自由な投句箱/12月21日~31日


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今日の秀句/12月21日~31日


12月31日(3句)

★大利根の流れに朝日年送る/小口泰與
利根の流れに朝日が射し、朝日が利根の流れと共に流れ過ぎて行く。「年送る」気持ちが利根の流れと共にある。(高橋正子)

★大晦日暮行く富士を仰ぎけり/廣田洋一
めでたさに一富士・二鷹・三茄と俗に言われるが、洋一さんの生活には富士山が見える生活があるが、大晦日の富士山の暮行く姿を仰ぐと特別の感懐が湧くというものだろう。(高橋正子)

★大歳の嶺の白きや今朝の窓/桑本栄太郎
大歳の今朝の窓の景色が様変わり。嶺に雪が白く積んでいる。いよいよ新年を迎える空気が張りつめてくるようだ。(高橋正子)

12月30日(3句)

★松飾る我が家の灯り灯りけり/廣田洋一
松を飾った我が家に灯り灯り、清らかな静けさに包まれる。新年を迎える人住む家の清らかさいい。(高橋正子)

★妻が撒く日毎の餌や寒雀/小口泰與
妻が撒く餌に毎日やって来る寒雀。寒雀の愛くるしさはもちろんだが、妻のやさしさや少女のような面差しさえもが見えてきてほのぼのとした句だ。(高橋正子)

★北風吹きて空の碧さを授かりぬ/川名ますみ
北風が吹き、雲を吹き払った。寒さが増して、空の碧さが磨かれ、珠のような青空となる。その碧さを授かったと思う心。(高橋正子)

12月29日(2句)

★振り返る旅行の日々や古暦/廣田洋一
一年使った暦をしまうとき、めくりなおしてみると、様々なことを思い出されるが、旅行の日々が特にたのしく思い出される。楽しいことがあった一年は、よき一年としたい気持ち。(高橋正子)

母連れてお墓参りや年の暮/多田有花
老母を連れてのお墓参りは、なによりの親孝行途思う。健やかな母いてのこと。年の暮のお墓参りに一年の安寧を思う。(高橋正子)

12月28日(3句)

★力入れ年行く蕎麦を打ちにけり/小口泰與
年越し蕎麦となる蕎麦であろう。野趣味のある蕎麦は、力をもって打たれるのがいい。

★数え日の山を下れば墓に出て/多田有花
この事実。墓地は山裾にあって、山を下ればそこに墓があり、そこに暮らすひとびとの人家に繋がる。数え日だからこその思いだ。(高橋正子)

★異国語の祇園の路地や風花す/桑本栄太郎
風花の舞う祇園の路地を異国の観光客が行き来する。風花も異国語も寒い祇園にいっそう艶やかにしている。(高橋正子)

12月27日(1句)

★裏白を採る人に会う山路かな/多田有花
年末山路を歩くと、正月用の裏白を採る人に出遭う。それを見ると正月がくるなあと、思う。裏白のさわさわとした音が聞こえそうだ。(高橋正子)

12月26日(1句)

投函を終へて安堵や冬入日/桑本栄太郎
歳晩の済まさなければならない事の一つに御礼状や、賀状を書くことがある。そんな手紙をポストに入れて、冬の入日に迎えば安堵の気持ちが湧く。安堵の気持ちに冬入日が決め手となった。(高橋正子)

12月25日(1句)

★年の瀬の稜線笹に覆われて/多田有花
年の瀬の山はどうなっているのか、興味が湧くが、有花さんが歩いた稜線は笹に覆われていたのだ。生家の父は、年末には山に羊歯や松の枝を取りに出かけたが、わが生家の山も思い出した。落葉の重なる道を挟むような笹の稜線。笹音もその風景は私も好きだ。(高橋正子)

12月24日(2句)

★雨上がり雲かき分けて冬満月/廣田洋一
冬の雨があがり、雲をかき分けてのぼる満月。寒さも寒さ。洗われたような冬満月の光がきれいだ。(高橋正子)

★青空の高き梢や枯木立/桑本栄太郎
枯木立が聳え、青空に梢がレース模様のようにくきりと見える。高き梢の先々まで、瑞々しい命が届いている。(高橋正子)

12月23日(2句)

★雨の中梢(うれ)より立たぬ寒雀/小口泰與
雨の中、濡れながらもじっと梢に止まったままの寒雀。シルエットのようになって、じっと耐えている寒すずめに心寄せた句。(高橋正子)

★水脈長く左右に曳けり鴨の群/桑本栄太郎
鴨の群が寒さにも拘わらず、水脈を左右にのびのびと曳いて泳いでいる。それぞれが泳ぐ水脈が交差し、水面はにぎやかである。(高橋正子)

12月22日(3句)

★朝風呂や柚子二つ入れ浸かりけり/廣田洋一
柚子二つが面白い。家庭の柚子湯なら二つで必要十分。柚子湯の朝風呂が粋でさわやか。(高橋あmさ子)

★裸木にくっきりと啄木鳥の影/多田有花
啄木鳥は意外にも小さい鳥だが、止まり方といい、特徴ある鳥だ。裸木にその正体を透かしている。それを見つけた驚きと楽しさ。(高橋正子)

★青畝忌の植えたるように田のみどり/桑本栄太郎
植えたるような田のみどりは、ひつじ田のみどりだろう。青畝忌はその「青畝」の号のごとき、田のみどりがさわさわと育っている。(高橋正子)

12月21日(1句)

★一条の日矢の的なり浮寝鳥/小口泰與
水面に浮く浮き寝鳥。照り陰りに浮寝鳥も照ったり曇ったり。今は一条の日矢が射して、浮寝鳥の羽の色、その寝姿がくっきりと浮かび上がった。「日矢」なので「的」なのだ。(高橋正子)

12月21日~31日


12月31日(4名)

小口泰與
大利根の流れに朝日年送る★★★★
利根の流れに朝日が射し、朝日が利根の流れと共に流れ過ぎて行く。「年送る」気持ちが利根の流れと共にある。(高橋正子)

あおあおと年越す赤城風もなし★★★
大利根の瀬尻瀬頭年歩む★★★

多田有花
過ぎし日のアルバム整理大晦日★★★
写真とはすべて過去なり大晦日★★★
大歳や記憶ばかりが鮮やかに★★★

廣田洋一
大晦日暮行く富士を仰ぎけり★★★★
めでたさに一富士・二鷹・三茄と俗に言われるが、洋一さんの生活には富士山が見える生活があるが、大晦日の富士山の暮行く姿を仰ぐと特別の感懐が湧くというものだろう。(高橋正子)

海老天の蕎麦を啜れり大晦日★★★
大年の汗を流せり露天風呂★★★

桑本栄太郎
大歳の嶺の白きや今朝の窓★★★★
大歳の今朝の窓の景色が様変わり。嶺に雪が白く積んでいる。いよいよ新年を迎える空気が張りつめてくるようだ。(高橋正子)

