12月5日

●小口泰與
ちり鍋や捨てかねている釣道具★★★★
ちり鍋を囲みながらも、思うのは釣り道具。古くなった道具か、また、釣りとは縁を切ろうという思いが逡巡しているのか、捨てかねている。これもふつふつと煮える鍋料理の仕業と思える。(高橋正子)

夕照の浅間や風に乗る木の葉★★★
笹鳴きや置き忘れたるアイフォーン★★★

●桑本栄太郎
もくれんの冬芽しかじか尖りけり★★★★
「しかじか」は、「かように」という意味と解釈。もくれんの芽を一つ一つ見れば、かように尖っている。もくれんの芽を知るひとにはわかること。(高橋正子)

ちりちりと赤き山襞冬の嶺★★★
日が射せど風のおらぶや十二月★★★

●黒谷光子
冬の田を北へと糠を燃す煙★★★
糠の使い道もほどんどなくなったせいか、糠を田で燃やすようだ。糠を燃やす煙とその匂いは北へと靡く。穏やかな日和に風は南寄り。農村の冬の一風景である。(高橋正子)

特急の過ぎしホームの風寒き★★★
同年のよしみと集い忘年会★★★

●多田有花
風吹けば幾千万の落葉降る★★★
あいさつの声冬菊の向こうより★★★★
極月の三日月日々を丁寧に★★★

●小西 宏
盛り高く香を放ちいる葱の畝★★★★
大根の並ぶ葉のさま魔女の髪★★★
小春日や枝に鴉の熟し柿★★★


コメント

  1. 小口泰與
    2013年12月6日 9:10

    御礼
    高橋信之先生、正子先生
    12/5の投句に★印のご指導を賜わり、その上正子先生には素敵な句評を頂き有難う御座いました。今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。

  2. 桑本栄太郎
    2013年12月6日 17:36

    御礼
    高橋信之先生、正子先生
    「もくれんの冬芽しかじか尖りけり」の句に★印のご指導を頂戴し、嬉しいご句評もお添え頂き大変有難うございます。もくれんの冬芽は葉がたくさんある時から準備されています。葉が落ちた現在では、幾何学的な枝の張りの先端に冬芽があり、もくれんの何か意図的な冬芽を感じます。その状態を「しかじか」と表現してみました。