9月10日(5名)
小口泰與
凝りもせずまた聞こし召す新走り★★★
どぶろくや鉄路の音の聞ゆなり★★★
渡鳥三国峠を越ゆるなり★★★★
どぶろくや鉄路の音の聞ゆなり★★★
渡鳥三国峠を越ゆるなり★★★★
廣田洋一
エリザベス女王永久の休みや身に沁みぬ★★★
鯉の群行きつ戻りつ水澄めり★★★★
鯉の群行きつ戻りつ水澄めり★★★★
川の黒い鯉であろう。あたりを行きつ戻りつ群れになって泳いでいる。水が澄んできて、鯉の泳ぐ姿がよく見える。ものみな澄んできれいな秋となっている。(髙橋正子)
重陽の菊の揺れたる線路際★★★
多田有花
買い出しの人波の上赤とんぼ★★★★
歯科医院の窓から見えし色づく★★★田★★★
歯のケアを終えて仰ぎし鰯雲
歯科医院の窓から見えし色づく★★★田★★★
歯のケアを終えて仰ぎし鰯雲
桑本栄太郎
雲奔る空見上げを居り月今宵★★★
名月の無月とならん今宵かな★★★
名月や愛でる言葉の見つからず★★★
名月の無月とならん今宵かな★★★
名月や愛でる言葉の見つからず★★★
弓削和人
名月の通過駅をも降りたりし(原句)
名月の通過駅をも降りたりし(原句)
名月の通過駅にも降りたしと★★★(正子添削)
名月は駅から駅へ歩きたし★★★
名月の映る車窓や人それぞれに★★★★
名月は駅から駅へ歩きたし★★★
名月の映る車窓や人それぞれに★★★★
9月9日(5名)
小口泰與
秋灯下文机の辺に堆書かな★★★
随神色と甘さの葡萄かな★★★
小鷹狩言葉発する鳥のおり★★★★
随神色と甘さの葡萄かな★★★
小鷹狩言葉発する鳥のおり★★★★
廣田洋一
台風の吹き清めたる空の色★★★★
冷凍と注を付けたり秋刀魚かな★★★
初物は小ぶりで高し秋刀魚買ふ★★★
冷凍と注を付けたり秋刀魚かな★★★
初物は小ぶりで高し秋刀魚買ふ★★★
桑本栄太郎
久しぶりの友と語らう秋うらら★★★
柔らかな寝床に居りぬ櫟の実★★★
窓外のかつら黄葉のもみずれる★★★
窓外のかつら黄葉のもみずれる★★★
弓削和人
ドビュッシーを聴ききたくなりし月の夜★★★
月やさしドビュッシーを聴きながら★★★★
秋に入りつけわすれたし万歩計★★★
ドビュッシーを聴ききたくなりし月の夜★★★
月やさしドビュッシーを聴きながら★★★★
秋に入りつけわすれたし万歩計★★★
友田修
秋桜の揺れる畑よ青き空★★★★
重陽の雲間に見ゆる白き月★★★
夕暮れの葉陰に揺れる栗のいが★★★
重陽の雲間に見ゆる白き月★★★
夕暮れの葉陰に揺れる栗のいが★★★
9月8日(5名)
小口泰與
少女らの湯の香りせる残暑かな★★★
索道に乗せたる早稲の碧空へ★★★★
赤のまま切らるる事を感ずなり★★★
索道に乗せたる早稲の碧空へ★★★★
赤のまま切らるる事を感ずなり★★★
廣田洋一
台風の目玉くっきり北上す★★★
台風に落ちざる林檎売り出され★★★
高級魚より高値となりし初秋刀魚★★★
台風に落ちざる林檎売り出され★★★
高級魚より高値となりし初秋刀魚★★★
多田有花
嵐去り白露のひかり野に溢れ★★★★
秋川の上や遠目に白い花★★★
