のばさと払いぬ白き枝★★★★

1月8日(4名)

小口泰與
白鳥を迎かふる沼をあけており★★★★
葉牡丹やプールを歩む姥桜★★★
仰ぎたる奇岩の山や葱畑★★★

廣田洋一
寒鯉や石の隙間に静まれり★★★
寒鯉や眼だけ動かす池の底★★★
寒鯉や水面の光つつきけり★★★★

多田有花
はてこれで良きものなるか寒ぬくし★★★
葉牡丹に差す陽日ごとに明るくて★★★★
松の内古き旅行記読み返す★★★

桑本栄太郎
朽野や畑も田んぼも眠り居り★★★★
嶺々のぼんやり見ゆる冬霞★★★
千年の眠りに在りぬ古都の冬★★★

1月7日(4名)

小口泰與
裸木の枝へとけ込む雀かな★★★★
透き通る暁のみ空や冬の月★★★
日と風をたっぷり含む菘かな★★★

多田有花
寒の入夜明け最も遅きころ★★★
小寒の午後の窓辺に鳥の影★★★★
寒は寒さが極まるときであるが、同時に一番静かな季節であると思う。小寒の午後の窓辺。うららかに鳥の影が映る。その明るい静けさは捨てがたい。(高橋正子)

枝先にひとつふたつや寒の梅★★★

廣田洋一
七草の詰め合わせ買ふサラダの如く★★★★
七草をとんとんとんと刻みけり★★★
残飯を七草粥に炊きにけり★★★

桑本栄太郎
竹林の節の白さよ寒に入る★★★★
竹林の竹の節が白く際立つ。張りつめた寒気の中の竹節の白さに、今日の寒の入りを思う。(高橋正子)

天に透く古墳の森や枯木立★★★
冬萌や田毎にせめぐ畦青し★★★

1月6日(4名)

小口泰與
山を分け大河となるや三ツ星座★★★
あけぼのの山迫りけり仏の座★★★★
山風や朝日受けたる冬柏★★★

多田有花
初東風に吹かれて立てり頂に★★★
裸木や青一色の空の中★★★★
裸木が真っ青な空に伸び、枝を広げている様子は、全く無駄というものがない。すっきり、はっきりしている。人の気持ちも時には、こうありたいものだ。(高橋正子)

五日はや売場すっかり日常に★★★

廣田洋一
門柱の紐をほどきて松納★★★
明日よりは仕事に励む松納★★★★
平成の世変わらんとす松納★★★

桑本栄太郎
青空のまつたき空の淑気かな★★★
峰の間の青きけぶりや山はじめ★★★
冬萌や大河に添いて河川畑★★★★

1月5日(5名)

小口泰與
楪や日当りの良き一軒家★★★
寒暁やきりりと在す赤城山★★★
鴉鳴きいよよ暮色の冬木立★★★★

廣田洋一
洗濯機初めて回す五日かな★★★
ヨガ教室再開したり五日かな★★★
仕事始め気合を入れるお神酒かな★★★

多田有花
新春の山新しき靴でゆく★★★★
新春は、そのままでもちろん、あたらしい。新春の山を歩くのに真新しい靴で行く。新しい靴の匂い、履き心地の快感。それらは、新春をさらに明るくさせてくれる。(高橋正子)

干支の絵馬買い求めたる初詣★★★
正月の梅はや咲いている梢★★★★

桑本栄太郎
五日にはパソコン仕事の喫茶店★★★
冬帽のキャッチャー被りの少女かな★★★
冬萌や大河の土堤の何処までも★★★★
冬萌の緑の鮮やかさ。それは大河の土手のどこまでも続く冬萌えなのだ。その眺めに、どっしりと心が座る気がする。(高橋正子)

川名ますみ
天辺の一際蒼し冬夕焼★★★
三日はや風呂の掃除に友来たる★★★
初乗りや窓には空の青ばかり★★★★
今年初めての外出に車に乗る。車窓からは、空の青ばかりが目に入る。出の嬉しさも手伝ってか、初空の青さに今年の明るさを感じ取った。(高橋正子)

1月4日(4名)

小口泰與
山風に負けず雄叫び老の春★★★
あけぼのの三山仰ぐ淑気かな★★★
透き通る朝の冷気や雪浅間★★★★
雪の浅間山が透き通る朝の冷気を送ってくる。雪の浅間山からの朝の冷気は、実際触れて見てこそ、「透き通る」感じがするのであろうと思う。(高橋正子)

