7月20日(3名)
小口泰與
大瑠璃のこえや山家の大庇★★★★
ゆらゆらと小枝に非ず目高かな★★★
夏茜追想はつねに胸躍る★★★
ゆらゆらと小枝に非ず目高かな★★★
夏茜追想はつねに胸躍る★★★
廣田洋一
香水の香る近さの握手かな★★★★
握手をしたら、ふうっと香水が匂って、涼しい風が流れたような気持ちになった。ちょうどいい距離の握手が爽やか。(髙橋正子)
香水のぶつかりをりぬ電車の中★★★
暮れなづむ田の面を明るく合歓の花★★★★
暮れなづむ田の面を明るく合歓の花★★★★
桑本栄太郎
青空の木洩れ日辿る朝涼し★★★
分けつの太き青田や朝の風★★★
放れ雲青空にあり炎暑来る★★★★
分けつの太き青田や朝の風★★★
放れ雲青空にあり炎暑来る★★★★
青空に雲が放り投げられたように浮いている。隠れようのない炎暑が来たのだ。雲だって暑い。(髙橋正子)
7月19日(4名)
小口泰與
木の丈を越ゆる凌霄花空は風(原句)
木の丈を越ゆる凌霄花空に風★★★★(正子添削)
凌霄花は蔓性の木性で、ほかの木に蔓を絡めてよじ登るように伸びていく。花は明るいオレンジ色で美しい。この句は、木の丈以上に伸びて青空によく映え咲いている凌霄花。花の上を心地よい風が吹いているのだろう。凌霄花の特性をよく捉えた夏らしい句。(髙橋正子)
熱帯夜朝風呂入りて早忘れ★★★
庭仕事汗の言霊発しける★★★
庭仕事汗の言霊発しける★★★
廣田洋一
香水を一滴たらし眠りけり★★★
たっぷりと庭に水撒く土用入★★★
たっぷりと庭に水撒く土用入★★★
燦燦と晴れ上がりたる土用入★★★★
多田有花
われもまた盛夏の日差し浴びて立つ★★★
蝉の声にぎやかな朝となりにけり★★★
青空に雲のまぶしき真夏かな(原句)
蝉の声にぎやかな朝となりにけり★★★
青空に雲のまぶしき真夏かな(原句)
真夏はだいたい雲がまぶしいですから、それを実感した、句に仕立てます。(髙橋正子)
青空に雲のまぶしさ真夏かな★★★★(正子添削)
桑本栄太郎
日傘差し朝の散歩や老婦人★★★
空蝉の命あるかに構えけり★★★
明けて早や日差し炎暑や青き空★★★
空蝉の命あるかに構えけり★★★
明けて早や日差し炎暑や青き空★★★
7月18日(4名)
小口泰與
田水沸く犬も散歩を尻ごみぬ★★★
軽装や湖畔に立ちて夏夕べ★★★
長き尾の目高のずいと水面へと★★★
軽装や湖畔に立ちて夏夕べ★★★
長き尾の目高のずいと水面へと★★★
廣田洋一
青空に赤く垂れたる唐黍の花★★★
川風の涼しき並木そよぎけり(原句)
川風の涼しき並木そよぎけり(原句)
みんなそよいでいる方が涼しく感じられます。
川風の涼しき並木みなそよぎ★★★★(正子添削)
片蔭を伝ひて歩く散歩道★★★
多田有花
梅雨明けや書斎の椅子を新調す★★★★
梅雨が明け、いよいよ夏本番となるとき、気持ちを一新して書斎の椅子を新調した。デスクワークがはかどりそう。(高橋正子)
梅雨明けの風入る部屋で瞑想す★★★
梅雨明けや煎じし生薬の甘し★★★
梅雨明けや煎じし生薬の甘し★★★
桑本栄太郎
梅雨明けの青空行くや朝の道★★★
枝毎に密をいとわず蝉しぐれ★★★
夏萩の枝の浮き居り下風に★★★★
枝毎に密をいとわず蝉しぐれ★★★
夏萩の枝の浮き居り下風に★★★★
7月17日(4名)
廣田洋一
頼まれし香水求めシャンゼリゼ★★★
湯上りにパッと振りかけオーデコロン★★★
シャツの背の丸く濡れたる極暑かな★★★
湯上りにパッと振りかけオーデコロン★★★
シャツの背の丸く濡れたる極暑かな★★★
小口泰與
あけぼのの百千のばらや鳥の声★★★
奥利根の夏闌の棚田かな★★★
奥利根の夏闌の棚田かな★★★
夕焼や雲と噴煙ともに紅(原句)
噴煙も雲も夕焼け一色に★★★★(正子添削)
浅間の噴煙も雲も、夕焼けに同じように染まってしまう。雄大な夕焼けの景色が素晴らしい。(高橋正子)
桑本栄太郎
茅舎忌の種を播きたり夏大根★★★
一陣の風を生みたる夕立来る★★★
梅雨明けの祇園囃子や練り歩く★★★★
一陣の風を生みたる夕立来る★★★
梅雨明けの祇園囃子や練り歩く★★★★
多田有花
雨やめば蝉の声する朝となり★★★
双眼鏡で見る山肌の合歓の花(原句)
双眼鏡で見る山肌の合歓の花(原句)
