●自由な投句箱/7月21日~31日●


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今日の秀句/7月21日~31日


[7月31日]

★向日葵や対岸走る電車の音/谷口博望 (満天星)
対岸から電車の走る音が聞こえる。対岸は街だ。川を挟んだこちらは夏の日を浴びて向日葵が明るく咲いている。こちらの岸と対岸とが、過去と現在をいり交ぜたような世界と思える。(高橋正子)

[7月30日]

★おにやんま低く飛びては水面打つ/廣田洋一
とんぼが、飛んでは、水面をちょんちょんと打っている光景を見ることがある。とんぼは種類によって、いろんな産卵の方法や形態をとるらしく、おにやんまのこの行為がなんのためかよく知らないが、水辺の涼しそうな光景だ。(高橋正子)

[7月29日]

★夜の空仰げば地には月見草/河野啓一
夜空を見上げ、そして、ふと足元を見ると月見草が咲いている。月や星の色も月見草も澄んだ黄色だ。大きな空間が感じられる涼やかな句だ。(高橋正子)

[7月28日]

★真直ぐな道の記憶や雲の峰/小口泰與
雲の峰に触発され思い起こされた記憶。真夏の白く乾いた真っすぐな道。こういう道の記憶は、私にもあるが、それが、どこだったか。画のなかだったか。(高橋正子)

[7月27日]

★曝書かなガリ版刷りのセピア色/古田敬二
曝書をすることも少なくなったが、懐かしい風景だ。曝書しながら、ついつい読み入ってしまうこともしばしば。わら半紙に印刷されたガリ版刷りのものは、すっかりセピア色に変色している。その時代がありありと蘇られたことであろう。(高橋正子)

[7月26日]

★舟渡御の岸離れ行く賑いに/河野啓一
大阪の天神祭の舟渡御の神事の句。「神霊をのせたに、御鳳輦奉安船がお囃子をする船や供奉船などが従い、天神橋のたもとから出航して造幣局や中之島のある大川を遡り、反転して下る。」ということだ。祭りの賑わいのなか、「岸離れ行く」のがいい。(高橋正子)

[7月25日]

★夏潮の運河にゆらぐ入日かな/桑本栄太郎
夏潮が入り込む運河に入日が揺らぐ。運河は人工の切り拓いた河。工業的でありながら、ノスタルジックな風情が漂う。入日が余計そうさせる。(高橋正子)

[7月24日]

★正午かな初蜩の響く森/多田有花
蜩は、朝夕に特に甲高い声で鳴くが、曇りの日や気温が低い日、森のような薄くらがりの中では、昼間にも鳴く。森の正午に蜩を聞いた。暑い盛りなのに、蜩が鳴き始め、正午の森の涼しさがうかがえる。(高橋正子)

[7月23日]

★夕蝉の合唱すでに音沈む/河野啓一
「夕蝉は、そろそろ鳴き止もうと音を沈めている。夕蝉のさみしさが日の暮を速めているようだ。心深む句。(高橋正子)

[7月22日]

★ハモニカの全然合わぬ蝉の声/廣田洋一
ハーモニカを誰かが吹いているのだろう。ご自分かもしれないが、蝉の声と合いそうで合わないハーモニカの音。それが、ちょっと寂しくておかしい。ユニークな視点の句。(高橋正子)

[7月21日]

★勝ち試合続くカープや夏盛ん/佃 康水
私の古い記憶では、カープと言えは弱い球団の代名詞のようだったが、広島市民だ育てたカープが今年は快進撃。勝ち試合が続いて、広島市民だけでなく、都会の若い女性までもがカープに声援を送っている。勝ち試合に暑さも吹っ飛ぶ。「夏盛ん」が快い。(高橋正子)

7月21日~31日


7月31日(5名)

●小口泰與
あけぼののこぼれ凌霄花潦★★★
日を掬い青田の中に居りにける★★★★
電線に二羽の子つばめ寄り添いぬ★★★

●廣田洋一
かなかなと一声鳴きし森の隅★★★
子供らの先頭に立つ阿波踊り★★★★
ぎんやんま蓮の葉先に着地せり★★★

●谷口博望 (満天星)
向日葵や砂浴びしたる雀どち★★★
向日葵や対岸走る電車の音★★★★(正子添削)
対岸から電車の走る音が聞こえる。対岸は街だ。川を挟んだこちらは夏の日を浴びて向日葵が明るく咲いている。こちらの岸と対岸とが、過去と現在をいり交ぜたような世界と思える。(高橋正子)