秋のベランダ磯鵯の声盛ん★★★
秋川の上や遠目に白い花★★★
秋のベランダ磯鵯の声盛ん★★★
桑本栄太郎
ひと雨にもみづり居りぬ庭の木々★★★
身に入むや木々の葉濡れて色づきぬ★★★
おしろいの咲き分けありぬ雨の夕★★★鋪アイ
身に入むや木々の葉濡れて色づきぬ★★★
おしろいの咲き分けありぬ雨の夕★★★鋪アイ
弓削和人
新涼や団旗を振るう運動場★★★
鶏頭の一群風にうねるかな★★★★
公園のジャングルジムや秋日傘★★★
新涼や団旗を振るう運動場★★★
鶏頭の一群風にうねるかな★★★★
公園のジャングルジムや秋日傘★★★
9月7日(5名)
小口泰與
コスモスの一番端や揺れおおき★★★★
落鮎や魚籠かろがろと帰り來る★★★
蒼天や声かろくなる秋の山★★★
落鮎や魚籠かろがろと帰り來る★★★
蒼天や声かろくなる秋の山★★★
廣田洋一
門前に風を呼びたり糸芒★★★
北斎の富士を描きたる秋扇★★★
秋刀魚焼く煙を囲みワイン酌む★★★
北斎の富士を描きたる秋扇★★★
秋刀魚焼く煙を囲みワイン酌む★★★
多田有花
秋の朝磯鵯の鳴いて飛ぶ★★★
厨事夕月ひかり増してゆく★★★★
仲秋に入る風の音空の色★★★
厨事夕月ひかり増してゆく★★★★
仲秋に入る風の音空の色★★★
桑本栄太郎
きざわしに桂紅葉のひと葉かな★★★
フィリリリと闇を占めたる草ひばり★★★★
うそ寒や夜ともなれば窓を閉ず★★★
フィリリリと闇を占めたる草ひばり★★★★
うそ寒や夜ともなれば窓を閉ず★★★
弓削和人
腰を手に寝返りを打つ灸花★★★
雨止むを忘れし良書法師蝉★★★★
秋天へ歩みて覗く商店街★★★
腰を手に寝返りを打つ灸花★★★
雨止むを忘れし良書法師蝉★★★★
秋天へ歩みて覗く商店街★★★
9月6日(5名)
小口泰與
へら浮子のかろき魚信や秋桜★★★★
天界は晴やコロナの秋の邦★★★
休み田の群の棲家や泡立ち草★★★
天界は晴やコロナの秋の邦★★★
休み田の群の棲家や泡立ち草★★★
多田有花
窓揺らす北の海ゆく野分かな★★★★
虫の声朝の瞑想の耳に★★★
午後の風よく入る残暑の部屋★★★
虫の声朝の瞑想の耳に★★★
午後の風よく入る残暑の部屋★★★
廣田洋一
吟行になくてはならぬ秋扇★★★
朱の花を散りばめし絵や秋扇★★★
道はさみ交し合ひたる虫の声★★★★
朱の花を散りばめし絵や秋扇★★★
道はさみ交し合ひたる虫の声★★★★
桑本栄太郎
生ぬるき風の後なり野分雨★★★
うす暗きひと日終わりぬ台風裡★★★
綾子忌の今日も野菜の夕餉かな★★★
うす暗きひと日終わりぬ台風裡★★★
綾子忌の今日も野菜の夕餉かな★★★
弓削和人
数珠玉の伽藍の壁となりにけり★★★
妹嫁ぎ畑人となり白粉花★★★
毬栗の木は街角を見張りけり★★★
数珠玉の伽藍の壁となりにけり★★★
妹嫁ぎ畑人となり白粉花★★★
毬栗の木は街角を見張りけり★★★
9月5日(5名)
多田有花
新涼の朝焼け空を覆いけり★★★
真昼の部屋一転暗く秋の雷★★★
稜線へ斜めに差せる秋陽かな★★★
真昼の部屋一転暗く秋の雷★★★
