9月21日~9月30日

9月23日(7名)
小口泰與
爽籟や我を包みし風うまし★★★★
秋風に咳く我や天蒼き★★★
秋晴れや長きすそ野に鳥の声★★★

桑本栄太郎
ふるさとへ向い祈りぬ秋彼岸★★★
土手道の中に白きや彼岸花★★★
えのころの姫と云うあり風の土手★★★

多田 有花
秋彼岸親族集う七回忌★★★
枝豆の塩加減よし七回忌★★★
敷き紙の秋桜に和す七回忌★★★

廣田洋一
秋彼岸義妹の墓に水をかけ★★★
秋晴れや黙々と草噛む乳牛★★★★
秋茄子の一夜漬けにて朝餉かな★★★

土橋みよ
出流原(いずるはら)夕霧巻の花野めき
夕霧巻は源氏物語の「夕霧」の巻のことなら、季語「花野」のイメージと少し違ってきます。夕霧の巻では、夕霧が落葉の宮に思いを寄せ、彼女の住む六条院の荒れた様子や寂しさが描かれてます。この場面は季語「花野」の印象と対照的なので、解釈に迷います。手がかりとなる具体的な「もの」が欲しいですね。(髙橋正子)

渡良瀬の川原に咲ける女郎花(原句)
渡良瀬の川原に咲くや女郎花(正子添削)
切字「や」を用いることで、女郎花に対する詠嘆の情が加わり、句に情緒的な深みと余韻が生まれます。これは「や」が持つ切字としての一つの効果です。(髙橋正子)

穂紫蘇すく指に香の立つ台所★★★★

上島祥子
一番機秋雲に向け上昇す★★★★
秋澄めり空と山嶺分かつ朝★★★★
客車揺れ彼方に秋の御嶽山★★★

川名ますみ
蜻蛉浮く大病院の棟の間に★★★★
新米を荷台に自転車駈けあがる★★★★
えのころの細き葉を噛みしめる猫★★★

9月22日(2名)
多田 有花
地を覆い木をよじ登り葛の花★★★
遠き田の刈られて見える曼殊沙華★★★★
ひらひらとはぐろとんぼや秋彼岸★★★

桑本栄太郎
秋冷やテニスコートの音弾む★★★
きちきちを追い駆け走る地道かな★★★
カラコロと風に歌うよ竹の春★★★

9月21日(4名)
桑本栄太郎
草萩や背高き花の風誘う★★★★
底紅の愁いの色や靡き居り★★★
草萩の刈り残される道のへり★★★

小口泰與
はつはつに溝蕎麦咲けり川べりに★★★
黙黙と竿振る人や秋の沼★★★
秋の暮怪しきまでに猫の声★★★★

廣田洋一
鰯雲白くきらめく町の川★★★
秋刀魚焼く香り漂う赤提灯★★★
町内の男女集めて運動会★★★

多田 有花
夢うつつ秋の彼岸の驟雨かな★★★
今朝一歩秋は進みて快晴に★★★★
柘榴待つ不意に裂けたるそのときを★★★


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