みんみんや被爆で曲がる九輪塔★★★

●小川和子
海鳴りの聴こゆ砂丘のメロンかな★★★
夏波涛沖より寄せく海岸線★★★
鳥海を望む砂地やカンナ咲く★★★★

●桑本栄太郎
水匂う土の匂いや夕立風★★★★
ひぐらしの鳴いて故郷呼びにけり★★★
君逝きてすでに十年酔芙蓉★★★

7月30日(5名)

●谷口博望 (満天星)
ジュラ紀へのタイムスリップ夏休み★★★
恐竜の化石に触れる夏休み★★★★
美声なる卒寿の人や百合の花★★★

●小口泰與
朝曇りたどり着きたる金曜日★★★
雨後の庭蛙来ており芝刈機★★★★
丑三つの目高早くも争えり★★★

●廣田洋一
遠雷を聞きつつ読書続けたり★★★
雷光や梅雨空裂きて追い払う★★★

おにやんま低く飛びては水面打つ★★★★
とんぼが、飛んでは、水面をちょんちょんと打っている光景を見ることがある。とんぼは種類によって、いろんな産卵の方法や形態をとるらしく、おにやんまのこの行為がなんのためかよく知らないが、水辺の涼しそうな光景だ。(高橋正子)

●河野啓一
土用丑デイのお昼もウナギ入り★★★
ニイニイ蝉合唱に加わる昼下がり★★★
千里丘陵昔は多き月見草★★★★

●桑本栄太郎
夏朝の嬰児(ややこ)泣きおり哀しげに★★★
ひぐらしや古傷今に問はれても★★★
三伏の夜気の嬉しき寝床かな★★★★

7月29日(6名)

●古田敬二
背泳ぎで飛騨の流れに任せきり★★★★
パナマ帽不似合いと思えど街へ行く★★★
ごきっと採るもろこし実りを確かめて★★★

●小口泰與
夏富士や縄文人の家系なる★★★★
茂林寺の狸の臍や日雷★★★
キューピーも臍を押さえしはたた神★★★

●谷口博望(満天星)
いのち継ぐ旅へ飛翔の蝉の殻★★★
恐竜のタイムスリップ夏休み★★★
句づくりのスローライフや秋隣★★★★

●廣田洋一
燕の子横に並びて餌を待つ★★★
鳴声に人も寄りけり燕の子★★★
紫陽花や色落ちてなほ咲きてをり(原句)
紫陽花や色落ちてなほ咲きつづき★★★★(正子添削)

●桑本栄太郎
空蝉の幹の半ばに数多かな★★★
しがみつき幹に虚ろや蝉の殻★★★★
一つ見てあまた見つけし蝉の羽★★★

●河野啓一
月見草日暮れを待ちてほんのりと★★★
谷合いに灯ともし頃や月見草★★★

夜の空仰げば地には月見草★★★★
夜空を見上げ、そして、ふと足元を見ると月見草が咲いている。月や星の色も月見草も澄んだ黄色だ。大きな空間が感じられる涼やかな句だ。(高橋正子)

7月28日(6名)

●谷口博望 (満天星)
椋の実の色染めながらつくつくし★★★
橋に来て帽子を脱げば南風★★★★
夜を徹し歩く姿や蝉の穴★★★

●小口泰與
青メロン常陸と蝦夷の競いけり★★★
真直ぐな道の記憶や雲の峰★★★★
雲の峰に触発され思い起こされた記憶。真夏の白く乾いた真っすぐな道。こういう道の記憶は、私にもあるが、それが、どこだったか。画のなかだったか。(高橋正子)

