●小口泰與
茶の花や一朶の雲の動かざる★★★★
茶の白い花と冬空にぽっかり浮いた雲。歳末のころころ、しずかに晴れた日がありがたい。(高橋正子)
寒暁や雄鳥の声透き通る★★★
夕暮れの日はあわあわと寒薔薇★★★
●桑本栄太郎
送電塔山の眠りの嶺々に★★★★
「眠りの山」は、「眠る山」よりも表現が新鮮だ。送電線の鉄塔は、冬ざれのなかでは、とくに目立つ存在のように思う。(高橋正子)
芦屋なる庭の茶室や松葉敷く★★★
冬波の岸壁這うや浚渫船★★★
●小西 宏
冬晴れの枝に満ちたる柿の色★★★
木の葉落ち枝払われて欅立つ★★★
落葉道ひと足の歩の陽の温み★★★
●古田敬二
青空を映してウイーンの薄氷★★★★
どんな場所に張っている薄氷がわからないが、ウィーンの薄氷は、ウィーンの青空を映す。クラッシック音楽のジャケットにでもなりそうな光景を想像した。(高橋正子)
冬枯れの白樺貫き旅を行く★★★
(ボヘミヤ平原)
冬耕の終わる平原果てもなし★★★
●高橋秀之
大空と眠る山あり千光寺★★★★
尾道の千光寺ならば、それは、まさに眠る山のなかに立ち、おおらかな空の下で尾道水道の海の眺めを一望にしている。(高橋正子)
冬凪の港夕陽を映し込む★★★
我もあり冬の山あり一人旅★★★
コメント
御礼
高橋信之先生、正子先生
12/23の投句に★印のご指導を頂き、その上、正子先生には「茶の花」の句に素晴らしい句評を賜わり有難う御座いました。今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
御礼
高橋信之先生、正子先生
12月23日の「送電塔山の眠りの嶺々に」の句に★印のご指導を賜り、嬉しいご句評も頂戴しまして大変有難うございます。高槻市から桂への嶺の頂きには送電塔が沢山在り、季節の山の表情を眺める時、必ず眼に入ります。ちりちりと赤い山襞の頂きの送電塔の眺めは、まさに冬ざれの光景です。