NEW■11月月例ネット句会ご案内/2025年■New!

■11月月例ネット句会ご案内/2025年■New!
11月月例ネット句会を下記の通り開きます。ご参加くださいますよう、ご案内いたします。
期 日  :11月9日(日)
①投句:当季雑詠3句
    11月3日(月)午前6時~11月9日(日)午後5時
②投句は、下記アドレスの月例ネット句会ブログ<コメント欄>にお書き込みください。
https://suien.ne.jp/getsureikukai/
              ※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:11月9(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:11月10日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、11月10日(月)正午~
                 11月13日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:髙橋句美子・西村友宏

NEW自由な投句箱/11月1日~11月10日

投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)

※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。

自由な投句箱/10月21日~10月31日

投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)

※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。

今日の秀句/10月21日~10月31日

10月31日(1句)
★牧草の丈の長きや馬肥ゆる/小口泰與
牧草がすくすく育ち、丈が長くなり、放牧の馬や牛の餌としてたっぷりである。「馬肥ゆる」季節の牧草に目を留めた丁寧な作品。(髙橋正子)

10月30日(2句)
★上りくれば柚子豊年の大中寺/土橋みよ
大中寺についてよく知らないので、調べたところによると、栃木市にある上杉謙信ゆかりの古刹。七不思議と言われる話が伝わるなど、静寂な中にも幻想的な雰囲気があるという。そのお寺に柚子が「豊年」と思うほど、たわわに実を付け境内を明るくしている。明るい柚子に驚いた様子。(髙橋正子)

★街の川眺めておれば色鳥来/廣田洋一
日々暮らす街の川を眺めていると、いろんな鳥が来ている。思わぬ楽しい発見である。周囲の木の葉が色づき、それから枯れてゆくなか、色鳥の到来は生活を楽しくしてくれる。(髙橋正子)

10月29日(1句)
★柚子の実の日毎色濃く通り道/廣田洋一
いつもの通り道に、柚子の木がある。通りすがら見あげる柚子の実は、日毎に色が濃くなっている。日々熟れ色が濃くなり、秋の深まりが実感できる。(髙橋正子)

10月28日(1句)
★天高し二羽の黄蝶の縺れあう/川名ますみ
天高く澄む空へ、黄蝶が二つ、縺れあいながら上っていく。空の青と、蝶の黄色の対比も美しいが、広く大きな空と、小さな命の黄蝶の対比も印象深い。蝶の数えかたは、「頭」を使うが、俳句では、「頭」は感覚的に使いにくい。必ずしも「頭」を使う必要はない。(髙橋正子)

10月27日(2句)
★こんこんと木を打つ鳥や秋の朝/小口泰與
「こんこん」の音が、山の静けさ、秋の朝の澄んだ空気を象徴的にあらわして、「木を打つ」も丁寧な人のような仕草を彷彿させている。「啄木鳥」とう言葉を使わず、対象に迫ったのは素晴らしい。(髙橋正子)

★山一つ越えて広がる秋の空/上島祥子
山に遮られて向こうがよく見えない。それでも山の向こうを想像して見ることがある。それでも山を一つ越えたところに広がる、晴れやかな秋の空の素晴らしさに、感嘆する。(髙橋正子)

10月26日(1句)
★秋澄むや煙草のかおり香ばしく/桑本栄太郎
最近は、健康上煙草を吸わない人が多くなったが、煙草を嗜む人は、煙草の成分もあるが、つまりは煙を吸い、香りを吸っている。秋澄む空気のなかで、旨そうな香りをさせる煙草が美意識として注目される。(髙橋正子)

10月25日(1句)
★霜降の朝のからりと晴れわたり/多田有花
霜降は晩秋の季語。空気が澄み、霜が降りるほどの冷え込みの朝に、「からりと晴れわたり」という表現が、冷たさではなく清々しさを強調している。言ってみれば、潔い捉え方だ。(髙橋正子)

10月24日(1句)
★穭田のひつじ穂みのる大原野/桑本栄太郎
大原野の穭田のひつじにも穂がでて、しかも稔っている。時間が圧縮されて、いよいよ秋も終わりの感が強まる大原野である。(髙橋正子)

10月23日(2句)
★夕日差し鈴なりの柚子の棘光る/土橋みよ
鈴なりの柚子に夕日が差すことで、棘までもくっきり見えるようになる。柚子の実も棘も明らかになって知る、秋の深さ。(髙橋正子)