稜線へ斜めに差せる秋陽かな★★★
小口泰與
丹精の田に集い来る鬼やんま★★★★
魔の山へ利鎌の月の出しかな★★★
渓流の鶺鴒の影魚の影★★★
魔の山へ利鎌の月の出しかな★★★
渓流の鶺鴒の影魚の影★★★
廣田洋一
紺色の多く使はれ秋扇★★★
秋扇帯に挟みて講演会★★★
虫の声愛でつつ酌むや一人酒★★★
秋扇帯に挟みて講演会★★★
虫の声愛でつつ酌むや一人酒★★★
桑本栄太郎
爽籟や学校帰りのリコーダー(原句)
爽籟や下校の子の吹くリコーダー★★★★(正子添削)
夕刻の鳩吹く風に帰宅かな★★★
翅音のぷるぷる聞こゆ鬼やんま★★★
夕刻の鳩吹く風に帰宅かな★★★
翅音のぷるぷる聞こゆ鬼やんま★★★
弓削和人
待ちたるや秋川へ来る乳母車★★★
勤務地へ黙と向うや唐辛子★★★
待ちたるや秋川へ来る乳母車★★★
勤務地へ黙と向うや唐辛子★★★
川浸る足を過ぎゆく秋の雑魚(原句)
川に浸けし足を過ぎゆく秋の雑魚★★★★(正子添削)
9月4日(5名)
多田有花
快晴に桜紅葉の始まりぬ★★★★
わが背より高きカンナを見て過ぎる★★★
爽やかに風あり雲を吹き払う★★★
わが背より高きカンナを見て過ぎる★★★
爽やかに風あり雲を吹き払う★★★
小口泰與
藤袴千里を翔る蝶の宿★★★
竜胆や尾根を伝いて山小屋へ★★★★
花眞菰長竿肩に徒渉る★★★
竜胆や尾根を伝いて山小屋へ★★★★
花眞菰長竿肩に徒渉る★★★
廣田洋一
土手の道歩む先々虫の声★★★★
マンションの灯りみな消え星月夜★★★
秋耕を終えたる畑黒々と★★★
マンションの灯りみな消え星月夜★★★
秋耕を終えたる畑黒々と★★★
桑本栄太郎
秋冷の朝の目覚めや君の夢★★★
気がつけば忽と鳴かざる秋の蝉★★★★
大原野の雲の茜や秋の峰★★★
気がつけば忽と鳴かざる秋の蝉★★★★
大原野の雲の茜や秋の峰★★★
弓削和人
車窓を見うつりし秋の過ぎゆくか★★★
隣家より行ってきますと秋さやか★★★★
受話器口あらぶる友と夜長し★★★
車窓を見うつりし秋の過ぎゆくか★★★
隣家より行ってきますと秋さやか★★★★
受話器口あらぶる友と夜長し★★★
9月3日(5名)
廣田洋一
あちこちに虫の声湧く露天風呂★★★★
師の句集読み返したる夜長かな★★★
吟行の鞄に入れし秋扇★★★
師の句集読み返したる夜長かな★★★
吟行の鞄に入れし秋扇★★★
小口泰與
啄木鳥や湖の水面の平らなり★★★★
榛名富士松虫草の湖の風★★★
芙蓉咲き裏山からの風柔き★★★
榛名富士松虫草の湖の風★★★
芙蓉咲き裏山からの風柔き★★★
多田有花
秋の蝉思い出したるように鳴き★★★
陽が入る午後は残暑の部屋を避け★★★
遠山のくっきり見えて秋めく日★★★★
陽が入る午後は残暑の部屋を避け★★★
遠山のくっきり見えて秋めく日★★★★
桑本栄太郎
雨上がり少しもみづる銀杏かな★★★
三階の眼下に臨むうす紅葉★★★
京なれやちくりん良しと秋の蝉★★★
三階の眼下に臨むうす紅葉★★★
京なれやちくりん良しと秋の蝉★★★
弓削和人
秋つゆの電車遅延やあちみこちみし★★★
