●小口泰與
冬凪や赤城のすそ野とびの舞う★★★
虎落笛耳はりづめの小犬かな★★★
底冷えや鶏の足跡おちこちに★★★
●河野啓一
鳥声優し今日は天皇誕生日★★★★
今生天皇は12月23日が誕生日。うららかな日を賜り、小鳥の声も優しい。天皇のお人柄がしのばれもする。(高橋正子)
年納め近付きつつも小春かな★★★
庭雀氷雨のなかの朝餉かな★★★
●古田敬二
(ブルダバ=モルダウ)
ブルダバの冬霧の中陽が昇る★★★
霜真っ白陽が射し来るまでの街の色★★★★
「陽が射し来るまでの街の色」がいい。特に「街の色」で止めたので、句の情景が鮮明になった。(高橋正子)
プラハ城霜の斜面の丘の上★★★
●多田有花
ワイパーににじむ年の瀬の光★★★
頂の切り払われし年の暮★★★★
頂きの神社やお寺だろうか。いただきが切り払われさっぱりとし、見晴らしもよくなった。年迎えの用意が済んだ年の暮のすがすがしさがよい。(高橋正子)
手をつなぐ母子歳暮の交差点★★★
●桑本栄太郎
冬晴れの掃除日和の朝かな★★★
段取りの手間もひとつや年用意★★★★
なにごとも、準備や段取りが必要。この手間も年用意の仕事の一つである。これをしっかりすれば、手際よく用意ができるというもの。(高橋正子)
手拭いを被り意気立つ煤払い★★★
●川名ますみ
てっちりのゆげ兄妹を行き交えり★★★
不器用に雑炊よそう妹へ★★★
雑炊を伯父によそわれている母★★★
●小西 宏
山茶花の白土に敷きまた蕾★★★
ぶらんこの揺れぬ鎖や冬の雨★★★
ほの赤くけぶる桜の枯木立★★★
コメント
御礼
高橋信之先生、正子先生
12月27日の「段取りの手間もひとつや年用意」の句に★印のご指導を賜り、温かい嬉しいご句評も頂戴しまして大変有難うございます。先日、朝からご褒美のような天気となり、なかなか気乗りしない大掃除を始めました。何事も「段取り八分」とも言われ、色々準備しました。
お礼
信之先生、正子先生、
「頂の切り払われし年の暮」にご指導、ご句評をいただきありがとうございます。
いつも散歩に行っている増位山の頂です。
東南方向の雑木が切られ、播磨灘への見通しがよくなりました。
初日の出を迎えるにもいい方角かもしれません。