3月1日~3月10日

3月5日(4名)
土橋みよ
春朝日焼き芋匂う角の家★★★
鵯の来て夕厨に向かいけり★★★
新和布の粗熱残る夕餉かな★★★

廣田洋一
春泥を跳ねつつ進む三輪車★★★★
長所は色白なりと新社員★★★
文机やうっすら積もる春の塵★★★

小口泰與
鳥立ちて枝の残雪無残なり★★★
着眼点はとてもいいです。「無残なり」は説明になりますから、どんな様子か述べるとよいと思います。(髙橋正子)
春蝉のそばに居りけり声聞かな★★★
春の山木木語らえば沼応う★★★

多田有花
シャベル一本余寒の土に刺さりけり★★★★
暈帯びて十六番目の春の月★★★
春日和変わらぬうちに洗濯す★★★

3月4日(3名)

多田有花
目覚めれば風雨の強きひな祭り★★★
かけ毛布一枚減らし春進む★★★
春満月いまだ雨雲のうしろ★★★

廣田洋一
竹林の切り開かれて春の土★★★
たんぽぽや二つ並びて楽しげに★★★★
鯉の群口を大きく水温む★★★

上島祥子
桜木に雨の余韻や香の立てり★★★
春望や深碧にうね長良川★★★
岐阜城や橋次ぐ橋の美濃路春★★★
どの句もよい視点の句ですが、実景を言葉でまとめていますので、そこが残念です。(髙橋正子)

3月3日(3名)
多田有花
今日一輪河津桜の明日一輪★★★
刈込に負けず咲きつつ三月に★★★

八重水仙傾き咲きぬ春なかば(原句)
「八重水仙が傾き咲きぬ」は、花期の終わりに近い「時間の気配」をすでに含んでいるので、
時期を明示する季語「春なかば」が「時間」を二重に言ってしまうため、句が説明的になっています。この句のような場合は、景色を特によく観察する必要があります。(髙橋正子)
八重水仙傾き咲きぬ風少し(正子添削)

小口泰與
諸子はねかすかに沼の笑いけり★★★
「笑いけり」の比喩が問題です。もう少し、丁寧な観察が欲しいところです。(髙橋正子)
我が枷をはずし自由に春の色★★★
かたくなに吠えし子犬や春の闇★★★

土橋みよ
裸木に濡鵯の鳴き交わす(原句)
「裸木」(冬の季語)、「濡鵯」は「濡鴉」からの造語でしょうか。濡れたように黒い鵯を言っていると思いますが、「濡鵯」は、裸木と同じ強さの季語となっています。「濡鵯」が一句のなかで、言葉が浮いています。「濡鵯」を使わないで、「黒き鵯」とし、裸木に焦点を当てるようにするとよいと思います。(髙橋正子)
裸木に黒き鵯鳴き交わす(正子添削)

和水仙蕾むや朝の無人駅(原句)
この句では、「和水仙」と種名を言う必要はありません。種名を言うと、情報量が多すぎて、説明になり、朝に静けさが壊れます。言葉は文脈で適切に使う必要があります。(髙橋正子)
水仙の蕾むや朝の無人駅(正子添削)

春の雨『アダージェット』に消ゆる宵★★★

3月2日(2名)
廣田洋一
沖ノ島霞みて見ゆる由比ヶ浜★★★
高校のしんと静まる卒業式★★★
吊るし雛風に膨らむ朝かな★★★

多田有花
陽春の光を受ける鬼瓦★★★
切揃えられて咲きたり庭の梅★★★
しだれ梅軒の高さより枝垂る★★★

3月1日(4名)
廣田洋一
日を浴びて白さいや増す梅の花★★★
ここかしこ競いて芽を出す杉菜かな★★★
残り鴨飛ぶ練習をしおるらし★★★

小口泰與
紅梅や音のかそけき真夜の雨★★★
かすかなる猫の足音春の宵★★★
のど飴の喉を癒すや春の風邪★★★

多田有花
土曜日は三月迎える拭掃除★★★★
路地曲がる塀の向こうに枝垂梅★★★
椿咲く数多蕾を従えて★★★

土橋みよ
孫海洋観測3句
沖の果て尾を引く春の箒星★★★★ 
春潮や小舟と並ぶクジラの背★★★★
春波を越ゆ銀色のオットセイ★★★


コメント

  1. 土橋みよ
    2026年3月4日 19:11

    正子先生
    ご丁寧なご指導と添削を頂き有難うございます。学習の進み方が遅いですが、一歩一歩努力して参りたいと思いますので、今後もご指導どうぞよろしくお願い申し上げます。

  2. 多田有花
    2026年3月5日 11:10

    正子先生
    「八重水仙傾き咲きぬ春なかば」を
    「八重水仙傾き咲きぬ風少し」に
    添削いただきありがとうございます。
    「八重水仙傾き咲きぬ」がすでに時間の気配を示しているとの
    ご指摘に納得いたしました。
    説明にならず詩としてその情景を詠むことを心がけたいと思います。