雷雲のはや襲来やゴルフ場★★★

●廣田洋一
日日草明るく並ぶ出入口★★★★
芯の色違へて目立つ日日草★★★
向日葵や首折れしたる道の端★★★

●河野啓一
木立ちあり星降るごとき蝉しぐれ★★★★
緑陰を撥ねのけ咲ける向日葵よ★★★
街中に人家を分けて青田かな★★★

●桑本栄太郎
目覚め居て想い出たどる短夜かな★★★
誰が指揮をとつているやら蝉しぐれ★★★
自転車を降りて踏切炎天に★★★★

●川名ますみ
葉の色を羽に載せつつ蝉鳴けり★★★
梅の葉の色して蝉は梅の木に★★★★
青空を震わせつくる蝉の音★★★

7月27日(6名)

●小口泰與
電線はすべて曲線糸とんぼ★★★★
まず犬の白妙産まる牧の夏★★★
風薫る僧都の読経朗朗と★★★

●古田敬二
陽を浴びて葉陰のルビーミニトマト★★★
曝書かなガリ版刷りのセピア色★★★★
曝書をすることも少なくなったが、懐かしい風景だ。曝書しながら、ついつい読み入ってしまうこともしばしば。わら半紙に印刷されたガリ版刷りのものは、すっかりセピア色に変色している。その時代がありありと蘇られたことであろう。(高橋正子)

紙魚走るセピア色したわが青春★★★

●谷口博望(満天星)
榎木の実色づき初めて雲の峰★★★★
鴉飛ぶ陸軍墓地の蝉時雨★★★
雀どち砂浴びしたる夏の夕★★★

●廣田洋一
空蝉や木の葉の裏に雨宿り★★★
空蝉や雨の雫を滴らせ★★★★
向日葵や家の前にて頭下げ★★★

●桑本栄太郎
蝉穴の暗き樹下なり地獄とも★★★
夏草に高く積み上ぐ廃車かな★★★★
竹林の蔦の茂りや昼の闇★★★

●多田有花
熊蝉の声に包まれ目覚めけり★★★
地下鉄も今宵増便天神祭★★★★
浴衣着て祭りに向かう親子連れ★★★

7月26日(5名)

●河野啓一
コンチキチン都大路を鉾が行く★★★
舟渡御の岸離れ行く賑いに★★★★
大阪の天神祭の舟渡御の神事の句。「神霊をのせたに、御鳳輦奉安船がお囃子をする船や供奉船などが従い、天神橋のたもとから出航して造幣局や中之島のある大川を遡り、反転して下る。」ということだ。祭りの賑わいのなか、「岸離れ行く」のがいい。(高橋正子)

住吉祭境内埋めし夜店かな★★★

●小口泰與
八十路なお矍鑠たるや片抜手★★★
一呼吸於いて話すや合歓の花★★★
山積みのキャベツ湖を隠しけり★★★★

●廣田洋一
風鈴の風カーテンも揺らしけり★★★★
風鈴の音大きく聞こゆ一人部屋★★★
夕焼けや吾が行く手黄に染めてをり★★★

●谷口博望(満天星)
涼風の書斎の窓へ辿りけり★★★★
覆面の香水匂ふ女かな★★★
みんみんや沖縄の海民の海★★★

●桑本栄太郎
緑陰に地べた座りや高校生★★★
幼子の昼寝木陰やベビーカー★★★★
鳴き止みて雨降るを知る蝉の声★★★

●7月25日(5名)

●小口泰與
凌霄花の強き日の中草野球★★★★
逸ノ城蝦蟇の如くに歩みける★★★
雲の峰樹の亭亭の在り所★★★

●廣田洋一
背泳ぎの手ひらりひらり出で来たる★★★
顔上げてゆっくり進む平泳ぎ★★★
深々と一礼したるプールかな★★★★

●谷口博望(満天星)
被爆樹へみんな来てゐて遠花火★★★★
同年の禎子の像や蝉の声★★★
ポケモンと鳩を間違ふ夏の果★★★

●河野啓一
むくげ咲く何の花かと尋ねられ★★★★
花むくげどこか儚き風情して★★★
むくげ咲く薄桃色の美花なりき★★★

●桑本栄太郎
武庫川の風の涼しき川辺かな★★★
芦屋なる白き木槿やエントランス★★★
夏潮の運河にゆらぐ入日かな★★★★
夏潮が入り込む運河に入日が揺らぐ。運河は人工の切り拓いた河。工業的でありながら、ノスタルジックな風情が漂う。入日が余計そうさせる。(高橋正子)