★孫来るとメールありけり花野径/小口泰與
花野径を歩いている、メールの着信があり、孫が来るからと言う。花野径は、電波がよく届きそうである。見えないものの交感がある場所と思える。(髙橋正子)

10月22日(1句)
★雨音の細きや秋の祭の灯/小口泰與
元の句は、「雨の音細きや秋の祭にて」。
「雨の音細きや」に続く「秋の祭にて」は、やや場面の説明にとどまっているので、「秋の祭の灯」とすることで、秋霖の中に灯る祭の灯りとした。秋の祭りの奥ゆかしい情感が、しっとりと伝わってくる。(髙橋正子)

10月21日(1句)
★学校の始業のチャイムや秋澄めり/上島祥子
学校の始業を知らせるチャイムは、しずまった朝の音として、遠くまで聞こえる。始業という朝の緊張感と、秋の澄んだ空気感が、よく響き合っている。(髙橋正子)

10月21日~10月31日

10月31日(句)
作業中
小口泰與

まなかいにかかるものなき秋の夢★★★
朝露を踏みて野鳥の眼間に(原句)
朝露を踏みて野鳥を眼間に(正子添削)

牧草の丈の長きや馬肥ゆる★★★★

廣田洋一
道端の勝手気ままな白粉花★★★
見る度に熟れ行く柿や鳥の声★★★
青空や桜紅葉の並木道★★★

桑本栄太郎
橡の実の誰が採るやら既に無し★★★
雨雲の集い今にも十月尽★★★
想い出を辿る故郷や夕紅葉★★★

10月30日(4名)
土橋みよ
上りくれば柚子豊年の大中寺★★★★
日記見て背布団下す旧節句★★★
荒れ庭やオナモミの実の膝に着き★★★

桑本栄太郎
気温差の日向と日蔭秋の昼★★★
鵯の金切り声や木から木へ★★★
吊るし柿軒端に映える団地かな★★★

廣田洋一
街の川眺めておれば色鳥来★★★★
みはるかす釧路湿原草紅葉★★★
秋晴や草食む牛の放たれし★★★

小口泰與
あけぼのや霧のまつわる山の沼★★★
暮れまどう秋翡翠や沼の端★★★
まどろみて秋のあの日を夢に見し★★★

10月29日(2名)
小口泰與
手をかざし秋の妙義山の巨石かな★★★  
草原に続く馬棚あり秋の空★★★
大利根の流れまどやか秋翡翠★★★

廣田洋一
つやつやと色良き柿を買いにけり★★★
秋の果の入れ代わりたる売場かな★★★
柚子の実の日毎色濃く通り道★★★★

10月28日(5名)
小口泰與
紅葉かつ散りて帽子を賑やかに★★★
秋翡翠まことしやかに魚を捕る★★★
山風に立ち向かいたる初紅葉★★★

廣田洋一
炉端焼き友と酌み合う夜寒かな★★★
新築の家に灯りや暮の秋★★★★
行く秋の余白無くなる俳句手帳★★★

桑本栄太郎
陽を透いてアメリカ楓の紅葉かな★★★
あおぞらの彼方や秋の雨雲に★★★
こんもりと桜並木やうす紅葉★★★

川名ますみ
薫るほど車窓に満ちる金木犀★★★
天高し二羽の黄蝶の縺れあう★★★★
空もとめ秋の黄蝶の縺れつつ★★★

土橋みよ
宵の灯やおろし生姜の香の立ちぬ★★★
秋空に雀さざめく園遊会★★★★
広やかに国歌流るる秋の苑★★★★

10月27日(3名)
上島祥子

曙の空賑わせて小鳥来る
山一つ越えて広がる秋の空
夕暮れの色付く雲は月に添い

桑本栄太郎
水滴のきらめく野路や秋の朝
胡乱なる人の歩きや秋寒し
ぷちぷちと足裏(あうら)に音の木の実かな

小口泰與
こんこんと木を打つ鳥や秋の朝
啄木鳥や庭の古木を打ちにける
夕闇の犬の遠吠え秋の風

10月26日(4名)
目陰して花野見渡す老夫婦★★★
古酒提げてまかり来たりし老教師★★★
十月や暮れる間際の空の色★★★

多田 有花
風少し紅葉かつ散る桜かな★★★
玄関の小菊鉢植え日差し受け★★★
午後からは雨となるべし秋深し★★★

桑本栄太郎
秋澄むや煙草のかおり香ばしく★★★★
秋雨やフィリリフィリリと道すがら★★★
ひざ痛を覚える朝や秋しぐれ★★★

川名ますみ
お土産に両手に余る酔芙蓉★★★
賜りし芙蓉を両のてのひらに★★★
酔芙蓉花三輪を皿に載す★★★

