●河野啓一
芒生うる野に野兎の見え隠れ★★★
秋水をたどれば古き水車小屋★★★★
秋水の流れをたどってゆくと、そこに出現したのは古い水車小屋。そういった古い水車小屋が残されているところは、流れもきよらかだと思える。(高橋正子)
柿の実の赤く色づく丘の道★★★
●小口泰與
笠雲をいただく赤城芙蓉咲く★★★
秋せみや上えうええと木を昇り★★★
竹春や嶺々したがえて榛名富士★★★
●桑本栄太郎
雲水の電車降り来る秋彼岸★★★★
電車から雲水が降りてきた。普段ならそういうことがあっても、特に意には止めないだろうが、秋彼岸となれば、電車から降りた雲水に何かしら視線を注いでみるのだ。(高橋正子)
道の辺の供花のごときや曼珠沙華★★★
黒瓦屋根を稲田に家一軒★★★
●多田有花
秋の陽が穏やかに差し彼岸入り★★★
稲穂垂る中を駅まで朝の道★★★★
「朝の道」がすがすがしい。稲穂の垂れる道が駅まで続く。駅までの道に田んぼがあるのがうれしい。秋祭りも近い。(高橋正子)
稲穂の光東播磨の野に満ちて★★★
●小川和子
秋水に朽葉流るる音沿いぬ★★★
芝に飛ぶ赤とんぼうに陽の眩し★★★
踏み歩く遊びごころに木の実降る★★★
●高橋秀之
右に空地左に揺れる稲穂の田★★★★
友がもぎ友が箱詰め梨届く★★★
一周忌皆の笑い声は高き空へ★★★
コメント
御礼
高橋信之先生、正子先生
9月23日の句「雲水の電車降り来る秋彼岸」の句に★印のご指導を賜り、句意そのものの素敵なご句評も頂戴しまして大変有難うございます。
所要があり、大阪梅田迄出かけ、その帰りに特急電車から降りて来る雲水三人に出会いました。それぞれ大きな笠を持っていて、秋彼岸の仲日を強く感じました。
お礼
信之先生、正子先生、
「稲穂垂る中を駅まで朝の道」にご指導、ご句評をいただきありがとうございます。
近所の田んぼは少しずつ宅地や商業施設に変わってかなり少なくなりました。
それでもまだ稲穂のそばを通る道が残っています。
お礼
信之先生、正子先生[秋水」の句にご指導とご句評を賜リまして誠に有難うございました。