6月20日(4名)
- 多田有花
- 夏至近し日差し輝くばかりなり★★★★
- 早起きの雀かしまし明易し★★★
安眠を破られ探す蚊取線香★★★ - 桑本栄太郎
- 通学の児童と出会う朝涼し★★★★
- バスを待つ客の寄り添う片かげり★★★
- 鳥からす鳴かぬ朝や炎暑来る★★★
- 小口泰與
- 谷若葉奇岩の山の鳥の声★★★
- 鴉の巣ごぼつ翁や若葉風★★★
- 里山の郡の端の稲田かな★★★
- 上島祥子
- 冷たさを保つプリンや道の駅★★★
朝歩き汗ひくを待つ陶の椅子★★★★
試験明け夏手袋の帰宅生★★★
6月19日(4名)
多田有花
歩き来て茄子冷製のあるブランチ★★★
石竹を窓辺に飾る喫茶店★★★
ビスコッティ熱き珈琲に浸す梅雨★★★
- 桑本栄太郎
- 梅雨晴のつづき一雨欲しきかな★★★
雉鳩の鳴いて目覚むる梅雨晴れ間★★★★
木洩れ日の涼風来たる朝あるき★★★ - 小口泰與
- 翡翠の森深き木木へ帰りけり★★★
- 夏氷薬缶の中にかたかたと★★★★
- 堰堤を越える翡翠声残し★★★
- 川名ますみ
- 紫陽花のましろや医科の正門に★★★
- 紫陽花の白きを過ぎて医科に入る★★★
若葉雨切りひらきゆく通院路★★★★
6月18日(5名)
- 小口泰與
- 時鳥小沼の水面波立たず★★★
- 翡翠や堰堤越えて葦原へ★★★
鳴きながら特許特許と時鳥★★★
- 廣田洋一
- 時速し遂に来れる猛暑の日★★★
- 連なれる木の葉の茂り光りおり★★★
釣堀や人影まばら昼餉時★★★
- 多田有花
- <神河町猪篠あじさいの里三句>
雨足や色鮮やかに額の花★★★
紫陽花のかたわらをゆく傘の花★★★
くちなしを真昼の雨が濡らしおり★★★ - 桑本栄太郎
- 朝九時のすでに溽暑の散歩かな★★★
- 紫陽花の塀を乗り越え変化せり★★★
- 泰山木の花の朽ちたりつぼみ又★★★
- 上島祥子
- 降り出しの雨音軽く明易し★★★★
夏川や鯉は煌めく波に乗り★★★★
親を待つ子燕の声耳に良し★★★
6月17日(6名)
- 小口泰與
- きらきらと鱗光らす夏の沼★★★
- 大木の影を映せり山の沼★★★
- 翡翠や堰堤越えて葦原へ★★★
- 土橋みよ
- 芋虫や葉の裏表また裏へ★★★
葉裏より剥がれ芋虫手の甲へ★★★ - 栃木来て生粉打ち蕎麦を啜る夏(原句)
- 「栃木来て」は無理な表現です。字余りでも「栃木に来て」となります。以下の添削のようにしても結構です。(髙橋正子)
- 栃木に来生粉打ち蕎麦を啜る夏(正子添削)
- 廣田洋一
- ドア開けて蒸し暑き風呼び込めり★★★
- 十薬や覆いつくせる狭き庭★★★
- いつまでも暮れぬ空なり夏至の夕★★★
- 桑本栄太郎
- 朝道の早やも伝いぬ片かげり★★★
- あおぞらの見えて小雨や梅雨じめり★★★
気合入れ起ち上りたる辱署かな★★★ - 多田有花
- <神河町猪篠あじさいの里三句>
- 薔薇囲む門は小雨に煙りおり★★★
- 但馬街道宿場に降るや梅の雨★★★
- 梅雨の中苔むす石の道標や(原句)
- 「石の道標」は「いしのみちしるべ」と読ませてはどうでしょうか。(髙橋正子)
- 上島祥子
青梅の三つ四つ落ちて朝の雨★★★★
風潤むラジオ体操梅雨晴れ間★★★
朝食のハイビスカスティーマイカップ★★★