10月25日(3名)
桑本栄太郎
見上げれば天の蒼さや銀杏黄葉★★★
他所(よそ)の庭覗き見したる杜鵑草★★★
どの家も斎藤姓や柿の村★★★

小口泰與
大利根の波の微笑む秋の雲★★★
若き日の焔も消えて暮の秋★★★
ほろほろと銀杏散りけり沼の端★★★

多田 有花
霜降の朝のからりと晴れわたり★★★★
古き家いずこの庭も柿たわわ★★★
モノクロの刑事映画を見る秋夜★★★

10月24日(2名)
小口泰與
沼よりのほのお立ちけり渡り鳥
「沼よりのほのお」の意味がよくわかりません。(髙橋正子)

霧多き谷間に鳴ける鳥の声(原句)
霧深き谷間に鳴ける鳥の声(正子添削)

秋の田や古びし寺の焔にて
「寺の焔にて」の「にて」に意味がよくわかりません。(髙橋正子)

桑本栄太郎
雲つどい降るや降らずや秋寒し★★★
穭田のひつじ穂みのる大原野★★★★
馬の背となりて日差しや秋の雨★★★

10月23日(4名)
土橋みよ
風に匂う届かぬ先の熟れ林檎★★補遺s
西日差し鈴なりの柚子の棘光る(原句)
「西日」は夏の季語となっています。「夕日」に変えるとよいと思います。
夕日差し鈴なりの柚子の棘光る(正子添削)
蛍光灯替えれば厨の柚子かおる★★★★

廣田洋一
我知らず急ぎ足なる夜寒かな★★★
もう一本熱燗つける夜寒かな★★★
街灯の灯りを揺らし柳散る★★★★

小口泰與
風も無き沼に水輪や蜻蛉舞う★★★
大利根の流れ気ままや下り鮎★★★
孫来るとメールありけり花野径★★★★

多田 有花
扇風機ようやく仕舞うそぞろ寒★★★
秋茄子と柿とゴーヤをいただきぬ★★★
貴船菊親鸞像の傍らに★★★★

10月22日(2名)
多田 有花
ゆっくりと秋を歩める亀二匹★★★
なつかしき人と再会秋深し★★★
コスモスは風に親しき花なりき★★★

小口泰與
大ふくべ酒一升満たしたる★★★
雨の音細きや秋の祭にて(原句)
雨音の細きや秋の祭の灯(正子添削)

しんしんと冷えこむ沼や秋翡翠★★★

10月21日(3名)

小口泰與
片雲の秋風に乗り消えにけり★★★
山の秀へ朝日差しけり運動会★★★
山風や秀つ枝下枝に青蜜柑★★★

桑本栄太郎
秋薔薇の真紅咲きたる狭庭かな★★★
川べりに沿いて明るき泡立草★★★
青柚子と云えどこぼれる塀の外★★★

上島祥子
学校の始業のチャイムや秋澄めり★★★★
積み上がる母の着物や秋の暮★★★
秋麗入れての声は元気よく★★★

自由な投句箱/10月11日~10月20日

※当季雑詠3句(秋の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。

今日の秀句/10月11日~10月20日

10月20日(1句)
★去る人の靴の音速き秋の暮/小口泰與
秋の暮は、「釣瓶落とし」といわれたほど、急に日が暮れる。その暮れの速さに急かされるように、去っていく人の靴音は足ばやである。日暮れの早さが実感される。(髙橋正子)

10月19日(1句)
★音立てて飛行機雲や秋深し/廣田洋一
飛行機雲は、空に引かれる白い雲の航跡を詠まれることが多いが、この句は、「音」を詠んでいる。秋が深まり、辺りが静かになると、空に引かれる飛行機雲に音が残されたように響いてくる。静かさのかなで聞く、「音の深さ」が「時の深さ」を表している。(髙橋正子)

10月18日(2句)
★文机に座れば見ゆる刈田かな/小口泰與
文机に座って、愛読書を読んでいるのだろうか。目を休めて外に目をやると、刈田が見える。それが作者の住む家のたたずまいであるが、刈田の景色に「何をか思わんや」である。(髙橋正子)

★ガラス越し雀の影や秋深し/多田 有花
「ガラス越し」は、つまり、作者は室内にいて雀の影を見ている。すりガラスか、模様ガラスを通しているので、雀の姿ははっきりしないが、雀とわかる影。「秋深し」が室内の充実感として伝わってくる。(髙橋正子)

