●小口泰與
利根川の流れ荒ぶや山桜★★★
はくれんや白磁の花瓶本床に★★★
大木の根方の雪解まんまるよ★★★
●黒谷光子
青空へ枝を広げて白木蓮★★★
畑に採る茎立ち近き法蓮草★★★
葉の奥に花芽を宿し法蓮草★★★
●多田有花
木漏れ日を親しと思う四月かな★★★
見晴るかす嶺に展開山桜★★★
頂を囲みし三葉躑躅かな★★★
●河野啓一
丘染めて桜花朝日に耀けり★★★★
丘を埋めて咲く桜が朝日を受け、曙色に染まり耀くばかり。素晴らしい眺めを呈してくれる。（高橋正子）
野の池にさくらの姿淡く揺れ★★★
うぐいすを捕るとて網を持ちたる児★★★
●桑本栄太郎
花あはれ夜半に嵐の音を聞く★★★
風に舞い風を染め上げ花の塵★★★★
散り敷いた桜の花びらが風に舞い上がるときは、「風を染め上げ」の言葉通り。花の塵さえも美しい。（高橋正子）
花ももの紅白分かち乱れけり★★★
●藤田洋子
街騒の柳の岸に流れくる★★★
柳青みて水に照り水に垂る★★★★
「柳青みて」の上七に力強さがある。以下「水に照り水に垂る」の五・五と続く五音のリズムも力強い。柳はしなやかなものとして詠まれることが多いが、この句は柳を力強く詠んで成功した。（高橋正子）
雨あとの空より落花はじまれる★★★
●小西 宏
旅の途のひとつのけじめ桜散る★★★★
旅の途にあっても、桜が散るときが来て散る。「散る」を「ひとつのけじめ」として受け止めるのも、旅の思い。（高橋正子）
花覆い日々青みゆく楓の芽★★★
蒲公英の日影に咲いて陽の光★★★
●藤田裕子
もどり来し山路ゆかしき山吹よ★★★
静かなり桜は今を咲き誇る★★★
陽の包む山裾やさし朝桜★★★
コメント
お礼
高橋信之先生 正子先生
「丘染めて桜花朝日に耀けり」に★印のご指導と素敵なコメントを賜り誠に有り難うございました。当地ではまだ咲いて日も浅く、朝日を浴びてほんとに見事でした。
お礼
信之先生、正子先生、４/４の俳句に★印のご指導をいただきありがとうございます。
正子先生、「柳青みて」の句に、このようなコメントを寄せていただきとても嬉しいです。大変ありがとうございました。街中に青々と色付く柳が美しく明るく感じました。
お礼
信之先生、正子先生
「風に舞い風を染め上げ花の塵」の句に★じるしの評価と、素晴らしいご句評を頂戴しまして大変有難うございます。前夜の大風に朝まで残っていた風に花の塵が舞い上がっていました。
お礼
高橋信之先生
高橋正子先生
「旅の途のひとつのけじめ桜散る」にご指導とお言葉を頂戴し、たいへん嬉しく、有難く感謝いたしております。「旅の途」について私なりの思いはありますが、それが「けじめ」として少しでも読者に伝わるところがあるかどうか、全く自信はありませんでした。