切り上げて散髪へ行く大晦日★★★
しぐるるやフード被りて警備員★★★

12月30日(5名)

廣田洋一
家中を掃き清めしや松飾る★★★
注連を張るお神酒の香り漂へり★★★★

松飾る我が家の灯り灯りけり★★★★
松を飾った我が家に灯り灯り、清らかな静けさに包まれる。新年を迎える人住む家の清らかさいい。(高橋正子)

小口泰與
妻が撒く日毎の餌や寒雀★★★★
妻が撒く餌に毎日やって来る寒雀。寒雀の愛くるしさはもちろんだが、妻のやさしさや少女のような面差しさえもが見えてきてほのぼのとした句だ。(高橋正子)

歳晩やジャクージの泡むくむくと★★★
数え日や酔うて話すは過去の事★★★

多田有花
鉄塔の上の青空年暮るる★★★★
カフェオレに餡パンひとつ年惜しむ★★★
ベランダに差す陽明るし小晦日★★★

桑本栄太郎
カレンダーの一日を残し年迫る★★★
平成の御代の終いや年惜しむ★★★★
準備終え手抜き夕餉や小晦日★★★

川名ますみ
北風吹きて空の碧さを授かりぬ★★★★
北風が吹き、雲を吹き払った。寒さが増して、空の碧さが磨かれ、珠のような青空となる。その碧さを授かったと思う心。(高橋正子)

進むほど静かになりぬ年用意★★★★
小晦日急いて挨拶して別る★★★

12月29日(4名)

廣田洋一
ひととせの禍福あざなふ古暦★★★
振り返る旅行の日々や古暦★★★★
一年使った暦をしまうとき、めくりなおしてみると、様々なことを思い出されるが、旅行の日々が特にたのしく思い出される。楽しいことがあった一年は、よき一年としたい気持ち。(高橋正子)

古暦日めくり締める七福神★★★

小口泰與
パソコンを仕舞て仕事納めかな★★★
大利根に釣する人や年惜しむ★★★★
鯉のえらゆったり動き十二月★★★

多田有花
母連れてお墓参りや年の暮★★★★
老母を連れてのお墓参りは、なによりの親孝行途思う。健やかな母いてのこと。年の暮のお墓参りに一年の安寧を思う。(高橋正子)

北の山終日雪の雲の中★★★
年の瀬のフロントガラス天気雨★★★

桑本栄太郎
数へ日や予定の一つづつ消えて★★★
一つ終へ又想い出す年の暮れ★★★★
年の瀬や駐車スペース無き店舗★★★

12月28日(4名)

小口泰與
数え日や餅つく音もなかりける★★★
力入れ年行く蕎麦を打ちにけり★★★★
年越し蕎麦となる蕎麦であろう。野趣味のある蕎麦は、力をもって打たれるのがいい。

彫り深き赤城の襞や松迎★★★

廣田洋一
濡れティシュー各自に配る仕事納★★★
用済みの書類を捨てて御用納め★★★
掃除機の音の静まり仕事納め★★★★

多田有花
数え日の山を下れば墓に出て★★★★
この事実。墓地は山裾にあって、山を下ればそこに墓があり、そこに暮らすひとびとの人家に繋がる。数え日だからこその思いだ。(高橋正子)

年の瀬の沖輝かしく晴れて★★★
ゆっくりと年惜しみつつ山路ゆく★★★

桑本栄太郎
異国語の祇園の路地や風花す★★★★
風花の舞う祇園の路地を異国の観光客が行き来する。風花も異国語も寒い祇園にいっそう艶やかにしている。(高橋正子)

水仙の香る車内の家路かな★★★★
疼く歯に目覚む朝や寒波来る★★★

12月27日(4名)

廣田洋一
駐輪場少し潰して飾売★★★★
松の枝輪飾り付けて買ひにけり★★★
一つ売り一つ取り出す飾売★★★

小口泰與
濃紺の朝の赤城や枯尾花★★★
仰ぎ見る師走の夜空万華鏡★★★

社会鍋喇叭の音も風に消ゆ(原句)
社会鍋喇叭の音の風に消ゆ★★★★(正子添削)
「も」ではなく、一つに焦点を絞り、はっきり言うのが効果的と思います。句に余情がでます。(高橋正子)

多田有花
産土の社の前に門松立つ★★★
数え日の山に登りて海を見る★★★
裏白を採る人に会う山路かな★★★★
年末山路を歩くと、正月用の裏白を採る人に出遭う。それを見ると正月がくるなあと、思う。裏白のさわさわとした音が聞こえそうだ。(高橋正子)

桑本栄太郎
煤逃げのパチンコ店やご同輩★★★
暮れ泥むビルに入日や冬燈し★★★
喧騒の中の孤独や冬の街★★★★

12月26日(4名)

小口泰與
冬ばらの梢(うれ)に雀や山の風★★★
榛名嶺へ一朶の雲や冬黄葉★★★★
覆いたる牛舎の屋根の落葉かな★★★

廣田洋一
数へ日や米びつの中確かめる★★★
数へ日や正月ねぶた映されし★★★★
数へ日やつい夢を見し宝くじ★★★

桑本栄太郎
投函を終へて安堵や冬入日★★★★
歳晩の済まさなければならない事の一つに御礼状や、賀状を書くことがある。そんな手紙をポストに入れて、冬の入日に迎えば安堵の気持ちが湧く。安堵の気持ちに冬入日が決め手となった。(高橋正子)

うつすらとビルに茜や冬ともし★★★
剪定の瘤となりたる冬木かな★★★

川名ますみ
年の暮郵便受けに葉書増え★★★★
懐かしきひとの夫人へ賀状書く★★★
年の暮泣き出しそうな目は空を★★★

12月25日(5名)

川名ますみ
ヘルパーに夕べの柚子湯気付かれし★★★
散紅葉ひとひら窓にとどまりぬ★★★
持ち寄りし色のにぎやかクリスマス★★★★

小口泰與
噴煙の南へ伸ぶや年惜しむ★★★
撒かれたる餌や梢の寒雀★★★
山風に負けず雄叫び寒鴉★★★

廣田洋一
ケーキ買ひ赤ワイン酌む聖夜かな★★★
ヨガ終へて出でたる街は聖夜かな★★★
天皇の来し方映す聖夜かな★★★★

多田有花
<六甲全山縦走路・終盤三句>
極月の坂登りゆくサイクリスト★★★

年の瀬の稜線笹に覆われて★★★★
年の瀬の山はどうなっているのか、興味が湧くが、有花さんが歩いた稜線は笹に覆われていたのだ。生家の父は、年末には山に羊歯や松の枝を取りに出かけたが、わが生家の山も思い出した。落葉の重なる道を挟むような笹の稜線。笹音もその風景は私も好きだ。(高橋正子)

歳晩の六甲宝塚へ下る★★★

桑本栄太郎
灯芯にあぶら注ぐや蕪村の忌★★★
海鳴りや大鍋掛けて大根炊く★★★
寒柝や夜更けのビルに響きをり★★★★

12月24日(3名)