7月24日(6名)

●谷口博望(満天星)
みんみんや針で折りたる千羽鶴★★★
被爆樹の陰に屯の夏のむく★★★
遠花火黒田歓喜の二百勝★★★★

●小口泰與
雲の峰矍鑠たるぞ声の主★★★
白日の畷の蚯蚓遠き畦★★★
二重虹二艘のヨット消えにけり★★★★

●河野啓一
遠蛙淀の川原の葦の間に★★★★
雨蛙啼き声途絶え王子池★★★
蛙とびサッカー少年猛練習★★★

●廣田洋一
露草の青く広がる道の端★★★★
みそ萩や川縁青く染めてをり★★★
一人用小玉西瓜の具合良し★★★

●多田有花
新しき装具で蝉時雨の中を★★★
正午かな初蜩の響く森★★★★
蜩は、朝夕に特に甲高い声で鳴くが、曇りの日や気温が低い日、森のような薄くらがりの中では、昼間にも鳴く。森の正午に蜩を聞いた。暑い盛りなのに、蜩が鳴き始め、正午の森の涼しさがうかがえる。(高橋正子)

盛夏なり風のもっとも心地よき★★★

●桑本栄太郎
祇園会の人の数多や後祭り★★★★
外つ人の地べた座りや夏祭り★★★
母親と幼児ペアなりサングラス★★★

7月23日(4名)

●谷口博望 (満天星)
大暑の日オバマの鶴は人だかり★★★
みんみんや禎子の像は同い年★★★
慰霊碑を横切り去りぬ黒揚羽★★★★

●廣田洋一
大鯰蒲焼にする丑の日かな★★★
プランターの葉陰に浮かぶ苺一つ★★★
梅雨明けてランタナ紅く変わりけり★★★★

●桑本栄太郎
黒瓦屋根に燃え咲く百日紅★★★
白壁の築地塀かな青田風★★★★
リュック背負い駅のホームや夏休み★★★

●河野啓一
長くなき命に啼くや蝉しぐれ★★★
蝉時雨自転車のベルも包み込み★★★
夕蝉の合唱すでに音沈む★★★★
「夕蝉は、そろそろ鳴き止もうと音を沈めている。夕蝉のさみしさが日の暮を速めているようだ。心深む句。(高橋正子)

7月22日(5名)

●小口泰與
夏祭り一枚板の長き卓★★★★
鴫焼や母の遺せし鯨尺★★★
目の前に眼は爛爛の蟬の殻★★★

●谷口博望(満天星)
西瓜割孫見ておれば子のしぐさ★★★
珍しく群れて遊べる四十雀★★★★
晩鐘や暮れ泥む日に赤蜻蛉★★★

●桑本栄太郎
早朝の喇叭部活や大暑来る★★★★
からからと風に乾ぶる蝉の殻★★★
崩れたる屋根に網咲く烏瓜★★★

●廣田洋一
ハモニカの全然合わぬ蝉の声★★★★
ハーモニカを誰かが吹いているのだろう。ご自分かもしれないが、蝉の声と合いそうで合わないハーモニカの音。それが、ちょっと寂しくておかしい。ユニークな視点の句。(高橋正子)

雨降りて長袖を出す大暑かな★★★
昼食は天そばに決め大暑なり★★★

●河野啓一
さざ波の川面早くも赤蜻蛉★★★★
川遊びザリガニがいて児ら暑し★★★
冷麺を啜りしばしの涼とせむ★★★

7月21日(6名)

