2月4日
●小口泰與
荒ぶれる坂東太郎太郎月★★★★
太郎月は1月の異称。長男は太郎と名付けられるが、1月も最初の月だから太郎月と呼ばれて、人間味を帯びてくる。利根川の坂東太郎も坂東の雄者ぶってくる。繰り返す「太郎」によいリズムが生まれている。(高橋正子)
蕗の芽や利根の支流のごうごうと★★★
病院の暗き廊下や春嵐★★★
●下地鉄
しっかりと親子の絆郁子の花★★★★
郁子の花は、古風で品のある感じだ。そこからも優しさや「親子の絆」の麗しさが思われる。(高橋正子)
他に早く森を彩る島桜★★★★
梅園より野に咲くそれの色香かな★★★
●多田有花
立春の東の空の明けてくる★★★
立春の冷たき風の中歩く★★★立春の青空に風ごうごうと★★★
●桑本栄太郎
スキップして少女散歩の春隣り★★★★
土堤に沿い黒きうねりや畦火跡★★★
ちろちろと土管の音の春の水★★★
●小西 宏
クレヨンで面太く描き鬼は外★★★★
クレヨンでぐいぐいと太い線で描かれた鬼の面は愉快で強そうだ。「鬼は外」の声も高らかで鬼も即刻退散したであろう。
熱き湯を注ぎ立春のミルクティー★★★
立春の雨まだ寒き楢林★★★
2月3日
●小口泰與
大いなる雪の浅間や風の道★★★★
どっしりと坐った雪の浅間山。その浅間山に向かい行けば、浅間山から風が吹き下ろす。それを「風の道」と解釈した。(高橋正子)
寒明けやチワワ食卓とび降りし★★★
起重機の春満月を上げにけり★★★
●多田有花
頂に立つ春近き靄の中★★★★
気温の上昇で、靄が立ち込めた日であったが、山の頂の靄はなおさら濃く立ち込めたことであろう。春がそこまで来ているのだ。(高橋正子)
山靴で電車に揺られ冬尽きぬ★★★
節分の午後は静かに雨となり★★★
●桑本栄太郎
馥郁と枇杷の花咲く垣根坂★★★★
垣根の続く坂沿いを歩いていて不意に枇杷の花に出会ったのだろう。冬の引き締まった空気のなかに、枇杷の花の香り高い匂いには惹かれる。
ちなみに枇杷は、バラ科である。(高橋正子)
寒ゆるむ南茶屋とや辻看板★★★
一羽翔び皆とび去りぬ寒すずめ★★★
コメント
お礼
信之先生、正子先生、
「頂に立つ春近き靄の中」にご指導、ご句評をいただきありがとうございます。
日曜日に大阪府と兵庫県の境にある妙見山に登ってきました。
晴れていれば山頂から大阪湾が見えるとのことだったのですが、雨があがったあとの靄で何も見えませんでした。
御礼
高橋信之先生、正子先生
2月3日の「馥郁と枇杷の花咲く垣根坂」の句に★印のご指導を賜り、情景そのままの嬉しいご句評も頂戴しまして大変有難うございます。洛西の山裾の散策コースは「花の寺」へも通じ、東海遊歩道に指定されています。鄙びた小高い坂道には土塀、白壁の古い民家が点在し、垣根で囲う坂道には枇杷の花がひっそりと咲いていて、心和む詩情に充ちています。
御礼
高橋信之先生、正子先生
2/3の投句に★印のご指導を賜わり、その上正子先生には「雪の浅間」の句に素晴らしい句評を頂き有難う御座いました。今後ともよろしくご指導の程よろしくお願いします。
御礼
高橋信之先生、正子先生
2/4の投句に★印のご指導を賜わり、その上正子先生には、「太郎月」の句に素敵な句評を頂き有難う御座います。今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
お礼
高橋信之先生、高橋正子先生
「クレヨンで面太く描き鬼は外」にとてもうれしいお言葉をお贈り下さり、たいへんありがとうございました。
節分の日の午後、幼稚園から帰る近所の子供たちに出会いました。みな、クレヨンで描いた鬼の面を手にしていました。それを被って幼稚園で豆撒きをしたとのことでした。