廣田洋一
雨上がり雲かき分けて冬満月★★★★
冬の雨があがり、雲をかき分けてのぼる満月。寒さも寒さ。洗われたような冬満月の光がきれいだ。()高橋正子)

金星に負けじと照らす冬の月★★★
休日のシャッター街や冬の月★★★

小口泰與
トラックの入庫数多師走かな★★★★
ジ゛ャクージに身体預けて年の暮★★★
数え日やへら浮子ぴくり動きける★★★

桑本栄太郎
青空の高き梢や枯木立★★★★
枯木立が聳え、青空に梢がレース模様のようにくきりと見える。高き梢の先々まで、瑞々しい命が届いている。(高橋正子)

暮れなずむ空にビルあり冬ともし★★★
宵空に星のきらめく聖夜かな★★★

12月23日(4名)

小口泰與
山風や木の葉時雨の九十九折★★★
雨の中梢(うれ)より立たぬ寒雀★★★★
雨の中、濡れながらもじっと梢に止まったままの寒雀。シルエットのようになって、じっと耐えている寒すずめに心寄せた句。(高橋正子)

冬の蜂丸くかたまり山の風★★★

廣田洋一
んの付く野菜数へる冬至の餉★★★
雨止まず日の入り見えぬ冬至かな★★★★
譲位する帝の涙か冬の雨★★★

多田有花
金物と紙に分別古暦★★★
歳末の六甲山を歩きけり★★★
山下りて播磨の魚で忘年会★★★★

桑本栄太郎
底冷や家具のみしみし軋み居り★★★
海鳴りや大鍋かけて大根炊く★★★

水脈長く左右に曳けり鴨の群★★★★
鴨の群が寒さにも拘わらず、水脈を左右にのびのびと曳いて泳いでいる。それぞれが泳ぐ水脈が交差し、水面はにぎやかである。(高橋正子)

12月22日(5名)

小口泰與
朗々と老師の読経寒牡丹★★★
日と風の育てる郷の掛大根★★★★
開かんとして固まりし冬のばら★★★

廣田洋一
朝風呂や柚子二つ入れ浸かりけり★★★★
柚子二つが面白い。家庭の柚子湯なら二つで必要十分。柚子湯の朝風呂が粋でさわやか。(高橋あmさ子)

柚子湯して柚子を絞れる独りかな★★★
柚子の香のふわりと満ちし湯殿かな★★★★

多田有花
まだ暗き冬至の朝へ起きだしぬ★★★
雨あがる冬至の山を歩きけり★★★★

裸木にくっきりと啄木鳥の影★★★★
啄木鳥は意外にも小さい鳥だが、止まり方といい、特徴ある鳥だ。裸木にその正体を透かしている。それを見つけた驚きと楽しさ。(高橋正子)

桑本栄太郎
青畝忌の植えたるように田のみどり★★★★
植えたるような田のみどりは、ひつじ田のみどりだろう。青畝忌はその「青畝」の号のごとき、田のみどりがさわさわと育っている。(高橋正子)

柚子の実とブリキ玩具や冬至の湯★★★★
身を放つ吾に寄り来る柚子湯かな★★★

川名ますみ
冬至風呂突つけば柚子のよく回り★★★
湯の中に気づけば柚子の寄り来たる★★★★
風呂出るも柚子を片付けかねており★★★

12月21日(4名)

小口泰與
一条の日矢の的なり浮寝鳥★★★★
水面に浮く浮き寝鳥。照り陰りに浮寝鳥も照ったり曇ったり。今は一条の日矢が射して、浮寝鳥の羽の色、その寝姿がくっきりと浮かび上がった。「日矢」なので「的」なのだ。(高橋正子)

寒蜆母の在所の味したり★★★
一筋の光の帯や浮寝★★★

廣田洋一
神楽終へ天の鈿女は婆となり★★★★
緋の袴あでやかに舞ふ巫女神楽★★★
稲わらの大蛇坐ませり神楽殿★★★

桑本栄太郎
海鳴りの遠くに聞こゆ懸け大根★★★★
冬日さす壁打ちコートや音弾む★★★
採り跡の葉つぱ襤褸や冬菜畑★★★

多田有花
枯蓮や池に溢れる日の光★★★★
冬の陽を背に頂に立ちぬ★★★
上着脱ぐ播磨灘には冬霞★★★

自由な投句箱/12月11日~20日


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主宰:高橋正子・管理:高橋信之

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今日の秀句/12月11日~20日


12月20日(2句)

★裸木の彼方に鉄骨の透けて/多田有花
裸木自体、鉄骨のように見えないでもないが、そのすっきりと葉を落とした裸木を透かして建設中のたてものであろうか、鉄骨が見える。裸木と鉄骨の取り合わせが愉快だ。(高橋正子)

★一枚の皿の孤食や石鼎忌/桑本栄太郎
12月20日は、原石鼎の忌日。島根県の医家に生まれる。作者栄太郎さんの故郷は、山陰鳥取。同じ参院の生まれで、孤独の影を持つ原石鼎に、今日の一枚の皿に食事に身を重ねて思った。単に妻の留守だったのかもしれないが。(高橋正子)

12月19日(1句)

★青々と笊に干したり葱洗ふ/桑本栄太郎
葱は九条葱などの葉を主に食べる葉葱であろう。冷たい水で洗われた葱は清冽というほど青々といきいきしている。笊にあげられ、水を切られるところだ。(高橋正子)

12月18日(2句)

★午後の日の五色の彩や沼の冬/小口泰與
午後の日差しに色を変える沼の水。午後の日差しの変化を沼の水に見た良さ。五色沼というのもあるが、それでなくても、冬の沼は日差しに色を変えやすい。(高橋正子)

★家々の壁薔薇色に冬落睴/多田有花
冬落暉の明るさに、家々の壁が幸せそうに薔薇色に染まる。瀬戸内の夕暮が、明るく詠まれて幸福感に満たされる句だ。(高橋正子)

12月17日(1句)

★冬山路明るき色で走る人/多田有花
冬は色が少なくなるとき。そんな冬の山路を明るい、原色のような色で走る人に出会うと、気持ちがぱっと華やぐ。(高橋正子)

12月16日(2句)

★瀬戸内や冬青空を友として/多田有花
瀬戸内に日々暮らし、日々瀬戸内海を見て暮らした私には晴れた日が多い瀬戸内は、その身になってみれば、冬青空を友としては、実感できること。それを見事に言った有花さんには、感服。(高橋正子)

★せせらぎにせり出し水に実南天/桑本栄太郎
南天の実が赤く熟れている。伸び放題の南天が水にせり出して、中には水に浸っているものがある。水に浸かる南天の赤い実のきれいなこと。水と南天の取り合わせの妙。(高橋正子)

12月15日(1句)

★座してすぐ灯火に染まり年忘/小口泰與
朋友や仕事仲間が集まって、今年の労を忘れ、無事を祝う年忘。用意された座に座ると、すぐに灯火にそまるように馴染み、心落ち着く。華やいだ灯火に染まる身に、今年の無事が思われる。(高橋正子)