●谷口博望(満天星)
満月に背中割れたる蝉の羽化★★★
暁や生まれし蝉はみどり色★★★★
殻割つて歓喜謳歌の蝉時雨★★★

●廣田洋一
窓際に大きく開く水中花★★★★
過ぎし日々出稼ぎてふ渡り鳥★★★
幼き日家族大移動鳥渡る★★★

●小口泰與
昼顔の駄駄に咲きけり草野球★★★★
甘藍の嬬恋村に入りにけり★★★
頭ごと鮎を頬張る爺と婆★★★

●佃 康水
瀬戸海を月の誘う管弦祭★★★
児が父を急かす夜店の灯りかな★★★

勝ち試合続くカープや夏盛ん★★★★
私の古い記憶では、カープと言えは弱い球団の代名詞のようだったが、広島市民だ育てたカープが今年は快進撃。勝ち試合が続いて、広島市民だけでなく、都会の若い女性までもがカープに声援を送っている。勝ち試合に暑さも吹っ飛ぶ。「夏盛ん」が快い。((高橋正子)

●河野啓一
富士登山せりと息より報せあり★★★
土用丑今年のウナギ浜名湖産★★★
川開き音は遠くで聞くとせむ★★★★

●桑本栄太郎
街なれば舗道に水を糸とんぼ★★★★
黒蟻の走り雨雲集い来る★★★
炎天にボール蹴る子や運動場★★★

●自由な投句箱/7月11日~20日●


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主宰:高橋正子・管理:高橋信之

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今日の秀句/7月11日~20日


[7月20日]

★夏の原明るい花々蝶も舞う/迫田和代
夏の野原には、太陽にも負けないほどの明るい色の花々が咲く。黄色い花が目立つかもしれないが、青や赤まで。揚羽蝶なども舞って、華麗な世界が繰り広げられる。(高橋正子)

[7月19日]

★梅雨明けて空を広々瀬戸の海/河野啓一
梅雨明けの開放感が快い。梅雨の間は、煙るように広がる瀬戸の海であったが、梅雨明けと同時に、瀬戸の海は空を広げ、光に満ちている。いよいよ盛夏だ。(高橋正子)

[7月18日]

★湯の町の磴の暮れ行き柚子の花/小口泰與
磴のある湯の町の暮れぎわに匂う柚子の花。湯の町の情緒をすがすがしくしてくれる柚子の花だ。(高橋正子)

[7月17日]

★坂道を上り来れば紗羅双樹/河野啓一
日本でいう「沙羅双樹」は、沙羅の木、夏椿と言われるもので、椿に似た白い五弁の花をつける。釈迦にゆかりがあるのは、インド菩提樹。
坂道を上来ると、つまり、坂道の果ては別の世界。そこに、夏椿とも呼ばれる沙羅双樹が花をつけている。白い五弁の花は、どこか、ありがたく清浄な雰囲気をたたえている。(高橋正子)

[7月16日]

★山盛りの茄子の浅漬け朝餉なる/桑本栄太郎
田舎への帰省したときの朝餉だろう。畑でたくさんとれた茄子を浅漬けにして、器に山盛りにして出された。存分に召し上がれ、であろうが、浅漬け茄子があれば、ほかのおかずはいらない。涼やかな朝餉だ。(高橋正子)

[7月15日]

★賜りて風鈴吊す家となり/川名ますみ
風鈴を贈られるというのも、風流だ。贈られて、それからは、風鈴が鳴る家となった。風鈴は、風の意のままに鳴る。それこそ自然のままに鳴ってくれる風鈴の音色が涼しい。(高橋正子)

[7月14日]

★夕焼けや次々染まるビルの窓/廣田洋一
夕焼けがわずかの時間の経過とともに、次々に窓を染めていく。夕焼けが窓を染めてゆく時間、しばし心が華やぐ。美しい時間だ。(高橋正子)

[7月13日]

★雲の峰バット鋭く振りにけり/小口泰與
雲の峰に負けないくらいに、バットを「鋭く」振る。「鋭く」には、「力」と「スピード」ある。思い切りのよい、スカッとする句だ。(高橋正子)

[7月12日]

★風に乗り羽根すりあわせきりぎりす/桑本栄太郎
風の透明感が漂う。風に乗ったきりぎりすが、羽根をすりあわせて鳴く。どこかに漂うさみしさに、風の透明感が際立つ。(高橋正子)

[7月11日]

★墨の香の我が句吊るして星祭る/佃 康水
七夕笹につるす願いは、時代とともに変わっているようだ。文字の上達を願ったり、裁縫の上達を願ったりした。今はそれぞれだろうか。「墨の香」が残る短冊の願いには、「込められた力」が感じられる。涼やかな句だ。(高橋正子)