多田有花
鍋料理囲んで三が日終わる★★★
生活の音の始まる四日かな★★★★
新暦にありぬ月日の重みかな★★★

廣田洋一
舞ひ来たる木の葉挟みて初氷★★★
流氷の果てを見んとて砕氷船★★★★
氷上の人混み流れ輪となれり★★★

桑本栄太郎
四日早やエンジン始動や駐車場★★★
青空の何処(いずこ)もあおく蒲団干す★★★★
夫婦とも家事忙しき四日かな★★★

1月3日(5名)

多田有花
三が日きれいに晴れてよき始め★★★★
三が日が良い天気ならば、この一年、きっとよいことがあるであろうと予感する。「きれいに」の言葉が、素直で、このことを真実にしてくれそうだ。(高橋正子)

雑煮には丸餅三つと決まりけり★★★
初夢は忘れるもののひとつかな★★★

小口泰與
ライオンの満腹顔や三が日★★★
三日はや赤城は早やも風の神★★★
太初より流れし利根の淑気かな★★★★

廣田洋一
知る人の誰にも会わず初詣★★★
神門をくぐりて仰ぐ淑気かな★★★★
神門をくぐれば、そこより。神域。空も、社の屋根の反りにも、仰げば淑気が満ちている。清々しい新年である。(高橋正子)

朝食はパンに戻れり三日かな★★★

桑本栄太郎
お出ましの陛下御慶の参賀かな★★★
平成の御代を惜しむや参賀人★★★★
娶らざる息子来たりて寝積かな★★★

川名ますみ
いそいそと友来て風呂の初掃除★★★
カーテンを開けヘルパーと初富士を★★★★
応えたり亡き家族への年賀状★★★

1月2日(4名)

小口泰與
あけぼのの浅間仰ぐや年新たな★★★★
艶つやの犬の鼻なりお正月★★★
二日はや掃除機(ルンバ)の動き活発に★★★

多田有花
前山の姿新し初日の出★★★★
新年の挨拶LINEにて届く★★★
家々はまだ静かなり注連飾り★★★★
二日の朝。家々はまだ物音もなく、人の動く気配もない。注連飾りは静かに、正月であることをしめしている。句は、二日と限定していないが二日の朝の独特の静けさだ。年期のある句だ。(高橋正子)

廣田洋一
屋根瓦白く光れる初日かな★★★★
初御空白さくっきり富士の山★★★★
店長が法被で迎へる初荷かな★★★

桑本栄太郎
未明より救急車来る二日かな★★★★
初夢は想い出せずにしまいけり★★★
外つ人の深き眼や淑気満つ★★★

1月1日(5名)

小口泰與
透き通る暁の大気や初浅間★★★
利根川の流れ清らや年始★★★★
いつも流れている利根川が、年の始め、あたらしく、清らかになる。そう思う作者がいることで、利根川の流れが、清らかになるのだ。(高橋正子)

初浅間白き正装しておりぬ★★★

多田有花
有明の峰に差しけり初明り★★★
新年や古き写真をデジタル化★★★
元日の午後より少し風の出て★★★★

廣田洋一
高層ビルの玻璃きらきらと初明かり★★★★
高層ビルの窓の玻璃は、空の光を様々に映す。初明かりに窓がきらきらと輝く。都会の初明かりが瀟洒に捉えれて、新しい。(高橋正子)

窓際の亥の皿光る初明かり★★★★
朝風呂に手足伸ばせば初明かり★★★

桑本栄太郎
新た世の御代ことほぐや大旦★★★
平成の御代を惜しむや初御空★★★★
青空の空まつたきに初明かり★★★

川名ますみ
富士山をビルを包める初御空★★★
初空の光に富士の溶け入りぬ★★★★
折紙のいのしし親子お年賀に★★★

2018年、ご投句ありがとうございました。


2018年も、毎日ご熱心なご投句をありがとうございました。
日々の生活を詠んで、このような精神性の高い句がたくさん生まれたことを、大変うれしく思います。「平凡から離れれば真理から遠ざかる」ということをラジオで耳にしました。利休が好んだ茶碗の、一見なんでもない、平凡な茶碗で、銘を何とかいったか失念しましたが、その茶碗の感想だということでした。気になる言葉でした。

2019年の来年もご投句をよろしくお願いいたします。よい年をお迎えください。
                                     高橋正子