12月14日(2句)

★水仙や思ひ出したる海の音/廣田洋一
水仙を見ていて、ふと海の音を思い出した。海の近くの水仙では、越前海岸の水仙が有名だが、そのようなところの水仙であろう。海の音を思い出すと同時にかつて見た水仙郷が思いされたのだ。水仙と海の音の取り合わせが清らかだ。(高橋正子)

★茹でものを待つて窓辺や冬の月/桑本栄太郎
台所で茹でている。茹で上がるまで、火の傍を離れるわけにはいかない。台所の窓辺からは冬の月が輝いているのが見える。厨仕事のあいだも、冬の月を楽しむ心がゆかしい。(高橋正子)

12月13日(1句)

★金色の星の瞬く聖樹かな/廣田洋一
聖樹に飾られた星。金色に瞬く星によって、聖樹がいきいきとして、金の星は、本当にベツレヘムの星となるようだ。(高橋正子)

12月12日(3句)

★あけぼのの障子明りに鳥の声/小口泰與
あけぼのの障子の明かりは、白の美しさを極めていると思える。ぴんと張った障子に冷気が迫り、あけぼのの光が透ける。耳には鳥の声。春でなくとも、冬のあけぼのも貴重なときである。(高橋正子)

★空仰ぎ日を吸ふ花や寒椿/廣田洋一
寒椿は花が平らで、空を仰いでいるようだ。その花の咲くままに日が当たり、日を吸い込んでいるようだ。日を吸った花が暖かい色に咲くのも道理だ。(高橋正子)

★柚子の実のたわわに黄なり山の畑/桑本栄太郎
山の畑に柚子の実がたわわ。その黄色がさびしい山の畑を明るくしている。見慣れて、一見平凡なような風景なのだが、平凡で、当たり前のような風景の良さがしずかに伝わってくる心惹かれる句だ。(高橋正子)

12月11日(2句)

★山茶花の散るほどにまた咲き続く/多田有花
山茶花の花は賑やかと思うほどに咲く。散るとそれ以上に花を咲かせているようにも見える。花の盛りの山茶花が詠まれた。(高橋正子)

★日本海の匂ふが如き鰤の背/廣田洋一
鰤一本の背の光が鋭い。日本海の海の匂いがしているかのようだ。鰤の美味な時がきて、刺身、鰤大根、照り焼きなど食の楽しみも広がる。それを思えば活きのいい鰤が日本海から釣り上げられた様子も目に浮かぶというもの。(高橋正子)

12月11日~20日


12月20(4名)

小口泰與
目配せで知らす縁先寒雀★★★
越後へと車の列や十二月★★★★
背伸びして偵察顔や寒雀★★★

多田有花
冬の雨はや街灯の点りおり★★★

裸木の彼方に鉄骨の透けて★★★★
裸木自体、鉄骨のように見えないでもないが、そのすっきりと葉を落とした裸木を透かして建設中のたてものであろうか、鉄骨が見える。裸木と鉄骨の取り合わせが愉快だ。(高橋正子)

昼の雨洗われて咲く山茶花よ★★★

桑本栄太郎
青々と畝のつづくや冬菜畑★★★
枯蔓の畑にのこりぬ支柱かな★★★

一枚の皿の孤食や石鼎忌★★★★
12月20日は、原石鼎の忌日。島根県の医家に生まれる。作者栄太郎さんの故郷は、山陰鳥取。同じ参院の生まれで、孤独の影を持つ原石鼎に、今日の一枚の皿に食事に身を重ねて思った。単に妻の留守だったのかもしれないが。(高橋正子)

廣田洋一
休耕の畑の合間に冬菜畑★★★★
狭き庭形ばかりの冬菜畑★★★
月上り夕焼け残る冬菜畑★★★

12月19(4名)

小口泰與
沼の面の彩を分け行く真鴨かな★★★★

泳跡の色の違えし冬の沼(原句)
泳跡の色を違えて冬の沼★★★(正子添削)

神官の居らぬ社や寒鴉★★★

多田有花
イヤーマフしてパソコンに向かいおり★★★
玄関に飾られ籐の聖樹かな★★★
肉球の滑り止めなり手袋に★★★

廣田洋一
改札前手袋の右落ちてをり★★★★
スマホ用指先開く手袋す★★★
手袋外してかざすスイカかな★★★

桑本栄太郎
注連飾り並ぶイオンや入口に★★★
青々と笊に干したり葱洗ふ★★★★
葱は九条葱などの葉を主に食べる葉葱であろう。冷たい水で洗われた葱は清冽というほど青々といきいきしている。笊にあげられ、水を切られるところだ。(高橋正子)

”ご無沙汰”と決まり文句や賀状書く★★★

12月18(4名)

小口泰與
電飾の湖や小犬は着ぶくれて★★★
午後の日の五色の彩や沼の冬★★★★
午後の日差しに色を変える沼の水。午後の日差しの変化を沼の水に見た良さ。五色沼というのもあるが、それでなくても、冬の沼は日差しに色を変えやすい。(高橋正子)

沼の面を飾る五彩や浮寝鳥★★★

多田有花
家々の壁薔薇色に冬落睴★★★★
冬落暉の明るさに、家々の壁が幸せそうに薔薇色に染まる。瀬戸内の夕暮が、明るく詠まれて幸福感に満たされる句だ。(高橋正子)

玄関に冬陽を入れて掃除する★★★
短日や急ぎ取り込む干し物を★★★

廣田洋一
熱燗はこれに限ると九谷焼★★★★
差し向かひちびりちびりと燗の酒★★★
とろ刺身冷えたる舌に燗の酒★★★

桑本栄太郎
中州よりはるか下流や冬の靄★★★
どどどどと冬の入日へ新幹線★★★★
ご無沙汰といつもの措辞や賀状書く★★★

12月17(4名)

小口泰與
浅間山雪定まりてさだかなり★★★
ラガー等の泥塗れなり利根河原★★★★
平成の終り近しや息白し★★★

多田有花
冬山路明るき色で走る人★★★★
冬は色が少なくなるとき。そんな冬の山路を明るい、原色のような色で走る人に出会うと、気持ちがぱっと華やぐ。(高橋正子)

落葉焚く煙の見えし山家かな★★★
冬の雨降りだす山を歩きけり★★★

廣田洋一
着ぶくれや懐薄き長財布★★★
着ぶくれて三人掛けに浅く掛け★★★★
着ぶくれて見えなくなりぬ二重顎★★★

桑本栄太郎
青々と畝の盛りや冬菜畑★★★★
水色の空の彼方やしぐれ雲★★★
主を望む待降節の祈りかな★★★

12月16日(4名)