「で見る」が、散文的かな、と思います。
山肌の合歓の花見ゆ双眼鏡★★★★(正子添削)
梅雨明けと思いし今朝の夜明けかな★★★
7月16日(3名)
小口泰與
農婦より朝採り胡瓜賜りぬ★★★★
鷺草へ風の物言い湖辺にて★★★
物の怪の如き顔出づ花蜘蛛ぞ★★★
鷺草へ風の物言い湖辺にて★★★
物の怪の如き顔出づ花蜘蛛ぞ★★★
廣田洋一
駅出れば西日射し込む車窓かな★★★
照り返す西日の川に舟浮かぶ★★★
棟上げの木の香漂う西日かな★★★★
照り返す西日の川に舟浮かぶ★★★
棟上げの木の香漂う西日かな★★★★
いよいよ棟上げの日、組み上げた木に西日が当たり、西日の温みに真新しい木が匂う。新築らしい木の香りに棟上げの喜びも一入。(高橋正子)
桑本栄太郎
突然の音に目覚むや朝の雷★★★
夏草や遠くの孫に会えぬ日々★★★
嶺に沿い茜つづけり梅雨入日★★★
夏草や遠くの孫に会えぬ日々★★★
嶺に沿い茜つづけり梅雨入日★★★
7月15日(3名)
小口泰與
何だこりや忽と花蜘蛛眼間に★★★
郭公や休日の暁け起こされし★★★
山林の小火や牝鹿の鋭声せり★★★
郭公や休日の暁け起こされし★★★
山林の小火や牝鹿の鋭声せり★★★
廣田洋一
四つ角を曲がれば止みし夕立かな★★★
橋渡り追ひかけて来る夕立かな★★★★
予報は三時夕立前に帰宅せり★★★
橋渡り追ひかけて来る夕立かな★★★★
予報は三時夕立前に帰宅せり★★★
桑本栄太郎
捩花のねじれ忘れや真直ぐに★★★
突然の音に目覚めり雷走る★★★
突然の音に目覚めり雷走る★★★
雷雨去り雨のしずくや蝉の声(原句)
蝉の声雷雨ののちの雨しずく★★★★(正子添削)
雷雨が去ると、途端に蝉が鳴きだす。蝉の鳴く枝からは雨の滴が垂れて、蒸し暑さが湧き上がるよう。夏だ。(髙橋正子)
7月14日(3名)
小口泰與
水割って滝を遡上や魚の群★★★
暑き日を包みこみたる泉かな(原句)
暑き日を包みこみたる泉かな(原句)
「包みこみたる」と言い切ってしまうと、江戸俳諧のような印象を受けます。もう少し新しさがあっていいのではないでしょうか。(髙橋正子)
暑き日をしづめて湧ける泉かな★★★★(正子添削)
泉に来ると、周りの暑さをしずめたように涼しい感じがする。泉の清涼感がいい。(高橋正子)
百日紅文机に置く史記一巻★★★
百日紅文机に置く史記一巻★★★
桑本栄太郎
朝日差す畦道来たる青田波(原句)
整理された方がいいと思います。(髙橋正子)
畦道に朝日差しけり青田波★★★★(正子添削)
早朝、畦道を歩くと朝日が斜めに差して眩しいほどだ。青田に風が渡り波立っている。朝の涼しい景色がいい。(髙橋正子)
花びらの巻いて散り居り木槿咲く★★★
午後よりの黒雲集う梅雨の雷★★★
午後よりの黒雲集う梅雨の雷★★★
多田有花
たっぷりと油を吸って茄子うまし★★★
帰り着くやいなや白雨の来たりけり★★★
やわらかく包まれメロンの並びおり★★★
帰り着くやいなや白雨の来たりけり★★★
やわらかく包まれメロンの並びおり★★★
7月13日(4名)
小口泰與
混沌の釣糸解きて翡翠かな★★★
夏の暁紫紺の赤城靄も無き★★★
蒼天は癒しや湖の時鳥(原句)
夏の暁紫紺の赤城靄も無き★★★
蒼天は癒しや湖の時鳥(原句)
「癒し」が読み手に伝わりにくいです。
湖に蒼天晴ればれ時鳥★★★★(正子添削)
廣田洋一
日焼けせし腕が自慢の女の子★★★★
日焼けした腕を自慢する元気な女の子。健康的で、さっぱりした女の子の様子がいい。(髙橋正子)
紅花の凛として立つ葵かな★★★
雷雨にも耐へて立ちたる花葵★★★
紅花の凛として立つ葵かな★★★
雷雨にも耐へて立ちたる花葵★★★
多田有花
窓ガラス揺らし真昼の梅雨の雷★★★
夏燕また巣作りを始めおり★★★
夏燕また巣作りを始めおり★★★
梅雨長しゆっくりコーヒーを入れる★★★
桑本栄太郎
おもむろに蝉の鳴き出す暁けの道★★★
朝日差す池の静寂や蓮の花★★★★
朝日差す池の静寂や蓮の花★★★★
蓮の花は早朝に開き、昼前にはしぼむ。神々しく朝日が差す静かな蓮池。(髙橋正子)
雷鳴の音に目覚むる夕べかな★★★
雷鳴の音に目覚むる夕べかな★★★
7月12日(4名)
小口泰與
夕さりの鄙の小店やおとり鮎★★★