10月17日(1句)
★山あいの稲穂伏せたる棚田かな/桑本栄太郎
山あいの棚田のどこもが稲穂が伏せている。稲穂がきれいに揃って立ち並んでいるのが、普通の光景だ。雨や風の影響でそうなったのか。棚田と言う労力のかかる田に見る異変に心を寄せた句。(髙橋正子)

10月16日(1句)
★柿剥きて吊るせば夕陽に包まるる/土橋みよ
吊るし柿にしようと、柿を剥いだ。剥き終わり、紐に通して、縄に枝を挟み込むやり方もあるだろうが、吊り下げると、夕陽に包まれたのだ。夕陽に照らされ、柿は、色を一層強めて、夕陽の色にでもなりそう。「夕陽に包まるる」が美しい。(髙橋正子)

10月15日(2句)
★ひつじ田の青々として陽を浴びぬ/多田有花
いったん、刈り取られた稲株に、また再び青々と茎がのび、陽を浴びて育っている。再生するものの力強さと明るさに当たり前の良さを感じる。(髙橋正子)

★麻紐に括られて立つ葉鶏頭/上島祥子
葉鶏頭のたくましさと、麻紐のごつごつした粗っぽさの出合に、面白さがある。葉鶏頭と麻紐のそれぞれの本質に響き合うものがありそうだ。(髙橋正子)

10月14日(1句)
★あおぞらや鳩吹く風に吹かれ行く/桑本栄太郎
「鳩吹く」の季語に支えられた句。あおぞらの下を、「鳩吹く」ような風に吹かれて行く、ただそれだけのことだが、その風を「鳩吹く」と思えば、ぞぞろ面白さが湧く。(髙橋正子)

10月13日

該当句無し

10月12日(1句)
★文机や秋の夕日の平らなる/小口泰與
部屋の片隅置かれている文机に、夕日が差している。夕日は、明るく、あまりに静かで、文机にぴったり映るように差している。机の平が、そのまま夕日の平になって、秋のしずかな明るさを思わせてくれる。(髙橋正子)

10月11日(1句)
★小鳥来る葉陰の揺れているばかり/桑本栄太郎
「葉陰ゆれ姿みえざり小鳥来る」が元の句。「姿みえざり」が説明になっており、これが、詩を壊している。一つの方法として、写生をすることがある。掲句はそれを念頭に添削した句。
小鳥が来ている。姿を見たいが、葉陰に隠れてなかなか姿が見えない。来る鳥を迎えるうれしさ、楽しさが詠まれている。(髙橋正子)

10月11日~10月20日

10月20日(5名)
多田 有花
芒揺れ光が揺れる風の午後★★★
音もなく木兎飛ぶや秋の森★★★
蔦紅葉石橋小さく彩りて★★★

小口泰與
一葉落つ山の御堂の主かな★★★
秋の雲野良犬ふつと消えにけり★★★
去る人の靴の音速き秋の暮★★★★

廣田洋一
曲がりくねる山道上り薄紅葉★★★
秋晴れの公園かける子らの声★★★
ミャクミャクの案山子も立てる見本市★★★

桑本栄太郎★★★
雨雲のとぎれあおぞら銀杏黄葉★★★
解けたる尾花の風にゆだねけり
トンネルの桜枝葉やうす紅葉★★★

土橋みよ
柿豊年三羽のヒヨの枝揺らし★★★
熟れ柿を啄むヒヨの目の澄めり★★★★
熟れ柿を啄むヒヨや空明かし★★★

10月19日(4名)
廣田洋一
菊の花一輪咲きし軒の下★★★
音立てて飛行機雲や秋深し★★★★
旧家の主自ら松手入れ★★★

小口泰與
秋の庭仏頂面のブルドック★★★
しずしずと雨音ありて秋深し★★★
肌寒や大きな空に水含む★★★

桑本栄太郎
引き返す朝の散歩や秋しぐれ★★★
虫食いとみどりもありぬ柿紅葉★★★
川ベリの小径被いぬ萩は実に★★★

多田 有花
子ら乗せる前のポニーは秋草を食む(原句)
子ら乗せる前のポニーの秋草食む(正子添削)