小口泰與
落葉踏む定かな音や我と犬★★★★
鉢巻の男が囲む焚火かな★★★
漆黒の赤城山より冬の雨★★★

廣田洋一
あかぎれやワセリン塗りし幼き日★★★★
あかぎれのお湯も沁みこむ痛さかな★★★
水仕事終えては塗りし皸薬★★★

多田有花
山上の池に積もりし落葉かな★★★
トレーニングする少年ら冬の坂★★★

瀬戸内や冬青空を友として★★★★
瀬戸内に日々暮らし、日々瀬戸内海を見て暮らした私には晴れた日が多い瀬戸内は、その身になってみれば、冬青空を友としては、実感できること。それを見事に言った有花さんには、感服。(高橋正子)

桑本栄太郎
松籟や寒風荒ぶ建仁寺★★★
せせらぎにせり出し水に実南天★★★★
南天の実が赤く熟れている。伸び放題の南天が水にせり出して、中には水に浸っているものがある。水に浸かる南天の赤い実のきれいなこと。水と南天の取り合わせの妙。(高橋正子)

乙訓の丘よりはるか冬かすみ★★★

12月15日(4名)

廣田洋一
鋤焼きの締めはうどんの煮込みかな★★★
子と二人鋤焼き鍋のたぎりけり★★★★
鋤焼きや隣の嫁も加はりぬ★★★

多田有花
散りきった落葉の山の木々の影★★★
瀬戸内は青空山茶花の映えて★★★★
車通り過ぎれば落葉舞い踊る★★★

小口泰與
渓谷の秘湯の宿や河豚料理★★★
渓流の闇の波音紅葉鍋★★★

座してすぐ灯火に染まり年忘★★★★
朋友や仕事仲間が集まって、今年の労を忘れ、無事を祝う年忘。用意された座に座ると、すぐに灯火にそまるように馴染み、心落ち着く。華やいだ灯火に染まる身に、今年の無事が思われる。(高橋正子)

桑本栄太郎
入口に注連飾り売るイオンかな★★★
水色の青空ありぬしぐれ雲★★★
子の呉れし花の小さき冬薔薇★★★★

12月14日(4名)

小口泰與
同胞の家の年忌や寒牡丹★★★
凍星や静かなる夜の二人酒★★★
夕暮の赤城流石や空っ風★★★★

多田有花
下りゆく落葉舞い散る歩道橋★★★
レモン背に駅を目指すや冬の暮★★★
冬の日を歩き通してのち晩餐★★★★

廣田洋一
水仙花門の前にて俯けり★★★
一輪はそっぽを向きし水仙花★★★

水仙や思ひ出したる海の音★★★★
水仙を見ていて、ふと海の音を思い出した。海の近くの水仙では、越前海岸の水仙が有名だが、そのようなところの水仙であろう。海の音を思い出すと同時にかつて見た水仙郷が思いされたのだ。水仙と海の音の取り合わせが清らかだ。(高橋正子)

桑本栄太郎
玄関に家人待つ猫底冷す★★★
冴えざえと夕刊取りに宵の外★★★

茹でものを待つて窓辺や冬の月★★★★
台所で茹でている。茹で上がるまで、火の傍を離れるわけにはいかない。台所の窓辺からは冬の月が輝いているのが見える。厨仕事のあいだも、冬の月を楽しむ心がゆかしい。(高橋正子)

12月13日(4名)

小口泰與
鴛鴦や一年ぶりに便り来し★★★
火の山のここは溶岩道枯尾花★★★
渓谷のここに湯宿屋大氷柱★★★★

多田有花
<大阪府民の森ほしだ園地三句>
冬なかば星伝説の地を歩く★★★
冬晴に屹立クライミングウォール★★★
散紅葉見送る星のブランコで★★★★

廣田洋一
金色の星の瞬く聖樹かな★★★★
聖樹に飾られた星。金色に瞬く星によって、聖樹がいきいきとして、金の星は、本当にベツレヘムの星となるようだ。(高橋正子)

冷たき手ポケットに入れなお冷た★★★
底冷えのせりあがり来る厨かな★★★

桑本栄太郎
あおぞらの雲の間やしぐれ雲★★★
歩みゆく比叡颪や京の町★★★
芸舞妓祇園の路地に事はじめ★★★★

12月12日(4名)

★柚子の実のたわわに黄なり山の畑/桑本栄太郎
山の畑に柚子の実がたわわ。その黄色がさびしい山の畑を明るくしている。見慣れて、一見平凡なような風景なのだが、平凡で、当たり前のような風景の良さがしずかに伝わってくる心惹かれる句だ。(高橋正子)

小口泰與
あけぼのの障子明りに鳥の声★★★★
あけぼのの障子の明かりは、白の美しさを極めていると思える。ぴんと張った障子に冷気が迫り、あけぼのの光が透ける。耳には鳥の声。春でなくとも、冬のあけぼのも貴重なときである。(高橋正子)

炬燵より出ぬ老犬のおりにける★★★
老いてなお健脚なるや冬銀河★★★

多田有花
冬枯れの湿性植物園をゆく★★★
暮早し道に迷えばなお早し★★★
<大阪府交野市・磐船神社>
見上げたる巨石を拝す冬の午後★★★★

廣田洋一
濃き緑ふわりと浮きし寒椿★★★
空仰ぎ日を吸ふ花や寒椿★★★★
寒椿は花が平らで、空を仰いでいるようだ。その花の咲くままに日が当たり、日を吸い込んでいるようだ。日を吸った花が暖かい色に咲くのも道理だ。(高橋正子)

寒椿落ちたる庭を彩れり★★★

桑本栄太郎
柚子の実のたわわに黄なり山の畑★★★★
山の畑に柚子の実がたわわ。その黄色がさびしい山の畑を明るくしている。見慣れて、一見平凡なような風景なのだが、平凡で、当たり前のような風景の良さがしずかに伝わってくる心惹かれる句だ。(高橋正子)

鞍馬嶺の峰の明るく片しぐれ★★★
バス道の瘤の目立つや冬木立★★★

12月11日(4名)

小口泰與
祝い日のマグロ解体五十集かな★★★
大根干す無くてはならぬ赤城山★★★★
黒塗りの社の床や冬紅葉★★★

多田有花
<府民の森むろいけ園地三句>
室池や冬青空と雲浮かべ★★★
池の辺に残る紅葉を愛で歩く★★★

山茶花の散るほどにまた咲き続く★★★★
山茶花の花は賑やかと思うほどに咲く。散るとそれ以上に花を咲かせているようにも見える。花の盛りの山茶花が詠まれた。(高橋正子)

廣田洋一
鰤を煮て酒を酌みたる夕べかな★★★
日本海の雪を偲びつ鰤を煮る★★★

日本海の匂ふが如き鰤の背★★★★
鰤一本の背の光が鋭い。日本海の海の匂いがしているかのようだ。鰤の美味な時がきて、刺身、鰤大根、照り焼きなど食の楽しみも広がる。それを思えば活きのいい鰤が日本海から釣り上げられた様子も目に浮かぶというもの。(高橋正子)

