●小口泰與
きわやかや事に日の出の蓮の花★★★
ねじ花や花にそよぎし低き風★★★
魚止めの滝や朝日を賜わりし★★★
●桑本栄太郎
朽ち居ても香り確かむ夏つばき★★★
眩しさの木洩れ日降りぬ梅雨の晴れ★★★
涼風の立つや忽ち又雨に★★★
●河野啓一
蓮の花競い合うなか朝の風★★★
花南天地に散り敷いて天の星★★★
割り箸でつまむ毛虫よ蝶かもしれず★★★
●多田有花
【原句】夏霧を載せて流れし朝の川
【正子添削】夏霧を載せて流れる朝の川★★★★
夏霧を載せたままに川が流れていく朝の静かでゆったりとした景色がよい。原句の「流れし」の「し」は回想の助動詞「き」の連体形。この句は現在形がよい。(高橋正子)
あの角もこの角ものうぜん花揺れ★★★
梅雨茸一夜に数を増やしおり★★★
●佃 康水
白南風や下船の一歩立ち尽くす★★★★
梅雨が明けて吹く南の風を白南風というが、下船したとたん、足元の不安定さに、大きく吹く白南風に立ち尽くしてしまった。「立ち尽くす」は、また、陽の強さに目が眩んだせいでもあろう。(高橋正子)
広島江田島 茶道の師を訪う
翼張る青鷺の空大きかり★★★
江田島 乗馬場
エンジン音響かせ馬場へ水撒かる★★★
●小西 宏
空に向け伸びす合歓咲く昼下がり★★★
軽鳧の子の羽膨らませ飛ぶ用意★★★
梅雨明けて蝉のそろそろ鳴き初むる★★★
●下地鉄
街の灯のぽつりぽつりと夏暮れる★★★
夏雲や残照やわき海の色★★★
朝凪の浜辺に独り孤老かな★★★
●高橋秀之
夕立に家族そろって雨宿り★★★
夕立を弾く木の葉の瑞々し★★★
一瞬の大雨夕立かばん濡れ★★★
コメント
お礼
高橋信之先生 正子先生
「白南風」の句への★印のご指導を、そして正子先生には素晴らしい句評を賜り誠に有難うございます。久しぶりに茶道の先生を友達4人で訪ねて行きました。その日はお天気にも恵まれ、下船したとたんにふっと潮騒と風、潮の香がして、誰となく「わぁ!」と言う程、さわやかな島の空気に触れた思いで立ち止まりました。「白南風」を実感出来た瞬間でした。
お礼
信之先生、正子先生、
「夏霧を載せて流れる朝の川」に添削指導をいただき、ありがとうございます。正子先生のご句評どおり、この情景は目の前に展開していたものでした。