梛の葉や深まる秋に黄変す★★★
秋風の丘にたたずむアルパカの群れ★★★

10月18日(4名)
桑本栄太郎

<高速中国道>
秋空にクレーンの数基立上がる★★★
高速のバスの車窓や刈田晴れ★★★
<高速米子道>
見下ろせばはるか眼下や秋の里★★★

小口泰與
草津の湯くすぼる先の秋の月★★★
晩秋や我が前歩む我の影★★★★
文机に座れば見ゆる刈田かな★★★★

廣田洋一
法の庭あちらの木にも小鳥来る★★★
丹沢の尾根をけぶらす秋時雨★★★
粒ごとに雫をこぼす実紫★★★

多田 有花
ガラス越し雀の影や秋深し★★★★
空の青柿の柿色響きあう★★★
誠実に歩みし人よ野路菊へ★★★

10月17日(2名)
多田有花
艶やかな実を覗かせて栗の毬★★★
晩秋の始まり告げるこの黄色★★★
青空に黄花コスモス揺れる土手★★★

桑本栄太郎
<帰省の高速道車窓より>
山あいの稲穂伏せたる棚田かな★★★★
ハイウェイの明かりとなすや泡立草★★★
山畑の柿の色づく夢前町(ゆめさきちょう)★★★

10月16日(3名)
土橋みよ

長き夜手に贈られしアンソロジー★★★
若き友の話聞きつつ冬支度★★★
柿剥きて吊るせば夕陽に包まるる★★★★

多田 有花
ねこじゃらし銀の馬車道跡に揺れ★★★
ハナミズキの紅葉青空に透けて★★★
秋の蝶翅裏見せつつ蜜を吸う★★★

小口泰與
秋翡翠の背なに朝日の射しにけり★★★
ひるがえり太き腹見せ秋の鯉★★★
ふくよかに成る瓢のふくぶくし★★★

10月15日(3名)
多田 有花

パソコンを打つ手を止めてすがる虫★★★
ひつじ田の青々として陽を浴びぬ★★★★
黄落期始まっている大手門★★★

小口泰與
秋ばらの庭の見事や一礼す★★★
目礼の和服の人や梅擬★★★
枝垂れ木に集う雀や秋の雨★★★

上島祥子
碧色の葉に隠れ連く青銀杏★★★
日時計の目覚め待たるる秋の朝★★★
麻紐に括られて立つ葉鶏頭★★★★

10月14日(3名)
桑本栄太郎
あおぞらや鳩吹く風に吹かれ行く★★★★
花梨の実ごろり色づく道の辻★★★
迫り出して柿の色づく狭庭かな★★★

小口泰與
求愛の秋翡翠の仕草かな★★★
秋雨の中へ飛び立つ雀かな★★★
秋の森出できし人の笑顔かな★★★

多田 有花
天高し電子出版志す★★★
長き夜にファイル形式整える★★★
目次までようよう書き上げ灯火の秋★★★

10月13日(4名)
小口泰與
山宿の秋の囲炉裏を楽しみに★★★
やわやわな風に飛び出す稲雀★★★
「やわやわな風」がわかりにくいです。(髙橋正子)
蟋蟀の声のひろごる四畳半★★★

桑本栄太郎
山茱萸の赤き実となる葉蔭かな★★★
はらはらと解けて風に芒の穂★★★
弾けいて殻ばかりなる椿の実★★★

多田 有花
快晴の続きし後の秋曇★★★
秋深し友より届く新刊書★★★
更待の光見てのち床につく(原句)
「見てのち」が説明的で、詩情が薄いので、工夫が必要です。
更待の光見おさめ床につく(添削例①)
更待の光を胸に床につく(添削例②)

上島祥子
虫の音のさやかに続く夜の帳★★★
伸び切りのエノコロ揺れる風の朝★★★
遠雷の響きに崩るる人の波★★★

10月12日(3名)
廣田洋一
松手入れ師匠は高き所より★★★
秋うらら今日も散歩や同じ道★★★
栗飯や大きな栗を取り合いて★★★

小口泰與
秋深むひと日ひと日の駄句重ね★★★
秋の郷しとしおしずか子等居らず★★★
文机や秋の夕日の平らなる★★★★

桑本栄太郎
秋寒や鴉も鳴かぬ朝あける★★★
歩みゆきフィリリフィリリと昼の虫★★★
帽子脱ぎまろびて在りぬ櫟の実★★★

10月11日(3名)
桑本栄太郎
葉陰ゆれ姿みえざり小鳥来る(原句)
小鳥来る葉陰の揺れているばかり(正子添削)
「姿みえざり」が説明になっています。これが、詩を壊しているので、一つの方法として、写生をするとよいです。(髙橋正子)