桑本栄太郎
風強き川端通りや枯銀杏★★★
冬空の嶺に茜や放れ雲★★★★
しがみつく枯葉下枝にありにけり★★★

自由な投句箱/12月1日~10日


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今日の秀句/12月1日~10日


12月10日(2句)

★丁寧に掃き清められ冬の滝/多田有花
大阪の四条畷の奥の権現滝は、月に一度護摩が焚かれ、信仰の滝となっているようだ。丁寧に掃き清められて、寒さのなかに、すがすがしい緊張感を感じる。(高橋正子)

★菜園の二列ばかりや葱畑/桑本栄太郎
菜園に二列の葱が作る青々とした景色が生き生きとしている。九条葱の庭菜園なのであろう都思うが、ひと冬に家庭が食すには十分な葱。楽しみである。(高橋正子)

12月9日(1句)

★水仙のつぼみほのかに花壇かな/桑本栄太郎
様々な花に混じって花壇に水仙のつぼみが見える。寒さが強くなるにしたがって、水仙は花を開く準備を進めるが、この時期の水仙はまだ「つぼみほのか」なのだ。(高橋正子)

12月8日(1句)

★サイドカー下り来る毛皮婦人かな/小口泰與
六十代の夫婦の乗ったサイドカーか。毛皮を着た婦人が下りてきた。時代を映すような出達に懐かしさも湧く。(高橋正子)

12月7日(2句)

★心地よく初木枯の山をゆく/多田有花
初めて吹いた木枯は、心地よい寒さだったのだろう。「心地よく」が有花さんらしさが出ていて、よい。(高橋正子)

★ヒヤシンス薫り始めて喪の明くる/川名ますみ
一年の喪が明け、ヒヤシンスの花の香りとともに、新しく前へと過ごせることは、人生を美しく生きている証拠ではないだろう。(高橋正子)

12月6日(4句)

★冬山の常に浅間山(あさま)を仰ぎけり/小口泰與
冬山のとなった浅間山を常に仰ぐ。泰與さんはそういう風に暮らしている。冬が来れば、冬の浅間山に眼や心が行くのである。(高橋正子)

★枯葉踏み山に入るこそ楽しけれ/多田有花
山歩きのベテランの有花さんではあるが、枯葉を踏み、枯葉の音を立てて冬の山に入って行く楽しみは、低山の冬山の楽しみなのだろう。私には、山の木々のなかにいると、ほっこりとするような記憶がある。(高橋正子)

★街灯を包むが如き冬の雨/廣田洋一
冬の雨が静かに静かに降る。街灯を包むように。映画のような光景が思い浮かんだ。(高橋正子)

★生駒嶺の遠嶺となりぬ冬の靄/桑本栄太郎
冬の靄が立ちこめて、いつも見えている生駒嶺が遠い嶺となって望める。柔らかな冬の遠望。(高橋正子)

12月5日(2句)

★一軒に一本土産大根抜く/古田敬二
菜園の大根が見事に育った。一軒あたり、一本土産とする。一本の大根はもらった小家族には、うれしい量だろう。「一軒に一本」に温かさと面白さがある。(高橋正子)

★綿虫の虚空無尽や青空に/桑本栄太郎
「青空に」が効いている。最近と綿虫をぜんぜん見ていないが、子供の頃は、よく見た。井上靖の「しろばんば」の小説が思い浮かんだが、綿虫には、なにかしら、日本的なものがあるような気がする。(高橋正子)

12月4日(5句)

★寒林へ夕日差しけり鳥の声/小口泰與
寒林へ差す懐かしいような夕日。そこに鳥の声が聞こえる。鵯など鋭い鳴き声もあるのだろうが、それが却って寒林を奥行あるものにしている。(高橋正子)

★朝刊や霜踏む音の澄み渡る/廣田洋一
霜の朝。冷たく寒い朝ながら、霜を踏んで庭先の新聞受けまで歩く時の「音の澄み渡る」清々しさ。新聞のインクの匂いまでしてきそうなリアル感のあるいい生活句だ。(高橋正子)

 <赤星山登山>
★短日の陽を惜しみつつ稜線を/多田有花
稜線を歩く楽しみは、季節それぞれにあるのだろうが、短日の山の陽も惜しまれるもののひとつ。(高橋正子)

★笹鳴といえど小枝の重く揺れ/桑本栄太郎
チャッチャッという鶯の笹鳴き。もう聞かれるようになった。さぞや小さい鳥で、小枝の揺れも軽いだろうと思いいきや、「重く揺れ」なのだ。鶯の重さが感じ取れるような句だ。(高橋正子)

★石蕗の花海から遠くに咲きにけり/古田敬二
石蕗の花と海の取り合わせに明るいイメージが湧く。石蕗の花に海があれば、どれほどか印象的で明るい花になることだろうか、との思い。(高橋正子)

12月3日(3句)

<赤星山登山>
★登りゆく背中へ冬の光さす/多田有花
冬山の登山。背中に冬の光を浴びながら、明るい登山が伺える。赤星山は1400メートルを越える石鎚山脈につならなる四国の山。(高橋正子)

★天井をはたくは長身煤払い/廣田洋一
煤払いに長身の人はもってこい。その背丈を使って天井をはたくにも余裕がある。なんでもないようだが、ユーモアがある。(高橋正子)

★雪蛍何かし終えて一つ飛ぶ/古田敬二
初冬のどんより曇った日、いろいろ仕事をしてふっと見ると雪蛍がふわっと一つ飛んでいる。アブラムシ科の綿アブラムシとうものだが、初冬らしさを思わせる虫だ。(高橋正子)、

12月2日(2句)

 <赤星山登山>
★最奥の滝も明るし冬の晴/多田有花
明るい瀬戸内の最奥の滝は、冬でも明るい。赤星山は四国の山。話は別だが、愛媛大学の同学年に赤星君と言う人が居ましたが、ここの出身だったと思う。そのころは、なんで赤星なの?と思ってました。(高橋正子)

★冬耕の稲株白く晒しけり/桑本栄太郎
冬田を打ち返す。稲株を掘り起こすと、風に日にさらされて、稲株は白くなって転がる。あんなにしっかり稲を育てた株が枯れて、白くなる。淋しさも。(高橋正子)

12月1日(4句)

★靄流る黙の浅間や枇杷の花/小口泰與
枇杷の花が香り高く匂う。浅間山は、靄に包まれ沈黙を守っている。枇杷の花と沈黙の浅間山の遠近の風景がしずかで柔らかい。(高橋あmさ子)

★吟行の土産はズボンの草虱/古田敬二
吟行に出掛けて家に帰り着けば、知らぬ間にズボンのすそには草虱がたくさんついている。野に出て吟行したよい時間が証明される。(高橋正子)

★湧き上がる歓喜の歌や十二月/廣田洋一
十二月は街のあちこちでべードーベンの第九交響曲の歓喜の歌が歌われ、また流れ、一年が締めくくられる。日本にもすっかり定着した歓喜の歌である。(高橋正子)