うなそこの破船の海月闇に舞う★★★
腰痛を忘るる趣味や七変化★★★
うなそこの破船の海月闇に舞う★★★
腰痛を忘るる趣味や七変化★★★
廣田洋一
葉陰より紫光る茄子の花★★★★
茄子は、葉も、茎も、花も少しずつ色が違う紫。葉陰から茄子の花が見えるが、生き生きとして光っている。花の紫が光っていて、目に焼き付く強さ。
それがいい。(高橋正子)
晴天や日毎色濃き茄子の花★★★★
谷戸の風追ふが如くに蝉時雨★★★★
谷戸の風追ふが如くに蝉時雨★★★★
多田有花
草を刈る音の終日梅雨晴れ間★★★
たどたどしく「雨だれ」を弾く梅雨の部屋★★★
青芝を丸く刈りたり芝刈り機★★★
たどたどしく「雨だれ」を弾く梅雨の部屋★★★
青芝を丸く刈りたり芝刈り機★★★
桑本栄太郎
虎尾草の花の仕舞いや雨上がる★★★
雷雨去り風の夕べや宵涼し★★★
嶺の端のひと日暮れ行く梅雨入日★★★
雷雨去り風の夕べや宵涼し★★★
嶺の端のひと日暮れ行く梅雨入日★★★
7月11日(4名)
廣田洋一
山裾にくっきり浮かぶ合歓の花★★★
合歓の花たづねつつ行く谷戸の道★★★
一駅を過ぎれば上がる夕立かな★★★★
合歓の花たづねつつ行く谷戸の道★★★
一駅を過ぎれば上がる夕立かな★★★★
小口泰與
滝に立ち風の飛沫を身にまとう★★★★
屋上や夕焼を真っ向に受く★★★
屋上や夕焼を真っ向に受く★★★
「真っ向に受く」の「に」が気になります。
真っ向の夕焼受けて屋上に★★★★(正子添削)
巣を出づや躁の子鴉親追う目★★★
巣を出づや躁の子鴉親追う目★★★
多田有花
ひとときの梅雨の日差しののち雨に★★★
梅雨深し向かいの木槿咲き初めし★★★★
梅雨深し向かいの木槿咲き初めし★★★★
梅雨の雨が降り通し、身の回りが雨に浸されそう。そんなとき、向かいの槿を見て居れば、咲き始めている。花のすがすがしいこと。(髙橋正子)
遠雷や梅雨の終わりの近づきぬ★★★
遠雷や梅雨の終わりの近づきぬ★★★
桑本栄太郎
初蝉の忽と鳴き初む朝餉かな★★★★
夕映えや塒すずめの姦しく★★★
鳴りいても雨の降り来ず梅雨の雷★★★
夕映えや塒すずめの姦しく★★★
鳴りいても雨の降り来ず梅雨の雷★★★
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コメント
御礼
高橋信之先生、正子先生
7月11日の投句「夕焼」の句を添削して頂き四点句にお取り上げ頂き有難う御座います。リズム感のある素敵な句にして頂き有難う御座います。
7月14日の投句「泉」の句を添削して頂き今日の秀句にお取り上げ頂き大変嬉しく有難う御座いました。今後ともよろしくご指摘のほどお願い申し上げます。
自由な投句箱
高橋信之先生、正子先生
7月13日の投句「時鳥」の句を添削して頂き有難う御座いました。
7月17日の投句「夕焼」の句を添削して頂き有難う御座いました。
それぞれの句かとてもリズムよくなり感謝申し上げます。
今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
御礼
高橋正子先生
いつも懇切にご指導頂き有難う御座います。
7月18日の「川風の涼しき並木そよぎけり」を「川風の涼しき並木みなそよぎ」と添削して頂き有難う御座います。
仰る通り涼しさが増しました。添削後の句を4点句にお取り上げ頂き有難う御座います。
今後とも宜しくご指導のほどお願い申し上げます。
お礼
正子先生
「双眼鏡で見る山肌の合歓の花」を
「山肌の合歓の花見ゆ双眼鏡」に添削いただきありがとうございます。
散文的というのが確かによくわかります。
同じことを描写しているのですが、俳句は詩であることを
忘れないようにしたいと思います。
御礼
高橋正子先生
7月19日投句「凌霄花」の句を添削して頂き、リズムの良い句になりました。有難う御座います。
今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
お礼
正子先生
「青空に雲のまぶしき真夏かな」を
「青空に雲のまぶしさ真夏かな」に
添削いただきありがとうございます。
一字の違いでこれほど印象が変わるものかと驚きました。
一字の大切さを大事にしたいと思います。