7月11日~20日


7月20日(7名)

●河野啓一
夏涼し海越え句集贈らるる★★★★
雨止みてますます繁し青岬★★★
土用波カヌー漕ぐ人気をつけて★★★

●迫田和代
夏の原明るい花々蝶も舞う★★★★
夏の野原には、太陽にも負けないほどの明るい色の花々が咲く。黄色い花が目立つかもしれないが、青や赤まで。揚羽蝶なども舞って、華麗な世界が繰り広げられる。(高橋正子)

梅雨明けの報告受けた嬉しさよ★★★
夏らしき海風涼し通り抜け★★★

●小口泰與
友からの告知の知らせ木下闇★★★
古寺へあだに落ちけりはたた神★★★
凌霄花の赤城山(あかぎ)の雨に育みし★★★★

●満天星
梅雨明や足も軽やか月の道★★★
ビル陰に五弁開きぬ烏瓜★★★★
老鶯や墓地に轟く天の声★★★

●廣田洋一
硝子器に盛りし葡萄の黒光り★★★
黒葡萄日に透け赤く光りける★★★
甘き香の漂ひ流る葡萄畑★★★★

●多田有花
ビルの間から真夏の満月★★★
球を打つ土用夜風に吹かれつつ★★★
山盛りで盛夏のキウイ売られおり★★★★

●桑本栄太郎
ひと夜さの明けて晴れ居り喜雨亭忌★★★
梅雨明けや木蔭の風の囁ける★★★★
古くても身に添う靴や梅雨明ける★★★★

7月19日(5名)

●小口泰與
風鈴や蕎麦屋ののれん褪せにける★★★
扶桑花や水面に遊ぶ雲一朶★★★★
残照の褪せし浅間山(あさま)や熱帯夜★★★

●廣田洋一
向日葵や朝日を浴びて動かざり★★★★
大向日葵門柱のごと二本立つ★★★
向日葵の裏側照らす日の光★★★

●多田有花
夏の林檎ニュージーランドから届く★★★
ビル遠く望む梅雨明けの城跡★★★
渓流に水遊びしてバーベキュー★★★★

●河野啓一
雲の峰海をはるかに望みたり★★★

梅雨明けて空広々と瀬戸の海(原句)
梅雨明けて空を広々瀬戸の海★★★★(正子添削)
梅雨明けの開放感が快い。梅雨の間は、煙るように広がる瀬戸の海であったが、梅雨明けと同時に、瀬戸の海は空を広げ、光に満ちている。いよいよ盛夏だ。(高橋正子)

湖の色青く茜に夕焼ける★★★

●桑本栄太郎)
梅雨明けやものの蔭濃き身のほとり★★★
早風呂を終えて窓辺の端居かな★★★★
夕されば風の涼しき窓辺かな★★★

7月18日(5名)

●谷口博望(満天星)
夜の帳下りて花咲くからす瓜★★★
梯梧咲く受難の赤と碧き海★★★★
雲の峰増殖したる辛夷の実★★★

●小口泰與
湯の町の磴の暮れ行く花柚かな(原句)
湯の町の磴の暮れ行き柚子の花★★★★(正子添削)
磴のある湯の町の暮れぎわに匂う柚子の花。湯の町の情緒をすがすがしくしてくれる柚子の花だ。(高橋正子)

紅白とはや開花せる古代蓮★★★
親族の堂に集いし扇子かな★★★

●廣田洋一
梅雨茸切り株に人集めけり★★★
青蜻蛉水車を回し飛び去りぬ★★★★
桜の木八方に幹伸ばす夏★★★

●桑本栄太郎
夏草や主なき100坪街中に★★★
咲き登り天にいたるや立葵★★★★
青空の葉蔭にありぬ青銀杏★★★

●河野啓一
海の日や水練学校想い出す★★★
打ち水に門辺の鉢の生き返り★★★
青林檎ゼリーひと目の涼しさよ★★★★

7月17日(6名)