6月16日(4名)
- 小口泰與
- 夕焼を点じる空や赤城山★★★
- 白鷺のこのもかまもに居りにける★★★
- 「この/もかまも/に」の意味は、古風な表現ですが、「この/藻や蒲の間/に」と解釈しましたが、よいですか。(髙橋正子)
- 翡翠の声のこぼるる山の沼★★★
- 多田有花
- <神河町猪篠あじさいの里三句>
- ●雨に煙る山間の里七変化★★★
- 欲を言えば、「山間の里」あるいは「里」を使わないで、その情景を読者に思い起させると、句の格が一段とあがります。(髙橋正子)
>雨に煙る山間の里七変化
「雨に煙る谷に続くや七変化」
●田に姿映して咲けり栗の花★★★(原句)
「田に姿映して〇〇〇栗の花」
の〇〇〇のところに、観察し、感じたことを入れるといいです。例えば「しずか」など。「栗の花」で「咲けり」の状態がわかるので、省略できます。(髙橋正子)
>この日は小雨で少し風がありました。(有花)
「田に姿映して揺れし栗の花 」
- ●山里の清流紫陽花を包む
- 「清流が紫陽花を包む」とはどんな感じなのでしょうか。「浸す」の意味でしょうか。(髙橋正子)
- >清流のそばに紫陽花の咲く道が続いていました。「清流が包む」というのではなく「清流の音が包む」というのが正確な描写です。(有花)
- 「紫陽花や清流の音に包まるる」
- 廣田洋一
- 夏至の日や熱きうどんを頂きぬ★★★
- 沢蟹や田舎の川で取り放題★★★
時速し遂に来れる猛暑の日★★★
- 桑本栄太郎
- 梅雨晴と思えざるなり木蔭行く★★★
- 紫陽花の青の吐息の日差かな★★★
枇杷熟るるあの娘の逝きし日を想う★★★
6月15日(5名)
- 小口泰與
- 水滴の筋の曲がりや夏の窓★★★
- 鞦韆揺れの止まらぬ夏の湖★★★
句会あり夏の夜とはことのほか★★★★ - 「句会」の楽しみがよく伝わります。(髙橋正子)
- 土橋みよ
- 力溜め鮃の皮引く夏本番★★★★
- 「力溜め」と「夏本番」がいいです。(髙橋正子)
- 昆布に包まれ夏の鮃のどっしりと★★★★
- 「どっしりと」がいいです。(髙橋正子)
- 折れた苗挿して芽吹くや梅雨に入り★★★★
- 廣田洋一
- 駅前を赤く飾りし合歓の花★★★
- ねむの花花蕊赤く落にけり★★★★
- 「花蕊赤く」のはっきりした観察がいいです。(髙橋正子)
- 姫百合や空を向きたる黄色かな★★★
- 多田有花
- <恩師米寿祝三句>
- みな集う六月の中華レストラン★★★
テーブルで語るあの頃の夏のこと★★★
明石蛸たっぷり入りし湯麺に★★★
- 桑本栄太郎
- <京都四条大橋界隈散策より>
- 鴨川の濁り怒涛や梅雨の川★★★
額の花せせらぎ早き高瀬川★★★
叡山の雲に覆われ梅雨深し★★★
6月14日(4名)
- 小口泰與
- 雨の中屋根に一羽の夏雀★★★
- 梅雨さ中植田をつなぐ小川かな★★★★
- 風の中夕立かける山の沼★★★
- 廣田洋一
- 花弁の赤く色付く山法師★★★
- 人に向け香り放てる鉄砲百合★★★
翡翠の一閃水を掠めけり★★★
- 多田有花
- エアコンの効かぬ車よ梅雨晴間★★★
- 植えられし早苗すっくと水面に立つ★★★★
山の端にうすぼんやりと梅雨の月★★★
- 上島祥子
- 夏木立朝の大気に深呼吸★★★★