山茱萸の実の色づきぬ川辺かな★★★
バザーより妻濡れ帰る秋しぐれ★★★

廣田洋一
秋時雨虚子と立子の句碑濡らす★★★
安産のお礼参りや実紫★★★
レインコート着こみて立てる案山子かな★★★

小口泰與
秋夕日ひたと浅間の山巓に★★★
ひたすらに駄句の浮かびし秋の夕★★★
利根川の流れ穏やか赤とんぼ★★★

自由な投句箱/10月1日~10月10日

※当季雑詠3句(秋の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。

今日の秀句/10月1日~10月10日

10月10日(1句)
★蒼天の高き梢や銀杏黄葉/桑本栄太郎
空の青と銀杏の黄色が対比され、秋の空気の澄んだ感じがよく伝わる。「高き梢」が天の高さ、深さを想起させてくれる。(髙橋正子)

10月9日(1句)
★青空の鳩吹く風やちぎれ雲/桑本栄太郎
「鳩吹く」は、狩の合図のために鳩の鳴く声を手で作る事を言うが、ここでは、それに似た青空が吹き起こす風の意味。その風が雲を千切れさせている。「鳩吹く」の情趣を活かした句。(髙橋正子)

10月8日(1句)
★秋夕焼富士を映せしビルの窓/川名ますみ

都市のビルの窓に、夕焼けと一緒に富士山が映るのは、奇跡的と思える。澄んだ秋夕焼けの美しい景色が詠まれている。(髙橋正子)

10月7日(3句)
友の来て利平栗剥けば日の暮れる/土橋みよ
栗を剥きながらの友との語らいに、一日が暮れてしまった。季節の稔に触れながらの楽しい語らいに秋の日の楽しさが読み取れる。(髙橋正子)

★何処までも天の高きをバスの窓/桑本栄太郎(正子添削)
何処までも天の高きやバスの窓(原句)
原句は、「バスの窓」が取って付けられていますが、俳句は一章です。バスの限られた窓から見る天が、「何処までも高い」。限られた中にこそ見つけた天の高さに、実感がある。(髙橋正子)

★道はさみ稔り田刈田隣り合い/廣田洋一
道をはさんで、まだ刈られていない黄金色の稔田と、稲が刈られてしまった刈田とが並んでいる。それが同時にあることで、稔りの季節の時間の層が、それぞれ違って重なっているのが面白い。(髙橋正子)

10月6日(1句)
★朝焼けの刈田へ猫の出で行けり/柳原美知子
「朝焼け」の現象は夏うつくしく現れるので、夏の季語となっている。この句では「朝焼け」を季語として詠んでいるのではなく、刈田の実景としての扱いである。季語は「刈田」。朝焼けの空の下にひろがる刈田。その刈田へ猫が出て行った。猫の一瞬の出発で、その後の朝焼けの刈田の実景が想像できる。(髙橋正子)

10月5日(1句)
★特急の加速に流るる曼珠沙華/上島祥子
特急の加速によって、視界に入る曼殊沙華が目を掠めるように流れ去る。時間の速さに抗えない曼殊沙華のあやうさは、生きているものすべてに言えることである。(髙橋正子)

10月4日(1句)
★仲秋の夜空へ花火大輪を/多田有花
元の句は、「仲秋の夜空へ大輪の花火」でした。見た通りですが、
読み手の感動が伝わってこないのが難点。仲秋と言えば、空気が澄んでくるとき。夏の花火と違って、色も澄み、鮮やかさが増す。それも大輪の花火を咲かせる。印象の強い花火となった。(髙橋正子) 

10月3日(1句)
★秋空に里遠く見せ琴平山/土橋みよ
琴平山から見た眺めがすっきり詠まれている。秋空が広がる下に、遠く人里が見える。なつかしいような広がりに、心が晴れやかになってくる。(髙橋正子)

10月2日(1句)
★川縁や刈田の匂い立ちにけり/廣田洋一
川のほとりの流れの音が聞こえる空間の広がりに、稲を刈った田んぼから立ちのぼる、土と稲のまじった匂いが秋の深まりを感じさせている。 その気づきを「立ちにけり」とほのかに詠嘆している。(髙橋正子)

10月1日(1句)
★曼殊沙華日を跳ね返す赤さかな/小口泰與
曼殊沙華は、花に近寄って見ると、花弁はつややかで、力強く、「日を跳ね返す」という表現そのままだ。曼殊沙華の持つ生命力や異界性を一瞬で切り取っているところがすばらしい。(髙橋正子)