2月19日
●小口泰與
木の芽和水嵩増えし里の川★★★
円かなる梢の雨粒春の昼★★★★
かんかんと竹林鳴るや春暖炉★★★
●桑本栄太郎
枝先の艶の伸びいる雨水かな★★★
まんさくの瀬音聞きつつ下りけり★★★★
段堰の飛沫(しぶき)きらめき風光る★★★
●多田有花
曇り空風の音して雨水かな★★★
新幹線春北風の中を滑り行く★★★
二輪目の紅梅開くを見つけたり★★★
●河野啓一
雪深き信太の森の白狐かな★★★
うす雪の解けて五弁の梅の花★★★
枯れ木にも潤いあらむ雪解けて★★★
●古田敬二
花を愛ず人は優しき椿咲く★★★
樹によれば確かな春の温みあり★★★
命あれば温きものよと樹に触れる★★★★
2月18日
●小口泰與
梅ふふむ靄に沈みし赤城山★★★
ほつほつと梅のふふむや水ゆたか★★★★
雪解け水や雨で水嵩の増えた川。ちょうどその季節梅の蕾がほころび始める。「水ゆたか」に季節をよく詠わせている。(高橋正子)
春雪の止みて榛名の隠れなし★★★
●多田有花
春きざす地蔵にさらのよだれ掛け★★★★
梅林に紅梅一輪開き初む★★★
梅林の斑雪を鳥の飛び立ちぬ★★★
●桑本栄太郎
伊丹へと降りる機影や春きざす★★★
春泥の日蔭の水の光りけり★★★
梅が香の角を曲がれば教会へ★★★★
梅の香りと教会の取り合わせに意外性がある。しかし、その取り合わせは、まったく離れたものの取り合わせではなく、「清らか」という点でつながり、詩情を生んでいる。(高橋正子)
●古田敬二
精一杯開いて陽を受けいぬふぐり★★★
陽だまりに寄りあい開くいぬふぐり★★★
いぬふぐり地を行く風に震えけり★★★
●河野啓一
病院の門や重ねて雪積る★★★
ふんわりと雪かぶせらる伊吹かな★★★★
冴え返る花一つのみ残りいて★★★
コメント
御礼
高橋信之先生、正子先生
2/18の投句に★印のご指導を賜わり、その上、正子先生には「梅」の句に素晴らしい句評を頂き有難う御座いました。今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
御礼
高橋信之先生、正子先生
2月18日の「梅が香の角を曲がれば教会へ」の句に★印のご指導を賜り、嬉しい過分なるご句評も頂戴しまして大変有難うございます。日曜日毎に訪れる教会への道の途中、とある角のお家の庭に紅梅があり、一週間前は一二輪ほどでしたが、先日は青空に三分咲きとなっていました。教会へ近づきますと、風に乗って先ず香りが漂って来ました。いつも教会へ訪れる道すがらの花や木々など、眼に入るものはすべて喜びを覚えます。
お礼
2/18の投句に★印のご指導をたまわりまことにありがとうございました。
「ふんわりと雪かぶせらる伊吹かな」は貝塚伊吹の生垣根を写生したつもりでしたが。伊吹山の意にもとれることに気付きました。どうしたものでしょうか。ご教示賜れば有難く存じます・