翡翠の翔び去る一瞬水鏡★★★
帰途までにぷくりと腫れし虫刺され★★★
6月13日(5名)
梅雨入の雨音ピアノソナタ聴く★★★
水音を間近く十薬群れ咲きぬ★★★★
紫陽花の色増すころとなりにけり★★★
廣田洋一
黍や赤ひげ伸ばし実のなれり★★★
田んぼにてざりがに捕りし幼き日★★★
水べりをひたすら歩く水鶏かな★★★
小口泰與
鮎釣りの心当てなく竿を出す★★★
翡翠の心許なき狩猟かな★★★
翡翠の水面をじっと見てござる★★★
桑本栄太郎
茅花の穂風の誘いに抗えず★★★
泰山木の香り拡げる花の数★★★★
梅雨晴の木蔭をつたう散歩かな★★★
- 土橋みよ
- 院内の名画を巡る夏の午後★★★★
- 中待合再開喜ぶ夏の声★★★
水打てば葉陰に隠れし胡瓜あり★★★★
6月12日(4名)
多田有花
アマリリス正面は青き津久見湾★★★★
大粒の苺たっぷり載るケーキ★★★
「ソニック」ははつなつの海の色★★★
小口泰與
木隠れて翡翠沼を爛爛と★★★
里沼へ朝日こがしつ夏の鯉★★★
里山の小暗き沼の極暑かな★★★
廣田洋一
鳴きつつも羽繕いする水鶏かな★★★
知らぬ間に残業したる夏至の夕★★★
水槽の蟹を選びて茹で上げし★★★
桑本栄太郎
あじさいの垣根に垂れる雨後の朝★★★
青柿の道に散らばり雨あがる★★★
十薬の背伸びしている日蔭かな★★★
6月11日(5名)
多田有花
菩提寺の石段脇の紫蘭かな★★★
音立てて鮪ステーキ来る夏★★★
庭先にみかんの花が咲いている★★★
- 小口泰與
- 翡翠の雌の後追う二羽の雄★★★
- 岩の上亀の甲羅の乾きけり★★★
田の水のあふれんばかり苗に風★★★
- 廣田洋一
- 子ら並び水切り競う夏の川★★★
- 万緑や雨に打たれて光増す★★★
時々は流され休む水澄まし★★★★
- 桑本栄太郎
- 青梅雨や木々の明るく雨あがる★★★
- 雨止めば雲のあかるく梅雨深し★★★
- 雨止めば途切れなきなり梅雨の雲★★★
- 上島祥子
- 庭師来て風の生まるる夏の庭★★★★
夏萩や水掛け地蔵の碑は白み★★★
翡翠の林の静寂破る狩★★★
コメント
お礼
正子先生、6月16日の拙句にそれぞれ丁寧なご指導をいただきありがとうございます。それぞれ句を手直ししてみました。
>雨に煙る山間の里七変化
欲を言えば、「山間の里」あるいは「里」を使わないで、その情景を読者に思い起させると、句の格が一段とあがります。(髙橋正子)
「雨に煙る谷に続くや七変化」
>田に姿映して咲けり栗の花(原句)
「田に姿映して〇〇〇栗の花」
の〇〇〇のところに、観察し、感じたことを入れるといいです。例えば「しずか」など。「栗の花」で「咲けり」の状態がわかるので、省略できます。(髙橋正子)
この日は小雨で少し風がありました。
「田に姿映して揺れし栗の花 」
>山里の清流紫陽花を包む
「清流が紫陽花を包む」とはどんな感じなのでしょうか。「浸す」の意味でしょうか。(髙橋正子)
清流のそばに紫陽花の咲く道が続いていました。「清流が包む」というのではなく
「清流の音が包む」というのが正確な描写です。
「紫陽花や清流の音に包まるる」
推敲句
推敲された句を読みました。やはり、推敲後の句の方が良いと思います。推敲の一つの考えとして、「正確に表す」ということも大事かと思います。