かの虫の鳴き始めるや夜長し★★★
ふと目覚めすこやかならむ母の秋★★★★
9月2日(5名)
多田有花
落雷で断水となる二百十日★★★
湯に入ればさらに虫の声近く★★★★
秋めきて雨がちの日が多くなる★★★
湯に入ればさらに虫の声近く★★★★
秋めきて雨がちの日が多くなる★★★
小口泰與
無住寺を塒とせしや小鳥來る★★★
めはじきや女子大生のはや上京★★★★
みそ萩やかの戦争の星の数★★★
めはじきや女子大生のはや上京★★★★
みそ萩やかの戦争の星の数★★★
廣田洋一★★★
縁の下覗けば止みぬ虫の声
さくさくと梨を嚙む音一人の夜★★★
秋高し八幡宮の階上る★★★★
さくさくと梨を嚙む音一人の夜★★★
秋高し八幡宮の階上る★★★★
桑本栄太郎
暁闇の寝床に聞こゆ威し銃★★★
ふるさとの”新甘泉”や梨届く★★★★
木々の枝の色なき風に色づけり★★★
ふるさとの”新甘泉”や梨届く★★★★
木々の枝の色なき風に色づけり★★★
弓削和人
朝窓の目覚めの風や二百十日★★★★
傘さすも秋のついりの空眺め★★★
秋霖のいきもの皆や息ひそめ★★★
朝窓の目覚めの風や二百十日★★★★
傘さすも秋のついりの空眺め★★★
秋霖のいきもの皆や息ひそめ★★★
9月1日(5名)
廣田洋一
死亡記事一番に読む秋の朝★★★
雨戸閉め今日も息災虫の声★★★
サバンナの草々光る星月夜★★★★
雨戸閉め今日も息災虫の声★★★
サバンナの草々光る星月夜★★★★
小口泰與
噴煙のから紅や渡り鳥★★★
飛来せる小鳥や猫の目の光★★★
秋雨や鎖樋より禽の羽★★★
飛来せる小鳥や猫の目の光★★★
秋雨や鎖樋より禽の羽★★★
多田有花
法面の草刈られたり八月尽★★★★
二学期は白雨の中に始まりぬ★★★
新涼やシェイカーで溶かすプロテイン★★★
二学期は白雨の中に始まりぬ★★★
新涼やシェイカーで溶かすプロテイン★★★
桑本栄太郎
秋の雷名残を惜しむかのように★★★
もみづるや一雨後の庭の木々★★★
腹巻の今夜も付ける夜の秋(原句)
もみづるや一雨後の庭の木々★★★
腹巻の今夜も付ける夜の秋(原句)
腹巻を今夜も付ける夜の秋★★★★(正子添削)
弓削和人
軒先に雨宿りするとんぼかな★★★★
どしゃ降りや秋の夕べのアーケード★★★
長雨や灯火親しく手を休め★★★
軒先に雨宿りするとんぼかな★★★★
どしゃ降りや秋の夕べのアーケード★★★
長雨や灯火親しく手を休め★★★
コメント
Unknown
御礼
高橋信之先生、正子先生
9月2日の投句「目弾き」の句を今日の秀句にお取り上げ頂き、正子先生には嬉しい句評を頂き、大変嬉しく感謝申し上げます。有難う御座いました。今後ともよろしくご指導のほどお願い申し上げます。
お礼
正子先生
「新涼の朝焼け空を覆いけり」にご指導をいただきありがとうございます。
どちらをはっきりとした季語として捉えるか、未整理でした。
あまりに見事な朝焼け、さらに残暑が去った涼しさを感じて
深く考えずに作句してしまいました。
今後は季語をどのようにとらえるか、今一度考えて投稿したいと思います。