6月14-16日

6月16日

●祝恵子
茅の輪くぐる吾らシルバー歩き会★★★★
家族それぞれの無病息災を願って茅の輪をくぐるのだけれど、歩き会のシルバー仲間も同じこと。老いを屈託なく受け止めてくぐる青い茅の輪も涼やかだ。(高橋正子)

金糸梅神宮の森はすぐそこに★★★
ホタルブクロ遠き思いを包み込む★★★

●小口泰與
鮎釣りの鮎の長竿競いけり★★★
噴煙の北にたふるる植田かな★★★★
玉の汗ぼうだとなりて目覚めけり★★★

●古田敬二
偽りのなき紫に茄子の花★★★
やわらかき棘持て胡瓜ぶら下がる★★★★
引き抜けばバリバリ音して夏の草★★★

●桑本栄太郎
水の無き石の流れや夏の川★★★
白壁の農家田中に青田かな★★★
一つずつ落ちて一途や沙羅の花★★★★

●高橋信之
紫陽花に午前六時の明るい朝★★★★
梅雨も一休みし、紫陽花に午前六時の朝日が差して花を明るくしている。さほど暑くもなく、涼しすぎもしない、清々しい朝だ。(高橋正子)

近づけば顔上ぐ昼咲月見草★★★
薔薇ひらく農の庭なり空の青★★★

6月15日

●小口泰與
風たちて矢車草の乱れあう★★★★
郭公や棚田の水のまんまんと★★★
ねじ花や夕日の影もねじれしか★★★

●桑本栄太郎
川風を受けて淡きや合歓の花★★★★
「風に乗る」は、風に乗って運ばれる、移動するの意味が含まれるので句意がわかりにくい。合歓の淡い花の咲く枝が川風を受け、煽られている様子は、優しさのなかにも合歓の花の強さが見える。

梅雨冷えや葉のひるがえり風の歌★★★
一途なる少年の日よ椎の花★★★

●小西 宏
梅雨晴のひと葉ひと葉に光透く★★★★
青空に焦がれ乾きし蚯蚓かな★★★
蛍飛び人の頭の黒きこと★★★

●多田有花
山行を終えて乾杯生ビール★★★★
山行(さんこう)は、山歩き、山遊び、登山の意味。登山では頂上に至った達成感とそこからの眺望は、得難いもの。登山というほどのものでなくても山を歩き、山に遊び汗を流したあとの乾杯の生ビールの爽やかなこと。さっぱりとした句。(高橋正子)

廃線のトンネルにある涼しさよ★★★
山法師の花びら積もる山路ゆく★★★

●川名ますみ
きらめきはアイスのふくろ熱の床★★★★
枕辺にたべさしのアイスキャンディー★★★
驟雨過ぎ銀杏並木に碧深し★★★

6月14日

●小口泰與
郭公の声響き合う岸辺かな★★★★
郭公のこだま飛び交う駒出池★★★
目覚めたる浅間や佐久の青田道★★★

●桑本栄太郎
ことさらに日差し明るき梅雨晴間★★★
あおき香も音に乗せ来る草刈機★★★★
拠りどころ玉巻く葛の虚空かな★★★

●高橋秀之
百円を握り園児はアイス買う★★★★
暑い日には、アイスが何よりのたのしみな子どもたち。とくに園児は買い物が自分で出来る喜び
も加わるので、アイスを手にした満足感はたかい。嬉しそうな園児の顔が浮かぶ。(高橋正子)

扇風機家族に向けて首を振る★★★
歓声がゴールの度に夏の朝★★★


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