●小口泰與
天空の水溜まりれり七変化★★★
肺然を賜わるダムや岩魚釣★★★★
風交の途絶えし友や薫衣香★★★

●谷口博望(満天星)
蝉しぐれ観音様のほほとゆび★★★
蝸牛五感超えたるコンピューター★★★
青桐の歌は流れて花万朶★★★★

●河野啓一
坂道を上り来れば紗羅双樹★★★★
日本でいう「沙羅双樹」は、沙羅の木、夏椿と言われるもので、椿に似た白い五弁の花をつける。釈迦にゆかりがあるのは、インド菩提樹。
坂道を上来ると、つまり、坂道の果ては別の世界。そこに、夏椿とも呼ばれる沙羅双樹が花をつけている。白い五弁の花は、どこか、ありがたく清浄な雰囲気をたたえている。(高橋正子)

夏椿白ろきを揺らす鐘の音★★★
紗羅双樹妻は写経に出かけたり★★★

●多田有花
涼風の中ルーターが届く★★★
万緑の山法螺貝の音響く★★★★
開け放つ窓より夏の蜻蛉かな★★★

●桑本栄太郎
小雨降る祇園囃や河原町★★★★
見目の良き房のつらなり青葡萄★★★
白鷺の田中に黙や高槻に★★★

●廣田洋一
大鋏枯れし紫陽花切り落とす★★★
人工の川辺の森に蝉時雨★★★★
時を決め水流れ込む夏の朝★★★

7月16日(5名)

●谷口博望(満天星)
空蝉のたましひ何処夕茜★★★★
身寄りなき献体の碑や木槿咲く★★★
瓜の花負けじ魂育ちおり★★★

●廣田洋一
古き家の解体工事梅雨晴間★★★
松葉牡丹雨空照らし咲きにけり★★★★
蜘蛛の子の玄関通り入り来る★★★

●小口泰與
雨蛙赤城は雲を育てけり★★★
厨より紫煙の煙り夏暖簾★★★★
歳時記や我をよぎれる白目高★★★

●桑本栄太郎
突風のゲリラ豪雨や夜立ち来ぬ★★★
山盛りの茄子の浅漬け朝餉なる★★★★
田舎への帰省したときの朝餉だろう。畑でたくさんとれた茄子を浅漬けにして、器に山盛りにして出された。存分に召し上がれ、であろうが、浅漬け茄子があれば、ほかのおかずはいらない。涼やかな朝餉だ。(高橋正子)

垣根越え園の嬌声水遊び★★★

●河野啓一
空蝉のただ草の葉に残りたる★★★
蝉の仔の抜け出た穴の二つ三つ★★★
一生は刹那にありて蝉時雨★★★★

7月15日(6名)

●谷口博望 (満天星)
浜木綿や被爆の過去をつなぐ花★★★★
翡翠やチンチン電車橋渡る★★★
風鈴や地声の高き女の子★★★

●小口泰與
黒雲の中より日矢や日輪草★★★
里の田の声をひとつに雨蛙★★★★
青田へと黒雲襲い避雷針★★★

●河野啓一
ボート部の歌斉唱すデイの午後★★★★
三川を集め豊かな夏の川★★★
若鮎の夕日に跳ねる琵琶湖畔★★★

●廣田洋一
網戸開け隣の人と話し込む★★★
網戸より草の香の立つ夕べかな★★★
夕風を通さむ網戸洗いけり★★★★

●桑本栄太郎
日盛りの独り吟行木蔭なる★★★★
手花火の儚くあれば弾けけり★★★
窓よりの夜気さやさやと涼夜かな★★★

●川名ますみ
賜りて風鈴吊す家となり★★★★
風鈴を贈られるというのも、風流だ。贈られて、それからは、風鈴が鳴る家となった。風鈴は、風の意のままに鳴る。それこそ自然のままに鳴ってくれる風鈴の音色が涼しい。(高橋正子)

到来の風鈴にかつての間取り★★★
空色の南部風鈴何処に吊ろう★★★

7月14日(5名)

