7月7日(日)

●小口泰與
畦道や高さ際だつ立葵★★★
火の山の心音たしか夏木立★★★
ありありと朝の赤城や青ぶどう★★★

●小西 宏
金蚊の仰向いて脚生きんとす★★★★
金蚊が何かにぶち当たってひっくり返った。起き上がろうとしてか、必死に脚を動かしている。作者はその様子を「生きんとす」と捉えた。金蚊の命を直視しているのがよい。(高橋正子)

蝉鳴かぬ日にも網持ち子ら走る★★★
笹竹を手折り短冊五つほど★★★

●河野啓一
銀漢に願い届けよ笹飾る★★★
短冊の揺れて蜻蛉の飛ぶごとく★★★
天の川流れの先は那智の滝★★★

●多田有花
草原の輝きはるか小暑なる★★★
買い物の籠にそれぞれ笹飾り★★★
梅雨明けの近づく空を見上げおり★★★

●黒谷光子
畠より帰りて昼餉冷素麺★★★
冷素麺二筋三筋の色交じる★★★
硝子器に盛れば涼しき夕餉かな★★★

●桑本栄太郎
菜園の朝や数多の麦藁帽★★★★
朝まだ涼しいうちに菜園に出て作業をする人たちが大勢いる。夏野菜の収穫や水やりに、みんな麦藁帽子を冠っている。朝の菜園の涼しさを共有できる。(高橋正子)

炎天や室に入れば暗闇に★★★
街道の山滴りし家並みかな★★★

●下地鉄
蝉しぐれ締めの一声しっかりと★★★
暁闇のしじまを破る蝉しぐれ★★★
潮騒に更けゆく夏の浜辺かな★★★

●高橋秀之
初蝉や並んで歩む親子連れ★★★
風呂上り日焼け背中に薬塗る★★★
日焼けしてそれでもサッカーボール蹴る★★★


コメント

  1. 小西 宏
    2013年7月9日 20:33

    お礼
    高橋正子先生
    「金蚊の仰向いて脚生きんとす」の句に励ましのお言葉をお送りくださり、たいへんありがとうございました。夏は昆虫の季節。犬と一緒に楽しく散歩しています。