<赤星山登山>
★橋いくつも渡り近づく冬の滝/多田有花
冬滝は水量が少なくなったり、凍ることもある。奥へ奥へと橋を渡ってたどり着いた滝はどうどうと水を落としている感じだ。滝に出会うということは、いい個性に出会うようでもある。(高橋正子)

12月1日~10日


12月10日(4名)

廣田洋一
積上げし本見直して年の暮★★★
遂に来たきっぱりと来た冬の朝★★★★
鰤照焼き油控えて焼きにけり★★★

小口泰與
我と犬赤シャツ着たり漱石忌★★★
産土は今宵も風や燗熱く★★★★
木守や榛名十峰朝日差す★★★

多田有花
<生駒山系権現川ハイキングコース三句>
冬晴にあべのハルカスを望む★★★
丁寧に掃き清められ冬の滝★★★★
大坂の四条畷の奥の権現滝は、月に一度護摩が焚かれ、信仰の滝となっているようだ。丁寧に掃き清められて、寒さのなかに、すがすがしい緊張感を感じる。(高橋正子)

仲冬や嵐の名残そこここに★★★

桑本栄太郎
菜園の二列ばかりや葱畑★★★★
菜園に二列の葱が作る青々とした景色が生き生きとしている。九条葱の庭菜園なのであろう都思うが、ひと冬に家庭が食すには十分な葱。楽しみである。(高橋正子)

中州なる石のさざれや水涸るる★★★
寄鍋の酔えばいつしか闇汁に★★★

12月9日(4名)

廣田洋一
茜雲細まり行けり冬の暮★★★
くつきりと稜線伸びる冬の暮★★★★
落葉までころがり走る冬の暮★★★

小口泰與
熱燗や今宵の風の一段と★★★★
コンビニを出づや焼芋ぱっくりと★★★
潮騒の聞こゆ如きや鮟鱇鍋★★★

多田有花
<四条畷神社三句>
冬紅葉小楠公の石段に★★★
桜井の別れの像に散紅葉★★★
楠巨木冬青空へ凛と立つ★★★★

桑本栄太郎
黒猫の眼木蔭や漱石忌★★★
水仙のつぼみほのかに花壇かな★★★★
様々な花に混じって花壇に水仙のつぼみが見える。寒さが強くなるにしたがって、水仙は花を開く準備を進めるが、この時期の水仙はまだ「つぼみほのか」なのだ。(高橋正子)

新駅の高架通過や冬田晴れ★★★

12月8日(3名)

小口泰與
裸木の枝さしかわす空っ風★★★
曙に置鉤あぐるちゃんちゃんこ★★★
サイドカー下り来る毛皮婦人かな★★★★
六十代の夫婦の乗ったサイドカーか。毛皮を着た婦人が下りてきた。時代を映すような出達に懐かしさも湧く。(高橋正子)

廣田洋一
年締める一句を記し日記果つ★★★★
逝きし人出会ひたる人日記果つ★★★
時々の感情見せて日記果つ★★★

桑本栄太郎
太平洋の波浪高きや開戦日★★★
特攻の遺影若きや開戦日★★★
吟行の夢の中なり枯野行く★★★★

12月7日(5名)

廣田洋一
パソコンに数字打ち込む膝毛布★★★
太陽に電気毛布も干しにけり★★★★
山頂に銀色毛布星を撮る(原句)
山頂に銀色毛布着(き)星を撮る★★★★(正子添削)

質問です。「銀色毛布」は、NASAが開発したという災害時などにも活躍するアルミ毛布のことでしょうか。
山頂の寒さを毛布でしのぎながら、夜空の星を撮る。ロマンティックなことのように思える。(高橋正子)

小口泰與
赤城嶺の支えし空や空っ風★★★
夕暮の落葉ささめく峠かな★★★
今宵また盃差し交わす新走り★★★★

多田有花
散る紅葉空の青さを背景に★★★
心地よく初木枯の山をゆく★★★★
初めて吹いた木枯は、心地よい寒さだったのだろう。「心地よく」が有花さんらしさが出ていて、よい。(高橋正子)
木枯に前山装いを終える★★★

桑本栄太郎
嶺の端のほのと茜や冬落暉★★★
大雪の夜となり鉢植え取り込むる★★★★
鉢ものの部屋に同居や寒波来る★★★

川名ますみ
七七忌一周忌また冬日和★★★★
テーブルに紅茶と蕾のヒヤシンス★★★
ヒヤシンス薫り始めて喪の明くる★★★★
一年の喪が明け、ヒヤシンスの花の香りとともに、新しく前へと過ごせることは、人生を美しく生きている証拠ではないだろう。(高橋正子)

12月6日(5名)

小口泰與
枯蘆や赤城の空のささ濁り★★★
冬山の常に浅間山(あさま)を仰ぎけり★★★★
冬山のとなった浅間山を常に仰ぐ。泰與さんはそういう風に暮らしている。冬が来れば、冬の浅間山に眼や心が行くのである。(高橋正子)

何かにつけ浅間山と共にある。

先駆けて天地揺るがす虎落笛★★★

多田有花
日ごと空透けてゆくかな散紅葉★★★
枯葉踏み山に入るこそ楽しけれ★★★★
山歩きのベテランの有花さんではあるが、枯葉を踏み、枯葉の音を立てて冬の山に入って行く楽しみは、低山の冬山の楽しみなのだろう。私には、山の木々のなかにいると、ほっこりとするような記憶がある。(高橋正子)

木枯のなきまま続くぬくき日々★★★

古田敬二
冬の雨きそうで来ぬまま日暮れけり★★★
重力のなきようふわふわ雪蛍★★★
逞しき前歯で林檎美味そうに★★★★

廣田洋一
扉明け気が付きたるや冬の雨★★★
また一つ喪中挨拶冬の雨★★★
街灯を包むが如き冬の雨★★★★
冬の雨が静かに静かに降る。街灯を包むように。映画のような光景が思い浮かんだ。(高橋正子)

桑本栄太郎
日を透きて緋色疎らや冬紅葉★★★
ことはりも無く冬木なり庭の木々★★★
生駒嶺の遠嶺となりぬ冬の靄★★★★
冬の靄が立ちこめて、いつも見えている生駒嶺が遠い嶺となって望める。柔らかな冬の遠望。(高橋正子)

12月5日(5名)

古田敬二
一軒に一本土産大根抜く★★★★
菜園の大根が見事に育った。一軒あたり、一本土産とする。一本の大根はもらった小家族には、うれしい量だろう。「一軒に一本」に温かさと面白さがある。(高橋正子)

山眠る歳時記の文字見にくくて★★★
暖冬や野菜大きくなりすぎて★★★

廣田洋一
古本をまとめて処分年の暮★★★
いつまでも暖かき街年の暮★★★★
赤き帯細まり行けり冬夕焼★★★

小口泰與
さもなくば赤城颪を浴びに来よ★★★
さういえば岸辺に雑魚や冬の鷺★★★★
さきがけて赤城颪の来たりけり★★★

桑本栄太郎
綿虫の虚空無尽や青空に★★★★
「青空に」が効いている。最近と綿虫をぜんぜん見ていないが、子供の頃は、よく見た。井上靖の「しろばんば」の小説が思い浮かんだが、綿虫には、なにかしら、日本的なものがあるような気がする。(高橋正子)