●谷口博望(満天星)
フラッシュに浮上がる花烏瓜★★★
みんみんや古刹を守る観音像★★★★
夕さるの梧桐の花の映えにけり★★★

●小口泰與
石積の畦の子山羊や青田風★★★
名も知らぬ鳥も来ておる植田かな★★★★
雲の峰ここのみ日矢の棚田かな★★★

●廣田洋一
今日もまた世は事もなし夏の夕★★★
乾杯のジョッキ音立て夏の夕★★★

夕焼けや次々染まるビルの窓★★★★
夕焼けがわずかの時間の経過とともに、次々に窓を染めていく。夕焼けが窓を染めてゆく時間、しばし心が華やぐ。美しい時間だ。(高橋正子)

●桑本栄太郎
里に着き松葉牡丹の迎えけり★★★★
仏間なる父の遺影や蚊遣香★★★
吹きぬける窓の夜風の涼しかり★★★

●河野啓一
雨上がり丘を飛び行く夏鴉★★★
疾風に逃げる水鳥一直線★★★
若鮎のフライの旨まき夕餉かな★★★★

7月13日(6名)

●小口泰與
妙案も無き故目高放ちけり★★★
雲の峰バット鋭く振りにけり★★★★
雲の峰に負けないくらいに、バットを「鋭く」振る。「鋭く」には、「力」と「スピード」ある。思い切りのよい、スカッとする句だ。(高橋正子)
  
ふんわりと玉子を巻くや落し文★★★

●廣田洋一
友逝きし新聞記事に朝曇★★★★
夏の夜西へ西へと雲流る★★★
行列しやっと舐めたるかき氷★★★

●谷口博望(満天星)
草むらの風船蔓秘密めく★★★
夏の灯や久方ぶりの宵の月★★★★
夕日射す入道雲はひんがしへ★★★

●桑本栄太郎
単線の風の涼しき無人駅★★★
葛茂る無人の駅や山陰線★★★
夏潮や小雲湧き居る日本海★★★★

●河野啓一
夕立ち去り草むらの緑鮮やかに★★★
阪奈道大きな虹のかかりたる★★★
訪れて風鈴の音を馳走さる★★★★

●川名ますみ
まっしろな空へ迎火立ちのぼる★★★★
迎火の細き煙の雲に入る★★★
門火焚く毎晩立っていた場所で★★★

7月12日(5名)

●谷口博望(満天星)
滝の水落ちてゆく時白色に★★★★
軽鴨や黄色の嘴を自慢げに★★★
美しき大紫蝶(オオムラサキ)の夏終る★★★

●小口泰與
産土の日の出したたる青田かな★★★★
大甕の中は混沌白めだか★★★
雨粒に目玉を映す雨蛙★★★

●河野啓一
織姫に会いたし今宵晴ならば★★★
裏山の笹竹切るや鄙の村★★★
上を向いて歩こう低き夏の月★★★★

●廣田洋一
夏痩せや努力の跡と受験生★★★★
夏負けや年に負けたと愚痴りけり★★★
夏痩せの友を羨む乙女かな★★★

●桑本栄太郎
風に乗り羽根すりあわせきりぎりす
風の透明感が漂う。風に乗ったきりぎりすが、羽根をすりあわせて鳴く。どこかに漂うさみしさに、風の透明感が際立つ。(高橋正子)

漁火の沖につらなる夏燈し★★★

7月11日(5名)

●小口泰與
夕立や手酌の酒の溢れける★★★
青りんご咫尺にどっと浅間山★★★★
氏筋用浴衣に包み湯の町へ★★★

●谷口博望(満天星)
残照の川辺に遊ぶ夏の鴨★★★
夏の鴨路面電車の走る音★★★★
凌霄のはらりと一花落ちにけり★★★

●廣田洋一
天高く花枝伸ばす百日紅★★★★
道沿いに赤き灯点す百日紅★★★
縮れ花雄蕊を囲む百日紅★★★

●佃 康水
病癒え夜濯ぎの音心地良し★★★
裏山の青より深し青田かな★★★
墨の香の我が句吊るして星祭る★★★★

●桑本栄太郎
<山陰の夏の日本海>
夏潮の白くたゆとう青き空★★★
うっすらとはるか島影夏の海★★★
まるく見ゆ水平線や夏の海★★★★