8月5日(月)

●小口泰與
朝蝉や田園アート眼間に★★★
夕さりの利根へ水切り風かおる★★★
ゆくりやく釣れし鰻や竿うねる★★★

●佃 康水
かなかなや未明の島の動き出す★★★★
かなかなが鳴くと晩夏である。島を包むようにかなかなが鳴き始め未明の島が動き始める。「島」であるのがよい。(高橋正子)

万両の花のこぼるる庫裏の庭★★★
かなかなに目覚むケビンの朝かな★★★

●迫田和代
亡くなった人人人の原爆忌★★★
水の音心に響く夏も行く★★★
夏の陽にはじけるごとく薔薇が咲く★★★

●古田敬二
白桃届く箱から香り溢れさせ★★★★
白桃は、桃のなかでも香りが特に良い。白桃の入った箱から、もうよい香りがあふれている。みずみずしい白桃をもらった嬉しさがあふれている。(高橋正子)

冬瓜を畦に転がし眺めけり★★★
水筒を傾けのその先雲の峰★★★

●桑本栄太郎
キャンパスの煉瓦炎暑や昼下がり★★★
鉄塔の嶺から谷へ雲の峰★★★
ひぐらしの鳴いて郷愁つのりけり★★★

●黒谷光子
夏の旅オープンカーと後先に★★★
雪渓にわずか凸凹撫でてみる★★★
振り返る山に雪渓光りおり★★★

●小西 宏
蝉時雨背に負いてまた道ゆけり★★★★
蝉時雨の道を歩いてきて、ちょっと休憩をしたのだろうか。また、蝉時雨を背に降らせて道を歩いてゆく。「また道ゆけり」に哀愁がある。(高橋正子)

未だ眠き目にミンミンの朝眩し★★★
夏空の青の深きや百日紅★★★


コメント

  1. 小西 宏
    2013年8月6日 11:59

    お礼
    高橋正子先生
    「蝉時雨背に負いてまた道ゆけり」にご講評を頂き、たいへん嬉しく思っております。どうもありがとうございました。木々の下に入ると圧倒的な蝉の声が降り注ぎ、やや疲れ気味の背中が重たく感じることがあります。

  2. 佃 康水
    2013年8月6日 20:36

    お礼
    高橋信之先生 正子先生
    「かなかなや未明の島の動き出す」に大変嬉しい句評を賜り誠に有難うございます。今までかなかなは夕暮れから啼くものと思っていました。先日宮島のキャンプでケビンに泊まった時、かなかなの声に目覚め驚きました。ケビンの前は海、後ろは山でしたが、鹿もたむろして草を食み、海には船も出て、又スタッフは朝食の準備が始まり島全体が動き始めた感じでした。