風を生み音の厳しく冬の雷★★★
吹き溜る綾の錦や散る紅葉★★★

多田有花
冬の夜に塩バター入りどら焼を★★★
冬紅葉ドローンを飛ばす男あり★★★
はつ冬や黄葉多き増位山★★★★

12月4日(5名)

小口泰與
煌煌と白き衣や冬浅間★★★
寒林へ夕日差しけり鳥の声★★★★
寒林へ差す懐かしいような夕日。そこに鳥の声が聞こえる。鵯など鋭い鳴き声もあるのだろうが、それが却って寒林を奥行あるものにしている。(高橋正子)

木守や浅間の雲の金色(こんじき)に★★★

廣田洋一
朝刊や霜踏む音の澄み渡る★★★★
霜の朝。冷たく寒い朝ながら、霜を踏んで庭先の新聞受けまで歩く時の「音の澄み渡る」清々しさ。新聞のインクの匂いまでしてきそうなリアル感のあるいい生活句だ。(高橋正子)

落葉松の葉に金色の霜柱★★★
金星や休める畑に霜の花★★★★

多田有花
<赤星山登山三句>
短日の陽を惜しみつつ稜線を★★★★
稜線を歩く楽しみは、季節それぞれにあるのだろうが、短日の山の陽も惜しまれるもののひとつ。(高橋正子)

赤テープを呼称確認日短か★★★
ようように着く暮早き下山口★★★

桑本栄太郎
笹鳴といえど小枝の重く揺れ★★★★
チャッチャッという鶯の笹鳴き。もう聞かれるようになった。さぞや小さい鳥で、小枝の揺れも軽いだろうと思いいきや、「重く揺れ」なのだ。鶯の重さが感じ取れるような句だ。(高橋正子)

踏みしだく落葉の跡や坂道に★★★
夫婦とも古希となる日や冬の雷★★★

古田敬二
石蕗の花海から遠くに咲きにけり★★★★
石蕗の花と海の取り合わせに明るいイメージが湧く。石蕗の花に海があれば、どれほどか印象的で明るい花になることだろうか、との思い。(高橋正子)

冬くれば目高の餌の食い悪し★★★
神無月鈴鹿山脈黒々と★★★★

12月3日(5名)

多田有花
<赤星山登山三句>
登りゆく背中へ冬の光さす★★★★
冬山の登山。背中に冬の光を浴びながら、明るい登山が伺える。赤星山は1400メートルを越える石鎚山脈につならなる四国の山。(高橋正子)

冬うらら空広々と頂に★★★
一望す燧灘には冬霞★★★

小口泰與
街灯の光りふるわす冬の雨★★★
山風に呑まれし沼や浮寝鳥★★★★
冬の日の湖の岸辺へ暮れんとす★★★

廣田洋一
天井をはたくは長身煤払い★★★★
煤払いに長身の人はもってこい。その背丈を使って天井をはたくにも余裕がある。なんでもないようだが、ユーモアがある。(高橋正子)

網戸には水を放てり煤払い★★★
煤払い気の病も払ひたし★★★

桑本栄太郎
つぴつぴと山茶花揺るる小枝かな★★★
ほつほつと頬に時折時雨降る★★★
笹鳴と云えど小枝の揺れにけり★★★★

古田敬二
雪虫のふわり出てゆく久女の門★★★
雪蛍何かし終えて一つ飛ぶ★★★★
初冬のどんより曇った日、いろいろ仕事をしてふっと見ると雪蛍がふわっと一つ飛んでいる。アブラムシ科の綿アブラムシとうものだが、初冬らしさを思わせる虫だ。(高橋正子)
浜木綿を一抱えして霜除ける★★★★

12月2日(4名)

多田有花
<赤星山登山三句>
滝音を間近に登る冬の山★★★★
苔青き山路をゆくも初冬かな★★★★
最奥の滝も明るし冬の晴★★★★
明るい瀬戸内の最奥の滝は、冬でも明るい。赤星山は四国の山。話は別だが、愛媛大学の同学年に赤星君と言う人が居ましたが、ここの出身だったと思う。そのころは、なんで赤星なの?と思ってました。(高橋正子)

小口泰與
空風や蒟蒻芋のからっから★★★
日と風を廻る郷や掛大根★★★★
今朝もまた見えぬ浅間や竜の玉★★★

廣田洋一
能登産の鰤せり落とす鮨屋かな★★★
脂身に大葉を添へて鰤照焼き★★★
週末やことこと煮たる鰤大根★★★★

桑本栄太郎
土盛りのブルーシートや草紅葉★★★
冬耕の稲株白く晒しけり★★★★
冬田を打ち返す。稲株を掘り起こすと、風に日にさらされて、稲株は白くなって転がる。あんなにしっかり稲を育てた株が枯れて、白くなる。淋しさも。(高橋正子)

主の天降(あもる)その日祈るや待降節★★★

12月1日(5名)

小口泰與
靄流る黙の浅間や枇杷の花★★★★
枇杷の花が香り高く匂う。浅間山は、靄に包まれ沈黙を守っている。枇杷の花と沈黙の浅間山の遠近の風景がしずかで柔らかい。(高橋あmさ子)

急に増ゆ十二月の車両かな★★★★
犬鷲や匠の里の藁人形★★★

古田敬二
吟行の土産はズボンの草虱★★★★
吟行に出掛けて家に帰り着けば、知らぬ間にズボンのすそには草虱がたくさんついている。野に出て吟行したよい時間が証明される。(高橋正子)

姉の骨ことりとツボへ行く晩秋★★★
引き寄せて香りかぎたや枇杷の花★★★

廣田洋一
湧き上がる歓喜の歌や十二月★★★★
十二月は街のあちこちでべードーベンの第九交響曲の歓喜の歌が歌われ、また流れ、一年が締めくくられる。日本にもすっかり定着した歓喜の歌である。(高橋正子)

中天の光澄みたる冬三日月(原句)
中天の光澄みたり冬三日月★★★★(正子添削)
送別会終わりて仰ぐ冬の月★★★

桑本栄太郎
階段の眼下に緋色や冬紅葉★★★
落葉松の散りし舗道の目地赤く★★★★
両側に踏みしだかるる朽葉道★★★

多田有花
<赤星山登山三句>
登山口に一番乗りの冬はじめ★★★
橋いくつも渡り近づく冬の滝★★★★
冬滝は水量が少なくなったり、凍ることもある。奥へ奥へと橋を渡ってたどり着いた滝はどうどうと水を落としている感じだ。滝に出会うということは、いい個性に出会うようでもある。(高橋正子)

登り来て初冬の滝を見上げおり★★★